第2回環境省独立行政法人評価委員会会議録

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【松野委員長】 私から質問ですが、目標の4ページの[2]の最後のパラグラフに「さらに、環境省が開催する各種の諮問会議等に職員を委員として参画させること」とありますが、この主体は大臣ですか。しかし、独立行政法人で分かれているところに参画を求めるとか、推奨するとか、何かおかしいと思うのですが。

【鈴木委員】 数値目標というのが出てきて、何となくぎくしゃくした数値が並んでいる感じがするので余り気に入らないのですが、しょうがない、書かなければならないとすれば、弾力をもった形で扱えるような書き方をしないといけないのではないかと思います。
 例えば「成果の普及」のところと「環境情報の収集・整理・提供に関する業務」のところの並びが悪くて、結局、例えば民博がやっているような、対外的なサポートする会みたいなものができて、そこのメンバーに優先的に送る。既存の博物館なら博物館にどんな活動がどんなふうになされているかを一般に分かるような形で定期的に情報を流している。
そういう仕事の仕方もあるわけですね。国立環境研究所でやられているいろいろな仕事が、どんな面白いことが、あるいはどんな難しいことが、あるいはどんな困ったことがどういうふうに見つかって、どうなったのかということをもっと一般向けに分かるような形の情報の展開のさせ方が、「成果の普及」と「環境情報の収集・整理・提供に関する業務」のところには書いてないんです。そこのところに、単にインターネットを介して国民に提供するのではなくて、もう1つ手が入った仕事が入り用だと思うんです。これまで出ている国環研のニュースとかCGERニュースとかは、そういう意味で、前に私も申し上げたことがあるのですが、決して十分ではない。非常に硬くて、内々の仲間には分かるけれども、一般向けにはどんな意味があるのかよく分からないということがあるわけで、その辺もぜひ配慮していただきたいと思っています。さっき寄付の話が出ましたが、実際にサポートする会みたいなものができていれば、それが同時に寄付の問題につながってくるような部分もあるのではないかと思います。
 総体としては、前回拝見したものより随分よくなっていると思います。研究所のフレキシビリティに十分よく配慮されている部分があるなと感心して拝見しましたが、今の部分に関してはちょっと書きぶりが悪いなと思いました。

【松井環境研究技術室長】 分かりました。検討させていただきたいと思います。

【高木委員】 私も数値目標についてなんですが、8ページの上の「知的研究基盤」のところで、非常に有用なところが目標とされていると思うのですが、なぜ1,500株とか、200種とか、50種なのか。私はこれは国家戦略的な意味合いでも非常に重要なところだと思うのですが、キャパシティの問題がこういった数になっているようなんですが、それはそれとしまして、その辺のところがなぜかということが示されないと、目標としてお示しするときにいかがかなと思いました。

【松井環境研究技術室長】 実はこの数値につきましては、国環研と相談の上で入れておりまして、高木主任の方からお願いします。

【高木国環研主任研究企画官】 まず、環境微生物につきましては、今現在、微生物の保存施設の方で1,000株ほど保存されておりますので、今後5年間では大体1,500株ぐらいに増やしていくことができるのではないかということで、1つの目標として掲げてございます。
 それから、野生生物の体細胞とか、他の水生生物50種とかというようなものも、5年間でどれだけのことができるかということを勘案して、これぐらいだったら目標としてやっていけるのではないかということで出させていただいている次第でございます。

【森下委員】 この場合の野生生物というのは、植物ですか、動物ですか。環境微生物と野生生物と水生植物に分けられた根拠になるものは何ですか。

【高木国環研主任研究企画官】 微生物につきましては、それぞれ保存の仕方が違うというのでしょうか。今、微生物をターゲットとしてやっている分野と、今後、野生生物、これは動物、植物を含めたものだと思うのですが、そういった体細胞や生殖細胞、遺伝子の保存を今後進めていくということ。それから、水生生物につきましても、絶滅の危機に瀕している種を中心に今後やっていきたいということで、環境微生物の方は現在やっておりますから、それと分けて、野生生物、水生植物ということで書かせていただいたということでございます。計画の方では、一番最後のページに付いている別紙4で同様の記載をしてございます。

【大沢委員】 今のことと関係するのですが、ここに挙がっているいろいろな項目が、当面5年間だけを目標として、それ以後は広げていくとか、そういう前提でこういう書き方をされているのか、その辺がよく分からないのです。例えば中期計画の4ページの(2) の[4]、「多様な自然環境の保全と持続可能な利用」というところに2つ項目が挙がっています。上の生物多様性の減少の方はいいと思うのですが、それ以外に「陸域生態系構造と機能」というものだけが挙がっていて、例えば水域とか海域とかは全然やらないのかとか、そういう一貫性がないといいますか、たまたま人材の関係でそういう項目だけしか挙げられないからそういうふうにしているのか、その辺が、現状に余りに固執しているのかなという印象をちょっと受けるのです。例えば水域に関しては、その次の「都市域の環境対策」のところに、「湖沼・海域環境の保全に関する研究」あるいは「流域圏の総合的環境管理」というのが入っていますけれども、これは必ずしも都市域とは限らないと思うし、そういう意味で整合性がはっきりしないところがあるのですが。

【高木国環研主任研究企画官】 4ページの重点研究分野につきましては、まず最初に修正させていただきたいのですが、[4]の2つ目の「陸域生態系」の「陸域」という言葉は、入っていたのですが、最終的には取っておりまして、陸域以外も対象とできるような形になっております。これは私どものミスでございます。
 ここに掲げております研究は、全部26ほどございますが、これは今後5年間に重点的に取り組んでいく研究分野ということで掲げてございまして、これ以外の研究を全くやってはいけないとか、やらないということではなくて、研究所としては、こういう分野を重点としてやっていきたいということでございます。いずれにしても、先ほどの微生物の保存とか、そういったことにつきましても数値目標で示しておりますが、それは今後5年間でどれだけやっていくかということでございますので、その後、継続的にもちろんやっていくことにしておりますが、5年という期間を切った場合にこれぐらいをやっていこうという目標ないし計画というふうに御理解いただければと思います。

【松野委員長】 いかがでしょうか。

【森下委員】 全体にどれぐらいあって、それを5年間のうちにどうするかということと、水生植物が野生生物ではないのか、計画の中の文章で、例えば資料3の6ページには「生態系機能のモデル化」というのがあるのですが、研究の方は「生態系の構造と機能」となっている。そのあたりの文言を分かりやすいように少し整理していただけますか。

