報道発表資料

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2022年02月08日
  • 保健対策

残留性有機汚染物質検討委員会第17 回会合(POPRC17)の結果について

 令和4年1月24日(月)から28日(金)にかけて、残留性有機汚染物質を国際的に規制するストックホルム条約による規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第17回会合が対面とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。
 本会合では、メトキシクロルの条約上の廃絶対象物質(附属書A)への追加を締約国会議に勧告することが決定されました。また、デクロランプラス及びUV-328について、リスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。
 さらに、新たに提案されたクロルピリホス、中鎖塩素化パラフィン(炭素数14で塩素化率45重量%以上のもの)並びに長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)とその塩及び関連物質について、リスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。

1.背景

 「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」は、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の製造及び使用の廃絶や制限、その意図的でない生成による放出の削減等の規制に関する条約です。

 条約対象物質への追加について検討する検討委員会(POPRC、加盟国の31人の専門家から構成)においては、加盟国から提案された物質について、①スクリーニング、②危険性に関する詳細検討(リスクプロファイル)、③リスク管理に関する評価の検討の3段階のプロセスを経て、締約国会議(COP)に勧告します。

 COPでの決定の後、各加盟国は、対象物質について製造、使用等を規制することになります。我が国では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)」等によって規制します。

2.今回の会合での決定内容

 POPRCの第17回会合(POPRC17)は、令和4年1月24日(月)~28日(金)に対面とオンラインのハイブリッド形式で開催され、我が国からは、メンバーとして金原和秀静岡大学大学院教授が、また、オブザーバーとして環境省・経済産業省の担当官、国内の専門家等がオンラインで出席しました。POPRC17で決定した内容は、以下のとおりです。

(1) 条約対象物質への追加

① メトキシクロル(提案国:欧州連合)

【主な用途】殺虫剤

 リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、個別の適用除外なしで、廃絶対象物質(附属書A)に追加することにつき、COPに勧告することが決定されました。

(2) 条約対象物質としての検討

① デクロランプラス(提案国:ノルウェー)

【主な用途】難燃剤

 リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、デクロランプラスが重大な悪影響をもたらす恐れがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC18)においてリスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。

② UV-328(提案国:スイス)

【主な用途】紫外線吸収剤

 リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、UV-328が重大な悪影響をもたらす恐れがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC18)においてリスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。

③ クロルピリホス(提案国:欧州連合)

【主な用途】殺虫剤

 提案国から提出された提案書について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議した結果、クロルピリホスがスクリーニング基準を満たすとの結論に達し、次回会合(POPRC18)に向けてリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。

④ 中鎖塩素化パラフィン(炭素数14~17で塩素化率45重量%以上のもの)(提案国:英国)

【主な用途】難燃性樹脂原料等

 提案国から提出された提案書について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議した結果、炭素数14で塩素化率45重量%以上の中鎖塩素化パラフィンについてはスクリーニング基準を満たすとの結論に達し、炭素数15~17で塩素化率45重量%以上の中鎖塩素化パラフィンについては、生物蓄積性に関して引き続き情報収集を続ける条件付きで、次回会合(POPRC18)に向けてリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。

⑤ 長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA) とその塩及び関連物質(提案国:カナダ)

【主な用途】フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等

 提案国から提出された提案書について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議した結果、長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA) とその塩及び関連物質がスクリーニング基準を満たすとの結論に達し、次回会合(POPRC18)に向けてリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。

(3)その他の検討

① ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質の例示リスト

  例示リストの改定について、引き続き情報収集を行うことが決定されました。

3.今後の予定

 次回会合(POPRC18)は令和4年9月にローマで開催される予定です。また、POPRC17及びPOPRC18の結果を踏まえた第11回締約国会議(COP11)は令和5年に開催される予定です。

【参考】

環境省関連情報ウェブサイト

https://www.env.go.jp/chemi/pops/index.html

ストックホルム条約ホームページ(英語)

http://www.pops.int/

連絡先

環境省大臣官房環境保健部環境安全課

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8261
  • 課長太田 志津子(内線 6350)
  • 専門官飯野 彬(内線 6361)
  • 係長酒井 学(内線 6355)

環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課化学物質審査室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8253
  • 室長久保 善哉(内線 6309)
  • 室長補佐工藤 俊祐(内線 6324)
  • 担当山中 彩紀子(内線 6367)