報道発表資料
1.経緯
新幹線鉄道騒音については、環境基本法(平成5年法律第91号)第16条の規定に基づき、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準として「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年環境庁告示第46号。以下「告示」という。)が定められ、地域の類型別の基準値及び達成目標期間が設定されています。このうち新設新幹線鉄道に係る達成目標期間については、開業時に直ちに達成され、又は維持されるよう努めるものとされています。
今般、北海道新幹線新青森~新函館北斗間(路線延長約149km、うちトンネル以外の区間約52km)が、平成28年3月26日に開業したことに伴い、環境省では北海道、青森県の協力を得て沿線の騒音測定を行い、環境基準の達成状況の把握を行いました。
2.調査方法
(1)測定実施自治体
北海道、青森県
(2)測定期間
平成28年10月~11月
(3)測定地点及び測定点
測定地点は、北海道新幹線新青森~新函館北斗間から、8地点を選定しました。道県別の測定地点数は表1のとおりです。
測定点は、測定地点側の軌道中心から25mの測定点(以下「25m点」という。)を標準測定点(※)として測定しました。
※ 「新幹線鉄道騒音測定・評価マニュアル」(平成27年10月環境省。以下「マニュアル」という。)の「4 測定地点の選定」にいう「標準測定点」。
参照)https://www.env.go.jp/air/noise/sinkansen/manual.html
表1 道県別測定地点数
道県名 |
北海道 |
青森県 |
合計 |
測定地点数 |
6 |
2 |
8 |
(4)測定方法
告示及びマニュアルに定める方法に従い、原則として連続して通過する20本の列車の騒音を測定し、このうち最大騒音レベルの大きさが上位半数のものをエネルギー平均したものを当該測定点における評価値としました。
3.調査結果
騒音レベルの分布状況は図1のとおりです。
図1 騒音レベルの分布状況(25m点)
4.環境基準の達成状況
新幹線鉄道騒音の環境基準については、都道府県知事が、主として住居の用に供される地域にはI類型を、商工業の用に供される地域等I類型以外の地域であって通常の生活を保全する必要がある地域にはII類型を当てはめ、それぞれI類型については70デシベル以下、II類型については75デシベル以下とすることとし、新設新幹線鉄道は開業時に直ちに達成されるよう努めるものとされています。
今回測定した北海道新幹線新青森~新函館北斗間について、測定した8地点における環境基準の達成状況は表2のとおりです。I類型では7地点のうち6地点(約86%)、II類型ではすべての地点(1地点)で達成されており、計8地点のうち7地点(約88%)で達成されていました。
表2 環境基準達成状況
|
測定地点数 |
達成地点数 |
達成率(%) |
||||
I類型 |
II類型 |
I類型 |
II類型 |
I類型 |
II類型 |
計 |
|
北海道 |
6 |
- |
5 |
- |
83 |
- |
83 |
青森県 |
1 |
1 |
1 |
1 |
100 |
100 |
100 |
計 |
7 |
1 |
6 |
1 |
86 |
100 |
88 |
5.今後の対応
環境基準が可及的速やかに達成され、又は維持されるよう、本日付けをもって国土交通省、北海道、青森県に対し要請等を行いました。その概要は、次のとおりです。
【要請等の概要】
(国土交通省鉄道局あて)
1.最も基本的な施策である音源対策を引き続き推進し、環境基準の達成を図ること。
2.現時点で技術的に可能な音源対策を十分に講じても環境基準を達成できない場合は、今後、音源対策に関する技術開発に努め、実施可能なものから遂次音源対策への活用を図るとともに、住宅防音工事の推進を図ること。
3.環境基準の円滑な達成に資するため、関係機関と連携し、沿線の土地利用の適正化を図ること。
4.騒音・振動その他の環境の状態のモニタリングを行い、必要に応じて適切な環境保全対策を講じること。
5.今後の路線の延伸などの新幹線鉄道事業の推進に当たっては、環境保全の観点から、関係地方公共団体と十分連絡調整を図ること。
(国土交通省都市局都市計画課あて)
北海道新幹線鉄道沿線に関する土地利用対策が推進されるよう、関係地方公共団体に周知徹底を図ること。
(北海道、青森県あて)
1.環境基準の達成状況の把握のため、定期的に新幹線鉄道騒音を測定するよう努めること。また、測定結果については当省にその都度送付すること。
2.土地利用の適正化を図ることが必要であることに鑑み、関係部局及び市町村の連携に努め、沿線の土地利用の適正化に努めること。
3.建設主体及び営業主体が環境保全のため実施する音源対策又は住宅防音工事の促進のため、当該建設主体及び営業主体との連絡調整を図ること。
4.環境基準の地域類型を当てはめる地域の指定の処理基準については、既に通知したところであるが、今後とも必要な見直しを行われたいこと。
5.今後とも騒音・振動その他の環境の状態のモニタリングを行い、必要に応じて適切な環境保全対策を講じること。
添付資料
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局自動車環境対策課
直通 03-5521-8301
代表 03-3581-3351
課長 瀧口博明 (内6520)
審査官 下田代洋一(内6523)
担当 岡松明良 (内6523)