【高木国環研主任研究企画官】 はい。

【大沢臨時委員】 ひょっとすると、前回その辺のところの議論が既にあったのかもしれませんが、国立環境研究所が独立行政法人化したことによって、ここで挙げられたいろいろな業績なり何なりをどういう人たちに提供しようとするのかといいますか、一般的な大学の研究成果と同じように、単に研究者がそこに集団としていて、一研究機関としての意味づけなのか。先ほどの「成果の普及」とか「環境情報の提供」とかというところと絡んできて、具体的にそこで挙げられた成果というのが、どういう対象に最も提供しようとするのか。一般的に学会に提供するということがもちろんあると思うのですが、その辺について、今までと全く変わらないというのだったら、それはそれでいいのですが、それによって、例えば成果の普及の仕方とか、公表の仕方とか、インターネットを通じて公表するとか、そういうあり方も変わってくると思います。例えば一般のコンサルタントとか環境関係のいろいろな業種の方も増えているわけで、そういう人たちにもいろいろな情報を積極的に提供しようとするようにするのかとか、新しく組織的に変わったことによって何か本質的に変わった部分があるのかないのか、それをお答えいただきたい。

【大井国立環境研究所長】 この点につきましては、先ほど鈴木委員からの御指摘もございましたが、私たちがこれから手を着けることができるものとしては、環境研究所の研究活動に関心を持ち、また支持してくださるような個人あるいは団体をもう少し組織化して、例えば博物館の活動を支持するような方に対しては、外国の博物館などでは特別の情報を提供することを定期的に行っておりますが、それは私たちも考えております。それ以上のことについては、できる限りのことをこれからやっていくという点では、積極的には考えております。

【山田審議官】 もう1つ、これは庁が省になったことと併せてなんですが、廃棄物・リサイクルの現業が入ってきまして、国立公衆衛生院の廃棄物セクションも国立環境研究所に入りまして、そういう意味では、廃棄物・リサイクルということではありますけれども、広く物質投入の循環化という対策技術の面も研究所の守備範囲になっておりますので、そういった意味で産業界とか現場の地方の公設試、そういったところとのリンケージというのも今まで以上に厚くなっていくと思いますので、そういったことも念頭に置いてやってまいりたいと思っております。

【松野委員長】 よろしいでしょうか。
 これからは研究所の計画の方で研究の構成というのが、重点プロジェクト、政策対応型研究、基盤研究、知的研究基盤の整備と、従来もこういう形のことを考えておられたのでしょうか、それとも今回こういう整理の仕方をされるようになったのでしょうか。

【合志国環研副所長】 従来ないものが突然出てきたということではございませんので、従来もアクティビティとしてはございました。ただ、それをそういう形で性格づけを明確にして整理をしているということが主体であります。もちろん、例えば廃棄物のアクティビティは今までなかったわけですから、そういったものは今回新しくなったと言えます。いずれにしても、基本的には少なくとも持っておりましたものをオーガナイズし直して体制を整えるということかと思います。

【松野委員長】 今お話のありました具体的なグルーピングとか、基盤研究とか、そういうのはここには出てこなくて、これがあって、それに対応して、今度は所長、理事長が組織、構造を決めていくことになるのですか。

【合志国環研副所長】 ちょうど先月の末でその作業は完了したところでございます。内部的には、こういう組織を設ける、ついてはどの組織に入ってやりたいかという問合せを全員に出しまして、それでエントリーをしてもらいました。余り大きくなった組織はちょっとアジャストしますし、足りないところは少し補強ということはございましたけれども、基本的には全員が再登録しました。当事者たちにとっては大変な作業であったわけですが、一応それで現在フィックスをしております。それがここにある研究のそれぞれの組織に対応したものになっております。もちろん4月になってからの発令になるわけですが。

【幸田委員】 前回休んでしまいましたので、感想も含めて発言させていただきたいと思います。先ほど所長さんが余りほめないでくださいとおっしゃったのですが、私は、国立環境研究所のこれまでの貢献に大変大きな誇りを感じておりまして、IPCCなどの場合でも世界的な貢献となるような、モデルとなるようなベースをつくっていただいたということを本当にうれしく思っております。今回出ている重点的テーマもすべてこれから間違いなく重要になっていくテーマばかりだと思いますし、生態系の多様性の部分、エコシステムについてもIPCCに負けないすばらしいモデルをぜひ期待したいと思っております。それがまず私の全体的なコメントです。
 1つだけ、これはもう御説明いただいてあるかもしれませんが、資料4の1ページのところに「公募等により、」というのを消してある理由は何なのでしょうか。

【松井環境研究技術室長】 これは冒頭にも申しましたように、中央省庁等改革推進本部事務局から、こういった理事長を縛るような表現はやめてほしいという統一的な指示がございまして、それでやめたものでございます。

【原委員】 前回も欠席いたしまして、また、今日も遅刻して申し訳ございません。きっとたくさん御議論があったことと思うのですが、確認させていただきたいのは、資料3の1ページの第2の「業務運営の効率化に関する事項」というところで、1.の「効率的な業務運営体制の整備」の文章の2行目の「効率的な体制」を「適切な体制」にお変えになったということで、先ほど柘植委員がおほめになっていらっしゃったと思うのですが、ここにおける「適切」というのは、この1.の表題の「効率的な業務運営体制」の「効率的」ということに関して適切なというふうに読むのでしょうか。このお役所言葉の読み方を分かっておきたい。つまり、あくまでもこの行政改革というのは効率、効率ということなのか。でも、中身がちゃんとなるということをどうやって保証していくかというときに、この文言の順番がどうかで、後になって大丈夫と思っていたら、「こういうふうになっているからこうなんです」とか言われることがときどきあるので教えていただきたい。
 次のページの3.の「効率的な施設運用」というところは、「適切な措置を講じる」と、「適切」という言葉が消えずにもともとあったみたいですが、同じことです。教えていただきたいのです。

【松井環境研究技術室長】 前段のところでございますが、これは実は前回も「環境研究の充実・強化も必要である」という先生方の御意見等もありまして、前段の部分は直していないわけではございませんが、効率化だけではなしに、環境研究の充実・強化も必要である、したがって、その両立を図るために適切な体制の確立を図るという形で、ここのところは「適切な」と改めたものでございます。
 後段のところも、この趣旨としましては、国立環境研究所には大型の施設等をいくつか持っておりまして、こういったものについて稼働状況に余裕のある場合には、貸し出すとか、そういった有効活用を図ることを適切に措置していきなさいということをここに書かせていただいたものでございます。

