地球環境・国際環境協力

CFC破壊処理ガイドライン | 本文

平成11年3月改訂
環境省地球環境局

1.目的

 オゾン層保護対策を進める上で、CFC(クロロフルオロカーボン)等の生産の規制に加えて、使用済みのCFC等の回収・再利用・破壊の推進が重要な課題となっている。
 このため、平成4年11月の「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第4回締約国会合」において、CFC等の回収・再利用・破壊を促進すべきことが決議された。我が国においても、関係18省庁による「オゾン層保護対策推進会議」において、平成7年6月及び平成9年9月に「CFC等の回収・再利用・破壊の促進について」が取りまとめられ、各種の取組が進められているところである。 環境庁においては、CFCの破壊処理技術を早期に確立するため、平成6年度及び7年度に実施したロータリーキルン法及びセメントキルン法による短期的なCFC破壊処理実験の結果を基に、平成8年5月、これらの破壊処理技術を中心に「CFC破壊処理ガイドライン」を策定した。さらにその後、平成8年度及び9年度には、これらの破壊処理技術の長期的・定常的な実証実験を実施するとともに、その他の破壊処理技術についても実証実験を実施し、その実用可能性についての技術評価を実施してきたところである。
 本ガイドラインは、CFCの破壊処理技術の速やかな普及とCFCの回収・破壊への取組の一層の推進を目的として、これらの評価結果を基に、前記ガイドラインの充実を図り、適切なCFCの破壊処理を実施するために必要な事項を取りまとめたものである。

2.破壊処理技術の現状と要件

(1)破壊処理技術の現状

 CFCの破壊処理技術としては、[1]廃棄物焼却炉のロータリーキルン(円筒回転炉)を用いた破壊処理方法(以下「ロータリーキルン法」という。)、[2]セメント製造設備のロータリーキルンを用いた破壊処理方法(以下「セメントキルン法」という。)、[3]ロータリーキルン以外の既存の廃棄物焼却炉等を用いる方法として、都市ごみ直接溶融炉を用いる方法、固定床二段階燃焼炉を用いる方法等、[4]専らCFC等を破壊処理するために開発された技術を用いる方法として、高温水蒸気分解法、高周波プラズマ法等がある。
 なお、国連環境計画(UNEP)では、オゾン層破壊物質の破壊技術に関する委員会(UNEP Ad-hoc Technical Advisory Committee on ODS Destruction Technologies)を設置して検討した結果、既存の破壊技術としてロータリーキルン法、セメントキルン法、プラズマ分解法等7つの破壊処理技術を推奨しており、これら技術については、モントリオール議定書締約国会合において承認されている。

(2)破壊処理技術の要件

CFCの破壊処理技術として普及すべきものは、概ね次のような要件に適合することが必要と考えられる。

  1. [1]CFCの破壊処理効率が高いこと
  2. [2]分解生成物である塩化物、弗化物及び副生する微量有害物質を含む排ガス、排出水、灰等の処理・処分が確実に行えること
  3. [3]分解生成物である塩化物及び弗化物に対して設備の耐久性があること
  4. [4]設備費、運転費が適正であること

3.本ガイドライン策定の考え方

 本ガイドラインの策定にあたっては、まず、CFCそのものはPCB等の有害物質と異なり、直接的に人体へ悪影響を及ぼすものではなく、オゾン層保護の観点から破壊処理が求められているものであることに留意した。
 また、本ガイドラインは、環境庁が実施してきたフロン破壊モデル事業の結果等をもとに、適切なCFCの破壊処理を実施するための必要事項を取りまとめたものであるが、HCFCを対象とした破壊処理についても、原則として以下に述べる基準が適用できるものである。
 なお、本ガイドラインは、今後とも最新の知見に基づき、必要に応じてその充実が図られるものである。

4.破壊処理の要件

 上記2の(2)に述べたように、CFCの破壊処理にあたっては、CFCが効率的に破壊処理されていること、一定基準以上の有害物質が破壊処理に伴って排出されていないことを確認することが必要である。具体的には以下の項目について確認又は測定する必要がある。その結果が基準を満たさないことが見いだされた場合には、5に後述する運転管理条件等に立ち返って検討を行い、本要件が満たされるように是正措置を講ずる必要がある。

