第2回環境省独立行政法人評価委員会会議録
日時
平成13年3月19日(月)14:00~17:10
場所
KKRホテル東京10階「瑞宝の間」
議題
(1) | 独立行政法人国立環境研究所に係る中期目標等について |
(2) | 独立行政法人国立環境研究所の業務方法書について |
(3) | 独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準について |
(4) | その他 |
配布資料
(1) | 環境省独立行政法人評価委員会委員名簿 |
(2) | 中期目標・中期計画案に関する委員からの意見等及びこれへの対応 |
(3) | 独立行政法人国立環境研究所に関する中期目標(案) (前回提示案の修正見え消し版) |
(4) | 独立行政法人国立環境研究所に関する中期計画(案) (前回提示案の修正見え消し版) |
(5) | 独立行政法人国立環境研究所に係る中期目標・中期計画比較表(案) |
(6) | 独立行政法人国立環境研究所業務方法書(案) |
(7) | 独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準について(案) |
出席者
委員 | : | 松野太郎委員長、遠藤實委員、佐和隆光委員 柘植綾夫委員、原ひろ子委員、森下郁子委員 大沢雅彦臨時委員、幸田シャーミン臨時委員 坂本和彦臨時委員、鈴木継美臨時委員、高木勇三臨時委員 高月紘臨時委員、土屋隆夫臨時委員 | ||||||||
環境省 | : |
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議事
【松井環境研究技術室長】 定刻となりましたが、この委員会の定足数は10名でございまして、現在9名でございます。したがいまして、当分の間、懇談会ということでやらせていただきたいと思います。10名の先生がおそろいになった段階で第2回の環境省独立行政法人評価委員会ということになります。
会議の前に新委員を御紹介させていただきます。資料1を御覧ください。
今回、日本公認会計士協会常務理事の高木勇三委員に本評価委員会に加わっていただきました。
それから、前回、2月26日の第1回に大沢委員、幸田委員、高月委員が御欠席でございまして、本日、大沢委員と高月委員がお見えになっております。
それでは、委員長、お願いいたします。
【松野委員長】 それでは、まだ会として成立していないということなんですが、間もなく幸田委員がお見えになって成立するということですので、それまで懇談会ということで始めさせていただきたいと思います。
まず資料の確認をお願いします。
【松井環境研究技術室長】 お手元の資料の確認をさせていただきます。
(配付資料の確認)
それから、資料という扱いではございませんが、前回都合で配付ができませんでした、国立環境研究所で作っております「国立環境研究所ニュース」と「地球環境研究センターニュース」がお手元に置いてあるかと思います。
それから、前回議事録の案、御確認ということで既に配付させていただいておりますが、再度机の方に置かせていただいているかと思います。
以上でございます。
【松野委員長】 どうもありがとうございました。
議事録は、一旦皆さんに配って、「案」はとれているのですか。
【松井環境研究技術室長】 まだでございまして、3月26日までに修正の御意見等がありましたら、ファックスで送付していただければと思います。
【松野委員長】 では、今この場で議事録の修正等のお申し出がなければ、そういうことで事務局の方によろしくお願いします。
それでは、3月14日付けで独立行政法人国立環境研究所の人事に関して大臣の方から指名があったと聞いておりますので、それについて御報告と御紹介をお願いいたします。
【松井環境研究技術室長】 3月14日付けをもちまして、独立行政法人国立環境研究所の理事長となるべき者といたしまして、現国立環境研究所の合志副所長が指名されました。また、同日付けで監事となるべき者に新日本製鐵顧問の冨浦様と公認会計士の大塚様が指名されました。
【松野委員長】 それでは、ちょうど今、懇談会という機会でもありますので、現・合志副所長が新しい独立行政法人国立環境研究所の理事長となられるということで、一言御挨拶をいただければと思います。
【合志国立環境研究副所長】 ただ今御紹介いただきました合志でございます。お話がありましたように、14日に、独立行政法人国立環境研究所の理事長となるべき者という辞令をいただいてまいりました。
これから独立行政法人として国立環境研究所がどうやっていくかということは、いろいろな意味で手探りをしていかなければならない部分が多々あると思っております。そのときに一番大事なことは、進路を誤らないということでありまして、その点でこの評価委員会の先生方に、時に極めて厳しい御意見もどんどんいただきたいと思っております。おほめの言葉をいただくということはうれしいかもしれませんけれども、余り研究の前進の役に立ちませんので、むしろ問題点を指摘していただくことが重要ではないかと思っております。