【原委員】 例のハワイの潜水艦みたいに、効率的に一般の人がそれを見に来ることで、今度は機械の操作その他がちゃんとできなくなるということも含めるということは、みんなピリピリしますよね。やはり研究がちゃんと進むということが大事。だけど、一般の方に御理解いただくには施設の見学もサービスしなきゃいけない。そういうことの矛盾もあって、この辺の施設利用というのが、公共図書館もただ開いてしまうと、受験生が全部占めて、お勉強に来たい人が図書が見られなくなったりしているというので、いろいろなことが起こりますね。その種のことは、どう起こるか知りませんが、いろいろ難しいことがあるかなと想像するわけです。

【松井環境研究技術室長】 御指摘のとおりだと思います。まず第1点は、国環研における研究者による研究のためにこういった施設が使われるというのが第一義でございまして、あくまで余裕のある場合に他に使っていただくようなことも考えていくということだと思います。

【松野委員長】 私自身この前、疑問を出した、例の論文数が云々ですが、結局、これは「成果の普及」という文脈の中に完全になっているんですね。それで誰か文句を言う人はいないのですか。

【松井環境研究技術室長】 はい。

【松野委員長】 つまり、「成果の普及」という以外にはそういう形のものは出していないと。

【松井環境研究技術室長】 そこはほかの先生方からも、業績評価をこういった論文数で計ることはいかがなものかという御指摘をいただいておりまして、そういうことではないということでございます。

【松野委員長】 最初から「成果の普及」なんですね。では、なぜ前ああいうふうになっていたのか。今、大学とかですぐそういうことを問題にするものですから気になるのですが、どこかでそういうところにも数値目標を求めるようなものがあって、それにぼやっとちょっとはぐらかして対応していたのではないかという疑いも持つのですが、そんなことはないのですか。

【松井環境研究技術室長】 御指摘の数値目標を入れろという指示は、何度も申しておりますように、本部からかなり強い指示が出ておりますので、それはある程度対応する必要があります。

【松野委員長】 完全にそれに関しては消したということですね。

【松井環境研究技術室長】 研究業績をこの論文数で計るものではないということは理解としてよろしいかと思います。

【松野委員長】 これについては、だいぶ何人かの委員もおっしゃっていたので、そういう考え方がないということであれば、それでいいかと思いますが。
 そのほかにございますか。

【遠藤委員】 先ほどの「公募等により、」というところにも関係してきますが、理事長の裁量にある範囲内のものは書くなという指示が上からあったということなんですが、よく分からないのは、中期目標は大臣が示して、中期計画の方は独立行政法人側がこういう目標でやりますよということを言うわけですね。ですから、そのときに、理事長となるべき方もここにいらっしゃるわけで、その上でこの中期目標が作られているわけですので、この独立行政法人としては、こういうふうにやるのだということを書いてなぜ悪いのかという気がするのですが。これは本部に聞くべきことなんですが、そこのところ、何か御説明があったら伺いたい。

【松井環境研究技術室長】 中期計画も大臣が認可するということになりますので、その観点から適当ではないという御判断のようでございます。

【土屋委員】 これは質問ではなくて要望なんですが、資料4の6ページ、エ.の「知的研究基盤の整備」の[2]のところです。これは大変大切なことだと思います。例えば、精度管理の確保とか、測定方法の統一化とか、そういうことも、新たにこういう仕事を始めるということであれば、ぜひ重視していただきたい。

【高木国環研主任研究企画官】 知的基盤のところにつきましては、先ほどの資料4の一番最後のページの表側、別紙4のところに「環境測定等に関するリファランス・ラボラトリーとしての機能の確保」ということで、今御指摘がありました精度管理の改善の検討とか、分析法のクロスチェック、測定方法の統一化などをやっていきたいと考えております。

【松野委員長】 資料4の15ページに定員のような研究者の数が書いてありますが、 (参考1)として、期初の常勤職員数、常勤職員というのは、今のいわゆる定員でしょうか。そうすると、それがちょうど終わるまでの間に、たまたまでしょうか、ちょうど28減っていますね。そして任期付研究員が28になっているのですが、28減るというのは、定員削減みたいなものがあるのですか。

【斉藤国環研総務部長】 実は、現時点におきましては、国環研の定員が250名でございまして、そこから274に増えるわけでございます。そこは新しいミッションに応じて、廃棄物の研究とか、こういうところに対応するために任期付きの方を25人増員するという予定になっております。その25人の方が5年間の任期付きの方を採用するので、ちょうど任期が終了しまして、期末時点ではその分がセットオフされるという形で、次の中期計画のときにそこはまた議論するということになっております。
 それから、3名ほど、私どもの内部努力で少し事務部門を中心に何とか効率化の努力をしていきたいと考えているところでございます。

【松野委員長】 そういうのはこういう形で出すものなんですか。

【斉藤国環研総務部長】 ここはひな型というのが本部から出ておりまして、ここにはこういう形で書きなさいというのが書かれておりまして、書かないと許していただけない。しかも、いい形で書くようにとなっておりまして、私ども、実害はないような形で書いていると思うのですが、一応この数字を入れさせていただいて、次の中期計画の平成18年度からの分のときにまたこの25名の方を今後新しいミッションとしてどうするかを議論して、できれば支障のないように対応してまいりたいと思っております。

【森下委員】 ここにあげられているのは環境庁のときの人数ですよね。環境省になってどうして増えないのですか。予算も増えているし、規模も大きくなっているし、これだけ重要になってきているのだから、少なくとも5割ぐらい人員が増えてもいいはずではないのですか。動植物の部分が少ないために、アセスの法律ができたのに国環研が対応できるかどうか見通せません。さっき所長がおっしゃったように、これからの情報を国立博物館などにも提供し、一般の人にも提供することによる対応は人を増やさないことには多分無理だと思うんです。種の多様性や生態系の種を扱う範囲は膨大なので、能力があるなしの問題と違う部分があるから、よその機関との連携でいくことも財団などに協力をお願いすることも大切なことだと思いますが、研究所としても位置づけてほしいところです。

【斉藤国環研総務部長】 今年の1月に環境省になりまして、それに応じまして、国立環境研究所も廃棄物研究部をつくりました。そのときに6名の方が公衆衛生院から移籍されまして、その分は増えているのでございますが、実は3名の定員削減があって、純増3でございます。これから25名の方を任期付研究員として入れるということにしておりますが、前の方にも書いてございますが、ポスドクの方を研究費の中から雇っていこうということで、実は昨年の秋から公募しておりまして、この4月から約50名の方を、ドクターを終えられた方々、シニアで、ある程度研究実績のあるフェローの方々を入れようということで、何とかこのミッションをしっかり達成できるようにしていこうと。また、そのほかにも、計画の中にも「リサーチアシスタント」と書いてございますが、若い研究者を入れて、実際、院生の方々も入れて、一緒にやっていければということで、何とか増やしたいと思うのですが、何せこれは行政改革から始まっておりまして、25名増やすというのも、独法になって50以上の機関が移行しているのですが、人が増えたというのは、国環研ともう1つか2つぐらいだと思います。これだけでも財政当局に毎日通ってというところでございますので、何とかそのほかにソフトな形での、研究費から雇える方もお迎えしながらしっかりやっていきたいと考えております。

