第2回環境省独立行政法人評価委員会会議録

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【松野委員長】 ありがとうございました。
 たくさんのことなので、いろいろあると思いますが、今の、研究における効率とは何かということはよろしいでしょうか。私自身も前から思っていたのですが、1つは、単純な理解では、政府の中で実際に仕事をしているところは行政法人化する。普通の仕事みたいなことに準拠していろいろなことが書かれているので、国民に対するサービスというのも、普通の仕事だったら「サービス」という表現になるけれども、第3の国民に対するサービスとか、第2の業務運営の効率化とか、どっちも最初から研究所だけが対象だったら、もう少し別の言葉があったんだというふうに私は理解しているんです。それを無理やり一般的に当てはめるから、こういう疑問を生じるのではないかと思うのです。そもそもお答えがあれば、よく分かるのですが、その理解はいけませんか。
 独立行政法人というのは、まだいうべき時点にはなっていないけれども、そういったものを念頭におけば非常に分かりやすいですね。業務の効率とか、サービスの向上とか。大学になってくるとますます分からなくなってくるんです。

【山田審議官】 通則法の2条、3条に「効率」と出てくるのですが、一番大もとは、今回の行政改革では企画と実施を分離するということになっております。企画というのは、我々内局に残っているようなもの、実施というのはそれ以外という大くくりをしまして、企画というのは、「効率」あるいは「合理化」という言葉を使ってもいいと思うのですが、なかなかぴったりとそぐわない。これはいくら人間を投入しても、あるいは資金を投入しても、全然いい知恵が出てこない場合もある。ところが、実施というのは、「合理化」、「効率化」となじむのではないか。例えばどんなものが挙げられるかといますと、現業的な事業、お金を印刷したりというようなことから始まって、貿易保険業務の引き受けとか、こういう試験研究機関も含めた、あるいはテストあるいは試験、そういうことをやる部も、それから、その延長として、国立大学も何か考える。いずれにしても、企画と実施を分けようと。実施の中にはどういうしなやかさを持たせたらいいかというのは、個別の当該法人をつくる中で考えていこうということでして、国環研の場合には、今の経済産業省の産業総合研究所などと比べますと、名称も「国立研究所」と「国立」と残っています
けれども、対応においても、国の資金的なサポートにおいても、どちらかというと、従来の国から離れる部分がものすごく薄いような仕方になっているのではないか。

【佐和委員】 広辞苑云々から始まって、費用対効果という議論をするときには、結局、効果の方がお金で計れないとだめなんですよね。ところが、研究というのは、計れる面もあるけれども、研究というものの大部分はお金では計れないということと非常に多次元的であるということですね。それを1本の軸だけで評価したのでは、効果の評価としては的確性を欠くということが1つ。
 それから、研究以外でも医療というのを考えてみます。例えば医者の生産性というものを考えたら、何人患者を1日さばけば、それが医者の生産性なのかどうかということですね。ですから、そういうことで、医療なども「効率的」という言葉になじまないんです。私が前回申し上げましたように、通則法の中に「効率的」という言葉が出てきて、さっき委員長がおっしゃったように、郵便とか、そういうものだったら分かるけどもと。これは本当に困ったことなんですね。
 大学でも、例えばたくさんの学生を教育すれば、それで生産性が上がったといいますか、より効率的だというのですかと言いたくなるわけです。実際、教育には質がある。当たり前の話ですが、どうやって計るのですかと。A大学とB大学があって、同じだけの国からのお金を使って、毎年100人の学生を教育して、教育の質がよかったか、悪かったか、どうやって計るのですか、ということになるわけです。研究という分野にこういうふうなことで、他の業務的なことですね。さっき審議官が企画と実施とおっしゃいましたね。
研究というのは、むしろ企画に近いわけです。いくらたくさんの人を投入しても、いい成果が上がる保証はないし、いくらお金を使ったからといって、いい成果が上がる保証もないということで、企画に近いところをなぜか大学とか研究所とか、そういったところを郵便などと一緒にしてしまったのは、10年、20年先に大きな政策の誤りだと思います。
これは別に国環研だけではなくて、大学に関しても同じような問題があるわけです。果たして10年たって、失敗したといったらどうするのですか。ある分野の研究の伝統というのはそれで断たれてしまう。例えば京都大学にはインド哲学という伝統的な、世界に冠たる存在があるわけですが、効率性、効率性でやれば、インド哲学なんて消えてなくなりますよ。そうすると、結局、10年たってもとに戻そうとしても、戻りませんよね。これは国が大きな誤りを犯しつつあると私は思っているんです。

【松野委員長】 どうもありがとうございました。
 私も同じように考えていますが、発足する前に、国立環境研究所のあり方を考える会というのに出させていただきまして、そのときに最初に私もこの点は質問して、結局、繰り返しますが、本来それにぴったりではないものを少し拡張して持ってくるから、ミスマッチが起こるので、この場合、やめるわけにいかないので、考え方として本来そういうものを含んでいる。それをここではうまく解釈して、害が生じないようにしましょうと、そういうことを全体の中の了解みたいにしていきたいと思うのですが、事務局を含めてですね。

【佐和委員】 もう1点、評価に関してですが、2.のところに、新規性、独創性、信頼性、蓄積性等々が書いてありますけれども、こういうのは結局、例えば環境関連の論文でも、誰か長老がいて、その人がすべての環境の論文を新規性、独創性などを評価することなどできるはずがないわけですね。神ならざる人間にとっては不可能なことなんです。だから、それぞれの分野で専門誌があって、本当に専門に近い人たち2~3名のレフェリーがその論文を読んで、これは新規性がある、独創性がある、あるいは誤りがない、だからこれを掲載しましょうと、それが評価なんです。個々の研究者が評価されるんです。だから、組織として評価するという集団主義的な、日本の今進みつつある考え方は根本的に間違っているんです。個々の研究者が、A、B、C、Dのランクに分かれてもいいですし、もちろんそのときに論文が、どこかに書かれていましたように、雑誌に20本、30本出たからいいというのではなくて、クオリティもある。しかし、クオリティに関しては、サイテーション・インデックスのようなことで一定程度の評価もなされているわけですね。ですから、そういうことで、評価の対象となるのは、個々の研究者であって、組織ではないということを僕は強調したいです。

