地球環境・国際環境協力
新地方公共団体実行計画策定マニュアル等改訂検討会 第2回検討会 議事要旨
日時
2008年10月27日(火) 10:30~12:45
場所
三田共用会議所第四特別会議室
出席委員
大西委員(座長)、伊香賀委員、佐土原委員、瀬田委員、善養寺委員、高橋委員、槌屋委員、中口委員、長谷川委員、秦委員(代理:中嶋氏)、藤田委員、牧委員、松橋委員、室田委員、森本委員、山田委員
1.対策・施策と排出量算定の対象範囲について
資料3、4にそって、事務局(住環境計画研究所)が説明
2.温室効果ガス算定方法について
- 2‐1.資料5(前半)にそって、事務局(住環境計画研究所)が説明
- 2‐2.室田委員よりプレゼンテーション
「47都道府県別CO2排出量の推計」 - 2‐3.資料5(後半)にそって、事務局(住環境計画研究所)が説明
3.対策・施策に係る「新マニュアル」の検討課題 再生可能エネルギー
- 3‐1.槌屋委員よりプレゼンテーション:「再生可能エネルギー導入への取り組み」
- 3‐2.高橋委員よりプレゼンテーション
「農村地域における自然エネルギー利用への取り組みについて」 - 3‐3.資料6にそって、事務局(住環境計画研究所)が説明
委員から頂いた意見等
(1)温室効果ガス排出量算定の対象範囲について
- 対象範囲については、現行のようなA+Bのような形で考えざるをえないと思われるが、例えばレジ袋のような域外で製造されて、域内で対策により減らした分については域内の効果としてカウントしたい、となると思うので、温室効果ガス排出量算定の場合と、対策効果の算定については別の体系にして進捗管理を管理したほうがよい。(中口委員)
- 工場、発電所等は必ずしもその地域が利益を得ているわけではないので、本社などの納税地、最終的に利益を得る地域に計上する考え方もあるのではないか。(善養寺委員)
→対象範囲について、意見を踏まえ今後検討していきたいが、目的としては地方公共団体
のやる気を促すような方法としたい。(事務局_大倉) - 対策を考えた場合、供給による削減と消費による削減を奨励することが重要。一方で全国と整合性をとることも必要。排出量の算定と対策効果の算定を(両者の整合性はとらずに)別々に行った場合に、コンセンサスが得られるかどうか。(大西座長)
- 川崎市は、産業部門、需要部門(民生、運輸)両方の需要があるが、どちらかといえば生産都市の面が強い。このマニュアルがどのように使われていくか、例えば炭素税、地方公共団体でできる施策の検討、電力や鉄鋼等のセクター別アプローチによる削減、等によって算定方法は変わるのではないか。(牧委員)
→対象範囲については、今から固定するのではなく、個々の議論を整理し、最後に決めたほうがよいと思われる。(大西座長)
→対象範囲のカテゴリであるA、B、C別の削減効果さえ把握しておけば、後でどれを採用するか選べるので、問題ないと思われる。(山田委員)
(2)温室効果ガス排出量推計方法について
- 運輸については発地と着地のどちらで集計するかによって排出量が大きく異なる。交通は移動しているので、県だと大きな問題にならないかもしれないが、市町村レベルになると必ずこの問題が生じるので、この点について整理してほしい。もう一つは、具体的に交通政策を取る時に、市町村レベルの施策に反映するような推計方法でないと意味がない。ここにはOD調査とあるが、具体的にどの様な調査方法でするのか、データの継続的な取得等もう少し詰めておく必要があると思う。(森本委員)
→OD調査以外も含めて、交通量等に関する調査で、継続的に使えるものにどういうものがあるのか、もう少し調査した上で推計手法を考えていきたい。(事務局) - 業務用については、提案された方法しかないという感じを受ける。ただ、同じ業種でも小学校と中学校でエネルギー消費原単位が異なる。原単位に何を採用するかによって倍半分変わってくるので、原単位の妥当性についてよく議論する必要がある。また利用可能なデータがまだ十分に揃っていない状況があるので、ガイドラインを出すに当たって、既存統計、文献を整理し、当面採用するデータを提示して頂く必要があると思う。(伊香賀委員)
→継続的なものも含めて公的な統計や既存文献もあるので、ガイドラインの参考資料などで可能な限り示していきたい。(事務局_増田) - 家庭用についてはエネルギー消費量の少ない世帯、多い世帯がどのくらいか分からないと対策のとりようがない。中途半端な原単位で推計するよりは供給から正確に取ったものを発表するほうが重要だと思う。現状を把握できるような、より細かい情報の公開が求められるような気がする。(善養寺委員)
→電力と都市ガスについては供給データを考えている。ただ、LPGと灯油については他に代わる統計がないので家計調査を使わざるをえない、その中で単身世帯の比率をどうするかを別途違う統計から引用し推計する方法がいいと思っている。過去に大規模なアンケート調査を実施し、家計調査と比べた事があるが、両者の結果は大きな相違はなく、アンケート調査のサンプルの偏りの方が大きく影響する結果となった。家計調査の方が、結果が安定している。(事務局_増田)
