報道発表資料

平成26年12月25日
自然環境
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栽培用ワタ種子への遺伝子組換えワタ種子の混入について(お知らせ)

今般、農林水産省が遺伝子組換えワタ種子の検査法の開発を進める中で、中国から輸入され販売されていた栽培用ワタ種子に、遺伝子組換えワタ種子が混入していることが判明しました。
本種子は、我が国において、既に食品や飼料としての利用、輸入、運搬等については承認済みですが、カルタヘナ法に基づく栽培の申請がなされていないため、栽培は認められていません。
現在流通段階にある本種子については、種苗会社に対し回収を指導しています。また、これまでに販売されたものについては、その商品名を公表しますので、該当する種子は栽培しないでください。
なお、本種子は、仮に栽培されたとしても、我が国の生物多様性への影響が生ずるおそれはないと考えられます。

1.概要

我が国では、遺伝子組換え農作物等について、その系統ごとにカルタヘナ法(注1)等に基づき、食品・飼料としての安全性や生物多様性への影響について科学的な評価を行い、問題がない場合に初めて、食品や飼料としての利用、輸入、運搬、栽培等の使用を承認しています。


遺伝子組換えワタについては、これまでに20以上の系統について、食品や飼料としての利用、輸入、運搬(運搬時にこぼれ落ちた種子が生物多様性に及ぼす影響を含む。)等することが認められています。しかしながら、これまでに、国内で栽培することについて申請がなされていないため、食品や飼料として利用可能な遺伝子組換えワタであっても、国内で栽培することは認められていません。

一方、海外では広く遺伝子組換えワタが栽培されており、我が国に輸入される栽培用ワタ種子に遺伝子組換えワタ種子が混入するおそれがあることから、農林水産省において、正確かつ迅速に遺伝子組換えワタ種子の混入の有無を確認できる検査法の開発に取り組んでいます。


今般、農林水産省における検査法の開発の過程で、栽培用に輸入されたワタ種子を購入し分析したところ、遺伝子組換えワタ種子が混入している可能性を示す結果が得られました。このため、既存の複数の検査法を用いて検証した結果、遺伝子組換えワタ種子が混入していることが明らかとなりました。


(注1)遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号)

2.遺伝子組換えワタ種子の混入が判明した栽培用ワタ種子について

遺伝子組換えワタ種子の混入が確認された栽培用ワタ種子は、「株式会社札幌採種園」(北海道 札幌市)が、平成22年4月から平成24年7月にかけて中国から輸入したものです。現在までに、以下の表の商品名・形態等により市場で販売されていたことが明らかとなっています。これらの種子を所有している場合、栽培しないでください。また、栽培して得られた種子も栽培しないでください。

商品名

形態

販売会社

トールコットン

種子

カネコ種苗 株式会社

日光種苗 株式会社

自然の繊維 コットン

種子

第一園芸 株式会社

混入していた遺伝子組換えワタ種子は、既に食品や飼料としての利用、輸入、運搬(運搬時にこぼれ落ちた種子の生物多様性影響を含む。)等について承認済みの、チョウ目害虫抵抗性ワタ(531, OECD UI: MON-00531-6)又は除草剤グリホサート耐性ワタ(1445, OECD UI: MON-01445-2)です(注2)。これらは、遺伝子組換えにより付与された害虫抵抗性や除草剤耐性といった性質以外には、非遺伝子組換えワタとの違いがないことが確認されています。このため、仮に栽培しても我が国の生物多様性への影響が生ずるおそれはないと考えられます。しかしながら、カルタヘナ法に基づく栽培の申請がなされていないため、国内での栽培は認められていません。なお、既に流通段階にある種子については、種苗会社に対し回収を指導しています。

(注2)該当する遺伝子組換えワタの生物多様性影響評価に当たり学識経験者の意見を聴取するために開催した生物多様性影響評価検討会総合検討会

  • チョウ目害虫抵抗性ワタ(531) (総合検討会開催日 平成16年7月5日)

http://www.s.affrc.go.jp/docs/commitee/diversity/040705/sidai_040705.htm[外部リンク]

  • 除草剤グリホサート耐性ワタ(1445) (総合検討会開催日 平成16年5月28日開催)

http://www.s.affrc.go.jp/docs/commitee/diversity/040528/sidai_040528.htm[外部リンク]

3.今後の対応

農林水産省と環境省は、今回、遺伝子組換えワタ種子を含むことが確認されたワタ種子について、輸入者、卸等の流通経路の詳細を調査しています。今後、異なる商品名のものが販売されていることが明らかになった場合には、その商品名等を公表します。

農林水産省は、今後、一般の方が所有するワタ種子について、希望が寄せられた場合には、遺伝子組換え体か否かの検査を行う予定としています。

農林水産省は、今後、輸入される栽培用ワタ種子のモニタリング検査を強化し、栽培用としての遺伝子組換えワタ種子の輸入の未然防止を図ります。また、今後、種苗会社が自社の所有するワタ種子について遺伝子組換えワタ種子の混入の有無を確認できるよう、今回用いた検査法について情報提供を行い、種苗会社における適切な品質管理の実施を指導します。

<参考資料>

参考1:遺伝子組換え農作物の安全を確保する仕組み

参考2:遺伝子組換えワタによる我が国の生物多様性への影響について(農林水産省及び環境省の共同見解)

参考3:ワタ種子の輸入、栽培等に関する情報

参考4:遺伝子組換えワタ種子の混入の確認に用いた検査法

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室
(直通:03-5521-8344)
(代表:03-3581-3351)
室長:関根 達郎(内:6680)
室長補佐:立田 理一郎(内:6681)
担当:岡部 佳容(内:6683)

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