(1)破壊処理の確認

ア. 排ガス中のCFC濃度及びCFCの添加量又は導入量を把握し、CFCの破壊処理効率により破壊処理を確認すること。
イ. CFCの破壊処理効率は、排ガス中のCFC濃度又は分解率で確認するものとし、最終排ガス中のCFC濃度が1ppm以下であること、又は分解率が99.99%以上であること。
ウ. イの確認は、CFCを定常的に破壊処理する場合は施設に応じた頻度で(少なくとも1年に一度)実施すること。特に、新たに施設をCFC破壊処理に使用する際及び燃焼温度等の運転条件を大幅に変更する際には必ず実施すること。

(2)有害物質等に係る測定

ア. 破壊処理施設からの排ガス等が、それぞれの施設について法令等で規定される基準を満たしていることを確認すること。特に、CFCの破壊処理に伴って発生又は増加し得る次の項目については測定を行うこと。
  1. [1]最終排ガス中の塩化水素(HC?)濃度
  2. [2]最終排ガス中の弗化水素(HF)濃度
  3. [3]最終排ガス中のダイオキシン類濃度
  4. [4]排出水中の弗素含有量
  5. [5]排出水中の水素イオン濃度
イ. 測定方法については、関係法令、日本工業規格(JIS)等で定められた方法を用いること。
ウ. アの測定は、関係法令の定めによる他、少なくとも1年に一度実施すること。また、新たに施設をCFC破壊処理に使用する際及び燃焼温度等の運転条件を大幅に変更する際にも測定すること。

(3)運転管理条件に係る計測・測定

ア. 5の(1)~(4)に示す破壊処理方法別の運転管理条件が満たされていることを確認するため、次の項目について計測・測定を行うこと。
  1. [1]燃焼(又は焼成、反応)温度等、設備内でCFCが破壊処理される 箇所の状態
  2. [2]排ガス処理後の排ガス量
  3. [3]排ガス出口の一酸化炭素(CO)濃度
さらに、CFCを破壊処理する原理が焼却熱分解によるものである場合、次の項目についても計測・測定を行うこと。
[4]炉出口又は二次燃焼室出口の酸素(O2)濃度
イ. 測定場所等は、設備の構成上無理のない位置とし、測定方法については、関係法令、日本工業規格(JIS)等で定められた方法を用いること。
ウ. アの計測・測定は、日常的に実施すること。

5.主な破壊処理技術とその運転管理条件等

 CFCの適切な破壊処理を進めていくためには、施設の選定、運転管理条件等に関し、以下の各種破壊処理技術について示した基準にのっとって破壊処理を行うことが必要である。

(1)ロータリーキルン法

ア.施設の選定
  1. (ア) 通常の焼却対象物にCFCを添加することにより発生するばいじん、塩化水素等の有害物質濃度が法令等で定める基準を満たすよう、ばいじん等の対策設備(ろ過式集じん器等)、酸性ガスの処理設備(洗浄塔等)等が設置されているものを選定すること。
    また、排ガス処理設備は、燃焼排ガスができるだけ急冷されるような構造のものが望ましい。
  2. (イ) 施設からの排出水がある場合には、弗素含有量及び水素イオン濃度等が法令等で定める基準を満たすよう適切な排水処理設備が設置されているものを選定すること。
  3. (ウ) 燃焼に伴い発生する焼却灰を燃焼条件に影響を与えないように、円滑に搬出できる灰出し装置が設置されているものを選定すること。
イ.運転管理条件
 CFCが十分破壊処理されるとともに、排ガス等の安全性が確保されるように焼却炉の運転管理を行うことが必要であり、そのための燃焼管理条件は次のとおりとすること。
  1. [1]燃焼温度:850℃程度以上
  2. [2]上記温度域でのCFCガスの滞留時間:2秒以上
  3. [3]排ガス出口の一酸化炭素(CO)濃度(酸素濃度を12%としたときの換算値):100ppm以下
ウ.CFCの添加条件
(ア) CFCと同時に焼却する廃棄物は、性状等を可能な限り均質化すること。 (イ) CFCの添加の割合は、排ガス処理設備のハロゲン化物の処理能力等を考慮して決めるものとし、原則として同時に焼却する廃棄物量の重量比2%程度を目安とすること。
エ.CFCの添加方法
  1. (ア) CFCの添加は、標準的な運転管理条件の下で、バーナー近傍の位置より噴霧して行うこと。
  2. (イ) CFC添加装置は、CFCを定量的に添加できるよう、オイルフィルター、流量計等により構成されたものとすること。
  3. (ウ) CFCの添加量は、その流量により適切に管理すること。

