中央環境審議会地球環境部会  公聴会 議事録

 

日時

平成14年1月16日(水)14:00~17:00

場所

星陸会館ホール

議事日程

  1. 開  会
     
     
  2. 「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について(答申案)」及びこれに対するパブリックコメントの概要説明
     
     
  3. 一般公募者による意見陳述(敬称略、発表順)
     

     秋元勇巳(経団連 資源・エネルギー対策委員長/三菱マテリアル会長)
     
     遠藤和信(宇都宮市議会議員)
     
     鮎川ゆりか(WWFジャパン自然保護室気候変動日本担当シニア・オフィサー)
     
     畑 直之(気候ネットワーク常任運営委員)
     
     高木直樹(信州大学工学部助教授)
     
     大國昌彦(日本商工会議所を代表して~
     東京商工会議所・環境委員会副委員長/王子製紙株式会社会長)
     
     大林ミカ(環境NPO「環境エネルギー政策研究所」副所長・「自然エネルギー促進法」推進ネットワーク副代表)
     
     武田 泉(全国鉄道利用者会議代表)
     
  4. 閉  会
     
 配付資料
 
資料1. 京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について(答申案)[PDF(80KB)]
資料2. 京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について(答申案)の概要[PDF(31KB)]
資料3. 意見陳述者の意見及び答申案に対するパブリックコメントの概要[PDF(86KB)]



午後2時02分開会


○司会(安原国内制度小委員長) 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の公聴会を開催いたします。
 皆様には、ご参加いただきまして大変ありがとうございます。
 本日は、浅野部会長が所用により欠席でございますので、部会の下に設けられております国内制度小委員会の委員長を務めております私、安原でございますが、部会長より議事進行を仰せつかりましたので、私の方で司会を務めさせていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 では、まず初めに、本部会の清水部会長代理より開会のご挨拶をいただきたいと思います。

○清水部会長代理 清水でございます。
 ただいまございましたように、浅野部会長、大学のご用でこちらにお見えになりませんので、部会長代理の私から一言ご挨拶を申し上げます。
 本日は本公聴会にご参加、大変ありがとうございます。
 ご案内のように、昨年11月にモロッコのマラケシュにおきましてCOP7が開かれまして、京都議定書の運用の細則を定める文書が採択をされました。それを受けまして、政府は、通常国会で京都議定書の締結を行うということで、鋭意準備を進めていると伺っております。
 こんなこと私が言う必要はございませんけれども、温暖化対策あるいは温暖化ガス削減というのは、技術があっただけではいけませんで、その技術が有効に機能するような仕組みが大変重要でございます。地球環境部会では、制度小委員会等でもって26回の審議を重ねまして、今日お示ししてございますような「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について」をまとめたところでございまして、これについて、今日いろいろ御意見を伺うということでございます。
 今後の京都議定書の締結あるいは温暖化ガス削減の目標に向けまして、ぜひ忌憚のないご意見を賜りまして、本公聴会が意味のあるものとなりまして、各界各層の一層のご理解、ご協力が進むようなことを期待しております。
 簡単でございますが、これをもちまして私のご挨拶といたします。本日はよろしくお願い
いたします。
 ありがとうございました。

○司会 ありがとうございました。
 次に、本日出席されております中央環境審議会地球環境部会の委員各位をご紹介いたします。
 私から順に申し上げます。
 まず、私の左隣が浅岡委員でいらっしゃいます。
 その次が、飯田哲也委員でございます。
 飯田浩史委員でございます。
 猿田委員でございます。
 佐和委員でございます。
 塩田委員でございます。
 清水委員は、先ほどご挨拶がございました。
 次の列に参りまして、波多野委員でございます。
 桝本委員でございます。
 三橋委員でございます。
 村上委員でございます。
 横山委員でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
 次に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。
 資料1「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について(答申案)」、資料2「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について(答申案)の概要」、資料3「意見陳述者の意見及び答申案に対するパブリックコメントの概要」となっております。

