自然環境・生物多様性
ゴイシツバメシジミ
1.概要
(1)分類
- チョウ目 シジミチョウ科
- ゴイシツバメシジミ
- 学名 Shijimia moorei moorei
- 絶滅危惧ⅠA類(環境省第4次レッドリスト)
(2)分布及び個体数
- 本州(奈良県)および九州(熊本県、宮崎県)にのみ分布する。
- 奈良県・宮崎県において、近年生息を確認できていない。
- 熊本県内においては毎年発生が確認されているが、生息個体数は不明。
2.形態的特徴及び生物学的特性
- 雌雄とも翅表は黒色。裏面は白色で、黒い斑紋が碁石状に並んでいる。
- 幼虫はイワタバコ科のシシンランの花や蕾を食べて育ち、成虫はノリウツギ、リョウブ、アカメガシワなどの花を訪れるほか、ヘビやカエルなどの死体から吸汁することもある。
- カシ類などの大木が繁茂する暖帯常緑広葉樹の自然林、渓流沿いで、幼虫の餌となるシシンランが樹上に生えている場所に生息する。
3.生息を脅かす要因
- 幼虫の唯一の食草であるシシンラン着生木の台風等による減少
- コレクターによる本種の違法捕獲や幼虫の食草であるシシンランの採集
4.保護増殖事業の概要及びその効果
- 平成8年国内希少野生動植物種に指定、平成9年保護増殖事業計画(文部科学省、農林水産省、環境省)策定。
- 生息状況等の把握・モニタリング、人工増殖試験、食草の分布調査・増殖試験
- 熊本県水上村による生息地の監視、普及啓発
- 九州森林管理局による巡視、食草の移植、普及啓発
5.他法令等による保護の状況
- 昭和50年、国の天然記念物に指定