【森下委員】 評価の対象に、環境省が対象としている環境の概念をはっきりさせることがあるのではないかと思うんです。今までは安全性を高めることを目標にしてきたけれども、多分これからは、どれぐらい安心できるかということだとすると、評価の対象になるものは、効率というよりは、そのことによってどれくらいの安心が生まれたかというようなものが必要になってくるのではないか。一つ一つの要素には数値の目標があっても全体としての環境は、いいとか悪いとかがあるわけでなく、人が生きていく上でどれくらい安心が高まっていくかということに評価の対象がもう少し加えられることを望みます。

【佐和委員】 評価の1つの軸ですね。

【松野委員長】 今いくつかの根本的なことに関する御意見をいただいたわけですが、ここで我々がこれからの独立行政法人に対してどういうことをやってもらいたいかというものの原案を作るわけですが、今のような御意見を具体的にどういうふうに反映できるかということなんです。中期目標として、まず効率化に関しては、「業務運営の効率化に関する事項」ということに関して、こういう目標を決めるといいよということを大臣に言うのがここの場所なんですね。今のことを考えるとすると、通則法というか、そういう一般的なことをここに持ってきたために、「効率」という言葉が非常にそぐわないという我々の共通理解が仮にあったとして、それをどう表現すればいいのかという問題もあります。
 その前に、郵便とか、そういうお話が先ほどありましたけれども、営林署も今度なるのですか。要するに現場の仕事ですね。現場の仕事なら「効率」は分かるのだけれども、研究に「効率」というのがぼんときてしまったためにくるミスマッチに関して、そもそもそういう問題があるのだと。あるけれども、研究の場合に、我々の考え方で具体的に対応していくということで、普通の意味での「効率」という言葉は研究の評価にとってふさわしい、非常にぴったりする目安ではないと。したがって、その解釈をかなり柔軟にしなければいけないというようなことをここでお互いに了解できれば……。

【佐和委員】 「効率」を仮に、先ほどの広辞苑でもそうですが、「費用対効果において優れている」と。つまり、できるだけ費用をかけずに、少ない人員で所与の目的を達成するのが費用対効果という点から望ましい。あるいは逆に、費用とか人員が一定のときにできるだけ多くの高い目標を達成するということだと一般的に解釈して、明記すべきなのは、研究の成果というのが極めて、多次元的というのは余りいい表現ではないかもしれませんが、ということだと思うんです。恐らくさっき森下さんがおっしゃった安心云々ということも、環境研究にとっての1つの評価軸だと思うんです。ですから、一言で研究といっても、分野によって軸が全然違うわけです。例えばアカデミックなペーパーで、レフェリー付きのプロフェッショナル・ジャーナルに何本出るかということだけで成果が計れるような分野もないわけではない。例えば純粋数学とか、そういう分野だったら、多分そうだと思います。他方、ある種のいい意味での有用性というか、応用可能性をはらむ研究の方が優れた研究だというふうに見なせという考え方もあるし、あるいは一般の啓蒙的な活動はどうなのかとか、いろいろなことが結局、分野によっても違うし、恐らく環境研の中でもいろいろな分野の方がいらっしゃるわけで、その分野によって恐らくコスト・ベネフィットのベネフィット、効果の計り方というのはまちまちだと思うんです。ですから、研究所全体として、恐らく中にいらっしゃる研究者にランキングをつけることすら非常に難しいことだと思います。

【松野委員長】 具体的に目標として原案が事務局で作られて今我々の手元にあるわけですが、第2の中にさらに1、2、3とありますが、1は、一般的なことで、効率的な業務運営体制ですね。それから、人材の活用、施設の運用ということで、独立行政法人の特色は、今までと違って、組織とか運営等を理事長とか所長が決めることができると。だから、これはいわゆる制度的というか、インスティテューショナルというか、そういうことに関する目標ですね。「効率的」と書いてあるのは、所内の構造とか制度とか運営方針とか、そういうことでいい研究をするための目標、そういったものを書く。それをもって「効率的」とする。

【中川総合環境政策局長】 今、委員長がおっしゃったこと、まさにそういうことなんですが、独立行政法人というのは、1つのポイントは、運営費交付金が出ますが、これは理事長の裁量が非常に大きいわけですね。それから、今、委員長がおっしゃったような予算とか人員とか組織とか、そういうものを当該独立行政法人にかなり任せる、そこがポイントだと思うんです。ですから、国の役所の組織に入っていますと、予算とか組織も国会の議決という形でかなり厳密に統制されるわけですが、そこの自由度が広がるというのが独立行政法人のまさにポイントですから、研究というような分野は、非常に厳しい予算統制なり、国会の議決を経なければいけないという形でやっていく分野より、むしろ理事長を始め独立行政法人側の裁量なり自由度にかなり任せる方が、そういう意味で効率的な研究ができるだろう。ですから、この「効率」というのは、必ず金銭で計るというようなことを予定しているわけではもちろんないと思います。もともと研究所とか大学を独立行政法人にしようという発想が出たときから、「効率」というのは、量と金銭で計るということだけを考えているわけではもちろんないと思いますので、むしろ研究者なり教育する側に自由度を与えてやっていきましょうというのが1つのポイントだと、こういうことではないかと思います。

