自然環境・生物多様性
オガサワラトンボ
1.概要
(1)分類
- トンボ目 エゾトンボ科
- オガサワラトンボ
- 学名 Hemicordulia ogasawarensis
- 絶滅危惧ⅠA類(環境省第4次レッドリスト)
(2)分布及び個体数
- 小笠原群島の弟島、兄島、父島、母島及び姉島で記録されている、父島では2008年を最後に記録がなく、母島及び姉島では20年以上記録がなく絶滅が危惧される。現在、兄島及び弟島のみが確実な生息地である。
- 個体数は不明
2.形態的特徴及び生物学的特性
- 体長47mm程度の中型のトンボ類。
- 体色は全身が金属光沢のある暗緑色で、腹部にごくわずかに黄色紋がある。
- 雌雄で外見の違いはあまり見られない。未熟個体(成虫)は水辺からさほど遠くない林内の開けた空間や道路の上を高く飛ぶ。
- 成熟したオスは池沼の上に縄張りを張る。成虫は、冬季を除き一年中確認される。
- 日本固有種。
3.生息を脅かす要因
- 開発、好適な植生の減少や干ばつによる乾燥化などによる池沼の減少が、大きな圧迫要因。
- 外来種のグリーンアノール(トカゲ類)による捕食やコレクターによる捕獲圧も大きな影響を与えていると考えられる。
4.保護増殖事業の概要及びその効果
- 平成20年国内希少野生動植物種に指定、平成21年保護増殖事業計画(文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省)策定
- 生息状況調査、生息環境調査を実施。
- 人工池設置及び定期的な保全管理の実施により、毎年安定して生息が確認されている。
5.他法令等による保護の状況
- 1969年に国の天然記念物に指定されている。
- 自然公園法に基づき、小笠原国立公園の指定動物に指定されている。