報道発表資料

平成27年12月10日
自然環境
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第8回日米渡り鳥等保護条約会議及び第10回日ロ渡り鳥等保護条約会議の結果概要について(お知らせ)

 第8回日米渡り鳥等保護条約会議及び第10回日ロ渡り鳥等保護条約会議が11月17日から18日にかけて米国・フォールズチャーチで開催されました。各国における渡り鳥保全施策や研究成果等の情報交換、渡り鳥保全のための今後の協働のあり方等について意見交換を行い、日米、日ロそれぞれの間で、引き続き協力を推進することを確認しました。

1.開催日程及び場所

(1)日時:

 平成27年11月17日(火) 第8回日米渡り鳥等保護条約会議

 平成27年11月18日(水) 第10回日ロ渡り鳥等保護条約会議

(2)場所:

 米国・フォールズチャーチ

2.各会議の概要

(1)第8回日米渡り鳥等保護条約(注1)会議

○条約付表の改正

 日本より、日米両国の最新の鳥類目録等を踏まえて条約付表(日米間の渡り鳥リスト)の改正を行うことを提案し、両国間で今後作業を進めていくことが合意されました。

○アホウドリの保護の取組

 米国より、昨年実施したアホウドリ回復計画の5年毎のレビューにおいて、世界のアホウドリ個体数が年7~9%の割合で増加し続けていることが示されたことや、ベーリング海でのアホウドリの混獲の発生状況や混獲防止のための取組等について報告がありました。日本からは、日米共同で実施してきたアホウドリの渡りの経路解明のための衛星追跡調査の結果や、小笠原諸島聟島における新繁殖地形成事業の状況等を報告しました。アホウドリ個体数が順調に回復してきていることも踏まえ、これまでに発信機を装着したアホウドリ個体からの電波の受信が今夏をもって途絶えたことから、衛星追跡調査については終了することが合意され、今後は追跡データの解析において両国で協力していくことを確認しました。

○風力発電施設へのバードストライク防止策に関する情報交換

 日米両国は自然環境への影響に配慮しながら風力発電施設の導入を促進している点で共通しています。米国からは、増加しつつある洋上風力発電施設への対応として、事業者が立地検討をする際に参考とできるよう、米国太平洋岸の大陸棚において、海鳥や海生哺乳類のホットスポットの特定や、特定の海鳥種の脆弱性指標の作成を行っていることが報告されました。また、日本からは、ブレードの彩色や警戒音の発生等、風力発電施設の事業者が実施可能な具体的なバードストライク防止策を盛り込んだ手引きを策定する準備を進めていることや、現段階での各バードストライク防止策の効果の検証結果を報告しました。日米両国は今後も情報交換を続けていくことを確認しました。

○高病原性鳥インフルエンザに関する情報交換

 日米双方より、各国内での野鳥における鳥インフルエンザの発生状況や監視体制について報告しました。また、米国からは、今後5年間に鳥インフルエンザの伝播メカニズムの解明や、ウイルスの分離・遺伝解析、リスク評価等を行っていくことが紹介されました。

○その他

 米国より、西ナイル熱に関して、米国内で野鳥への感染が拡大し続けていることや、監視体制、感染予防策の検討状況等について報告がありました。また、北極評議会の動植物保全作業部会の下での北極渡り鳥イニシアティブ(AMBI)での保全活動に関して、日本が参画することへの期待が示されました。

 日本は、シギ・チドリ類のモニタリング体制や、モニタリングの結果として2000年頃の国内のシギ・チドリ類の個体数は1980年頃の50~60%にまで減少していることが示唆されること等を報告しました。

 次回会議は2年以内に開催することが合意されました。

(2)第10回日ロ渡り鳥等保護条約(注2)会議

○陸生鳥類の保全に関する意見交換

 ロシアより、陸生鳥類のモニタリングの実施状況や、カムチャツカ半島の複数のポイントにおいてこの5~10年間にシマアオジが急激に減少していること等が報告されました。日本からは、鳥類標識調査において放鳥したカシラダカの個体数は1980年以降減少傾向にあり、近年の放鳥数は最大であった1980年前後の10%程度となっていること等を報告しました。ロシアでは、来春、日中韓ロの4ヶ国が参加する陸生鳥類のモニタリング推進のためのワークショップを開催する予定であり、日ロ両国は、当該ワークショップにおいて、両種の保全に向けた具体的な活動を検討する重要性を確認しました。

○シギ・チドリ類の保全に関する意見交換

 日本より、日ロ間を行き来するシギ・チドリ類の各種の2000年から2012年までの国内の個体数の増減傾向について報告しました。傾向は種ごとに異なり、シロチドリやダイゼンでは減少傾向が顕著であること等を紹介しました。また、ロシアからは、近々更新予定のロシアのレッドリストにヘラシギやハマシギ等シギ・チドリ類10種余りが新たに掲載される見込みであること、特にヘラシギに関してはこの40年間で個体数が約10%にまで減少しており、卵の人工孵化の取組を行っていること等の報告がありました。日ロ両国は、渡り鳥の中でも特にシギ・チドリ類の減少が著しく、その保全のためには渡りの経路全体での取組を更に進める必要があるとの認識で一致しました。

○日ロ間の優先種の選定

 今後の条約会議において、継続して情報・意見交換を行っていくべき優先度の高い種又は種群として、以下を選定しました。

  • ハクガン、カリガネ、トモエガモ
  • ヘラシギ、ハマシギ
  • 海鳥
  • オオワシ、オジロワシ
  • シマアオジ、カシラダカ、オオジュリン

○その他

 ロシアより、海鳥の保護に関して、混獲防止策(トリライン)の改良や、排他的経済水域内での流し網漁の規制に向けた動きがあることが報告されました。また、ロシア国内において絶滅したトキの放鳥を行うことが検討されているとの情報提供がありました。米国と同様に、ロシアからも日本がAMBIでの保全活動に参画することへの期待が示されました。

 日本より、国内のツル類の生息状況と越冬地分散の取組、コウノトリの放鳥事業と放鳥個体の移動等について報告しました。また、オオジュリン等の幼鳥個体に見られる尾羽の異常について紹介しました。

 次回会議は2年以内に開催することが合意されました。

注1)正式名称「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」:昭和49年9月19日発効

注2)正式名称「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境の保護に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約」:昭和63年12月20日発効

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8284
課 長:奥田 直久(内線 6460)
補 佐:中島 慶次(内線 6465)
専 門 官:辻田 香織(内線 6468)

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