報道発表資料

平成22年9月10日
自然環境
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平成22年度野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会の開催結果について(お知らせ)

 環境省では9月10日に、「平成22年度野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会」を開催し、アホウドリの保護増殖事業の実施結果報告と今後の計画についての検討を行いました。
 この中で、昨年度、アホウドリの最大の繁殖地・鳥島において環境省が実施したモニタリング事業により、当年生まれのヒナが328羽確認(今年2月頃)されたことを報告しました。平成5年の事業開始以降、確認されたヒナの数としては最高となり、鳥島の個体群は全体でおよそ2600羽と推定されます。
 環境省が米国内務省魚類野生生物局との協力により平成13年度から実施している日米共同衛星追跡事業では、平成21年・22年に鳥島のヒナ及び聟(むこ)島(じま)で人工飼育されたヒナに衛星発信器を装着して行動追跡を行っており、長いものは巣立ち約15ヶ月後の本年8月末までの移動経路が把握できています。
 山階鳥類研究所が環境省と米国内務省魚類野生生物局等との協力により平成19年度から実施している聟島でのアホウドリ新繁殖地形成事業については、2月8日に鳥島から聟島までヒナ15羽をヘリコプターで移送し、全てのヒナが5月29日までに巣立ったことが報告されました。(平成19年度からの累計は40羽)
 聟島事業の今後の計画についても検討が行われ、平成23年の繁殖期(2月頃)には、アホウドリのヒナ15羽(今年と同数)を伊豆諸島の鳥島から小笠原群島の聟島まで移送して、巣立ちまで飼育することとなりました。

1 環境省野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会検討員 名簿

小城 春雄
北海道大学 名誉教授
尾崎 清明
(財)山階鳥類研究所副所長
長谷川 博
東邦大学理学部 教授
樋口 広芳
東京大学大学院農学生命科学研究科 教授  (五十音順 敬称略)

2 野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会での報告及び検討事項

1.鳥島での保護増殖事業について

[1]
平成21年度の実施結果
平成22年2月に行った環境省の調査により、今年生まれたヒナは、鳥島の燕崎(元々の繁殖地)で279羽、初寝崎(新しい繁殖地)で45羽、その他の地点で4羽の計328羽がカウントされ、昨年の310羽より18羽増加した。(※このうち燕崎のヒナ15羽を2月8日に小笠原聟島へ移送した。)
分科会検討員の長谷川東邦大学教授により、アホウドリの鳥島個体群は約2570羽と推定されている。(平成5年の事業開始当時は約600羽)
平成22年2月に発生した燕崎繁殖地への土砂流入対策として、幅5m×深さ2m×長さ80mの中央導水溝を掘削(人力、約800立米)した。(写真1参照)
[2]
今年度(平成22年度)の実施計画
昨年度も順調な繁殖が確認されたため、今年度も来年2〜3月にモニタリングを行う。また、初寝崎のヒナには、来年4月〜5月に足環を装着する。
燕崎繁殖地おいて新たに掘削した中央導水溝は、いずれ土砂で埋まってしまうと予測されることから、当面、燕崎繁殖地への土砂の流入量を減らすため、土砂流路を変更する工事を検討し、実施する。

2.日米共同衛星追跡事業(平成13年度から実施中)

[1]
昨年度以降(平成21年度〜平成22年度)の実施結果
ア.
平成21年巣立ちヒナの追跡結果
平成21年5月中旬に、鳥島及び聟島の巣立ち前のアホウドリのヒナに、それぞれ7羽(日本2羽、米国5羽)の計14羽に発信機を装着した。
平成21年12月までに鳥島の5羽、聟島の5羽(ともに米国の発信器)が発信を終了したが、鳥島の2羽、聟島の2羽(ともに日本の発信器)については、現在(平成22年8月末)も追跡を継続中であり、約15ヶ月間にわたって人工衛星による行動追跡に成功している(図2・図3参照)。
鳥島と聟島の雛の間には行動圏等の明確な違いは見られなかった。また、ベーリング海が巣立ちしたアホウドリの夏期の重要な餌場となっている可能性が示された
4月以降は、日本近海に渡来してしばらく滞在し、その後北上する個体や、アメリカ北西海岸からアラスカ、ベーリング海、アリューシャン列島等で過ごす個体が見られた。(図3参照)
イ.
平成22年巣立ちヒナの追跡結果
平成22年5月中旬に、鳥島及び聟島の巣立ち前のアホウドリのヒナに、それぞれ6羽(日本2羽、米国4羽)の計12羽に発信機を装着した。
平成22年8月までに鳥島の2羽(米国の発信器)が発信を終了したが、その他の鳥島の4羽、聟島の6羽については、現在(平成22年8月末)も追跡を継続中である。
[2]
今後(平成22年度〜平成23年度)の実施計画
平成23年度も、鳥島・聟島の巣立ちヒナを対象に、発信機を取り付け、人工衛星による行動追跡を実施する。

3.小笠原(聟島)での新繁殖地形成事業(平成19年度から実施中)

[1]
今繁殖期(平成22年2月〜現在)の実施結果報告
ア.
ヒナ移送と人工飼育
<移送>
2月8日に鳥島から聟島までヒナ15羽をヘリコプターで移送。
捕獲から放鳥までの時間は約7.5時間だった(ヘリによる移送時間は1.5時間)。
ヒナの性比は雄11羽、雌4羽。
移送中に衰弱したヒナはなく、放鳥時にも健康状態に異常のあるヒナはなかった。
<飼育>
聟島の飼育ヒナの体重成長は野生のヒナと同じ状態で推移した。
1羽も死ぬことなく、全てのヒナが5月18〜29日の間に巣立った。(平成19年からの累計40羽が巣立ち)
イ.
デコイ・音声装置の設置
平成21年11月にデコイを、平成22年1月及び2月に音声装置を設置し、5月末まで稼働させた。
音声装置稼働中少なくとも3羽の亜成鳥が飛来した。
[2]
今後の実施計画
移送するヒナは昨年度と同様、35日齢(移送予定日は2月5日〜10日)、ヒナ数は15羽(利用するヘリに1度に載せられる最大数)とする。
飼育方法は基本的に今年と同様とする。
デコイ・音声装置は平成22年11月〜平成23年5月まで設置する。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8283)
課長:亀澤 玲治(6460)
課長補佐:堀内 洋(6475)
係長:中山 直樹(6468)
係長:浪花 伸和(6469)

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