→全部調査した方がいいということには賛成だが、現実的には、業務用原単位について平均、中位値、分散、最小値、最大値等を示しておいて、その範囲に収まっているかチェックして使用していけばいいと思う。そういったものは、学会報告等ででているので、きちんと引用すればよい。(室田委員) - 電力は、区別データが電力会社から開示されないので、実は全て推計している。せめて区レベルまでの開示を求めたい。また、来年度の省エネ法の改正で、中小事業所でもかなり詳細な届け出義務が生じることになるが、算定方法の中にどう織り込まれるのか。(牧委員)
→提案する推計手法では、算定公表制度の排出量を用いて補正する方法を提案している。算定公表制度のうちエネルギー関連の事業者は、エネルギー指定管理工場と等しいので、現行の省エネ法の対象事業者データを活用する手法を採用しているといえる。
改正省エネ法は、どういう形で公表されるか(業種別なのか、事業者別なのか)、現状では明らかでない状況だが、細目が決まった段階で、これを活用する方法を考えていきたい。(事務局_増田) - 例えば、ある地域で住宅に太陽光発電をつけた場合、この削減分がどう反映されるのか、対策の削減分を削減を行わないベースラインから差し引くのか、それとも当該地域で用いる家庭用のエネルギー消費原単位にその効果を反映させるのか、を決めておく必要があるのではないか。(山田委員)
- 推計には原単位を使う方法がいいと思う。一方、市町村については県との抱き合わせで決められているので、出荷額等を減らす対策をすべきということになる恐れがある。推計自体は、これしかやりようがないかもしれないが、この数値を今後使っていくに当たっては注意が必要である。(瀬田委員)
- 県では太陽光発電の導入台数は補助金対象分しか把握できない。系統と連携している世帯は電力会社が把握しているが、開示義務がないため現状難しい。(牧委員)
- 通過交通対策、モーダルシフトなど、政策によって算定方法が異なる。最終的には政策に合わせた推計方法を提案する必要がある。一方で運輸部門全体の排出量算定結果との齟齬がないようにすべきである。(森本委員)
- 活動量を削減した所としなかった所で活動量を分けて、それぞれに対応した排出原単位を用いて排出量を試算できればよい。但し、この場合、誰が活動量の案分の方法や排出原単位の設定が適切であったかを検証(ベリファイ)をするのかが課題である。(山田委員)
- 家庭用の太陽光発電についてはほとんどが系統連携と思われるので、斜面角等で推計するより電力会社に開示してもらう方が良い。改正省エネ法の事業者データがどこまで開示されるかを待って、その活用方法を検討するよりも、こちら側からこういった情報を開示して欲しい、など働きかけが必要なのではないか。(善養寺委員)
→あまり細かい単位での開示は厳しいかもしれないが、どの様なデータを開示して頂ければ活用可能かを検討したい。(事務局_増田)
温室効果ガスの推計方法を整備することは重要であり、特に、特定の政策がどのような効果をもたらしたかを測れることは大きな意味があるが、そのためにはコストがかかることに留意することが必要だ。データの整備が重要であるが、それを作成するためにはコストがかかる。一つは自治体に係るコストであり、二つ目は、データを提供する事業者や国民の側の負担である。これらのコストを明示し、それを踏まえ検討することが必要である。(長谷川委員) - 対策効果をどの程度明らかにできるかという基本的な方向性をもっている点は評価できる。ただ、提案された算定手法により求められた排出量から、対策効果が把握できるかというのはまた別の話なので、その点を整理してほしい。
また、数値の精度によっては、細かい桁まで出さずに有効数字で桁切りしてもよいのではないか。(松橋委員) - 全国の全ての市町村(約1,800自治体)の1990、2000、2003年のCO2排出量を推計したことがあるが、その経験から言うと、電力会社が公表してくれればよいが、開示の問題があったので家計調査に頼らざるをえなかった。そこで、家計調査の原票から世帯人員別原単位、住居形態別原単位をもらい、自治体別の世帯属性・住宅属性を考慮して推計した。これでかなり精度があがると思われるので、このような原単位からの細かな開示を毎年してくれるよう相談してもよいのではないか。(中口委員)
- データの取り方が問題。供給サイドはデータの秘匿の問題がある。交通については改善案の作成を事務局にお願いする。(大西座長)
(3) 対策・施策に係る「新マニュアル」の検討課題 再生可能エネルギー
- 質疑、提案に対する意見・コメント等については、次回検討会の冒頭にお願いする。経済障壁、非経済障壁をどう乗り越えていくべきか。(大西座長)
小林局長
- 地域的なバウンダリーにきっちり帰着させた排出量、全国を切り分けるような排出量と、地域の対策を考慮した排出量などに区別しながら、推計方法を整理していただきたい。
- 算定方法については地域のCO2増減に、感度良く反映されるものを目指すことが求められる。
- 家計調査の原票を活用するなど考えていただきたい。また、せっかくの制度なので、地域の温室効果ガス排出量を把握するために、独自にデータを収集する仕組みの構築を検討してもいいのではないか。ただ、モニター制度を検討するとしても、電力会社、都市ガス会社からのデータ提供に係わる協力がないとなかなか進まない恐れがあり、エネルギー供給事業者からの協力を求めたい。
4.その他
次回の検討会は11月21日 9:30~12:30