地球環境・国際環境協力

新地方公共団体実行計画策定マニュアル等改訂検討会 第5回検討会 議事要旨

日時

2009年3月2日(月) 9:30~12:30

場所

経済産業省別館 1014号会議室

出席委員

西委員(座長)、伊香賀委員、杉江委員、瀬田委員、善養寺委員、高橋委員、槌屋委員、中口委員、長谷川委員、秦委員(代理:中嶋氏)、藤田委員、牧委員、松橋委員、室田委員、森本委員

新実行計画マニュアル案

  1.  (1)資料2の1.から3.に基づき、事務局が説明
  2.  (2)資料2の4.から6.に基づき、事務局が説明

委員から頂いた意見等

(1)マニュアル1.から3.について

  • まず、目標設定の際に、技術の改善効果と導入効果を分けた形で計算方法を示してほしい。2つ目として広域都市サービスを提供している都市、例えば、成田空港のある千葉県や、高効率な産業がサービスを通じて低炭素効果を提供している場合についての記述がないと誤解を招く可能性がある。(藤田委員)
    • 域内の産業で高効率な製品を製造する産業の貢献分については、資料2のP83の下から2行に記述している。基本的に、良いとこ取りにならないように、域外の削減効果に加え、その製品を購入することによる域外の排出量増分等について把握して積上げられる場合には、検討していただいて構わないという姿勢である。(事務局増田)
    • 国際便は算定対象外である。国内便については第3種空港は都道府県が管理している空港で、新幹線などとの代替という話もあるので、把握していただきたい。また長期目標の設定の際には、産業構造、排出割合を考慮することで原単位的な考えが入っていることにより配慮することを前提としている。(事務局大倉)
    • 本来的には地方公共団体が自分たちの地域のデータを調べる事が必要。ただし、それには労力もコストもかかり現実的ではないので、公的な統計で行うことを主旨としている。ただし、普及率等はなかなか分からないから限界があるのではないか。(事務局中上)
  • 現状趨勢ケース、対策ケースの排出量についてもう少し具体的な記述がほしい。例えば、活動量の予測にマクロ経済モデルのアウトプットを用いるなどの記述が必要ではないか。もう一つは、地方公共団体の2050年の人口を予測するためには、どのような方法を用いることを想定しているのか。(中口委員)
    • 2050年の目標値は、人口等を推計して算出するなど厳密なものを求めているのではない。地域の産業構造を考慮して、実際には地域の部門別排出量の構成比を、国の2050年度の部門別削減目標値にあてはめ、2050年の削減目標を求め、現状と本目標値とを結んで中期目標を決めるという考え方である。(事務局増田)
  • 削減ポテンシャルの考え方と中期目標値の考え方をきちんと説明する必要があるのではないか。もう一つは、将来の社会・地域の描写が欠けている。目標値とセットで必要ではないか。(杉江委員)
    • ポテンシャル量については細かく計算することが望ましいが、難しいと予想されるため、まず大まかに出していただくことをイメージしている。(事務局増田)
    • 社会像の描写についてはその通りだと考えており、将来目標を計算する過程で、削減ポテンシャルを求めることが、将来像を把握する参考になると考えている。(事務局大倉)
  • 都市の魅力が増えた場合に人口が増えるということがあると思う。そういう相互の関係についてはどう考えるのか。(森本委員)
    • 経済学ではそのような場合はリバウンドエフェクトを使用する。都市の場合の既往文献があるならそれを参考にするとよい。(室田委員)