【佐和委員】 おっしゃるとおりだと思います。自由度を与えていただくというのは、大変結構なことだし、大学にせよ、研究所にせよ、大変な改善になると思うんです。例えば今までは会計法でもって、研究費というのは、3月31日までに1円残らず使い切らなければいけないというばかげた制約があったわけですね。私は以前から文部省にせめて科学研究費は複数年度化して、つまり繰り越しが可能なようにしてほしいと言っても、絶対にしないんですね。それはさておき、ただし、問題は、国立環境研究所の場合は、環境省の唯一の研究所ですから、余り問題はないと思うのですが、大学の場合、大学評価機構、学位授与機構というのがございまして、そこが大学を評価するというわけですね。それも私に言わせれば、どんな先生をそこに集めても、大学を評価するなんてことはできないと思うんです。というのは、繰り返しになりますが、学者の評価というのは、本当に専門に近い領域。日本国内でいえば、数十人の人間しか、ある与えられた研究者の正当な評価はできないと思うんです。ですから、そういう意味で、組織として評価して、だからここにはたくさんお金を出すとか、ここには出さないということになり出すと、大ごとだという気がするんです。しかも、評価の軸自体が極めていくつもありますから、そういう意味で評価委員会がすべての軸に偏りなく評価しようといっても、それは不可能に近いと思うので、むしろ私が問題にしたのは、制度そのものを批判しているのではなく、評価のあり方なんです。

【松野委員長】 どうしましょうか。今ちょっと違った2つの側面があるかと思いますが。

【山田審議官】 佐和先生の御理解のとおりでいいんです。この評価委員会というのは、理事長個人を最後に評価して、やめていただくようなことか、あるいはもう少し給料を増やしていただくようなことまで含めて、理事長はまさに自分の自律性の判断と個人の責任において研究所を運営していただく。その際の研究評価のあり方は、言われたように、多次元的ですから、研究所の中だけの評価ではなくて、学会の評価を当該個人の評価に活かしていく。それはまさに理事長に全権を与えて、私どもが全責任を負っていただくことをやっていこうと。理事長は、今日ここで出た御意見を参考にしながら、所内運営をやっていくということですから、先生が言われていることと全く同じだと思います。

【松野委員長】 共通理解として、そういう問題点があるということで、仕方がないから、具体的な1項目、1項目の目標設定とか、そういうところで今の表向きの据わりの悪さを何とか解消していくということで対処せざるを得ないので、そういうことで皆さん御理解いただけますでしょうか。
 「業務運営の効率化」というのは、例えば「研究所運営の適切化」とか、そういうことなのではないかと思うのです。この場合の業務というのは、研究ですから、それを運営していくのに最適化というと、最適というのは、数量的にしないと分からなくなるのですが、適切にしていくということだと思います。「国民に対して提供するサービス」というのも、研究所としてまさに国の税金を使ったものとして、一体どういう結果ですかね、ある程度これは個人の研究ではないと思うんですね。いくつか具体的な問題があると思いますが、そういう具体的な研究課題に対して回答を与えていくのだ、それが国民に対するサービスだと思うのですが、そういうことを言うのが第3であるということで、表向きの言葉は違和感を持つものであるということを確認して、それはどこを通じてそういうことを直してもらうように言ったらいいのか分かりませんが、しかるべき形で、今後、ここばかりではなくて、あらゆる研究所で悩むことになると思いますので、そういう努力もお願いしたいと思います。それは事務局にお願いしてよろしいのでしょうか。

【高月委員】 蒸し返すようで恐縮ですが、私も佐和先生と全く同じで、研究に「効率」というのは非常になじまないと思っています。私の方からの質問は、中期目標というのは、独立行政法人になるための形をつくるための中期目標なのか、それとも研究所のそもそも総合的な中期目標なのかという点なんです。いろいろな組織の目標を立ててやっていく場合には、何をするかということが先にあってしかるべきだと思うんです。いきなり「効率」という文言が出てきてというのではなくて、何をするためにこういうことを考えていくのだというのが、それに対して予算がついていくということが一般的な計画だと思うわけです。そういう意味で、そもそも国立環境研究所はどういう目標で、質ですか、中身をどういうことでやっていくのかということが先にあるべきではないかと思うんです。確かに法律上では、第2の「効率化」ということも文言がありますし、第3の研究の質あるいはサービスということもあるわけですが、必ずしもこの順番で表現しないといけないのでしょうか。

【松井環境研究技術室長】 この順番でやることは決められておりまして、これに応じて書かなければいけないことになっております。

【高月委員】 いずれにしても、国立環境研究所でこの中期目標で具体的に何をやっていくかということを先に議論するべきではないかと私は思っているわけです。

【松野委員長】 おっしゃるとおりだと思います。順序ということも違和感を覚えるのは、一般の仕事、現場の仕事を念頭においたからこういうふうに……。ここにも個別法で独立行政法人国立環境研究所は、地球環境の保全、公害の防止云々と書いてありますから、ある意味では分かっているかもしれませんが、普通に分かっているようなものじゃないですよね。誰もが知っているような仕事だったら、大体分かるから、効率をよくするというのは分かるけれども、最初に、本来は何をやるかということをいって、それから効率、少なくとも運営をどうするかというふうにくるのが普通だと思うのですが、この順序は、今の話でやむを得ないと。

【高月委員】 中身の話に入らせていただきますが、研究所の設立目的というところを先ほど御説明いただいたわけですが、その中では必ずしも環境政策に直接結びつくような文言はございませんね。将来的に環境の改善のために役に立つ研究をやるということでありますけれども、前回の議事録を読ませていただきますと、大井所長さんもおっしゃっていましたように、環境省の環境政策と表裏一体となってやっていくのがこの研究所の1つの大きな特色だという御発言があったかと思います。そういう意味で、いわゆるアカデミックな研究をして、たくさんの論文を作っていくという研究所なのか、それとも、ある種、環境政策に役立つようなことを優先してやっていくような研究所なのか。このあたりが我々にはちょっと読めないのですが、大学の場合はかなり基礎研究というのを重視していきますけれども。