○司会 もし資料の不足がございましたら、会場外の受付に申し出ていただきたいと思います。
 本日の公聴会の趣旨につきましては、先ほど清水委員からご発言があったとおりでございますが、本日は、昨年12月の第4回中央環境審議会地球環境部会におきましてご審議をいただきました「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について(答申案)」に関しまして、これまで国民の皆さんからご意見を募集してきたわけでございますが、あわせて直接ご意見を聞かせていただくことが有意義であると考えまして、公聴会を開催することにしたわけでございます。
 そういう趣旨でございますので、よろしくお願いいたします。
 予定しております時間は、一応午後4時30分までの約2時間30分でございますので、ご協力よろしくお願いいたします。
 それでは、もう皆さんこの答申案は読んでいただいていると思うんですが、そのほかパブリックコメントも集まってまいっておりますので、その両方の概要につきまして、事務局より簡単にご説明いただきたいと思います。

○石飛調整官 それでは、事務局から答申案及びパブリックコメントの概要につきまして、資料に沿って簡単にご紹介いたしたいと思います。
 今、安原小委員長からご紹介もありましたように、今日お出での方は1度はお目通しいただいているのではないかという期待のもとに、資料2の答申案の概要に沿って、簡単にご紹介させていただきます。
 まず1ページ、最初の基本認識は、皆様よくご承知のとおりでございます。京都議定書が採択されてCOP7で細目が合意されたのを受けまして、昨年11月に、政府としても現行の推進大綱を見直す、また、京都議定書締結の承認及びそれに必要な国内制度の整備構築のための準備を本格化するという方針を決めたわけであります。併せて米国への働きかけ、途上国も含めたルールの構築にも努力していくという対外的な方針も確認いたしました。
 1ページの最後にございますように、我が国の排出量の現状と課題、これまでもさまざまな対策を講じてきましたが、このままの対策ですと2010年には基準年比8%プラスということで、マイナス6ページには届かないという予測がなされているわけでありますので、今後対策の強化が必要という認識に立ったわけでございます。
 2ページから、京都議定書の締結に向けた国内制度の方針を紹介しております。
 議定書の特徴でありますが、先ほどのお話もありましたように、2008年から始まる第1約束期間での義務を課されているということ、また、各国が目標を達成するための具体的な政策措置は、各国の裁量に委ねられているということ、また、京都メカニズムの活用が認められている、こういうことが京都議定書の特徴になっております。
 そこで、今後の対策の進め方として、目標達成の義務を負うのは将来でありますが、そこまで何もしないというわけではありませんで、それまでの準備期間を賢明に活用することが必要。そこで、今後の社会経済動向も踏まえまして、2012年の第1約束期間終了までの間を3つの期間に分けまして、そして対策を進めていく。またそれぞれの期間の対策の進め方を評価して、必要であれば追加的対策・施策を講じていく、こういうステップ・バイ・ステップのアプローチをとることが適切であるという考え方でございます。
 また、具体的な対策を進める上での制度の構築・整備に当たっては、各主体の創意工夫を活かせるような仕組み、また費用対効果の高い取り組みを進められるような施策が必要である。また、ライフスタイルをそもそも変えていくこと、社会のあり方そのものを変革するという視点も必要であるということが述べられています。
 3ページ、こういった対策を進めていく上での中核となる施策といたしまして、京都議定書の目標達成計画を策定する。この中に、今、申し上げたような議定書の特徴やアプローチを組み込んだ計画にしたいという考え方でございます。そしてステップ・バイ・ステップの中でその進捗状況を評価、見直しして、目標にソフトランディングしていくという進め方が適切ではないかということでございます。
 また、この達成計画は、あらゆる主体が一丸となって取り組むべき対策を明らかにするものでありますので、現在ございます地球温暖化対策推進法、これを改正した上で、その中に位置づける計画とすることが必要ということでございます。
 計画に盛り込む事項は、中ほどにございますけれども、ガス別・分野別の削減目標量、また対策の導入量、国の具体的な施策、またその導入時期を明らかにした工程表、こういう要素を盛り込むべきであるということが示されております。
 また、一番最後には、排出量のデータの収集と透明なプロセスで検証を行うための体制整備が必要ということが述べられております。
 4ページの一番上は、地方公共団体の対策の推進ということで、いわゆる地域での対策の主要な担い手である地方公共団体も、その自然的社会的条件に応じた計画を策定して、対策を推進することが適当ではないかということでございます。
 以下、具体的な対策、施策について述べられております。
 国民各界各層の理解と行動を求める活動の展開が(1)でございまして、(2)以降は日常生活・事業活動におけるステップごとの対策で、日常生活と事業活動に分けまして、それぞれさらに第1ステップ、第2ステップの取り組み、現在考えられるものをメニューとして提示しておるところでございます。
 例えば、(2)ア(ア)の2つ目の