    • 地域の人口増分が国を上回る場合など、それを否定するものではなく、長期目標に折り込んでいいという姿勢である。(事務局増田)
  • 地域のインセンティブになるようなルールが必要と考えられるが、全体にキャップのない今では中途半端な状態である。(善養寺委員)
  • 基準年、現状等言葉の定義を示してほしい。(伊香賀委員)
  • 国の長期目標は地方公共団体の長期目標設定の参考にならない。地方公共団体に長期目標の設定を要請すべきではない。今回のマニュアル案の中期目標の決め方は、バックキャストで設定した長期目標から導くものとなっており、国の中期目標検討委員会との整合性が取れないので反対である。また、長期目標と現状を直線で結んで中期目標を設定しているがなぜか。また、カーボンオフセットで買ってくる分を勘案していいとなっているが、国内での売買では、国全体では温室効果ガス削減とはならないと思うが、これをどう説明するのか。最後に国環研西岡さんの出されている値と国の中期目標の関係はどうなっているのか。(長谷川委員)
    • 直線で結んでいるのは、本来は前半が緩く、後半に大きく下がるなど弓なりになったり色々なケースが考えられるが、ここでは簡易的に直線としている。国環研西岡さんの結果については細かい内訳がないので、参考情報としている。
      カーボンオフセットについては、国内での売買では国全体では温室効果ガス排出量は減らないということは理解している。ただ、カーボンオフセット分を国内のどこからか購入してくるという地方公共団体の取組は評価すべきという考え方で入れている。(事務局増田)
  • 産業の割合が多いことと減らせることは同じではないので、P56の最後の2行はいらないと思う。
    P67以降の削減ポテンシャル量の試算を地方公共団体で出来るのかという不安を感じている。
    P72の取組効果量について、国と県と市区町村できちんと分けることは難しいのではないか。
    P85の(5)の普及啓発をここに出す事は今までの制度にあわないのではないか。
    現状趨勢ケースにも対策が入っている場合どうするのか(P61)。(牧委員)
    • ポテンシャル量の計算は詳細版と簡易版に分け、かけられる負荷に応じた方法を示すこととしている。
      国と県と市区町村の取組は、相互に補完し重複するケースも多いので、明確な切り分けはしなくてよいという考えである。
      現状趨勢ケースは対策無しではなく、現行対策以上の対策を含まないということ。エネルギー消費効率の場合、現状の効率横這い=テクノロジーフローズンを想定している。(事務局増田)
  • P82以降の対策ケースの計算の仕方についてもう少し詳述してほしい。
    このマニュアルの部分をみると、自治体が対策ケースを立てる際に、省エネルギー対策に集中してしまう懸念がある。都市単位での低炭素化を推進するためには、直接的な原単位の対策以外に、効果算定は難しいものの間接な対策も重要であることをマニュアルに記述してほしい。(藤田委員)
  • マニュアルを作ったから終わりということではなく、研修を開くなど地方公共団体に対する丁寧なフォローが必要。(大西座長)
  • P7に、地方公共団体は、身近な立場で色々な施策を行うと記述している。これはいいかえれば、排出量をどうするかは、自治体がどの様な施策をするのかにかかっているということ。地域の政策で動く排出量がどの位あって、それをどうしたいのかを決めること、これが地域が計画を作ることだと思う。地域の責任がどこにあって、能力の大小に応じてどこまできるのか、それらについていくつかのケースに分けてマニュアルに示していければと思う(小林局長)。