【青山総務課長】 ちょっと補足いたしますと、定員の話を事務局で申し上げたとおり、かなり厳しいものでありますが、環境省発足当時1,131名でスタートしたのですが、独法化でこれは落ちます。ただ、平成12年度につきましてはプラス111で、平成13年度がプラス68に増員されます。これは他省庁と比べますと、破格の増となっております。それが1つと、今、総務部長が言ったように、25名ということなんですが、これは独法化に伴いまして、交付金の中での人件費分、増員という形になるのですが、いずれにしても、こういう形でお願いしたということです。まさに裏の話を言いましたけれども、予算の編成過程において特別枠ということで別途お願いしたということでありまして、これもある意味で、横並びますと、かなり破格の分になっているのではないかと思います。
しかし、もちろん私どもも足りないと思っておりますので、さらにまた御援助いただきたいと思っております。ただ、この5年間の計画を作るときにおきましては、現在の中でありますと、とっかかりの数字というのは、これぐらいしかありません。したがって、次にどうするかというのは、また次に議論させていただきたいと思っております。

【高月委員】 この評価委員会で、例えば環境研究所が、いま森下委員がおっしゃったように、まだまだ人が足らないというようなことを評価の項目として入れて将来的に何か役に立つことになるのでしょうか。私も大学等の外部評価に携わらせていただくのですが、その場合に必ずそういう人も施設も足らないという項目を入れたりするのですが、そういう意味合いがあるのかどうか。

【松井環境研究技術室長】 評価をいただく際に、そういう御指摘があれば、それは意味合いがあると思いますが、ただ、その後、交付金ということになりますと、財政当局との間の折衝が必要になりますので、そこはなかなか越えるハードルは高いと思いますけれども、評価委員会でそういう形で御提言いただきますれば、そういったものをうまく活用していきたいと考えております。

【青山総務課長】 評価委員会でそういう話すら出ないようなことがありますと困るのではないかという気もいたします。

【松野委員長】 よろしいでしょうか。
 こういう数字的なところ、予算などに関して、分かりにくいというか、事前の知識がないと何とも言えないようなところもありますが、何か特段の御意見がありましたらどうぞ。
 任期付研究者ですが、私自身、地球フロンティアというのも任期付きばっかりだから、それで悩んでいるので、計算をしたら、うまくできているなとは思ったのですが。定員が250人で、平均30年間勤めるとすると、年間の出入りが8人ですね。仮に8人が3年間ポスドクをやるとすると、3×8=24で、それよりプラスマイナスあってもいいわけですが、大体はここで3年ぐらいしっかりやると、テニュアつきになれるというような数にちょうどなっているなと思って見ていたのですが、そんなことは考えられたのですか。
 そういうふうにしないと、いわゆるポスドクで必ずしも不安定な頃、そういう目標というか、いろいろな外国の研究機関は皆そういうのがあっても、どこかで保証のある職に少なくともある程度絞られるけれども、最終的にそうなるという形が多いんですよね。そういうことを特に考えたわけですか。

【合志国環研副所長】 これは私がお答えできるとは思えないほど大きな問題です。これからやはり競争的環境で、いわゆるよりよき場所を求めて努力する、それが研究のモーティブ・フォースになるのだという面がございます。同時に、そういうところでは落ち着いて研究できないということで離れていく人も現実的には随分たくさんおられる。理研などの例でもそういうことは多々伺っております。そういう点からいうと、やはり安心できる環境を極力確保していくことが大事だと思います。ですから、本当はテニュアの者を十分に確保したい。それが確保できるような道をどうやって工夫するかというのは本当に難しいと思います。今おっしゃいましたとおり、任期付きを何回か繰り返せばということもございますし、また、研究者によっては、これは私のほんの個人的な見解ですが、複数の研究機関に属していろいろやってみたいという方も将来的には出てくると思います。そういう方のフレキシブルな勤務対応なども含めて、トータルとして働ける人が増えるようにと思っております。

【松野委員長】 つかぬことですが、この計画というのは、どのぐらいリジッドなんですか。この数まで5年間のを今決めたら、そのままずっといってしまうのですか。

【合志国環研副所長】 これは自由に変えても構わないと私が発言すればきっとしかられることになると思います。ただ、充電に必要があって、その結果としてバイオレートしたときにどのぐらいのペナルティがあるかということを考えてみることは価値があることだと思っております。

【松野委員長】 ほかに御意見ありますでしょうか。

【大沢委員】 先ほどの森下委員の発言とも関係してくるのですが、資料4の5ページに「政策対応型調査・研究」というのがあるのですが、実際に環境省の中には、例えば野生生物保護センターを西表とかヤンバルとか奄美とか屋久島とか、あちこちに設置して、そこで極めて少ない人数で野生生物の保護・管理とか、国立公園の維持とかをやっておられるわけですが、そういうところで現実に、例えば野生生物をどういうふうに保護していったらいいかということで大変苦労されているわけですね。ほとんどの情報が大学の研究者から直接もらうような形でやっておられるような状況なので、例えば環境省が、人間の環境保全ということと同時に、国土の生物多様性の保全ということを掲げているのであれば、そういうことも政策対応型調査・研究というものの中に入ってしかるべきではないかと思うのです。ほかに日本の省庁の中で、農水省が多少そういうことについて関わりを持っているかもしれませんが、それはまた別な目的意識があるわけで、そういう意味で、日本の生物多様性の保全ということについてもう少し政策的にもきちっと対応できるような形での調査・研究に責任を持つべきではないかという気がするのですが。

【松井環境研究技術室長】 中期目標で、そもそも環境行政、政策に対応した調査・研究ということで、循環型社会と化学物質環境リスクが余りにも大きな問題であり、かつ、法律による対応等が行われておりますので、ここでその2つを挙げさせていただきました。
御指摘の生物多様性につきましては、重点研究分野ということで[4]では入れておりますが、環境省はいろいろな幅広いものをやっておりますので、政策対応ということで入れれば、いろいろなものが入ってくるかと思いますけれども、ここでは、いの一番といいますか、循環型と化学物質について政策対応型に入れたということでございます。そういう形での整理にさせていただきました。