研究所の中ではアクティビティが誠に多様であります。とりわけ先導的研究は、創造力を非常に必要としている部分でありますので、神経を使ってやっていかなければならないことだと思っております。
一番大きなエネルギーを注がなければならないのは、多分、顕在化しております環境問題に対して適切な対処をするということであります。これは比較的まともな努力ということが成果に結びついていく分野だろうと思いますので、大いに努力を重ねることになろうかと思います。
また、基盤となります研究、知的基盤の充実が非常に大事であります。ここはともすれば忘れがちですが不可欠必須であります。大いに激励をしていかなければ進まないところだろうと思っております。
このように3様の研究が渾然として存在している研究所でございますけれども、研究者が新しい法人になりまして得られる自由度というものを十分に活かして仕事ができるように環境をつくってく努力をしたいと思っております。
以上でございます。どうかよろしくお願いいたします。
【松野委員長】 どうもありがとうございました。
今、合志副所長の御挨拶をいただいている間に幸田委員がお見えになりましたので、これで19名中10名ということで、委員会は成立しております。
【松井環境研究技術室長】 前回、2月26日は御欠席でございました幸田委員でございます。
【松野委員長】 それでは、議事に入らせていただきます。
今日は、前回に引き続き、中期目標、中期計画についてこの委員会から大臣に意見をいうという形のものをまとめていくという作業が主な仕事です。前回は、そもそもから始まって、この議論をしまして、必ずしも時間が十分でありませんで、その後、文書によっていろいろな意見を委員の方から事務局に寄せていただきました。それに基づいて、今日リバイズド・バージョンができているわけですが、どんな意見があって、どう修正されたかということをまず最初に説明していただきたいと思います。
【松井環境研究技術室長】 お手元の資料2を御覧いただきたいと思います。2月26日の委員会の際に御指摘いただきました御意見、御質問と、後ほど文書でいただいたものをとりまとめさせていただいたものがこの資料2でございます。これにつきまして簡単に御説明させていただきます。
まず最初に、基本的な質問でございますが、佐和委員から「人を増やすことも自由になるのか」という御質問を受けました。これにつきまして、人員につきましては理事長の裁量により定めることが可能でございます。一方、中期計画の「人事に関する計画」に参考として職員数等を定めるとともに、「予算」、これは後ほど御説明させていただきますが、「予算」の中で人件費の金額を定めておりますので、これらによって、ある程度人員についての目安というものが示されていると考えているところでございます。
次に、「本評価委員会と通則法第32条第3項にある審議会との関係はどうか」という鈴木委員からの御質問で、前回必ずしも適切に御説明できなかったものでございます。これは別紙を用意してございますので、後ほど御説明させていただきます。
それから、「国環研で行われている基礎研究は、国が実施すべきものであり、『国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもの』という位置づけはいかがなものか」という加藤委員からの御指摘でございまして、まさにそのとおりではございますが、今回の独法化に当たりましては、国として国環研で行われている基礎研究の実施を確保するということに変わりはなく、資源投入も増額されている。それを直接実施するか、弾力的に実施するかの違いであり、独立行政法人国立環境研究所では、自由度を高めて研究を行っていただくということでございます。
それから、「客員研究員とはどのような人々か」ということでございますが、大学、他の国立研究機関等々の研究員を客員研究員に委嘱して、参加していただいているところでございます。
それから、「中期目標、中期計画に類似した制度はこれまであったのか」という御質問でございますが、これまでは国立環境研究所は環境省の附設の機関であり、環境庁時代は環境庁から中期目標に相当するようなものを提示することはこれまでございませんでした。
次に、「アメリカと比較して日本では、医療・教育・研究分野の雇用者数が格段に少ない。研究・教育で人を減らすべきではない」という佐和委員からの御指摘でございます。研究分野につきましては、御指摘のとおりと考えているところでございます。
次のページでございますが、「環境省職員と国環研研究者の人事交流も必要ではないか。