【松野委員長】 それは、むしろ必ずしも明確にないということは、我々、中期目標を議論する中で決めていくというのは変でしょうかね。

【松井環境研究技術室長】 その部分につきましては、第3のところで何をするかと書いてございまして、いま先生の御指摘のことにつきましては、「環境行政、政策に対応した調査研究を行う」と明確に記述しております。

【松野委員長】 我々がそういうことを決めたんですね。個別法には別にそういうことをやれとは何も書いていないので、ここの意見として、行政に直結するような研究をやった方がいいよ、それを目標に立てようということを大臣にアドバイスするということですね。【松井環境研究技術室長】 案そのものは私ども環境省が作りまして、それについての御意見をお伺いする場でございます。

【松野委員長】 原案を作ってもらって、ここからアドバイスするんですね。

【松井環境研究技術室長】 ということで、前回、2月26日の段階で、目標につきましては環境省の案を、それを受けた形で、計画につきましては、環境研究所の方から案をお示しさせていただきまして、それについての御意見を前回お聞きし、かつ、文書で頂戴いたしました。

【松野委員長】 この評価委員会は、中期目標を大臣にアドバイスするのではないですか。原案はもちろん事務局が作ってくださって、それで結構なんですが、それこそ効率がいいわけですが、我々の責任で、とる、とらないは大臣の--

【松井環境研究技術室長】 ですから、私どもが作った案につきまして、この場で御意見をお伺いするということです。

【松野委員長】 それを我々の責任で、我々の意見はこうだよということを大臣に上げるわけですね。ですから、我々の意見として、行政に役立つような研究をやった方がいいよ、そういう目標を立てましょうということをいっているんですね。

【松井環境研究技術室長】 はい。

【佐和委員】 3ページの「環境研究に関する業務」というところに今おっしゃった点が書かれて、前回から修文されていますね。

【松井環境研究技術室長】 よろしければ、資料3に基づきまして、今回どのように修文したかご説明したいと思います。

【松野委員長】 いろいろと事前に大きな疑問点が出てくれば、今度は順々にやっていくときに役立つと思います。ほかにそういうことで何かありますでしょうか。
 よろしければ、今言われたようなことを頭に入れておいて、中期目標、中期計画の改訂案について、これでいいかどうか。

【松井環境研究技術室長】 それでは、資料3を御覧いただきたいと思います。これは、前回、2月26日にお示ししたものの変更部分については、見え消しの形で記述させていただいております。
 今回の変更点でございますが、1つは、前回、各委員の先生方からいただいた御意見、文書によるものを含めてございます。それらを反映したというところと、もう1点は、中央省庁等改革推進本部事務局からの指示が何点かございまして、1つは、数値目標が全体的に足りない。可能な限り定量的に定め、法人の達成すべき水準が具体的に客観的に示されることが必要であるという意見を頂戴しております。それから、内部組織については、法人の理事長が自由に定められるのが独立行政法人の本旨であり、目標とか計画にそのようなことを記載するのは適当でない。また、職員の勤務条件等については、労使間の団体交渉により決まる事項であり、処遇であるとかインセンティブといったようなことを想起させる表現は不適当、そのような横並びの指示をいただいております。それからもう1点、財政当局からの御指示もございまして、それらを踏まえて訂正したのがこの資料3でございます。
 まず頭の部分は、体裁を整える形でこのような記述といたしました。
 第2の1.のところの「適切な」は、文章表現で、上の方に「効率化」とありますので、「適切な」と改めたものでございます。
 2.のところで3行ほど消してございますが、これは本部事務局からの御指示もございまして、ここのところは、こういうことをやるわけですが、記述としては消してございます。
 その次のページの「また、」以下も、労使間の問題であり、団体交渉の問題にまで立ち入っているということもございまして、ここは削除いたしました。
 4.のところでございますが、「(なお、……)」として目標の数値を入れたわけでございます。ここはなるべく具体的な目標を可能な限り入れろという指示がございまして、このようなものをここに入れさせていただきました。
 また、5.のところでございますが、ここでも下の方に「運営費交付金に係る業務費の毎年少なくとも1%相当の削減に努める。」と、このような目標を入れたものでございます。
 3ページに入りまして、冒頭、随分書き加えてございますが、これは佐野委員からの御指摘がございまして、理念的なものを冒頭に書けないかという御指摘でございましたが、冒頭には据わりがなかなかつかないこともありまして、第3の頭に理念的なものを記述させていただきました。中には、後段のところで書いたものもございまして、それらは一部については、前の方に持ってきて、この中に整理したものでございます。
 第一のところでございますが、「国内はもとより国外からも高い評価が得られるような質の高い研究成果が上げられるよう努めることとする。」と。
 第二でございますが、これは長期的な観点、短期的な観点について適用できるようにという御指摘、これは他の先生からも御指摘をいただいておりますけれども、「本中期目標の期間を超えた対応が必要な分野や地道な蓄積が必要な分野については、長期的視点に立った基盤的な研究や先行先導的な研究を行うとともに、緊急な対策が必要となる新しい環境問題が生じた場合に、その問題に関する研究に迅速かつ重点的に取り組むなど柔軟性のある対応を行う。」という記述をいたしました。
 第三のところは、以前後ろに書いていたものを前に持ってまいりまして、「ネットワークを構築し、その中核となるセンターとしての機能を果たす。」ということを書きました。
 第四も基本的には後ろにあったものでございますが、「環境政策の企画・立案・実施や、国民、事業者等による環境保全活動の実施に必要な知見を提供できるような研究成果を上げるよう努める。」と。
 第五として、「正確かつ分かりやすい環境情報の提供に努める。」と。
 この5点を第3の冒頭に書かせていただきました。
 1.の(1)でございますが、この部分は、理念の方に書きましたので、ここのところは記述を少し変えてございます。
 次の4ページ目でございますが、「また、」以下のところは、前段の理念のところで整理いたしましたので、4行弱削除いたしまして、その関係で書きぶりを若干変更いたしました。
 ここのところで、先ほど高月先生からもお話がございましたが、重点研究分野として[1]~[7]として掲げまして、それについて重点課題として、5ページでございますが、[1]の「地球温暖化の影響評価と対策効果」、こういったものを書いてございます。この点につきましては前回と同じでございます。特段の変更は加えてございません。
 それから、7ページの「基盤的調査・研究」のところで少し整理をつけさせていただきまして、5ページのア.で「重点課題」としていろいろ掲げてあるわけでございます。6ページのイ.で「政策対応型調査・研究」ということで、ここは「循環型社会形成推進・廃棄物管理に関する調査・研究」と「化学物質環境リスクに関する調査・研究」の2点を挙げているわけでございますが、ウ.の部分につきましては、ア.、イ.の研究以外のものをここのところで整理させていただくということで、基盤的な研究や創造的、先導的な調査・研究、先駆け的になるような研究についてもここで書く。それから、ア.、イ.の研究以外の重点研究分野に係るものをここで読めるような形にしまして、その充実に努めるということをここで書かせていただきました。
 8ページに入りますが、「知的研究基盤」のところで、ここにも数値的な目標が必要であるという御指示もございまして、「環境微生物1,500株の保存」といったようなことをここに記述してございます。
 (5)のところは、先生方の御指摘もありまして、整理がちょっと悪かった点を直しました。また、目標につきましては、2月26日の段階では数で記載させていただいたのですが、ここでは前の5年間に比べて合計件数の1割増とするような形に記述ぶりを変更させていただきました。
 8ページの一番下の「いわば、……」のところは、理念のところで記述したことによる整理でございます。
 9ページのところでは、情報についても数値目標に準ずるものが必要であるということで、「中期目標期間中に5種類以上の環境質測定データを本システムに搭載する」ということを書かせていただきました。
 第4のところでございますが、ここも体制云々ということについては書きぶりを改めろという指示がございまして、第4の1.のような変更を行うとともに、4%の書きぶりについても若干の修正を行っております。
 2.の「業務費削減の努力等」でございますが、これは第2の5.で既に書きましたので、重複を避けるためにここは削除しております。
 最後になりますが、「人事に関する計画」のところは、理事長の権限に制限を加えることになるということもございまして、ここは削除いたしました。
 そのような形で、2月26日にお示ししたものに修正を加えてございます。