【斉藤国環研総務部長】 先ほど森下先生からもお話があったのですが、実は系統微生物の保存ということで、私ども、微生物をずっと保存しまして、年間300件ぐらい、研究者の求めに応じて、アオコの微生物とか、いろいろな保存していたものを頒布しております。今回、その棟の増築をすることになりまして、凍結保存施設とか恒温室とか、いろいろな保存設備のキャパシティが大幅にアップしますので、本省とも話をしまして、絶滅に瀕する生物の遺伝子などもそこで保存する役割をぜひやりたいということで、今連絡をとっているところでございますが、そこは知的基盤の研究の大きな柱ということで、生物多様性センターとも十分連携をとりながら重点分野としてやっていきたいと考えております。

【土屋臨時委員】 資料4の15ページの一番下の方に「NIESリサーチアシスタント制度」と書いてあるのですが、何だかよく分からないので教えてください。

【斉藤国環研総務部長】 NIESは、国立環境研究所の略称でありますが、各省の名前を付けまして、いろいろな契約研究員等の制度をつくっております。国立環境研究所の制度ということで、ポスドクの制度を先ほど申し上げましたが、ポスドクやフェローの制度のほかに、大学院生さんをこういう制度をもって、私どもの方で勉強する費用を支出しながら、院の指導教官とも連携をとりながら、私どもで研究していただくというものをぜひやりたいと思っております。

【松野委員長】 それでは、そろそろまとめて、これに関して意見を聴かれたわけですが、それに対する我々の意見を入れていくつかの修正がなされてきまして、これでよしとするかどうかということで皆さんの御意見を伺いたいのですが、今日新たに付け加わった修正点は、具体的な表現としては、「させる」がありますね。ほかに何かありましたか。

【松井環境研究技術室長】 鈴木委員から御指摘いただいたところを少し検討させていただきたいと思います。
 それから、知的研究基盤のところに「環境微生物」云々と入れたのですが、ここのところの書きぶりを少しこちらの方で検討させていただきたいと思っております。

【松野委員長】 そのような修正を加える。これは今後、事務局と私の方でもちゃんと確認したいと思いますが、そういう修正を加えた上で、この意見を入れたものとしてよろしいでしょうか。
 それでは、そういう修正を加えた上で、この中期目標及び中期計画を大臣に、これで結構でしょうということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 まだ議題がありまして、3番目に業務方法書について、事務局から説明してください。

【斉藤国環研総務部長】 それでは、お手元の資料6で、独立行政法人国立環境研究所業務方法書という規定がございますが、これについて御説明させていただきたいと存じます。
 業務方法書は、独立行政法人が自分の業務をどんなふうにやっていくかということを規定するというのが基本の趣旨でございますが、このほかに、閣議決定された大綱におきまして、業務の委託に関する基準とか、競争入札など契約に関する基本的な事項についても定めることとされておりまして、ややテクニカルな事項も業務方法書の中で一緒に決めなさいということになっております。そういう要請を踏まえながら、検討させていただいたものでございます。
 まず、第1章「総則」でございますが、(目的)は、通則法第28条に基づく基本的な事項を定めるということでございます。
 (業務運営の基本方針)は、個別法の目的がここに書かれておりますが、これらの重要性に鑑み、関係機関と緊密な連携を図り、もってその業務の能率的かつ効果的な運営を期するということでございます。
 (用語)につきましては、個別法の用語によるとしています。
 第2章が「調査及び研究業務に関する事項」でございます。第4条が調査・研究業務の内容でございます。
 第5条が、この調査・研究の成果を普及するときの業務のやり方を書いてございまして、1号が、発表会を開催する。2号が、報告書を作成し頒布する。3号が、特許権など知的所有権を実施させて普及を図っていくこと。それから、技術指導を行うこと。その他必要と認められる方法をもって普及していくということでございます。
 (共同研究)として、第6条でございますが、国環研だけではなくて、他の研究機関、民間等と調査・研究を分担して、お互いの知識とか持っているものを交換し、また、費用を分担しながら行う共同研究について定めております。
 この共同研究については、契約を結んでやるということで、第7条でございますが、この契約では、次の事項を定めるということで、これまでの共同研究契約におきましては、共同研究契約を結びますと、私どものいただいた収入はすべて国庫に入るということできておりましたが、今後は研究所の会計に直入されるということになりますので、新しいものとして、6号でございますが、「共同研究等に要する費用の分担」ということで、適切な費用分担をしながら共同研究を進めるということができようかと思っております。
 第8条が(施設の使用)でございます。
 第3章が情報の業務に関する事項でございます。
 第4章が「業務の委託・受託に関する基準」でございまして、委託に関する事項が10条、11条、12条が委託費の額でございます。
 13条からが受託の方でございまして、「研究所は、依頼に応じて、調査又は研究の実施を受託することができる。」ということでございます。
 14条が、受託契約を結ぶこと、15条が受託費でございます。
 16条が、情報関係業務の委託の場合でございまして、委託の場合の契約、委託費、それから、受託の場合と、その受託の契約、受託費の考え方が書いてございます。
 第5章が「競争入札その他契約に関する事項」で、これは閣議決定に応じて書くことにされているものでございますが、まず第22条で、一般競争契約の原則でございます。
 23条で、競争に加わるべき者が少数というような場合、指名競争入札ということで、指名競争契約を結ぶ。
 24条が、業務の性格に応じて随意契約を結ぶことができる。
 25条が、落札者の決定で、最高又は最低の価格を相手方とする。
 第6章からが研究者の自己収入についての規定を置いております。
 26条が、特許の実施料の話でございます。
 27条が、技術指導でございます。
 28条が、環境標準試料ということで、環境標準試料という、分析をするときの標準となる物質、それから保存しております系統的な微生物とか、こういうものを頒布するときに実費をいただくということでございます。
 29条が(施設使用)でございまして、国環研の施設は我が国でも一流の大型風洞とかございますが、こういうものにかかる電気代とか光熱水料について実費を徴収できるという規定でございます。
 30条は(情報の提供)でございますが、一般的な情報は別にしまして、特に付加価値を高めて、リライトしてもらったようなものをお配りするというようなときに実費分を徴するとか。
 31条が(寄附金)の規定でございますが、「奨励を目的とした寄附金等を受け入れるときは、寄附者の使途の指定等に沿って有効かつ効果的に使用する」という規定を入れております。
 32条は、授権規定でございまして、その他の業務に関する事項を別に定めるということで、4月1日から適用するということでございます。
 この業務方法書につきましては、業務を開始するに先立ってこれを作りまして、大臣の認可を得る。大臣が認可する際には、評価委員会の御意見を聴くということになっているところでございます。
 こういうような内容でこれから業務を実施してまいりたいと考えております。以上でございます。

