地球環境・国際環境協力

モントリオール議定書第27回締約国会合の結果

平成27年11月12日

 11月1日から5日までドバイにおいて,オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第27回締約国会合(MOP27)が開催され,我が国から外務省,経済産業省及び環境省の関係者が出席した。

 今次会合では,昨年に続き,オゾン層を破壊しないが高い温室効果を有するハイドロフルオロカーボン(HFC)の生産・消費の段階的削減に関する議定書改正提案が提出されるとともに,本提案も含めたHFC管理の実現可能性及びその方法に関し議論を行うためのコンタクトグループが設置され,議論が行われた。その他,オゾン層破壊物質(ODS)であるハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の規制,及び臭化メチル等の不可欠用途申請の承認等に関する検討が行われ,主に下記の結果となった。

(1)HFCに係る議論 

 ODS代替物質として開発され,高い温室効果を有するHFCをモントリオール議定書の規制対象に追加し,生産・消費を段階的に削減するための議定書改正提案が,北米三か国(米国・カナダ・メキシコ),インド,欧州連合(EU)及び島嶼国八か国(ミクロネシア連邦等)それぞれから提出された。

 今次会合において,本年7月に開催された第36回公開作業部会(OEWG36),及び今次会合直前に開始されたOEWG36再会合での議論を踏まえ,HFC管理の実現可能性及びその方法に関し議論を行うためのコンタクトグループ(CG)が設置された。

 CGでは,HFC管理に係る課題として規制措置の猶予や適用除外措置を含む開発途上国の特別な事情への配慮,及び資金供与の基準や技術移転の課題等について,各国の見解が表明された。

 CGの議論の結果,MOP決定「HFCに関するドバイ・パスウェイ」が採択され,今後もHFC改正提案を含むHFC管理の課題につき議論を継続するため,2016年,複数のOEWG及び特別MOPを含む会合を開催することとなった。

(2)ODS代替の検討等

 HCFCの段階的撤廃に際し,低温室効果のHCFC代替物質への移行を促進する上での環境便益,安全面及び経済性等につき検討した技術経済評価パネル(TEAP)報告が公表された。本報告を踏まえ,TEAPに対し,本件についての追加情報に関する報告を作成し,2016年のOEWG37及びMOP28に提出することが要請された。

(3)不可欠用途申請

 臭化メチルの不可欠用途申請に関し,先進国については豪から提出された2017年分の申請数量がTEAPの臭化メチル技術選択肢委員会(MBTOC)の勧告に基づき承認された。途上国については,2016年分の不可欠用途申請に関し,アルゼンチン,中国,メキシコ及び南アについてMBTOCの勧告及び関心国での協議を経て承認された。
 四塩化炭素(CTC)について,中国から研究分析用途の不可欠用途の申請が提出され,TEAPの化学物質技術選択委員会(CTOC)の勧告に基づき承認された。

(4)その他

 上記の議題の他,(ア)先進国によるHCFCの不可欠用途申請の必要性等に関する検討,(イ)HCFCを含む製品または機器の輸入を禁止する国に関する情報の共有,(ウ)2018年の評価パネルによる4年間隔の評価報告書の重点分野,等に関する決定が採択された。

次回MOP28は,2016年11月,キガリ(ルワンダ共和国)にて開催される予定。