地球環境・国際環境協力

ウィーン条約第10回締約国会議/モントリオール議定書第26回締約国会合の結果

平成26年11月25日

  1. 1. 11月17日から21日までパリにおいて,オゾン層保護に関するウィーン条約第10回締約国会議(COP10)及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第26回締約国会合(MOP26)が開催され,我が国から外務省,農林水産省,経済産業省及び環境省の関係者が出席した。
  2. 2. 今次会合では,3年に一度改訂されるモントリオール議定書多数国間基金(MLF)の拠出金交渉が行われた。また昨年に続き,オゾン層を破壊しないが高い温室効果を有するHFC(ハイドロフルオロカーボン)の生産・消費の段階的削減に関する議定書改正提案が提出され,本提案の扱い及びHFC代替技術等に関し議論が行われた。その他,オゾン層破壊物質(ODS)である臭化メチル等の不可欠用途申請の承認等に関する検討が行われ,主に下記の結果となった。

(1)MLF拠出金交渉

 途上国のモントリオール議定書遵守支援のために設けられている多数国間基金(MLF)の次期3年間(2015~2017年)の資金規模について交渉が行われた。
議論の結果,2015年以降,議定書の下で義務付けられている途上国におけるHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の削減量が増大していくことから資金の資金規模を増加させる必要があるため,2015~2017年の資金規模は前期(4億5千万ドル)より増額された5億750万ドルで一致した。

(2)HFCに係る議定書改正提案

 ODS代替物質として開発され,高い温室効果を有するHFCをモントリオール議定書の規制対象に追加し,生産・消費を段階的に削減するための議定書改正提案が,一昨年,昨年に続き北米三か国(米国・カナダ・メキシコ),及びミクロネシア・モルディブそれぞれから提出された。

 昨年のMOP25と同様にHFC管理に関する非公式ディスカッションが開催され,高温地域下におけるHFC代替技術の見通し,モントリオール議定書でHFCを規制する場合の法的問題やHFC排出を規制する京都議定書との関係等,HFC管理全般に関する問題について各国の見解が表明された。

 今後もHFC管理に関する全ての問題について議論を継続するため,2015年,ワークショップ及び追加OEWGを連続開催し,高温地域下における安全性及びエネルギー効率等の問題について議論することとなった。

(3)ODS代替の検討等

 HCFCの段階的撤廃に際し,低温室効果のHCFC代替物質への移行を促進する上での環境便益,安全面及び経済性等につき検討した技術経済評価パネル(TEAP)報告が公表された。本報告を踏まえ,引き続きTEAPに対し本件についての追加情報に関する報告を作成し,2015年のOEWG35(7月開催予定)及びMOP27に提出することが要請された。

 昨年に続き,締約国に対し,HCFC削減スケジュールの前倒しに関するMOP19決定(XXI/6)に基づき,環境影響を最小化するためのODS削減に関する政策等に関する任意の情報提供を継続することが要請された(我が国から,「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(改正フロン回収・破壊法)」の概要等の情報を提出。)

 MLF執行委員会に対し,関心のある途上国から要請があった場合,ODS代替物質に関するインベントリー又は調査のための追加的資金の提供を検討することが要請された。

(4)不可欠用途申請

 臭化メチル(MB)の不可欠用途申請に関し,先進国については米,カナダ及び豪から提出された2016年分の申請数量がMBTOC(臭化メチル技術選択肢委員会)の勧告に基づき承認された。途上国については,2015年にMB撤廃期限を迎え不可欠用途申請の適用が開始されることから,2015年分の不可欠用途申請に関し,中国,メキシコ及びアルゼンチンについてMBTOCの勧告及び関心国での協議を経て承認された。
CFCについて中国から医療用定量噴霧吸入器(MDI)用途の不可欠用途申請が提出され,承認された。

(5)その他

 上記の議題の他,(ア)第9回オゾン研究管理者会議(本年5月)の勧告の実施,(イ)研究分析用途ODS使用申請の2021年までの期限延長,(ウ)回収・リサイクル又は精製されたハロン使用状況に関する情報提供の奨励,(エ)HCFC及び代替物質の貿易モニタリング促進のための措置,等に関する決定が採択された。

(6)次回MOP27は,2015年11月,ドバイ(アラブ首長国連邦)にて開催される予定。次回COP11は2017年に開催予定。