【松野委員長】 ありがとうございました。
 これもこういう案に対して大臣に意見を言うというのがここの仕事みたいですが、どうでしょうか。

【高木委員】 ちょっとしか目を通していないので、気づいたところだけ申し上げたいと思います。まず、2ページの7条のところで共同研究が入っておりまして、(10)で「共同研究等の結果の取扱の方法」と書かれているのですが、収益がこの共同研究から生じた場合に、その取扱いを明確に書かれた方がよろしいのではないかと感じております。
一部の国立研究所において、その辺が余りきちっとされていないという話を伺っておりますので、その辺のところを御検討いただければと思います。
 それから、委託契約が11条に書かれており、また、14条に受託契約が書かれておりまして、このところでそれぞれ知的所有権の問題とか、結果の取扱の方法というのが記載されているのですが、私が思いますに、通常、委託研究であれば、その成果は常に委託した方が得られる。反対に受託であれば、その成果は基本的に委託者の方にいくというのが基本的な構図だと思うのですが、環境研究所さんの場合には必ずしもそうではないのですか。

【斉藤国環研総務部長】 まず、結果から収益を生じた場合の帰属ということですが、残念ながら、余り収益が出るようなケースがこれまでほとんどなかったということで、思いが及ばなかったのですが、ここは、そういうことがあった場合に争いになるとまずいものですから、検討させていただきたいと思います。
 それから、知的所有権の関係については、一般的におっしゃるとおりだと思います。ただ、知的所有権につきましては、バイ・ドールの関係とか、特許などをうまく使わせるためにいろいろな工夫をしていこうという動きが中央省庁の方でも出ていたりしておりますので、この辺の扱いについては、もし私どもが受託してやった場合でも、こちらがそれについていくらかの関与ができるということであれば、ここで書かせていただければありがたい。一般的にいえば、おっしゃるとおりであろうかと思っております。

【高木委員】 今のお話ということであるならば、所有権の帰属と利用権の扱いとは別にできると思いますので、あえてそれぞれの条の2項において(10)を記述する必要があるのかという疑問があるのですが。例えば、委託研究の場合、委託研究された側がこの条項を見まして、自分たちの方に所有権が帰属できる可能性もあるのかという変な誤解を持たれてしまうのではないかと思うのですが。私の印象として、国の研究機関はその辺が必ずしもきちっとしておらないような印象を持っているものですから、あえてそういうことを申し上げるのです。

【斉藤国環研総務部長】 そういう御指摘を踏まえて、検討させていただきたいと存じます。

【鈴木委員】 今の話とも関連するのですが、これは国内研究機関のことが頭にあって、外国の研究機関と、例えば共同研究をしたり、受託したり、委託を受けたりするような場合に、ここに書いてあるような書き方だけで話がすむかどうかというのがちょっと気になるのです。今の所有権、知的財産の問題等を含めて、国によって随分慣行が違うだろう。だから、そこまでうまくちゃんとさばけるような形になっているかどうか、それは気にしてくださいという感じなんですが。

【斉藤国環研総務部長】 実は、外国の機関から受託を受けるとか、いよいよ国の財政再建とかとなったときは、この辺も考えなきゃいけないとは思っているのでございますが、そこも含めて検討させていただきまして、手落ちがないようにしたいと思っております。

【松野委員長】 今、鈴木委員の言われたようなことは、共同研究が1つありますね。それから、今の事務局のお答えは、委託することは考えているけれども、受託することはあるのですか。

【斉藤国環研総務部長】 共同研究につきましては、これから特にアジア地域の生態系劣化が大問題ですので、いろいろな研究機関と共同研究をやることが必要になってこようかと思いますが、受託につきましては、実はこれまでなかったと申しますのは、受託しても国庫に入ってしまうだけで、私どもに戻ってこないのです。今後は研究所の収入で全然違います。ですから、共同研究といっても、これまでは実質は私どもの研究費、相手方は相手方の研究費、お互い自分のコストは自分で持って、中身の一緒にやるところだけをするということできたのですが、これからは、実際に私どもが分析してやった分については、分析料が取れるかもしれませんし、相手にやっていただいたところは私どもからお支払いするというお金の出入りがもっと実態に即してやれるようになってまいりますので、これは課題だと思っております。そこについても至急検討させていただければと思います。

【松野委員長】 それは、ここでそういう意見を出して、これはそういうことで考慮していただくということですね。

【斉藤国環研総務部長】 委員長に御報告させていただきながら……。

【松野委員長】 そういうことでよろしいですか。今の収益の知的所有権と受託とか、そういったことに関しても。

【原委員】 第31条の(寄附金)のところなんですが、寄附した方は、税金のときに控除を受けられるようになるということは、これで自明なんでしょうか。

【斉藤国環研総務部長】 独法の制定に当たりまして、関連法の改正が行われておりまして、法人税法、所得税法において、独法に対する寄附金は、特定寄附金と同じような特増の扱いになっておりまして、損金算入ができるという形に既になっております。

【松野委員長】 ほかにありませんでしょうか。
 それでは、業務方法書も、今のような御意見がありましたので、それを事務局の方でぜひ取り入れていただきたいと思います。その上でこれはオーケーということにしたいと思いますが、よろしいですか。
              〔「はい」との声あり〕               

【松野委員長】 もう1つ議題がありまして、最後に、役員等の報酬について、事務局から御提案いただいて、これは社会通念に照らして適切か否かを我々が意見を言う、そういう役割ですね。

