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環境協力に携わる方々へ

出版物・ビデオ等

日系企業の海外活動における環境配慮推進のための手引き

主にアジア地域における環境・CSR促進に向けて
「平成18年度 我が国ODA及び民間海外事業における環境社会配慮強化調査業務」

本報告書について

 経済活動のグローバル化に伴って、日本の企業はアジア地域を中心に積極的な海外事業展開を繰り広げています。日本企業のアジア進出は、1985年のプラザ合意に基づくドル安を契機に1980年代後半以降に本格化しました。当初はタイ、インドネシア、フィリピンといった地域への進出が主流でしたが、1990年代後半以降になると中国、ベトナムといった地域への進出が大幅に増加し、現在アジア地域で企業活動をするいわゆる日系企業は、支店や駐在員事務所まで含めると3万社以上に上るともいわれています。


ところでこれらのアジア諸国は一部の国を除いては開発途上国で、急速な経済発展に伴って発生したさまざまな環境汚染が大きな社会問題となっています。これらの国々においても、産業公害対策を中心に環境汚染への対応が進められてはいますが、環境対策に対応する資金や人材、技術、経験などが不足し、環境汚染対策は未だ十分なものにはなっていないのが現状です。


このような中、かつて激甚な産業公害を克服した経験を持ち、大きな資金的・技術的能力を持った日系企業に対しては、先進的な環境配慮への取り組みを示すことによって、アジア地域の環境対策推進への牽引役になることが期待されています。


一方最近は、情報化の進展や社会情勢の多様化、内外を問わず発生した企業不祥事などを背景に、環境配慮だけではなく人権問題や雇用問題、サプライ・チェーン管理や進出先社会とのコミュニケーションへの対応などといった、幅広い領域を対象とする企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)に対する関心が急速に高まり、開発途上地域で事業活動を実施する日系企業にとっても環境配慮を柱に、社会配慮も含めたCSRへの取り組みは避けて通れない課題となりつつあります。


こうした背景のもと(財)地球・人間環境フォーラムでは、環境省からの委託を受けて1996年度(平成8年度)から、日系企業の環境対策の支援を目的にアジア地域において国別の環境対策ガイドブックづくりを行い、すでにフィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、中国(北京・天津編)の7カ国において、環境法規制情報や優良な環境配慮への取り組み事例などを収録したガイドブックを作成しました。また、2004年度(平成16年度)からは調査範囲を社会側面も含むCSR全般へと広げた調査(通称:CSR in Asia調査)に取り組み、特にアジア地域において日系企業が対応を求められるCSRへの先進取り組み事例等を収集して、関係者に情報提供してきました。


今回作成した手引き書は、これらの調査成果をベースに、アジア地域を中心に日系企業が海外活動における環境配慮に取り組む際に留意すべき事項等を紹介するとともに、環境社会配慮に関する先進的取り組み事例などを収録したものです。


最後になりますが、情報収集にあたって、忙しい時間を割いて対応してくださいましたヒアリング先の多くの企業の方々、各国行政担当者、貴重なアドバイスをいただきましたNGOの方々、また、企業紹介などにおいて多大なるご協力いただきました各国の日本貿易振興機構や日本商工会議所にも厚く御礼申し上げます。


本冊子が多くの日系企業の環境配慮を柱としたCSRへの取り組みの参考となれば幸いです。

■上記の一連の調査は地球・人間環境フォーラムの下記のスタッフにより実施されました。
調査担当者:中寺良栄、満田夏花、坂本有希、桜井典子、足立直樹(客員研究員)
調査協力(平成15年度調査まで):鈴木明夫:日本鋼管テクノサービス株式会社(当時)