【高木国環研主任研究企画官】 資料4の計画の方でございます。
 まず1ページ目でございますが、1.のところで「業務の質の向上を図りつつ、」と、これは加藤委員の意見を反映して加えさせていただきました。
 1ページ目の下の方、2.の「人材の効率的な活用」のところで、2つ目のポツの「公募等により、」と3つ目のポツと4つ目のポツの「とともに、その結果を処遇に反映させる」ということにつきましては、目標の方を受けまして、あるいは中央省庁等改革推進本部からの指摘で削除させていただいております。
 2ページ目の3.の「財務の効率化」につきましては、目標の方を反映した形で記述させていただいております。
 3ページ目の6.でございますが、[1]の「研究の実施にあたっては、」というところの3つ目のポツで研究評価委員会とか、[2]で内部の委員会の設置とか、[3]で理事長の諮問による機関という記述につきましては、内部の独法が理事長の裁量で行うことであるということで、書くのは好ましくないという指摘がございましたので、そこについては削除させていただいております。
 3ページ目の第2のところでございますが、最初の柱書きに「中期目標に掲げる基本理念に沿って、環境研究業務及び環境情報の収集・整理・提供業務の一層の充実を図る。」ということで、理念の方の記述でございます。
 1.(1)の「環境研究の充実」につきましては、「質の高い」というのは、加藤委員の意見を反映させていただいたものでございます。その後に、長期的視点に立った研究や短期的なニーズの研究とかということで、長期、短期のことについて記述させていただいております。
 4ページ目、5ページ目は変更はございません。
 6ページ目でございますが、ウ.の「基盤的調査・研究」のところに「長期的な視点に立って、」という言葉を入れるために、文章の再構成をさせていただいております。
 7ページの上の記述につきましては、先ほどございました目標の方の記述に合わせた記述にさせていただいております。
 8ページ目でございますが、上の方の[1]の「環境情報提供システム整備運用業務」のところで下線の引いてある部分につきましては、下の見え消しの部分より具体的に分かりやすく書かせていただいたという修正でございます。
 [2]の方は、数値目標を入れる必要があるということで、目標を受けまして、「5種類以上のデータについて、本システムへ搭載する」という記述を付け加えさせていただいております。
 第3以降は、前回間に合いませんで、新たな部分でございますので、斉藤総務部長から御説明させていただきたいと思います。