【斉藤国環研総務部長】 はい。それでは、お手元の資料7「独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準について」ということでございます。理事長となられる方が席にいる中でこういうことを議論するのはつらいところがあるのでございますが、これの背景を申し上げますと、この評価委員会は、各事業年度における業務の評価の一環として、役員の報酬の支給、これは業績を反映したものということで適当かどうかという評価を行う。必要がある場合、高すぎるとか低すぎるとかということがあれば、大臣に勧告できるということになっております。
 考え方としましては、職員の俸給は理事長が決めるわけでございますが、役員の報酬については、評価委員会で、どのぐらい手柄が上がっているかをみた上で、評価委員会の判断で、それを反映した適正な給与を決めるというのが通則法の基本的考え方になっております。
 この報酬の支給基準につきましては、大まかな基準として、通則法で3つの観点から決めるということになっておりまして、第1点が、国家公務員の給与を尊重しなさい。第2点が、民間の給与を斟酌しなさい。第3点の観点として、本当に業績が上がっているかどうか。こういう観点で、それらを考慮して支給基準を決めなさいとなっております。
 報酬の基本的考え方でございますが、常勤役員である理事長、理事の報酬は、今の一般職の職員給与法に準じまして、俸給、特別調整手当、通勤手当、期末特別手当として、非常勤役員である監事の報酬につきましては、非常勤ということで、俸給と通勤手当として考えまして、それぞれ現在の所長、副所長の待遇相当、監事さんは現在いないので、理事に次ぐ待遇として考えたいと思っております。
 俸給月額が、下の2.にございますように、理事長が1,025,000円(指定職の7号俸相当)、理事が937,000円(指定職の6号俸相当)、監事は、非常勤でございますので、日額42,000円(指定職の5号俸相当)。
 これは後ろを御覧いただければと存じます。指定職俸給表につきましては、12号俸までありますが、一番高いのが、東大学長さん、京大学長さんでございまして、現在の研究所長が指定の7ということになっております。本省の局長さんレベル。副所長が指定の6ということで位置づけられているところでございます。今回の報酬支給基準でございますが、ここにスライドいたしておりますように、理事長については指定-7相当、理事については指定-6相当で、監事については、理事に次ぐということで、指定-5相当と考えております。
 また、民間企業の役員の報酬月額との比較が2のところにございますが、これは人事院が官民格差を調べて勧告するというときに使っております資料からとっております。民間企業の社長さんの報酬月額が総平均で210万円ぐらい、専務さんが143万円ぐらい、常務さんが110万円というところでございますが、私どもが今考えております指定-7相当の理事長レベルが102万円ということで、大体非上場企業の常務相当額ということでございます。理事さんが93万ということで、この下の方ということでございます。まだ始まるばかりでございますので、1年間の業績をいろいろ御評価いただきながら、それに応じて、よくできたというハナマルか、この辺をまた評価していただいて、上げるか下げるかというのを御検討いただくということになるのかなと思っているところでございます。
 戻っていただきまして、特別調整手当でございますが、特別調整手当は、実は俸給表が全国1本になっておりますので、諸物価、生計費が都市に応じて高いところがございますので、東京ですと12%程度、つくばですと3%程度、物価調整ということで調整手当を公務員の場合支給いたしております。特別調整手当の月額は、一般職の職員の給与に関する法律に準拠して設定する。また、この調整手当には、研究者の調整手当というのがございまして、昔「つくば手当」といっておりましたが、研究者を確保するために10%の手当をいたしておりますが、こういうものに準拠しながら設定していきたいと思っております。
 4番目の通勤手当でございますが、国家公務員の例に準じた実費支給。
 5番目が期末特別手当でボーナスでございますが、公務員に準じて、3月、6月、12月の年3回の支給ということで、それぞれの支給額については、一般職の職員の給与に準じて設定するということで、基本としましては、とりあえず現在の形をそのままスライドさせていただいて、決めさせていただければと考えているところでございます。

【松野委員長】 どうもありがとうございました。
 何か御意見ありますでしょうか。
 研究者の給与、待遇は理事長が決めるから、ここは理事長ということでしたが、研究者に対してどういうふうな待遇をしているかということ自体は、今後動き出したら、報告していただいて、我々が何か言えることがあるのですか。こういうのは、さっきの計画の中に、業務運営なんですかね。

【斉藤国環研総務部長】 中期計画を決めるときには、大臣の認可が要りますので、こういう決め方だったら認可しないという形で、こうしなさいと。実際、自由といいながら、認可のときにいろいろ縛って、給与の体系とか組織をこうしなさいというのを防止する観点から、中期計画には入れないことになっているのですが、評価委員会で御質問があれば、職員の給与についても御説明をし、御助言をいただくということになろうと思います。
今考えております内容としましては、研究職と行政職の俸給表を一本化いたしまして、同じ研究所で、同じ俸給表の体系の中で処遇していくという形を考えております。職員の給与規程は理事長の決裁でございまして、役員の支給規程については、評価委員会の義務的な審議事項となっております。

【松野委員長】 いずれ運営について我々の方からアドバイスするという意味では、動き出せば、そういったところまでいずれ報告していただいて、意見を言えるようにはなるんですね。

【斉藤国環研総務部長】 はい。

【松野委員長】 今回はそういうことですので、理事長の報酬に関して適切か否かということですが、御意見ありますでしょうか。

【坂本委員】 責任は以前よりも自由度が増えた分だけ重くなっているから、むしろ待遇を改善した方がいいような気もします。責任の程度が相当違うのではないかという気がいたしますね。

【森下委員】 法人化した場合に、社長とか重役とかいうようなところは、ボーナスが出ないのではないでしょうか。

【柘植委員】 企業の場合、同じ人でも収益によって全く賞与がない場合とある場合があります。ですから、独立行政法人のパフォーマンスによって……。

【斉藤国環研総務部長】 国家公務員法の指定職のボーナスの決め方は、指定月数を決めておきまして、それで決めるという形になっております。民間企業の場合には、むしろ利益処分の中で考えていくということで、全体平均で、例えば民間企業の社長さんですと、400万近くもらっていたところが、不景気になると250万ぐらいになるとか、利益によって随分差が出てくるのですが、国家公務員の考え方は、安定してという形で考えております。
 期末手当ですと3.6月ぐらいですので、ここにつきましては、安定的にということで、低値安定ではありますが。

【松野委員長】 意見を言えと言われても困る面もありますが、民間企業役員の報酬月額との比較というと、非上場企業にそろっているというのも、こんな大事な研究をするところの長がそうかなというような気がするのですが。

【斉藤国環研総務部長】 私どもが情報を収集している範囲では、大部分の独法機関が、とりあえず今の待遇をスライドさせて、あとは実力勝負で、また御評価いただくという考え方で対応しているようでございます。

【松野委員長】 今のところは、さっきのように、具体的にここで意見を言うというのは、直すしかないんですね。言葉を添えてどうとかということはないのだという話ですので、そうすると、急に今のような意見を反映させるのは難しいですね。

【松井環境研究技術室長】 これは意見を出さなければいけないというものではございませんで、意見を申し出ることができるとなっておりますので、特に御意見がなければ、それでよろしいのではないかと思います。

【松野委員長】 みんな意見はあるんですよね。文字どおり言葉としての意見は言えるけれども、具体的な表示が大変難しいみたいなので、ほかのところがみんな大体そういう考え方でやっているということで、本当はもっと大事なことではないかと皆さんおっしゃっていますが、今回これで出発するということで、御了解いただければ、原案のままにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              

