厳しさが魅力 シーカヤック。 シーカヤックの故郷はアリューシャン列島。風の半島、知床の厳しさは勝るとも劣らない。その魅力は時間をかけてこそ味わうことができる。
7月でも知床の海水温は15度以下。夏でも低体温症になる恐れがあります。知床の海を漕ぎ切るには、徹底した自己管理が求められます。しっかり準備して、いざ出発!風に弱いカナディアンカヌーや、インフレータブルカヤック(空気を入れて膨らませるカヤック)、ましては、ゴムボートは、知床の強風には全く太刀打ちできない。オープンデッキタイプは避け、冷たい海水から身を守るスプレースカートを使用するクローズドデッキが実用的だ。装備の一例はセルフレスキューのためのパドルフロート、ビルジポンプ、PFD。常に自分の置かれている状況を把握するために地形図、ラジオと天気図。携帯電話は使えない。カメラやGPSはしっかり防水する。出艇できず停滞することも考慮して予備日と非常食を用意。

知床の風を知ろう

岩尾別川河口および幌別川河口はサケマスふ化場や漁業者の迷惑になるため上陸・出艇は避ける

風への理解なしに知床の海を漕ぐことはできない。知床半島ならではの風を知り、読む力を身につけよう。

※一概に記載されているだけではありません。その日ごとに各自で判断が必要です。

初夏でも寒い 6月ごろ

初夏といっても海水温はまだ6〜10℃。沈すれば低体温症につながる。セミドライジャケットなど服装選びは慎重に。ガス(海霧)に注意。

夏は南風 7〜8月ごろ

ウトロ側は比較的穏やかな日が続くが、ルシャの強風だけは要注意。羅臼側では時化もしばしば。南風の場合、半島基部から岬方向への追い風となる。逆に言うと、岬方面から羅臼に向かうのは向かい風となるため、往路と復路で3倍近くの時間差が生じることもある。

盆を過ぎたら 8〜9月ごろ

風が北向きになると、オホーツク海、根室海峡とも時化となり、沿岸部でも大変な波となり出艇できない。シーカヤックにとって危険で困難な風である。北上する台風の影響を遠くから受けるので、天候判断が重要。

ルシャ地区

知床連山の鞍部となったルシャ地区では強烈な出し風が吹き抜ける。周辺がべた凪でもここだけは強風と大時化のことがしばしば。大きな湾だが、ショートカットしようと沖を漕ぎ進んではいけない。湾に入る前によく観察のこと。

知床岬

オホーツク海に突き出した知床岬は、知床半島先端部でのシーカヤックのハイライトでありながら大変な難所。岸寄りの岩礁帯では隠れ岩に注意。潮が早く強風地帯のため沖を漕ぐのは危険を伴う。岩礁帯に水路を見出すほうが得策と言える。

ペキンの鼻

根室海峡に突き出した岬で、かつてここで船が座礁したこともある難所。ペキンの鼻を越えられず、やむを得ず停滞ということもしばしばだ。岬の通過後は速やかに入り江に入ること。

カブト岩、観音岩

特に南風の際、波が立ちやすく越えるのが困難になる。暗礁に注意し沖に出ないよう慎重に進むこと。

  • 打ち寄せる波
  • 高波
  • 暗礁に注意

漕ぐ前に知っておきたい知床の海

出艇や上陸は不安定だ 大きな岩がごろごろの知床の波打ち際は不安定。地味なようで、実は沈しやすい。スムーズでスピーディーな行動が必要。 強烈な出し風に注意 へさきは沖に向けないこと!知床につきものの強烈な出し風は、カヤックを一瞬で沖に流すことがある。湾の通過を最短距離にしようとしたり、出し風を避けようと沖を漕ぐのは危険。知床ではカヤックは海岸ギリギリを進むのが鉄則。
隠れ岩礁にぶつけないように ぶつけると、艇に穴が開くことが!補修道具も携帯すること。浅瀬は特に注意が必要。遠くから波や暗礁をよく観察しながらコースを選ぼう。 岬は無理に越えない 知床岬はもちろん、特に羅臼側では小さな岬ごとに風や波が急変する。無理に岬越えをしようとせず、風浪がおさまるのを待つことも大切。岬をかわすときはへさきを内側へ向けること。
断崖が続く ウトロ側は特に断崖絶壁が続くので上陸箇所が限られている。休憩や野営場所はあらかじめ地形図で確認しておこう。 漁具に近づかない 沿岸には定置網など漁具が仕掛けられている。魚が逃げると漁師さんたちに嫌われるので、可能な限り岸寄りを漕ぎ、網の上を通過しないこと。
野営する 上陸したら一安心ではないのが先端部地区。クマを引き寄せない調理法や食料管理をしっかり!就寝中も枕元にはクマスプレーを。 帰着は天気と風次第 強風高波で漕ぎ出せないことが常にある。必ず予備日を設定し計画・行動すること。知床半島先端部には陸路もないため、常にエスケープできない状態に置かれていることを念頭に行動しよう。

シーカヤックとヒグマのこと QアンドA

ヒグマは泳げるのですか?
ヒグマは泳ぎも得意です。カヤックで近付いて、刺激してはいけません。静かにその場を離れましょう。

ヒグマを正しく知る

海岸でもヒグマに出遭いますか?
実はもっともヒグマが多いのは海岸近くです。ルシャ地区の海岸にはヒグマが超高密度に生息しているので、上陸も野営も厳禁です。また、8月後半から9月には、半島全域で、小川のような小さな流れ込みの前浜にさえもカラフトマスが押し寄せ、クマが食べに来ます。川の近くの野営はやめましょう。

ヒグマ対策アイテム

  • ヒグマに近づいて刺激しないこと
  • 波打ち際でカラフトマスを追うヒグマ

ここで情報を得てから出発!

知床の2つの施設で、知床半島先端部の近況や危険箇所の情報、注意事項の提供のほか、ヒグマ対策アイテムのレンタルを行っています。準備が整ったら、出発前に必ず立ち寄って、近況をよく調べてから行きましょう。