【斉藤国環研総務部長】 それでは、引き続きまして、第3のところを御説明させていただきます。財政当局ともずっと調整してまいりまして、今日御報告申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、予算でございますが、これが平成13~17年度の5年間の収支予算でございます。
 収入でございますが、大きく3種類ございまして、独立行政法人国立環境研究所運営費交付金、これは業務運営に必要な資金でございまして、下の支出の業務経費、人件費、一般管理費などの財源として国が支出する交付金でございます。先ほど局長からお話がございましたように、渡し切りの交付金ということで、1項1目を立てて、この積算はないということで、自由にその中で情勢に応じて執行できるという形になっておりますが、この金額を488億4,900万円と見積もっております。
 それから、独立行政法人国立環境研究所施設整備費補助金でございます。こちらの方は業務運営とは違いまして、施設整備に係るお金で、国債発行対象経費というものでございます。こちらの方は補助金でございますので、補助金適化法の適用になるわりと硬いお金になりますが、18億5,900万円でございます。
 受託収入でございますが、これは外部より研究を受託したり検査を受託したりというようなときにいただく収入でございまして、175億7,600万円。
 収入の合計は682億8,400万円としております。
 運営費交付金の算定ルールが下の(注)にございます。予算措置の5年間のものをどうやって決めるかということにつきましては、2タイプございまして、総額を国庫債務負担行為としてびしっと決めてしまうという方式と、ルールを定めまして、計画期間中、財政当局と毎年度ルールの具体的な適用で予算額を決めていくという方法でございますが、こちらはルール方式を採用させていただいております。算定ルールでございますが、人件費につきましては、平成13年度の人件費をベースといたしまして、昇給原資率、給与改善率、退職手当は、定年の方等の積み上げということでございます。
 (注)の2の業務経費でございます。業務経費は、一般管理費、研究費等の業務経費、大型施設の運営経費等にγ、δ、πを掛けておりますけれども、消費者物価指数、効率化係数、政策係数。効率化係数は、先ほど目標の方で業務費について毎年1%程度の削減をするということで、効率化の努力をいたします。主に省エネルギー、物品一括購入等で対応することにしております。政策係数は、今後の政策に応えるための増分ということでございます。ここでは2.8%という係数を置いて計算いたしております。それからCを足しておりますが、これは衛星による地球環境観測経費でございまして、これは大変大きい金額になりますので、計画に基づく積み上げということで算出いたしております。
 このような形でセットいたしまして、9ページに戻っていただきますと、業務経費として、主に研究関係、環境情報関係の業務に318億7,300万円。施設整備費については、上の補助金の見合いで18億5,900万円。受託経費についても、上の受託収入の見合いで175億7,600万円。人件費については145億4,500万円。一般管理費が24億3,100万円ということで、収支均衡するという形の組み方をしております。
 次に11ページでございますが、収支計画でございます。収支計画は、先ほどのと違いまして、費用が先行するということで、費用の部が先にありまして、収益の部が次にくるということでございます。考え方としては、独立行政法人の業務運営に必要な費用をどのように賄っていくかということで、損益計算書の考え方が独法の会計基準でとられているということで、こういう組み立て方になっております。
 まず費用の部でございますが、経常費用、これは予算の先ほどの研究業務費等から有形固定資産の計上額を削ったものとなっております。研究業務費、受託業務費、人件費、一般管理費、減価償却費が29億6,700万円ということでございます。財務費用と臨時損失はいずれもゼロと置いております。当然、資金運用をしていく過程で銀行からの短期借り入れがあろうかと思いますが、今のところ、100万円単位ほどの見積もりは難しいということで、ゼロと置いております。特に有形固定資産の除却損はないということで、臨時損失はゼロと考えております。
 収益の部でございますが、運営費交付金の収益、受託収入、寄付金の収益でございますが、この制度はつくりたいと思いますが、今のところまだ明確に見込めないということで、ゼロと置かせていただいております。それから、減価償却費に対応する形で資産見返物品受贈額戻入、資産見返運営費交付金戻入ということで、この期間中に減価償却する見合いの分を収益として立てるというもので、ここに17億と12億6,400万円を入れさせていただいております。それから純利益と目的積立金取崩額、総利益、いずれもゼロと置かせていただいておりますが、独立行政法人の考え方として、基本的には利益を目的としない、運営費交付金を国が支給するという考え方で、一応問題なくこの独法が運営されますと、損益はゼロになるという考え方が損益計算の仕組みでございますので、それに立って、ゼロという形で置かせていただいております。
 (注)の4でございますが、退職手当につきましては、役員退職手当支給基準、国家公務員退職手当法に基づいて支給いたしますが、その全額について、運営費交付金を財源とするという形で、運営費交付金の積算の中に入れさせていただいておりまして、特に受託収益だけで作業する受託費事業支弁職員を予定しておりませんので、引当金は積んでいないということでございます。
 次のページが資金計画で、キャッシュフローの関係でございます。まず資金支出でございますが、活動に応じまして、業務活動、投資活動、財務活動の3つに分けて支出を計算いたしております。
 まず業務活動による支出でございますが、635億3,900万円。中身としましては、研究業務、受託業務、その他経費ということで、その他経費は人件費と一般管理費が入っております。
 投資活動による支出でございますが、ここでは運営費交付金等による有形固定資産の購入と施設整備補助金による施設整備という分を入れた47億4,200万円でございます。
 財務活動はゼロと置かせていただいておりまして、次期中期目標の期間への繰越金につきましては、最終年度の職員の3月分の超過勤務手当分が300万円ほど翌月払うということで、繰越金となっております。
 それから資金収入でございますが、それぞれ業務活動、投資活動、財務活動による収入として計上いたしております。
 13ページでございます。短期借入金の限度額でございますが、独法は中期計画に定めました限度額の範囲で銀行から短期借り入れができるということになっております。この理由としまして、運営費交付金の交付状況による資金不足。分割交付になると思いますので、その間、研究支出の間でそごが出たときには借り入れ等で対処する必要があると。それから、受託費による資金不足でございますが、精算払いとなりますと、年度末までに資金が出ていきますので、その不足分です。それから、緊急に災害等があった場合に対応するための資金不足ということでございます。23億円というのは、中期計画の予算額は全体で682億円を見込んでおりますが、これの60カ月の2カ月分を見込んでおります。
 第5は、「重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画」となっております。譲渡の予定はありません。担保でございますが、短期借り入れをする場合に担保をどうするかということが問題でございますが、私どものメインバンクとして常陽銀行を予定させていただきますが、30億程度までであれば無担保で貸していただけるというお話ですので、ここでは「なし」と書かせていただいております。
 第6は「剰余金の使途」でございます。損益計算において利益が生じたときには、まず欠損があれば、それを埋めて、その後、大臣の承認を得た範囲で自由に使えるということになっております。この使途をあらかじめ決めておかなければいけないというのが第6でございます。当然、本体業務については、運営費交付金の業務費として与えられるわけでございますので、それにかからないようなものということで、研究成果の普及、発表会、ワークショップ等、当然やる業務ではない、臨時に使途が出た場合にはやれるというもの、また、設備等の追加的に必要となるものということで、この調達費を予定いたしております。
 次の14ページでございます。第7の「その他業務運営に関する事項」。(1)施設・整備に関する計画でございます。平成13年度から平成17年度内に取得・整備する施設について計上しなければならないということでございますが、まず施設でございます。施設につきましては、平成11年度補正から12年度補正まで、それから12年度の官庁営繕費、国土交通省のお金でございますが、これでそれぞれ廃棄物・リサイクリング総合研究棟、バイオ・エコエンジニアリング研究施設、有害物質分解微生物棟が現在着工中でございますので、当初出資には間に合わないということで、立ち上がった段階で現物出資をしていただくという金額が入っております。そのほかに廃棄物処理施設等老朽化施設更新、ディーゼル排ガスの実態計測施設装置、CO2 吸収源研究用の実験施設整備というものが追加で現物出資していただくことになっております。現在工事中でございます。
 設備予算でございますが、修繕等の計画に基づきまして、計画的に補修していくということで、建築のところでは屋上防水整備等、電気設備では、制御盤、整流器更新等、機械設備では、空調機、熱交換器等更新ということで、施設整備費補助金を予定しております。それから、ネットワーク設備で、つくばのいろいろな研究機関のスーパーコンピュータをWANでつなぐというものが入っておりますので、この補助金5,000万円。これらが施設整備費でございます。
 それから、研究設備としまして、重点プロジェクト研究、政策対応型研究等、運営費交付金で必要な研究の備品を買うというものが9億2,700万円計上させていただいております。
 (2)人事に関する計画でございますが、中央省庁等改革推進本部からの指示によりまして、些細にわたる事項は、独法の自主性を尊重するということから、削らせていただいております。
 なお、(参考1)のところで、277名が274名となっておりますが、ここは私どものミスでございまして、当初は役職員の総計を入れておりましたが、職員数でございましたので、理事さんと理事長さんの3名分は補正させていただいて、3名少なくなっているという形でございます。
 以上でございます。