また、研究者がマスコミで国民の素朴な疑問に答えるサービスをするなど、広報を充実させるべき」との御指摘。前段の部分でございますが、行政職と研究職の職務内容が大きく異なることを考えますと、ごく限られた分野を除いて人事交流はなかなか困難ではないかと考えております。行政職から研究職になるのは大変かなと。逆に、研究職の方は行政職に来てもすごく優秀な方はたくさんいらっしゃると思うのですが、仮に私も明日国環研に行って研究をやれと言われても、多分途方に暮れると思いますので、そちらの方がかなり難しいのではないかと考えております。広報については、今後ますます重要になると認識しております。研究所内の体制も整えて、充実させていきたいと考えているところでございます。
次に、「国立環境研究所が研究者にとって魅力的なものであり続けるよう心を砕く必要があると思われる。外部からのプレッシャーも大切であるが、研究者にとって魅力的なものでなければ優秀な人材を確保することは難しいのではないか」と。御指摘のとおりであるかと思いますが、競争的研究環境の構築や、研究評価の強化などは、プレッシャーとはなるのですが、研究の質の向上のために必要と考えます。一方、優秀な研究者が雑務に忙殺されることがないよう、また、研究に必要な資源が適正に配分されるように研究所の運営を心がけるようにしたいと考えております。
次に、「年度毎の計画の見直し、業務進捗管理、業務評価のために、3ケ月毎に評価委員会に対して進捗報告会を開催すべきではないか」という御意見を佐野委員から頂戴しております。これは、中期目標、中期計画は今回始まったばかり、開始直後でもあり、事務的な準備の関係も踏まえますと、四半期ごとにというのはなかなか困難ではないか。そういうわけで、我々といたしましては、10~11月頃に半年がたった段階での御報告をさせていただければと考えております。したがいまして、10月頃と、年度が明けまして6月頃の年2回、評価委員会を開催したいと考えております。四半期ごとになりますと、それに対する研究者の対応ということで、作業の増大ということにもなりますので、このような形で年2回の開催を原則とさせていただきたいという考え方でございます。もちろん臨時の会合が必要な場合、また、5年たちまして、中期目標期間の終了前後には、それに対応した委員会を開催することが必要と考えております。
「国民へのサービス提供に際し、分かり易い言葉の使用や分かり易い説明をするよう留意すべき」。そのとおりであると考えております。
次に、「効率化のための会議、文書作成などに時間をとられるようでは本末転倒であり、研究についていうと、誰か一人でもノーベル賞級の質の高い研究を行えば国民は納得する。また、環境問題を国民に分かりやすく説明していくことが重要である」との御意見。効率化のための作業の増加につきましては、御意見のとおりであり、留意していきたいと考えております。また、研究の質の向上、環境問題に関する国民の理解の向上のために、中期目標、中期計画の着実な実施を図ることとしております。特に、分かりやすい説明につきましては、心がけていきたいと考えております。
「『研究業務における効率化』とはどのようなことか、次回に事務局の考え方を示してほしい」という佐和委員からの御質問でございますが、これにつきましては、後ほど御説明させていただきます。
次に、「5年間の中期計画を立ててしまうと、新たな調査・研究の要請が生じた時に対処できるか疑問である。中期計画において、組織については『必要に応じて、適宜見直しを行う』とあるが、「見直しを行って機動性を十分確保する』と修正すべき」との御意見。緊急な対策が必要となる新しい環境問題が発生した場合、それへの対応につきましては、中期目標第3の冒頭にそれに対応した記述を行ったところでございます。また、中期計画においては、組織の見直しが必要となるような新たな調査・研究の要請が生じるかどうかは、現時点では予測できませんので、「組織のあり方については、絶えず検討を行い」と記述するとともに、「当該期間中に新たなニーズが生じた場合には、重点特別研究プロジェクトについて、追加も含め機動的な調整を行う」としているところであり、原案でも、機動性の確保については考慮しているところでございます。
次に、「『自立した運営が可能となる組織とすること』について、いろいろな角度から幅広く運営ができることは、とても望ましい。しかし、時には思わぬ方向に流されていく場合もあり、十分な管理体制づくりが必要である」。角田委員からの文書による意見でございます。これにつきましては、中期目標・中期計画を評価委員会の意見をお聞きした上で策定することになっており、また、事後的な業務実績の評価を評価委員会で行っていただくことになっております。そして、仮に研究所が思わぬ方向に流されたとしても、その場合にはこの委員会を通じて業務運営の改善勧告ができることになっており、そういう面での対応がとられるものと考えております。
