報道発表資料

平成27年1月9日
地球環境
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「気候変動に係る日印政策研究ワークショップ」の結果について(お知らせ)

1月6日(火)・7日(水)にインド・ニューデリーにて「気候変動に係る日印政策研究ワークショップ」が開催され、COP20の結果の評価とCOP21に対する期待、排出削減に向けたIPCC等の科学的知見の役割、排出ギャップを埋めるための国や地域における排出削減の政策・行動の強化策、行動の強化に向けた国際協力のありかた等について意見交換を行いました。

「気候変動に係る日印政策研究ワークショップ」は、気候変動に関する日印の研究面からの知見について、両国の政策担当官・研究者が意見交換を行うため、環境省の支援により地球環境戦略研究機関(IGES)とインド・エネルギー資源研究所(TERI)が協力して開催している会議で、日印を中心とする政策担当官・研究者等、計40名が参加しました。環境省では、引き続き、インドと気候変動に関する意見交換等を進めていく予定です。

1.開催地

インド・ニューデリー インド・ハビタット・センター(IHC)内 Maple Hall

2.開催日

平成27年1月6日(火)・7日(水)

3. 議題

COP20の結果の評価とCOP21に対する期待、排出削減に関する科学的知見からの示唆、国内における気候変動政策・行動の強化策、行動の強化に向けた国際協力のあり方 等

4. 出席者

日本側:環境省、IGES(浜中理事長ほか)、京都大学、国立環境研究所、国際協力機構(JICA)

インド側:財務省、TERI(パチャウリ所長ほか)等

その他:英国国際開発省(DFID)、ドイツ国際協力公社(GIZ)、持続可能性を目指す自治体協議会(ICLEI)等

5. 概要

開会セッションでは、インド側より、IPCC第5次評価報告書(IPCC-AR5)の結果を受け、2度目標と排出削減行動の間に大きなギャップがあること、昨年11月の米中による共同声明の効果、とりわけ中国が打ち出した2030年までにエネルギーの20%を非化石燃料に移行させるという目標が主要排出国に対する良いアナウンスとなったこと、COP20の結果については、交渉テキストの要素に関する文書が40ページ近くあることに失望していること、COP21における交渉は透明性が維持され、民主的なプロセスで行われることを期待する旨、表明されました。

COP20の結果の評価とCOP21に対する期待について議論するセッションでは、日本側からは、COP20における決定文書(リマ声明)における、各国が自主的に決定する約束草案(Intended Nationally Determined Contributions: INDCs)等に係るパラグラフの分析や今後の課題が示され、インド側からは、2015年合意と持続可能な開発との両立の重要性が強調されるとともに、2015年合意が条約の下、共通だが差異ある責任の原則に基づくこと、6つの要素がバランスよくカバーされることが重要であること、INDCは各国事情に基づき準備されるべきこと、INDCの国際的なレビュープロセスを実施することの難しさなどが言及されました。その後の議論では、INDCのガイダンスが存在せず、含めるべき情報が明確には確定していないなか、各国の野心度を維持することの難しさ、各国の事情が考慮されたINDCの事前・事後のコンサルテーションの実施の難しさが指摘されるとともに、リマではじめて実施された先進国の国別報告書と隔年報告書の多国間評価のプロセスからの教訓、各国の取り組みの情報共有から学ぶべきことがある旨、指摘がなされました。

排出削減に向けたIPCC等の科学的知見の役割に関するセッションでは、日本側からは、IPCC-AR5及び2014年のUNEPギャップレポートにおける最新の科学的見解について、過去のレポートからの変遷を踏まえ、現状と2度目標との乖離、2度目標を達成するために必要な排出経路と技術などについての研究結果が示されました。インド側からは、インドが2050年までに100%再生可能エネルギーに移行するシナリオについて、TERIとWWFによって行われたMARKALモデルで分析した結果が示され、その達成にはエネルギーの供給側、需要側で、制度、技術、費用等の観点でさまざまな課題があるものの、技術革新や国際協力による進展への期待が示されました。

排出ギャップを埋めるための国や地域における排出削減の行動の強化策に関するセッションでは、日本側からは、2020年の排出削減目標の達成に向けた政策の例として、再生可能エネルギーの促進のために実施している固定価格買取制度の概要、再生可能エネルギー等技術の開発状況、制度面や技術面での課題等について専門家の観点から解説がなされるとともに、洋上風力の商用化、CCSの予備調査、住宅部門等における省エネ、温暖化対策税、都市レベルでの低炭素化の促進、コミュニティや消費者レベルでの温暖化抑制に向けた意識醸成や行動の変化を促すキャンペーンなどの政策概要が紹介され、インド側からは、インドにおけるセクター別の省エネの現状と課題、環境森林省が他の関係省庁と進めているINDCの準備状況、とりわけ緩和のみならず、適応や実施の手段などの要素をいかにバランスよく含めるかについて議論が進められている旨などが紹介されました。さらに他機関からは、2010年に立ち上げられた都市レベルでの「カーボンレジストリ」(報告制度)の現状について紹介され、日本の自治体が積極的に参加していることなどが紹介されました。

行動の強化に向けた国際協力のありかたにに関するセッションでは、ドイツより、インド向け気候変動に関連する援助について概要が紹介され、今後はINDCの策定支援が最重要であり、その際には国別緩和行動(NAMA)がINDCの基礎になることが強調され、日本側からは、インド向けのセクター別の援助の概要が紹介された後、森林分野における植林事業による貧困削減、洪水対策、生物多様性保護などの効果が紹介され、インドからは、技術革新の促進のために求められる国際協力のありかたのオプションとして、知的財産権のコストの低減のほか、最も貧困なコミュニティ向けの持続可能な開発に資する製品の普及プログラム、初期のデモンストレーションプロジェクトへの支援などが提案されました。

閉会セッションでは、IPCCをはじめとする科学的知見の役割、地球規模での排出削減の一層の努力、各国のINDCの策定とその実施、COP21に向けた各国のINDCの事前・事後のレビューを行うことの重要性、引き続き日印間の研究者の交流を継続することの意義が確認されました。※より詳しい内容については、地球環境戦略研究機関のホームページにて公表される見込み。

※より詳しい内容については、地球環境戦略研究機関のホームページにて公表される予定です。

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
直通:03-5521-8330
代表:03-3581-3351
室  長:大井 通博(内線6772)
室長補佐:浦上亜希子(内線6774)

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