地球環境・国際環境協力

新地方公共団体実行計画策定マニュアル等改訂検討会 第4回検討会 議事要旨

日時

2009年1月21日(水) 9:30~12:30

場所

環境省22階 第一会議室

出席委員

大西委員(座長)、瀬田委員、善養寺委員、高橋委員、槌屋委員、中口委員、長谷川委員、秦委員(代理:中嶋氏)、藤田委員、牧委員、松橋委員、室田委員、山田委員

対策・施策に係る「新マニュアル」の検討課題:循環型社会関連

  1.  (1)山田委員よりプレゼンテーション「地球温暖化と廃棄物処理」
  2.  (2)資料2-2にそって、事務局(住環境計画研究所)が説明

対策・施策に係る「新マニュアル」の検討課題:産業部門・フロン対策

 資料3にそって、事務局(住環境計画研究所)が説明

温室効果ガス排出量及び吸収量の現況推計・将来推計

  1.  (1)資料4-1、4-2にそって、事務局(住環境計画研究所)が説明

新地方公共団体実行計画のマニュアルの骨子(案)

 資料5にそって事務局(環境省)が説明

委員から頂いた意見等

(1)全般について

  • マニュアルでどこまで規定するのか。あまり規定しすぎると地方公共団体が身動き取れなくなる恐れがある。(牧委員)
  • 対策細目や検証方法について説明して欲しい。(牧委員)
    • 対策細目とは施策名称のことである。検証方法とは、目標を設定し、指標化したものの達成率を検証することである。対策毎の達成率を検証するための指標についても、できればマニュアルに盛り込んでいきたい。(事務局増田)
  • コストについてマニュアルに記載しないのか。記載しないとしたらなぜ記載しないのか。マニュアルが自治体による対策の食事メニューだとすると、コストは値段にあたる。値段という重要な情報がない食事メニューは考えにくい。(長谷川委員)
    • 自治体によって事情が違い、またコストもどこまでを範囲とするか難しく一概に言えないため、マニュアルに記載する事は困難と思われる。(事務局)
  • P12の県と市区町村の整合性とはどういう意味か。(藤田委員)
    • 目標の立て方、考え方、対策施策の考え方等をよく意見交換し、お互いの計画を策定することで、必ずしも数値の整合性までを求めるものではない。(事務局)

(2)循環型社会関連について

  • リサイクルについて、プラスチックを例にするとケミカルリサイクル、サーマルリサイクル、マテリアルリサイクルの選択についてどのように判断したら良いのか。(中口委員)
    • 学者の中でも議論が分かれており定説はない。またLCAは設定によって結果が変化する。(山田委員)
    • LCAはマテリアルリサイクルの資源代替性の範囲をどう設定するかという点に定説がない。定説化されていないものや、そのような評価方法を今後検討する事が大事だということをマニュアルに書くことを検討してほしい。(藤田委員)
  • ごみ発電は今後増やしていける可能性はあるのか。(松橋委員)
    • 一般的に発電効率は5~15%、良いものだと30%程度を目標にしている。廃棄物による発電は、腐食性ガスが発生するため、熱交換器等の耐用年数が減少することも課題である。(山田委員)
  • 廃棄物については考慮すべき順番を間違えないようマニュアルに規定すべき。公衆衛生>公害>循環>地球温暖化。(牧委員)
  • 熱よりも発電のほうが現場サイドでは扱いやすいので、マニュアルには並列的に記載し、現場に合わせて選択できるような仕組みにしてほしい。(牧委員)
  • ある施設で糞尿とごみを混合させて効率的にバイオガスを発生させていたが、このような方法は取れないのか。(善養寺委員)
    • 下水道分野の研究では最近そういった動きもでてきており、状況によっては可能かもしれない。(藤田委員)

(3)産業部門・フロン対策について

  • 産業部分対策は4つの義務的記載事項に該当するのか、またP22の各項目の背景を教えてほしい。コベネフィット的なCDMの技術移転によるCO2削減や、環境負荷の低い製品を提供することによる貢献度に関して今回のマニュアルで記述すべきではないか。また、企業誘致に対する一定の指針を設けること等も実例としてあげていただきたい。(藤田委員)
    • 産業部門もフロン対策も義務的項目として扱っている。また、今回のマニュアルでは各地方公共団体の判断で対策をして進めていただくという思想に基づいているので、独自に進めていただきたいと考えている。(事務局)
  • 地方公共団体の受けもつ範囲をどこまでとするか、産業は加えるのか。省エネ産業の場合その分の評価を与える等、一定の指針を作る事が必要。(中口委員)
    • 国全体で整合的な配分方法がない。世界で減らすため一本筋の通ったルールを作成する事が必要。(善養寺委員)
    • 総量だけの判断ではなく、効率の良い施設を移転してきた時には評価されるような指標が必要。(大西座長)
    • 良く理解してマニュアルに盛り込みたい。ただ、炭素に価格がついていればそういった努力が報われる話になると思うが、日本ではまだシステムが確立されていないので、域外努力等について背景情報を書いていきたい。(事務局)
  • 国と地域の施策の連携については更に検討が必要である。また地方では、国と違い総量規制等をした場合活力を失う可能性があるので効率評価をするべきだという議論が環境モデル都市の中でも出てきている。背景に加えて各自治体の取り組みにより都市の効率を上げることにより、国全体として総量が減るというフレームを書いていただきたい。(藤田委員)
  • 産業部門に対する地方自治体の施策として、税制優遇も考えられるのではないか。(長谷川委員)
  • 東京都の産業部門の取り組みをみると、事業所単位の対策の場合、まず現状把握があって次に施策をうつ、その繰り返しによって、対策が進められている。例えば、面積当たりの排出量等の基準値を決めて、その基準値を遵守してもらうという施策を考えた場合、事業者一律に課すのは厳しいので、中小事業者には省エネ対策に関わる支援等が考えられる、(大西座長)