次に、「人材の効率的な活用について、人材の流動性を高めるとあるが、具体的にはどのような内容か。中期計画案においては、『流動的な研究員の活用等』という表現しかないが、どうなっているのか」と。これにつきましては、職員の公募、任期付研究員の採用、フェロー制度の活用などを考えております。しかしながら、独立行政法人制度におきましては、独立行政法人の職員の勤務条件の決定は労使間の自治によるものとされておりますので、主務大臣が策定する中期目標や認可を行う中期計画において、これらの流動性を高めるための方策、流動性を縛るような方策を書くことはできない旨、中央省庁等改革推進本部から指示されておりまして、今回、その指示に基づく修正を行いました。
「個人の業績評価には、研究業績だけでなく、広報活動、行政支援での貢献も考慮すべき」。御指摘のとおりかと考えます。
「『任期付研究員』は最終的にどの程度まで増えることを想定しているか」。13年度から新規に25人増加し、中期計画期間中は計28名となる予定でございます。
「中期目標において、どのような研究所を目指すかについてのビジョンを記述すべき」。
これは佐野委員からいただいた御意見でございまして、これを受けまして、中期目標第3の業務の質の向上に関する事項の冒頭のところに記述させていただきました。後ほど説明させていただきます。
「新たな環境問題が生じたときの即時に対応する体制はあるのか」。遠藤委員その他何名かの委員からいただいたものでございます。同じく中期目標第3の冒頭にその旨の記述をさせていただいております。また、中期計画におきましても、「社会情勢やニーズの変化に即応した研究等にも適切に対応する。」との記述を加えております。
それから、「研究には『中期』だけでなく、『短期』、『長期』のものもあり、『短期』、『長期』の研究の必要性、具体的な展開方策等を明示しておく必要がある」。これも同じく第3の冒頭で処理させていただいておりますし、中期計画のところでも、ここに示したような記述ぶりを追加させていただいております。
それから、大塚委員から、「『学際的』をうたうのであれば、社会科学系・人文科学系の研究ももう少しあってもよいのではないか」と。確かに御指摘のとおり、社会科学系・人文科学系の研究者は国環研において現状では少ないわけでございますが、重点プロジェクト以外にも多くの研究を実施しているところであり、大学や他の研究機関等と連携をとりながら研究を進めているのが現状であります。社会・人文科学系の研究者との連携をとることによって、学際的な研究を進めていきたいと考えております。
中期目標第3のところでございますが、「『化学物質環境リスクに関する調査・研究』について、正しいリスクの情報を的確に伝えることが大切である。妊娠中、子育ての最中の親へ不安を与えるだけの情報ではなく、どうすればより安全か、安心感も与えられる情報こそが望まれる。マスコミへの正しい報道と協力が是非望ましい」。同じような御意見を何名かの委員からもいただいておりまして、これにつきましては、国民に分かりやすい情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
次は研究評価でございますが、柘植委員からいただいております意見でございます。「研究評価について、『評価方法』としては、国内の企業の評価方法の適用は妥当ではなく、欧米の国立研究所の評価方法をベンチマーキングして『評価方法』を定めるべき」と。4月、独法化後初めての外部研究評価委員会を研究所において開催しまして、重点特別研究プロジェクトなどを含めて評価・助言を受けて、その結果を研究活動に反映させるとともに、その概要について公表していく予定でございます。このため、事前評価においては、目標の明確性、的確性を、中間評価及び事後評価においては、研究成果目標の達成度を追加するなど、現行の研究評価制度の見直しを行ったところでございます。今後、「評価方法」については、国の大綱的指針の見直しが行われることになっておりますので、これらを受けて、研究所としてもさらに検討を重ねることとしております。
次のページになりますが、「成果の普及について、『学会での発表、学会誌の投稿を通じて普及を図る』とあるが、これは "普及" とは異なるのではないか」。ここは特に数を書いたということもございまして、その下にございますが、同じく松野委員から、「論文数で成果を計るということは避けるべき」といったようなこととか、他の委員からも「量だけではなく、質についても基準を考えるべきではないか」といったような御意見をいただいております。ここのところは、業績を数で計るということではなくて、あくまで成果の普及ということで記述させていただきました。また、確かに論文につきましては、量だけではなく、質も重要である。もちろんそのように認識しているところでございます。そのための基準につきましては、今後の検討課題としたいと考えております。そういうわけで、ここのところでは、書きぶりを少し変えておりますが、数値目標として、成果の普及の目標ということで置かさせていただきました。
それから、「『受託収入』が減った場合の手当ては考えているか」と。受託収入には、競争的資金、受託業務収入がございますけれども、これらにつきましては、研究所の自己努力によって確保すべきものである。受託収入が減らないよう努めていきたいが、相手方の事情により変動も考えられるので、弾力的な予算の管理と執行により適切に対応していきたいというものでございます。