○でございますが、現在の地球温暖化防止活動推進センター、都道府県センターの指定要件の拡充であるとか、地元地域での協議会の設置、また各家庭での取り組みを推進するための温暖化対策診断事業、こういったものが有効であるということが位置づけられております。
 また、日常生活における具体的な取り組みの推進として、省エネ法のトップランナー基準適合品の普及、その他の対策を進めることが必要である。
 5ページは、事業活動における第1ステップとして、国、地方公共団体の取り組み、またグリーン購入法の一層の拡充、それから事業者の自主的取り組みとして、経団連の自主行動計画等の取り組みの透明性、客観性を高めるための基盤づくりということで、排出量を自ら把握して公表するような仕組みであるとか、自主取り組みの第三者による評価の仕組み、こういうものを整備することが適当であるということが書かれております。
 さらに、ウからは第2ステップの取り組みとして、先ほど申しましたように、第1ステップの実施状況を評価した上で、さらに追加的な取り組みが必要であるとすれば、現時点ではこういったものが考えられるということを幾つか例示として挙げているわけでございます。
 6ページに参りまして、都市・地域基盤整備等による脱温暖化社会の形成に関連して、都市の緑地整備であるとか公共交通機関の整備も進めていく必要があるであろう。(4)の吸収源の対策も、併せて進めていく必要があります。さらに京都メカニズムにつきましても、これを活用するための体制の整備、また事業案件の発掘等を進めていく必要があります。さらに経済的手法につきましては、この小委員会とは別の専門委員会で、現在、検討が進められております温暖化対策税、これは検討を引き続き実施していくことが必要である。また、国内排出量取引につきましても、さまざまな取り組みの動向を見て、多面的に検討することが必要と位置づけられております。
 あと技術開発の促進、調査研究の推進等が6ページの後半にございます。
 簡単でございますが、以上が答申案の内容でございます。
 続きまして、資料3をごらんいただきたいと思います。
 1枚おめくりいただきますと目次がございますが、最初から20ページまでは、この後ご発言をいただきます意見陳述者のご意見を、そのまま掲載させていただいております。
 21ページからが、パブリックコメントの概要を示したところでございます。
 この概要は1月9日までにお寄せいただいたものでございまして、22ページをごらんいただきますと、全件数が35件となっておりますが、先週から今週にかけまして非常に多くの意見が寄せられまして、現在のところ 143件いただいております。これも同じように整理した形で、ホームページ等を活用いたしまして、なるべく皆様のお目に入るような形でご紹介したいと思っておりますが、現時点では35件の意見をまとめたものでございます。
 21ページに、内容を簡単に整理した表を用意してございます。この答申案の章立てに則りまして、多数を占める意見をまとめると、このような形になっております。
 最初の方は、日本が積極的に取り組むべきである、また米国や途上国の参加が不可欠であるといったご意見が寄せられました。また、国内制度の在り方につきましても、ここにありますようなご意見をいただいております。さらに、具体的な対策の進め方に関しましても、環境教育であるとか原子力に関するご意見、また経済的な措置に関しては税の導入について、必要、また逆に反対、慎重に検討すべきといったような意見が多数寄せられております。
 23ページ以降に概要がまとめられておりますので、時間の関係で省略いたしますが、後でお目通しいただければと思います。
 以上で紹介を終わらせていただきます。