【松野委員長】 大変大量な話ですが、今の数字が出てくるような話は、ややこしい面もありまして、ごっちゃになってもいけませんので、もし今すぐ聞いておかないと心配だということがなければ、しばらくの時間は目標と計画の方に使いたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、収支計画等は後回しにして、目標と計画について、前回の案に対して、いろいろな意見を入れて修正案を出されておりますが、スケジュールとしては、今日で大体終わりにしたい、できれば決めるという方向で考えておりますので、御意見がありましたらぜひお伺いしたいと思います。

【坂本委員】 全体の目標は、法律に縛られてこういう順序で書かなければいけないのだと思うのですが、先ほどいろいろ御意見があったような形のフロー図みたいなものを例えば参考資料として付けるようなことはできないのでしょうか。そういうものがあれば、全体のどういうものをやろうとするためにどういう部分が効率的に、どういう部分がそれに関わるのかという関係が非常に分かりやすくなると思うんです。これは先ほどのお話ですと、あくまで法律で決まっている部分で、こういう順番で書かなければいけないというような形でこうなっているというお話だったと思うのですが。

【松井環境研究技術室長】 フローというのはどういうものか、私ちょっと理解できないのですが、どういう御趣旨のものでしょうか。

【坂本委員】 例えば、今、書く順番はこうなっていますけれども、やろうとするものが一番上にあって、横からそこへ別のものが関係して入ってくるようないろいろな箱があって、そこから線を引くような形のものです。一番やりたいものは、先ほどの3ページにある内容のものですね。

【松井環境研究技術室長】 はい。ここに明確に書いてございますが。

【坂本委員】 その中のどういう部分に関わるところが今のそれぞれの項目に対応するか。

【松井環境研究技術室長】 それをこの目標の参考としてということでございますか。

【坂本委員】 中期目標・計画は、ある限られた人たちが見るだけでいいものなのか、それとも、もう少し広い人たちに見せるものなのかという観点が恐らくあると思います。そうした場合に、資料としてそういったものがあった方がいいのではないか。我々自身も分かりやすいかなという気がします。

【松井環境研究技術室長】 この目標の中がどうかということは別として、分かりやすい形でお示しするのは必要だと思いますので、それは検討させていただきます。

【松野委員長】 今はちょっと間に合わないのですが。

【佐和委員】 先ほどの収支計画の御説明の中で、一番不確定な要素というのは受託収入ですね。この中期目標の中にも第4の1.のところに「受託収入(競争的資金及び受託業務収入)」とございますね。この170億という見通しは、どういうふうにして立てられたのか。

【斉藤国環研総務部長】 受託収入につきましては、平成13年度が32億円ということで。

【佐和委員】 それは環境省からですか。

【斉藤国環研総務部長】 はい。それから競争的資金として文部科学省の科学技術振興調整費とか、地球環境研究総合推進費は環境省からございます。それから各受託費としまして環境省からいただくものがございます。

【佐和委員】 1年間に32億円ですか。

【斉藤国環研総務部長】 そうです。

【佐和委員】 5年間だと、それで約150~160億いくわけですね。

【斉藤国環研総務部長】 そうですね。それで4%強の伸びで伸ばしていくという目標の指示がございます。

【佐和委員】 つまり、これを拝見したときに、競争的資金で、これは文部科学省の科学研究費ですね。170億のかなりのパーセンテージを占めると思うたんです。そうすると、これは本当に大丈夫かなという気がするではありませんか。だけど、確定部分というのは大きいわけですね。親もとからいただく、そういうことですね。

