「地球温暖化対策のための税」の平成23年度からの導入が、平成23年度税制改正大綱(平成22年12月16日閣議決定)に盛り込まれました。
ここでは、「地球温暖化対策のための税」についての基本的な情報を広く国民の皆様に提供する目的で、質問形式で、簡単にまとめたものを紹介します。
「地球温暖化対策のための税」は、税制による地球温暖化対策を強化するとともに、エネルギー起源CO2排出抑制のための諸施策を実施していく観点から導入するものです。
具体的には、原油やガス、石炭といった全化石燃料に対して、CO2排出量に応じた税率を課すものです。
| 課税物件 | 現行税率 | H23.10〜H25.3 | H25.4〜H27.3 | H27.4〜 |
|---|---|---|---|---|
| 原油・石油製品 [1kl当たり] |
(2,040円) |
+250円 (2,290円) |
+250円 (2,540円) |
+260円 (2,800円) |
| ガス状炭化水素 [1t当たり] |
(1,080円) |
+260円 (1,340円) |
+260円 (1,600円) |
+260円 (1,860円) |
| 石炭 [1t当たり] |
(700円) |
+220円 (920円) |
+220円 (1,140円) |
+230円 (1,370円) |
※( )は石油石炭税の税率。「地球温暖化対策のための税」は、現行の石油石炭税に、CO2排出量に応じた税率を上乗せする「地球温暖化対策のための課税の特例」を設けるもの。
(参考)平成23年度の税制改正(内国税関係)による増減収見込額 [PDF 85KB]
地球温暖化の防止は人類共通の課題であり、あらゆる人に利益をもたらすものです。従って、そのための負担は、エネルギーを利用する方全体で幅広く公平に担っていくべきと考えています。
こうした「受益と負担」の関係に着目し、温室効果ガスの9割を占めるエネルギー起源CO2の原因をもたらす全化石燃料に対し、「広く薄く」公平にCO2排出量に応じた課税を行うこととしました。
もちろん、現下の経済情勢を踏まえ、急激な負担増を避けるために、施行から3年半で段階的に実施していくこととしているほか、特定の分野、産業の負担増に配慮した免税や還付措置、導入に伴う各種の負担軽減措置なども、あわせて行うこととしています。
また、税収を、産業・民生・運輸といった広範な分野への効果的な地球温暖化対策に活用し、新たな需要・イノベーションを喚起することも期待できると考えています。
環境省の中央環境審議会中長期ロードマップ小委員会における研究者の発表では、主要3施策(地球温暖化対策のための税、再生可能エネルギーの固定価格買取制度、国内排出量取引制度)を導入した場合の2020年時点の経済への影響(※)は、+0.1%〜−0.1%程度と試算されています。
また、税の導入に当たっては、エネルギー使用量の多い業種や地域においては、特に負担が重くなってしまうため、特定の分野・産業の負担増に配慮した免税・還付措置のほか、燃料の生産・流通や、物流・交通、過疎・寒冷地に係る支援策を実施することとしています。
※ 2020年に現行の地球温暖化対策を継続し追加的な対策を行わなかった場合である2020年参照ケース(BAU)からのGDPの乖離率(2005年から2020までの15年間の累積の値)。
「地球温暖化対策のための税」を導入した場合、施行から3年半を経た最終的な時点(平成27年度〜)で、現在と比較すれば、月約100円程度のご負担になると試算されています。
ただし、これは、施行から3年半かけて実施されていくものであり、23年度の負担増は、この6分の1になります。
また、「地球温暖化対策のための税」の導入に伴って実施される、ガソリンや軽油等に関する負担軽減策について考慮していない試算であることにも留意が必要です。
さらに、「地球温暖化対策のための税」の導入を機に、ライフスタイルをエコなものに見直していただくことで、税によるご負担は軽減されますので、ご家庭や職場でも、これを契機として、エコスタイルを実践していただければ幸いです。

中長期的に温室効果ガスの削減を進めていくには、そのための社会の仕組みをつくることが重要です。「地球温暖化対策のための税」は、炭素に価格を付けることにより、経済社会のあらゆるところで温室効果ガスの削減を促すものであり、そのような社会の仕組みづくりに不可欠な施策です。
この税は、課税によるCO2排出抑制効果に加え、課税による税収をCO2排出抑制対策に充てることで、二重の効果が期待できます。
研究者の分析では、この二つの効果によって、1990年の温室効果ガス排出量比1%の削減効果があると試算されていますが、この他にも、国民各層の意識改革を促す、いわゆる「アナウンスメント効果」も期待できます。
もちろん、温室効果ガス削減目標の達成には、「地球温暖化対策のための税」のみならず、他のあらゆる施策を総動員する必要があります。
税収は、エネルギー起源のCO2削減対策に効果のある、産業・民生・運輸といった広範な分野への対策に活用します。
具体的には、
[1] 家庭用の低炭素機器の普及促進や、
[2] 未利用熱の面的利用の促進、
[3] 温暖化対策投資の推進、
などに税収を充てることにより、家庭・企業の温暖化対策を支援し、税負担の軽減と、新たな需要・イノベーションを喚起することを期待しています。
温室効果ガスを削減するという観点から、化石燃料やエネルギーに課税する環境税は、欧州を中心に導入が進められています。
1990年には、世界で初めて、フィンランドにおいて、いわゆる炭素税が導入され、その後、スウェーデン、ノルウェー、デンマークといった北欧諸国やオランダで導入されました。現在では、ドイツ、イタリア、イギリス、フランス、スイスやカナダの一部の州でも課税されています。これらの国々では、それぞれの国の実情に応じた様々な方法(※)で導入に至っています。
※[1]既存のエネルギー税に加え新たに環境税を導入、[2]既存のエネルギー税で対象となっていなかったエネルギーに新たに環境税を導入、[3]既存のエネルギー税の増税と課税対象の追加、など
(参考)諸外国における取組の現状関係資料 [PDF 360KB]