○司会 ありがとうございました。
 それでは、意見陳述に応募されました方々からのご意見を聞かせていただきたいと思います。
 本日は8名の方から意見を述べていただくことになっております。
 時間の制約上、お1人当たり10分以内で意見陳述をやっていただければと思います。
 まず最初に、秋元勇巳様、お願いいたします。
 秋元様は三菱マテリアル会長でいらっしゃいまして、経団連では資源・エネルギー対策の委員長を務めていらっしゃいます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○秋元 ただいまご紹介いただきました三菱マテリアルの秋元でございます。
 本日は意見陳述の機会をいただきまして、大変ありがたく思っております。
 まず、今回取りまとめられました答申案でございますが、この答申案は京都議定書の批准締結を前提しておられるようでありますけれども、やはり批准の前に、温暖化対策の難しさについての国民的な議論を深める必要があるということにつきまして、まず指摘をさせていただきたいと思うわけであります。
 思い起こしますと、オイルショックという時代があったわけでございますけれども、このときには、一部にはトイレットペーパーを買いに行列をするというような行き過ぎも出たわけでありますけれども、街の灯は半分以下に削減をされる、ネオンも消えるというようなことでありまして、国民の間にも「ここでライフスタイルを変えなければ、この危機は乗り越えられないんだ」というような、そういう意味での意識が定着していたと思います。その国民の危機意識、それから我々産業界も懸命に努力いたしまして、いろいろな省エネ技術を開発し、また、それを実用化してきたわけでありますけれども、そういうことが一緒になりまして、国を挙げて努力をして、あのオイルショックの危機を乗り切ったというふうに私は理解をしているわけであります。
 今回は、それにも増して難しい、ライフスタイルの変更が必要である。しかも、オイルショックのときと違いますのは、オイルショックは一過性でありましたけれども、この問題は将来、子孫にわたって継続的にライフスタイルを変更していくかどうかという、そういうことを決める瀬戸際であります。そういうことを考えますと、そういう状況であるにもかかわらず、何か聞こえてきますのは「京都発の議定書であるから国のメンツをかけて何とか批准をしなければいかん」というような感じの、上滑りの感情論が聞こえるように私には感じられるというようなことがありまして、具体的にどのような痛みをどれだけ国民が我慢したら、どれだけの効果が出てくるのか、そういうことについての提示があり、国民がそれを受け入れるというような覚悟が形成されるということが、まずどうしても必要なのではないかなと思うわけであります。
 そういう意味で言いますと、京都議定書の目標を達成するためには、まずこの産業界、私どもももちろんでありますけれども、国民の一人一人がライフスタイルの変更を含む抜本的な対策に取り組むということが前提になるわけでありまして、国民の十分な理解と協力を得ないままで批准をしていくということは、企業としては反対をせざるを得ないというのが私たちの立場であります。
 その大前提に立ちまして、答申案に対してのご意見を申し上げたいと思います。
 まず第1に、事業者の取り組みといたしまして、先ほどご説明がございましたように、第1ステップで、経団連が行っております自主行動計画という産業界の自主的な取り組みを尊重するということを決めていただきましたことは、私どもも大変評価をしているところでございます。産業界としましても、ここに書かれておりますように透明性、客観性を高めていくということが、ぜひとも今後とも必要だろうと思っておりますので、例えば次回のフォローアップからは、経団連から独立した外部の機関を活用いたしまして、その透明性を高めるというようなことも検討しておりますし、将来的には第3者認証も視野に入れた仕組みへの移行というのを検討してまいろうというふうに考えているところでございます。
 引き続き、民間のこうした取り組みを尊重し、応援していただきたいと思います。
