「つなげよう、支えよう森里川海」ミニフォーラム in 飯能
WEB開催レポート

開催日時
平成28年2月27日(土) 13:30~16:00
開催場所
飯能市立図書館 多目的ホール(埼玉県飯能市 山手町19番5号)
参加者数
70名
主催・共催
主催:環境省、共催:飯能市
プログラム

 「つなげよう、支えよう森里川海」全国リレーフォーラムの最終回となるミニフォーラムを、埼玉県飯能市で開催しました。大久保 勝市長をはじめとした地域住民の方々、埼玉県内・千葉県内・東京都内の方々に、ご参加いただきました。
 埼玉県立 川の博物館学芸員の藤田先生、駿河台大学客員教授の岡部先生から特別講演いただいた後、参加者全員でグループディスカッションを行い、活発な意見交換が行われました。

(1)開催セレモニー
主催挨拶
環境省 関東地方環境事務所 所長 上杉 哲郎
共催挨拶
飯能市 市長 大久保 勝氏

 大久保勝市長からのご挨拶では、林業の現状に触れ、材木の有効活用・販路拡大、“気遣い、気配り(木遣い、木配り)”に繋がる活動を継続的に展開している話や、河川上流域の大切さについてお話いただきました。
 また、「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトに対しては、森林文化や上流域の実態、大切さを下流域や海の近くに住む方々、果ては日本全国の方々へ伝えていくことを期待するとのお話がありました。

(2)「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトの紹介
環境省自然環境局自然環境計画課 速水 香奈
(3)特別講演
特別講演として寄居町にある埼玉県立川の博物館学芸員の藤田宏之氏と駿河台大学客員教授の岡部素明氏にお話いただきました。

特別講演①「秩父山地の森と荒川でいのちをつなぐカエル・サンショウウオ」
埼玉県立川の博物館 学芸員 藤田 宏之 氏

 埼玉県は平野部、山地がはっきりしている地形を有し、全国的に見ても珍しく、大変、川が多い県であり県土の中で河川の占める割合(3.9%)が日本一の、まさに“川の国 埼玉”であることをご紹介されました。

 秩父山地、名栗の森、川に住む、様々な山地渓流性の両生類を写真とともに説明され、里に依存している種が減ってきている現状、その原因としては、産卵時期の田・水路の水環境の変化、ペットビジネスのための乱獲、そして大規模開発、道路・宅地造成、水路のコンクリート化などによる生息環境の悪化などがあるとお話になりました。また最近は野生のアライグマが両生類を食べてしまう事例も増加しつつあることを紹介されました。

特別講演②「地元西川材と森林の活用について考える」
駿河台大学 客員教授 岡部 素明 氏

 飯能市エコツーリズム推進協議会の副会長としても活動されている岡部先生は、ご自身も名栗のご出身です。15年来、森林問題に興味を持ち、西川材林業クラブのメンバーとしても活動されており、森林の適正な管理、そのための木材利用方法の調査、検討、提案をされています。
 大きな課題として、年々、木材の市場価格や小売価格が下落し、林業家による森林整備、手入れが疎かになってしまっている現状があり、その解決策として地元産の木材を有効利用する方法について紹介されました。

 全国で参考になる事例としては、栃木県茂木町の“地元木材を用いた中学校校舎建築”や、群馬県上野村で行われている“間伐材、端材を材料としたペレット(燃料)づくり”があること、また、先生ご自身が展開されている西川材ができるまでを巡るエコツーリズムや、教育のフィールドとしての里山の活用などについてお話になりました。

(4)グループディスカション
テーマ:「森里川海の思い出」、「将来に残したい森里川海」
その森里川海を残すために、「私たちは何をアクションしていくか」

 参加者が8グループに分かれ、えんたくんを活用したディスカッションを実施しました。
 お二方からの特別講演の内容や、参加者自身の森、里、川に関する子どもの頃の思い出話などを交えながら、“飯能愛”、“ふるさと愛”に満ちた意見交換が進みました。
 ディスカッションの最後には、「見直して、知って、働きかける」、「森里を使って利益を生むシステム」、「まずは自分から行動(行動を起こす、仲間づくり、若者の参加)」、「子ども、流域単位のつながり」、「森里川海 自然は学びの場」、「遊び心」、「魚 元気な森が元気な川、元気な海をつくる」、「遊び 地元の“宝”(産業、自然、生物、人物)を活かした遊びを」といったグループごとにとりまとめたキーワードとそれに至った経緯・考えについて発表いただき、参加者の意識、気づきに繋がる会となりました。

(5)総括ご挨拶
環境省 自然環境局
総務課長 川上 毅

川上課長から、
今回のミニフォーラムが農山村と都市のつながりの重要性をさらに認識する機会となったこと、また、フォーラムで大事だと感じた次の3つのことをお話しました。

1)知識 知識が深まると関心が高まり、愛着も湧いてくる
2)大局観 つながり、バランスをしっかりおさえて、全体をよく見ていく
3)感性 細濁りの無い感性

また、最後に、グループディスカッションでの参加者の皆さんの積極的な意見交換、キーワード選択の様子を見ながらつくった“あいうえおキーワード”を披露し、挨拶を締めました。

 熱く惚れ、
 命、つなげて
 運、信じ
 縁を大事に
 恩を忘れず。

 ミニフォーラム会場には、「つなげよう、支えよう森里川海」全国リレーフォーラムのまとめパネルなどとともに、飯能市の自然環境保全啓発パネルや、飯能市エコツーリズム推進協議会のパネルなども掲出し、参加者のみなさんにご覧いただきました。

 また、今回のミニフォーラム in 飯能が全国リレーフォーラムの最終回ということで、プロジェクトアンバサダーのアヒル隊長も駆け付け、参加者や図書館利用者に「つなげよう、支えよう森里川海」アクション募集の案内をしました。