【高木国環研主任研究企画官】 次に、中期計画に係る部分でございます。「『効率的な組織の編成を行う。』の後に、『その編成に当たっては、『効率』性を追求するあまり、……業務の質の向上を損なわないように確保すべきだ」という加藤委員からの御意見がございました。その意見を踏まえまして、「中期目標の達成に向け、業務の質の向上を図りつつ、効率的かつ機動的に実施する」と、「業務の質の向上を図りつつ、」という言葉を加えさせていただきました。
それから、「中期計画第1の2.にある職務業績評価は、役員も含まれるのか」という佐野委員からの御質問でございますが、これは前回お答えしたとおり、含まれないということで、役員については、本委員会と主務大臣が評価するということになっております。
それから、効率的な施設運用の中で、「スペース課金」というのを私が言及させていただきましたが、それがどういったものか、という土屋委員からの御質問でございます。これにつきましては、研究者一人一人が、自分の使用するスペースについて、一定の課金を研究所に支払うという制度でございまして、研究者に当面使用する予定のないスペースを出してもらって、それを必要な研究者に再配分するという仕組みを今考えております。
次に、「『光熱水量90%以下』は実行可能か」という遠藤委員からの御質問でございますが、光熱水量を使っているほとんどの部分が大型施設でございますので、その目標を実行するのは大変ではございますが、私ども環境省の下にありますので、このような目標の達成を目指していきたいと考えております。
次に、「『外部有識者で構成する機関』のイメージは何か」という佐野委員の御質問でございます。これは現在、国立環境研究所評議委員会というのがございまして、そのイメージのものを独法化後も理事長の下にもちたいと考えておりますが、この詳細については今検討中でございます。なお、中央省庁等改革推進本部事務局から、独立行政法人の長が自由に設置できる法人の内部組織に関連する記述を行ってはならないという指摘がございまして、この文章については削除させていただいております。
次に、「中期計画5年内に新しく重要なテーマが社会的問題となった場合に機敏に対処できるようある程度余裕を持った計画にしておくこと、計画の見直しに配慮することが必要と思われる」という大塚委員からの御意見でございます。独立行政法人国立環境研究所法の第12条で、環境汚染による重大な被害を防止するために緊急の必要がある場合には、環境大臣が研究所に対して、必要な調査・研究の実施を求めることができる旨の規定がございまして、そういった規定から、重要なテーマが出てきた場合には対応できるというのが第1点。それから、計画の中にも「新たなニーズが生じた場合には、重点特別研究プロジェクトについて、追加も含め機動的な調整を行う」としております。また、中期目標、中期計画それぞれについて、この御意見を反映した記述を加えさせていただいております。
次に、「『環境研究の充実』の中で、『~学際的かつ総合的に環境分野の研究を進める。』の前に、『世界的に見ても、第一級の研究成果を目指して、』を追加してほしい」という加藤委員からの御指摘でございます。御指摘を踏まえまして、「学際的かつ総合的に質の高い環境研究を進める。」というふうに修正させていただきました。
それから、「『所内公募研究制度』とそれまでの各自の研究とはどう調整するのか。各自の研究の負担が過剰になるおそれはないか」という大塚委員からの御意見でございます。
この制度は内部の制度でございますが、一定の金額を準備いたしまして、研究者から課題を公募しまして、それに対して研究資源を投入していくということで、あくまでも研究者の自発的な応募に基づくものでございますので、そういう負担の過剰ということはないものと考えております。
次に、「研究課題の評価・反映について、『研究評価を実施するための要領』には、研究の実施判断、中止判断基準も具備すべき。一度スタートした研究は成果が出なくても自律的に中止が難しい。また、評価のための不要な資料づくりを防止するため、評価フォームの標準化、簡潔化をすべき」という柘植委員からの御意見でございます。現在、私どもは「国立環境研究所研究評価実施要領」というのを持っておりまして、これは独立行政法人になった後、改正する予定でございます。その中で、研究課題の事前評価・中間評価の結果を研究資源の配分に反映させるということを定めておりまして、御指摘の点も踏まえまして、今後とも運用していきたいということでございます。それから、研究評価の評価基準につきましては、総合科学技術会議の方で、国の研究評価についての大綱的指針の見直しが進められておりますので、そういったものも見つつ、また、評価の実績を積み重ねながら、今後とも検討を進めていきたいと考えております。評価に当たっての資料は、もちろん負担にならないようにできるだけやっていきたいと考えております。