(4)現況推計・将来推計について

  • 電力会社からのデータ提供は、電力会社ごとに事情は異なるようだが、各地方公共団体から個別に依頼すれば、これまでより前向きに対応してくれると聞いている。(環境省小林局長)
  • マニュアルに推計精度を向上させる意義を記述してメッセージを明確にしたほうがよい。またIPCCガイドラインのTierアプローチのように、どうしたら精度が上がるのか、という整理をしてはどうか。
    また、活動量だけではなく、排出係数を改善するという対策とその評価の方法についても記述してほしい。(山田委員)
  • 2050年にわが国で現状から60~80%の削減を目標としたときの2020~2030年の予測結果を教えて欲しい。(長谷川委員)
    • 国立環境研究所のプロジェクトで2050年の積み上げで70%の削減が可能との試算結果と、IPCCのトップダウンの要請として世界で半減、先進国で60~80%削減が必要との考え方から決められた数値と理解している。(事務局)
  • 長期目標の重要性は認識するが、2050年に現状から60~80%削減というわが国の長期目標は、その間に革新的技術が開発されることを前提としており、厳密に積み上げられた数値ではないと考えられる。地方公共団体が、地域の戦略的な目標設定を行う上で、国の長期目標は適切なガイドラインとならないのではないか。また、資料4-2の8ページの左図のように、削減ポテンシャルを積み上げても長期目標と現状を直線で結んだラインに届かない場合には、そもそも達成は不可能で、目標として不適切なので、長期目標を修正すべきなのではないか。
    長期目標は、多くの不確実性の上に立っており、そもそも長期目標の設定は、マニュアルの中で設定を推奨すべき事項ではないのではないか(長谷川委員)
    • 中長期的な都市のあり方を考えるために長期的な目標が必須と考えている。また、シェアードヴィジョンとしても目標を掲げることは重要と考えている。(事務局)
    • 国の長期目標は、根拠が明確でないというものではない。また、IPCCの最新の報告では、450ppmに安定化させるための先進国の必要削減量は、80~95%と言われている状況で、日本の60~80%程度は削減すべきというのが、政府内のコンセンサスである。
      2050年では、世の中の構造が現在と大きく変わることも予想されるため、対策の積み上げで目標への到達が難しいからといって長期目標そのものをやめてしまうという議論は乱暴である。長期目標を見据えた上で、今からどの様なことができるかを考えていくことが重要である。(環境省小林局長)
  • 2050年の詳細な実行計画を書くのか。また削減ポテンシャルを計算した後に、不足分に対し更に追加削減量を計算すると書いてあるが、削減ポテンシャル以上の追加対策については、事例を書かないと何をしたら良いのか分からない。(槌屋委員)
    • 追加対策、例えば公共交通、都市のあり方など定量化できないが重要な対策について、計画策定時に検討いただくため、マニュアルに例を記載する。(事務局)
  • 経済産業省の長期エネルギービジョンでは、排出係数の低減を見込んでいる。炭素集約度は、一定ではなく考慮すべきことを記述する必要がある。(槌屋委員)
  • 将来推計については複数のシナリオを作成することが現実的ではないか。また、日本政府の60~80%達成といった時の 人間活動、地域の姿等の情報を共有することが出来ないと、地方公共団体からすると市民に対して説明責任を果たしづらいのではないか。(高橋委員)
    • 将来推計には幅を持たせて、最低限出来る目標を立て、それが出来れば更に目標を上乗せするという方法にしてはどうか。(山田委員)

(5)マニュアルの骨子(案)について

  • 計画策定時の対策の検討では、最初に対策のリストから選択していくというものではなく、まず全体の考え方(方向性)を整理して、短・中・長期の時間軸、部門間の相互の関係等を、考えていく必要があるのではないか。(善養寺委員)
    • 計画策定時に必要な手順としてマニュアルに盛り込みたい。(事務局)

その他

  • データの収集(省エネ量、排出量報告)について、わざわざ条例化しなくても収集できるような、地方公共団体の事務を軽減して頂けるような待遇を考えて欲しい。(秦委員代理中嶋氏)
  • 次回の検討会は3月2日 9:30~12:30