(2)セメントキルン法

ア.施設の選定
通常のセメント製造に使用する原材料、燃料にCFCを添加することにより発生するばいじん、塩化水素等の有害物質濃度が法令等で定める基準を満たすよう、有害物質の排出低減に寄与し得るサスペンションプレヒーター式又はニューサスペンションプレヒーター式の設備の構成で、ばいじん等の排ガス処理設備が設置されているものを選定すること。
イ.運転管理条件
CFCが十分破壊処理されるとともに、排ガスの安全性が確保されるよう、通常のセメント製造時と同様の運転管理を行うこと。
ウ.CFCの添加条件
排ガス処理設備の処理能力、製品であるセメントクリンカーの品質への影響等を考慮してCFCを添加すること。
エ.CFCの添加方法
  1. (ア) CFCの添加は、標準的な運転管理条件のもとで、窯前のバーナー近傍の位置より噴霧して行うこと。
  2. (イ) CFC添加装置は、CFCを定量的に添加できるよう、オイルフィルター、流量計等により構成されたものとすること。
  3. (ウ) CFCの添加量は、その流量により適切に管理すること。

(3)ロータリーキルン以外の既存の廃棄物焼却炉等を用いる方法

 ロータリーキルン以外の既存の廃棄物焼却炉等を用いる方法として、都市ごみ直接溶融炉を用いる方法、固定床二段階燃焼炉を用いる方法、流動床式製鉄ダスト焙焼炉を用いる方法、石灰焼成炉を用いる方法等がある。

 前3方法については、

  • 施設の選定は、ロータリーキルン法に準じること。
  • 運転管理条件は、CFCが十分破壊処理されるとともに、排ガスの安全性が確保されるよう通常焼却時と同様の運転管理を行うこと。
  • CFCの添加条件は、CFCと同時に焼却する廃棄物の性状等を可能な限り均質化するとともに、排ガス処理設備のハロゲン化物の処理能力等を考慮してCFCを添加すること。
  • CFCの添加方法は、標準的な運転管理条件の下で、焼却炉の底部(羽口等)より噴霧して行うこと。また、CFC添加装置は、CFCを定量的に添加できるよう、オイルフィルター、流量計等により構成されたものとすること。さらに、CFCの添加量はその流量により適切に管理すること。

 石灰焼成炉を用いる方法については、

  • 施設の選定は、コークス焚式等の有害物質等の低減に寄与しうる設備の構成で、ばいじん等の排ガス処理設備が設置されているものを選定すること。
  • 運転管理条件は、セメントキルン法に準じること。
  • CFCの添加は、生石灰品質への影響等を考慮し、標準的な運転管理条件の下で、炉底部より吹き込まれる燃焼用空気と混合することにより行うこと。

(4)専らCFC等を破壊処理するための施設を用いる方法

 専らCFC等を破壊処理するための施設を用いる方法としては、高温水蒸気熱分解法、高周波プラズマ法等がある。

ア.施設の選定
  1. (ア) CFCを破壊処理することにより発生する塩化水素等の有害物質濃度が法令等で定める基準を満たすよう、適切な排ガス処理設備(洗浄塔、吸着塔等)が設置されているものを選定すること。
  2. (イ) 排ガスが煙突等の高位置から排出されるのではなく、低位置から排出される場合は、拡散希釈効果が小さいことを考慮して、CFCを破壊することにより発生する有害物質等の施設周辺における大気環境中濃度が著しく増加しないように対策が講じられているものを選定すること。
  3. (ウ) CFCを破壊処理する原理が燃焼によるものである場合、排ガス処理設備は、排ガスができるだけ急冷されるような構造のものを可能な限り選定すること。
  4. (エ) 施設から排水を放出する場合には、弗素含有量及び水素イオン濃度等が法令等で定める基準を満たすよう適切な排水処理設備が設置されているものを選定すること。
イ.運転管理条件
 CFCが十分破壊処理されるとともに、排ガスの安全性が確保されることを前提に定められた個々の破壊処理施設の規定の運転条件を遵守して施設を稼働すること。
このページに関する問い合わせ先
環境省地球環境局地球温暖化対策課フロン等対策推進室
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