(2)4.から6.について

  • フロン対策は難しい。フロンや農業は全体の排出量に対するインパクトが小さいから算定の負荷を考えると算定から除外したいと考えているが、P12のフロン把握対象は中核市、特例市までとあるが、これは原則と考えてよいのか。また牧委員の話にもあったが、国と県と市町村の取組について、70を全体の長期目標としたときに、国、県が20ずつで計40とした場合、残りの30を地方公共団体が目標とするという印象を受けるがそこについて教えて欲しい。(中嶋氏)
    • フロン回収破壊法に基づく措置を前提にしているので、特例市と中核市については再検討する。隙間を埋めるという発想ではなく、義務的記載事項4項目を中心に、積極的な姿勢を前提に行っていただきたい。(事務局大倉)
  • 循環型の章全体がネガティブな感じがする。ポジティブに考えると色々なメリットがでてくるのではないか。例えば、建築では木造は再利用に不適当な廃棄物が出てくると思われるため熱利用にまわしたほうが火力を抑制でき森林も保全できる等、もう少し広い領域で循環型(社会)を考える必要がある。また地方の中小都市に関しての循環型社会の仕組みの見せ方を工夫することによって、意識も変わるのではないかと思う。(善養寺委員)
    • 有効性についてモデル的に検証、確認したうえで書き込めればよいと思うので、参考にしたい。(事務局中上)
    • 対策・施策の立案にあたって、費用対効果や優先順位の視点も重要ではない
    • か。将来の目標設定をしていく上で前提条件をどうするのか。(高橋委員)
    • 2050年の目標設定については積上げを求めているわけではない。(事務局大倉)
  • マニュアルでは活動量を減らすということではないという理解でよいか。そのためにも原単位での目標設定を記述してはどうか。また、コストについても記述して頂きたい。「参考情報等を踏まえ」や「以下を踏まえ」というくだりはいらないのではないか。(長谷川委員)
    • 生産量を抑制する政策を打つということを意図しているわけではない。将来の目標設定の時に目標値を地方公共団体の人口、産業構造等に併せて変化してよいことにしているので、原単位の考え方はそこに組み込まれている。くだりについては法律策定の主旨等考え方があるので、地方公共団体が参考情報とするかは別ですが、考えを踏まえて頂きたいのが国としての希望である。(事務局大倉)
  • 総合計画(基本構想および基本計画)との関係により企画調整部門との調整が必要だと思われるので記述したほうがよい。特に総合計画の目標年次と新実行計画の中期目標の目標年次を整合させること、長期目標(2050年)が総合計画の目標年次よりも、さらに長期になることについて、了解を得ることが必要である。(中口委員)
  • ロードマップについてもう少し地方公共団体が計画を作りやすいよう丁寧に書いていただきたい。ポテンシャル量の算出のためのデータを充実させてほしいし、応用編としてLCAまで出していただけるとありがたい。また、例えばバイオマスで言えば森林政策とセットで考えるということは今までも言われてきているが、それを可能にするため、ストーリー、考え方、仕組みといったものも含めて、ていねいに記述して欲しい。(杉江委員)
  • 4章についてはもう少し詳細に追記して欲しい。また、短期的な対策にだけ目がいかないような注意が必要である。施策のところで、中長期的、横断的、広域的な施策がこの計算ができるのかという懸念が残るので、モデル、ツール作りを環境省と地方公共団体が一緒になって作成していくという記述があったほうがよい。(藤田委員)
  • P102の義務化が一部にだけあるのは再検討したほうがよい。P210の算定公表制度のデータについては直接ヒアリングしたいと考えているが、この文言だと地方環境事務所と調整しなくてはならないと読み取れる。国として等質的に行う意向があるのかお伺いしたい。(牧委員)
  • P211の記述について、「増減要因を考慮し」とあるが、中身を分析して次の計画を戦略的に立てるという意図が伝わるように具体的に記述してほしい。(松橋委員)
  • 都市に対して公でコントロールできる範囲は限られておりマニュアルには書きづらいと思うが、都市政策における削減目標の明示、また定性的でよいので公民の役割も明示してほしい。計画実効性の強化のための仕組みづくりについて考えたほうがよい旨をマニュアルに記述して欲しい。(瀬田委員)
  • 都市像、地域の姿が変わっていくと思われるので、それを描くということが大事だと思う。また、中期目標について、実質はバックキャストに見えるというご指摘については注意して修正したいと考えており、良いマニュアルを作るために責任をもってやりたい。(大西座長)
  • 対策を立案するときの発想の仕方が個別の積上げではおそらくなかなかいかないということがあるわけだが、そこをどういうふうにうまく入れ込むようなマニュアルにするのかというところが肝になってくると考えている。また、地方公共団体の事情に応じて使えるようなものを目指したい。この機会になるべく良いものが纏まるように座長と連携をして、最後の詰めをしたい。(小林局長)

その他

  • 委員からの追加意見がある場合は3月1週末までを期限とする。