報道発表資料

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2017年06月30日
  • 水・土壌

瀬戸内海における藻場・干潟分布状況調査(中部海域)の結果について

瀬戸内海における藻場・干潟の保全・再生・創出等を図るため、環境省では平成27年度から、衛星画像の解析手法を用いた藻場・干潟の分布状況調査を行っています。
平成28年度に調査を行った中部海域(備後灘、燧灘、安芸灘、広島湾、伊予灘)では、藻場面積は6,272ヘクタール(東京ドーム約1,340個分)、干潟面積は3,385ヘクタール(同約720個分)となりました。
また、一部エリアにおける経年変化の試算の結果、既往調査(平成元~2年度)と比較して、今回調査(平成28年度)では、藻場面積は約17%、干潟面積は約5%の増加が見られました。
本年度は西部海域(周防灘、豊後水道、響灘)において調査を進めているところであり、とりまとめ次第、結果を公表してまいります。

1.背景と経緯

(1)瀬戸内海の環境保全については、瀬戸内海環境保全特別措置法等に基づく取組の結果、その水質は全体として改善傾向にあります。一方で、「豊かな海」の観点から、生物多様性・生物生産性の確保等の重要性が指摘されています。
(2)そのため、瀬戸内海環境保全基本計画の変更(平成27年2月)及び瀬戸内海環境保全特別措置法の改正(平成27年10月)において、藻場、干潟その他の沿岸域の良好な環境の保全、再生及び創出等の取組の推進が盛り込まれました。
(3)これを受け、瀬戸内海における最新の藻場・干潟分布域及び面積を把握するため、近年、技術向上が進んでいる衛星画像の解析手法を用いて、瀬戸内海における藻場・干潟分布状況調査を平成27年度から開始しました。

2.調査の概要

 瀬戸内海全域における藻場・干潟の分布域及び面積を、平成27年度から29年度の3年間で調査する予定です。平成27年度は東部海域(紀伊水道、大阪湾、播磨灘、備讃瀬戸(一部除く))で調査を実施し、結果を平成28年11月25日に公表したところです。
 平成28年度は、中部海域(備後灘、燧灘、安芸灘、広島湾、伊予灘)で調査を実施しました。また、平成27年度の調査において未実施であった備讃瀬戸の一部海域で今回調査を行い、東部海域(紀伊水道、大阪湾、播磨灘、備讃瀬戸)の分布面積を確定しました。
 本調査は、衛星画像の解析及び現地調査の実施により、5mメッシュごとに藻場・干潟の有無を分析するもので、既往調査と比較して、より詳細な分布域を抽出することが可能です。
 ※調査方法の詳細につきましては、添付の概要資料をご参照ください。

3.調査結果の概要

 今回調査を行った中部海域(備後灘、燧灘、安芸灘、広島湾、伊予灘)における藻場面積は6,272ヘクタール(東京ドーム約1,340個分)、干潟面積は3,385ヘクタール(同約720個分)となりました。
 既往調査(第4回自然環境保全基礎調査(平成元~2年度 環境庁))では、関係者ヒアリング等の手法を用いて藻場・干潟の分布を調査しており、本調査と調査方法が異なっています。そこで、既往調査との経年変化を比較するため、衛星画像解析手法とは別に、一部エリア(9エリア)において既往調査と同様の方法(ヒアリング)により調査を実施し、経年変化を試算しました。試算の結果、既往調査(平成元~2年度)と比較して、今回調査(平成28年度)では、藻場面積は約17%、干潟面積は約5%の増加が見られました。藻場を種類別に見ると、海草藻場(アマモ)はヒアリング調査を実施したエリアのうち7エリアで増加、2エリアで減少、海藻藻場(ガラモ等)は、4エリアで増加、3エリアで減少(2エリアは変化無し)という結果になりました。
 また、今回確定した東部海域における藻場面積は3,965ヘクタール(東京ドーム約850個分)、干潟面積は1,023ヘクタール(同約220個分)となりました。
 環境省HP(https://www.env.go.jp/water/heisa/survey/result_setonaikai.html)において、藻場・干潟の分布図及びGISデータを本日公表しましたので、併せてご参照ください。
 ※調査結果の詳細につきましては、添付の概要資料をご参照ください。

4.今後の予定

 本調査の結果は、沿岸域の環境保全施策の検討・実施における基礎データとして活用してまいります。また、詳細データの公表により、自治体、研究機関等における調査・研究等にも活用されることが期待されます。
 本年度は西部海域(周防灘、豊後水道、響灘)において調査を進めているところであり、とりまとめ次第、結果を公表してまいります。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室
室長  :根木 桂三 (6502)
室長補佐:束原 茂  (6504)
係長  :伊庭 健一郎(6508)

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