【松野委員長】 それでは、ここは特に意見なしということにしたいと思います。

【原委員】 もう1つ伺いたいのですが、もうお話が出ているかもしれませんが、今回のこれでは、理事長や理事の方が別の団体の理事長や理事を兼ねることはできるようになるわけですか。

【松野委員長】 それはとても大事なことですね。これに限らず、職員も今までの国家公務員と違うので。

【斉藤国環研総務部長】 実はこれにつきましては、通則法の規定がございまして、基本的には、給与を受けて他の職務に従事すること、つまり兼職をしてはならないとなっております。ただ、任命権者が特に認める場合はいいということになっておりますので、本来は役員さんについては、国公の職務専念ということがあるわけでございますが、学問研究の観点から、兼ねるところをどう兼業の許可をするかというところは、これからの運用内規の立て方の問題になってこようかと思います。

【松野委員長】 今は役員か何かについてのお話ですか。

【斉藤国環研総務部長】 はい。

【松野委員長】 職員というか、研究者一般についても国家公務員でなくなりますから、状況が違ってきますね。今まで国立研究機関で、例えば大学で講師をお願いするのにも、土曜日の午後でなければいけないとか、非常に大変なことがあった。あるいは報酬等に関してもいろいろな制約があったのですが、この点はどうなっているのですか。

【斉藤国環研総務部長】 そこは、先生のおっしゃるように、これまで国家公務員法の許可規定がありまして、なかなか運用が厳しかったんです。職務専念義務があって、とにかく勤務時間内は本務をやることを最優先で、土日にやれとか、こういう感じだったのですが、ここは理事長に許可権が移りましたので、そこは理事長の御判断で弾力的にできるのかなと思っております。ただ、推進本部からは、外れたといっても、法の趣旨に従って、これまでの運用も参考にしてしっかりやるようにという要請をいただいているところでございますが、具体的にどうするかは、これからの検討課題でございます。

【山田審議官】 誤解のないようにしていただきたいのですが、通則法の51条には「役員及び職員は、国家公務員とする」と明記してあります。もちろん、独立行政法人は公務員型でないところもいっぱいございますけれども、この国立環境研究所については、国家公務員の中で。ただし、役員については、国家公務員法の通則の方を直しまして、「特別職国家公務員」、つまり大臣とかと同じようになっております。そうしますと、全部外れるかというと、これも、この資料を読んでいただきますと分かるのですが、主に職務専念義務その他、労使関係に関わるところは、理事者側と研究者側のお話し合いで、それ以外の政治的行為その他については、一度外した後、通則法の方でもう1回縛りをかけてありますので、従来の国家公務員法とは変わらないということになっております。

【原委員】 そうすると、資料4の15ページの「NIESリサーチアシスタント」などの大学院生の方々に関して、大学院生でありながら、どこかの大学で非常勤講師を頼まれると、その後また大学に就職するときなどに、非常勤講師の体験があれば、就職しやすくて、ただ研究室でこうしていたのでは、学生さんに対応する能力がないではないかとか、そういうことがあり得る。これは専門分野によって違うかもしれませんけれども、どこかの大学で非常勤講師をするとか、そういうのは一定の幅での自由が認められるかどうか。これは私が大学院の学生さんをこちらに推薦するとしたとき、すごく真剣に考えると思います。

【斉藤国環研総務部長】 実は、山田審議官から補足していただきましたが、常勤職員については、国家公務員型ですので、国家公務員法の兼職規制がかかっています。この兼職規制が「人事院、大臣」のところから「理事長」になるというだけで、基本的に趣旨は変わらない。その中でいかに工夫できるかということですが、NIESリサーチアシスタントの方については、非常勤の扱いになりますので、ここは国家公務員法の常勤職員の規制ではありませんので、私どもの服務規程の作り方でかなりその辺の御配慮ができるのではないかと考えております。

【原委員】 もう1つよろしいでしょうか。当面の5カ年計画とか何かではないのですが、それは何も国立環境研究所だけではないと思うのですが、この種の研究に携わるようなこれからの若い世代の方々がどういうふうにして育ちやすくなるかということについて、余り遅くならないうちに、その辺のところを全体的に、それは国家的見地みたいになると思って、文部科学省とかいろいろなところとのこともかもしれませんが、外国からの研究者を流入するかどうかとかで、お考え始めているのでしょうが、よろしくお願いいたします。

【松野委員長】 おっしゃることは、私もいつも気にしていることですし、せっかくフレキシブルな制度といいながら、今いろいろ伺っていると、必ずしもそうでなかったり、大変難しいところがあって、今回の議論は、規則に関することだか何だかよく分からなくて、今おっしゃったような意味で、これから国立環境研究所は研究をいかにやっていくか、あるいは研究者の研究環境とか、将来どういうふうにするか、そういうことはまた動き始めてからいろいろとお伺いできるのではないかと思います。
 今日の主な仕事は、中期目標と中期計画、業務方法書と役員報酬についての意見を述べるということでしたので、すべて基本的に原案どおり、多少の修正はありますが、その点については、事務局に信頼して修正をお願いして、私の方でそれを見させていただくということにしたいと思います。
 これ以降のことですが、事務局から聞きましたところでは、次は10月ぐらいに、動き始めたところで、いろいろなところの状況を伺うという会合をもってはどうかということです。できれば、国立環境研究所に行ってみて、つくばでやってはどうかと思っておりますので、その節はどうかよろしくお願いいたします。
 事務局から何かありますか。

【中川総合環境政策局長】 今日は長時間ありがとうございました。年度末で大変御多忙の中、2月26日と本日の2回にわたりまして、精力的に御審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
 今、委員長からお話がございましたように、中期目標、中期計画、そして業務方法書、役員報酬の支給基準等につきまして、基本的には今の案で御了解をいただきました。様々な角度からいろいろ貴重な御意見を頂戴いたしまして、前回の御意見を踏まえて、より充実した案を本日御提示させていただきましたけれども、また今日の御意見も踏まえまして、さらにより充実した案を作っていきたいと思います。委員長と最後に相談させていただきたいと思います。
 いよいよ4月1日には独立行政法人国立環境研究所が誕生いたしまして、合志新理事長の下で実質的な業務運営が行われることになるわけでございます。環境省といたしましてもできる限りの支援をしてまいりたいと考えておりますが、本委員会の委員の先生方におかれましても、引き続き御指導の程よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

【松野委員長】 それでは、今日は長時間どうもありがとうございました。これで閉会いたします。

-----了-----


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