【斉藤国環研総務部長】 内訳としまして、約32億のうち22億ぐらいが競争的資金で、これは大体実績なんです。

【佐和委員】 32億のうち、1年で22億も競争的資金ですか。

【斉藤国環研総務部長】 はい。過去の平均的なものが大体その数字になっております。
それと10億ぐらいが別途環境省の方から受託でいただけるものです。

【佐和委員】 さっきの御説明をちょっと誤解しておりました。少なくとも3分の2見当が競争的資金ですか。

【斉藤国環研総務部長】 はい。

【松野委員長】 先ほど坂本委員からお話がありましたように、ちょっと分かりにくいということがあるのですが、1つは、これに対して我々は意見を言うんですね。意見を言うというのは、具体的にはどういうことになるのでしょうか。ちょっと勘違いしたのは、普通の審議会などで諮問を受けたときは、ゼロから出発して、答申を出しますね。それが本来ゼロで、事務局が代わりに案を作ってくださるのですが、これは大臣が決めるときに意見を聴いているので、事務局がやっておられるのは、大臣に代わっての原案なんですね。それに対して我々は意見を言うということのようですから。

【松井環境研究技術室長】 そういう面で、2月26日に開催したときに当初の案をお示しいたしまして、それについて御意見を伺って、26日の段階と、文書でいただいたものの中で反映させていただくものについては既にこの中に入れ込んでいるということでございます。

【松野委員長】 最終のアウトプットはどうなんでしょうか。そういうことを通じて決めるということであって、いま坂本委員がおっしゃったように、何か意見を言うとすれば、そういったことですよね。このプロシージャーそのものとか、先ほど来出ているようなことに関してせっかくこういうことがあったのですから、そういう形で、直接これとは関係ないんですが、一般的な効率とか研究における効率とか、そういうことに関しての意見はあるわけですね。

【松井環境研究技術室長】 その部分につきましては、本体そのものを修正するということではなくて、そもそも「研究業務における効率化」とはどういうことなのかということについて、先生方の御意見をお聴きしましたし、この席で皆さん大体同じような方向で考えているのではないかと思いますが。

【松野委員長】 それは何か反映の仕方があるのですか、それとも、これは出された原案に対して具体的な修正を行うのですか。

【松井環境研究技術室長】 効率化につきましてさらに何か加えるということは特に事務局としては考えておりません。

【松野委員長】 坂本委員、何かお考えがありますでしょうか。さっき言われたように、確かに分かりにくいので。

【坂本委員】 法律の縛りの問題があるから、とりあえずはこれでいいとしても、その後の段階でそういったことをぜひやっていただかないと、やろうとしていることがもっと見える形になった方がいいかと思います。

【青山総務課長】 御意見は御意見としまして、文書編と、分かりやすくお示しするという部分は、付属資料みたいな形できちっとフローチャートを作らせていただければと思います。いずれにしても、効率化の議論というのは、前回も御議論が出ておりましたので、その旨、私どもは勘案したいと思っております。

【松野委員長】 1つ大きなところは、先ほどの総務省か何かの関係で、雇用関係に関するところは、余り作る人を縛るようなものは書かないと。そのほかに、目標に関して、3ページに前文的なことがありますね。これは委員の方の御意見に対応してですか。

【松井環境研究技術室長】 佐野委員から、理念的なものを書いたらいいのではないか、それも冒頭に書くべきではないかという御意見だったのですが、冒頭のところは、川口大臣で、次のとおり定めるというものを入れましたので、ここには入らないということで、第3の頭にこういう形で整理したものでございます。

【柘植委員】 先ほどからの佐和先生のお話、研究の効率化というのは、矛盾するということについて、まさに本質だと思うのですが、中期目標は、そのあたり非常によく書かれているのではないかと思います。特に第2のところに「効率化と研究の充実の両立」という言葉を使われているのは、それを意識したことで、かなりきちっと書かれているし、「適切」という言葉を使われたのは、理事長の責任にかかっていることが、この中期目標としての骨子というか、大きなバックボーンになっていると思います。それ以下は、それぞれ理念が書かれておりますし、私は、先ほどからの佐和委員の御指摘の大きな研究の質と効率の矛盾点については、理事長の責任にかかっていることが中期目標としてきちっと書かれています。非常に厳しいわけでしょうが、中期目標はよく書かれていると思います。
 あとは、この文章ではないのですが、マネジメントの中でぜひ検討していただきたいと思うのは、佐野委員の意見の中に、IP、知的生産のことが書いてありまして、回答に、「現象解明等、知的所有権の獲得には直接つながりにくい研究がほとんどであるが、……獲得してまいりたい」と書いてあるのですが、私、いろいろ外国と付き合っていますと、外国の国立研究所の情報というのは、ガバメントの金が入ったものについて非常にクラリファイされていまして、この国研自身の成果全体が立派なIPになってくると思います。
それが公開という形で国の外も含めて出ていっている。これは人類の幸せに役立つものはそういう趣旨だと思うのですが、これは理事長の権限と責任の範囲のことを申し上げていると認識しているのですが、重要な知的所有権というものは何らかの形で積み重ねていき、かつ、それは環境研究所の財産として、場合によってはお金にも換算していけるような仕組みづくりがあってしかるべきではないか。外国と付き合っていると、その辺のハンディキャップを感じる次第です。これは中期目標とは関係ない意見なんですが。

【合志国環研副所長】 確かにその点は、重要と思います。研究所は今まで現象解明ということが第一義的な目的になっていました。知的所有権といっても、特許という形のものでございますが、それについては、それを目標に研究開発するという部分は比較的少ない。技術開発の部分がございます。それについてはまさに該当するわけですが。そういうことで、第1順位としては、知的所有権ということを掲げることはしないということを申し上げました。もちろん、いろいろな意味でサイエンスのフロンティアをいきますので、活かせるものは非常に多いと思いますし、それをオープンにして、また、知的所有権として主張していくことは大変大事だと思っておりますので、ぜひそれは努めたいと思っております。


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