それから、「知的所有権についての戦略は?」という佐野委員からの御質問でございます。国環研では現象解明等の知的所有権の獲得に直接つながりにくい研究がほとんどでありますが、今後、廃棄物とか測定技術とか、そういった面での技術開発もやっていきたいと思っておりますので、そういう技術開発に関わるものについては知的所有権を獲得してまいりたいということでございます。
最後に、「『国民に分かりやすい情報提供』について、以下の点に配慮して欲しい。消費者が理解できて、いつでも誰でも利用しやすいような、消費者の視点からの情報であること。環境教育を行う小中学校の先生への情報提供を。国民とのパイプ役としての役割。
『基金』、『支援』の制度や国民にモニタリングの協力を求める。」。大変重要な御指摘でございますので、研究者の科学的知見も活かして正確な環境情報の収集・整理・提供ということをやっていきたいと思っております。
【松井環境研究技術室長】 引き続きまして、別紙の部分を御説明させていただきます。
別紙1、「各省庁独立行政法人評価委員会と総務庁に設置される審議会の関係」ということで、通則法の第32条の第3項で、「評価委員会は、第1項の評価を行ったときは、遅滞なく、当該独立行政法人及び政令で定める審議会に対して、その評価の結果を通知しなければならない。」と。第5項で、「審議会は、第3項の規定により通知された評価の結果について、必要があると認めるときは、当該評価委員会に対し、意見を述べることができる。」と。これにつきましては、第34条で「中期目標の期間における業務の実績について」、これも同じようなこととなります。
その下でございますが、「独立行政法人の組織、運営及び管理に係る共通的な事項に関する政令」が既に定められておりまして、その第1条で「独立行政法人通則法第32条第3項の政令で定める審議会は、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会とする。」と。その委員会令がその下に掲載されておりますが、一番下のところでございます。「独立行政法人分科会」。「独立行政法人通則法の規定に基づき委員会の権限に属された事項を処理する」ということで、既にこの委員会はできておりまして、次の次のページになりますが、「政策評価・独立行政法人評価委員会」ということで、ここに掲げております先生方を委員として既にこの委員会が立ち上がっているところでございます。
次のページになりますが、これは佐和委員からの御指摘で、本日、研究業務における効率化とはいかがなものか、事務局の考え方を示せという御指摘でございました。
まず1のところでございますが、広辞苑によりますと、「効率」とは、「機械によってなされた有用な仕事の量と機械に供給された全エネルギーとの比。一般に仕事の能率」、このような定義となっております。また、「効率的」とは、「効率のよいこと。少ない労力で多くの効果があがること。」となっております。したがいまして、基本的には、「得られるであろう(又は得られた)研究業務の成果(研究業績)を投入する(した)資金、人材、施設・整備及び時間との関係から検討いたしまして、これらを従来のものと比較して、より優れたものとさせること。」かと考えます。
これは具体的にどういうことかということでございますが、研究業績は、質及び量について考えていく必要がある。独立行政法人国立環境研究所の目的は、独立行政法人国立環境研究所法第3条に掲げたような、「地球環境保全、……に関する調査及び研究を行うことにより、環境の保全に関する科学的知見を得、及び環境の保全に関する知識の普及を図る」となっておりますので、研究業績により得られた(得られるであろう)環境保全に関する科学的知見が、従来のもの、又は他の研究機関等で進捗中のものと比べてどうなのか、すなわち、その新規性、独創性、信頼性、蓄積性、また、一番重要な点は、環境の保全の観点からの貢献度、例えば、我が国の環境政策に対する貢献とか、社会が国立環境研究所に対して抱いている期待への対応、近隣のアジア諸国や世界全体の環境保全に対する貢献など、こういったところから評価する必要があるのではないかと考えます。
また、「環境保全に関する知識の普及」という観点からは、知識の普及についてどれだけ寄与したかについても評価する必要があろうかと思います。
これらを国立環境研究所として見ますと、「適切な役割を与えられた個々の人材は、そこで最大限の能力を発揮し、質の高い研究成果を生み出す」という前提に立てば、一定の資源(資金、人材、施設・設備、時間)の下で、研究計画を作り、研究の方法、手順が示されるわけでございますが、その最適化とともに、これら資源の最適配置・配分により無駄をなくし、研究所全体としての研究業績の最大化を図る(業績の生産効率を上げる)ことではないかと考えているところでございます。
以上でございます。