 ところが、第2ステップでありますが、第2ステップの取り組みとして書かれておりますところに参りますと、実行計画策定の義務化、政府との間の協定というようなことの例示がなされております。何回も私、いろいろなところで申し上げているわけでございますけれども、こうした規制的な措置は自主行動計画のメリットを著しく損なうおそれがあるというふうに思います。したがって、こういった措置は、あくまで第1ステップで産業界の成果が上がらなかった、そういった場合に限って検討されるという選択肢であるということを、この答申案の中にも明記していただきたいと考える次第でございます。
 第2に、先ほど申し上げましたような日常生活における取り組みで、啓蒙活動あるいは省エネ製品の普及促進、こういうことがこの中に述べられているわけでありますけれども、その普及促進を図るための具体的な手段、それによってどういう削減効果が得られるのかという、そういうことについて全く数値で示されていないということがございます。そういうことで、この部分が何か著しく実効性を欠くものになっているのではないかと思います。
 交通・民生部門からのCO2の排出量が、最近、大変急増してございますけれども、このことを考えますと、家庭における取り組みについて、具体的な数値目標といいますか、これを設定していく必要があるのではないかと感ずるわけでございます。同時に、家庭が大きく関係する交通・民生業務部門では、これまで全く排出削減が進んでいないという現状を考えますと、こういうところにつきましては、第1ステップから実行可能な具体的な措置、これをどういうものを導入するのかということについて、明記すべきではないかと考えるわけでございます。
 私ども産業界の目から見ますと、その点、今回の答申案、産業界は何とか一生懸命努力をして、毎年及第点をとって頑張ってきているつもりでございますけれども、及第点をとっている生徒が将来、もしかしたら落第するかもしれないというような可能性につきまして、大変いろいろとご心配をいただいている。それがこの答申案の中にもたくさん出てきているわけでありますけれども、一方で、現在既に落第点をとりっ放しの民生・交通部門の生徒をどうやって引き上げて及第点をとらせるようにするかというような、そういった具体策がどうも欠けているのではないかというふうに感じます。
 そういう意味でこの答申案は批准の前提としては、かなり不十分
と言わざるを得ないのではないかというふうに思っているわけでございます。
 第3でございますが、京都メカニズムにつきまして。
 これは極めて厳しい日本の削減目標を達成する手段の1つとしまして、産業界も大変重要視しているところでございます。ただ、このメカニズムが大変わかりにくいということがございます。例えば、現在CDM理事会などで検討されております京都メカニズムの利用手続でありますけれども、極めて複雑で、時間とコストがかかるという印象を持ちます。果たして現実の産業活動の場で使えるものとなるのかどうかということについての懸念を拭い切れないところであります。
 答申案の中に書いてございますように、市場メカニズムを通じた費用対効果の高い取り組み手法というふうに書いていただいておりますので、そういう手法とするためには、今後とも国際交渉の場で我が国の政府がイニシアチブをとって、実際に利用可能なスキームに繰り上げていっていただくという努力がぜひとも大事だと思っておりまして、私どもも及ばずながらいろいろ応援させていただきたいと思いますが、ぜひともその点をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 最後に、温暖化対策の税制の問題でございます。
 この税制は、答申案の中でも「京都議定書の目標達成を、より効率的に実現できる可能性がある政策手法である」というふうにされているわけでございますけれども、CO2に税をかけるということは、経済活動には計り知れない影響を及ぼすものでございまして、現下、非常に厳しい経済状況を考えますと、この点については非常に慎重な検討を要するというふうに強調させていただきたいと思います。
 特に我が国のように、ヨーロッパの場合には周りが全部EUという形で、同じ枠組みを持つ国で固められているわけでありますが、日本の場合には、周囲の国は全部競争相手国であります。特に、その中にアメリカ、中国というような、CO2排出量では半分以上を占めるような、そういう国が含まれている。これがことごとく削減義務を負っていないという状況であります。こういう状況の中で、我が国だけがCO2 へ課税をしていくということは、我が国の産業の国際競争力を失うことは言うまでもございませんし、そういうことになると、どうしても生産は海外移転ということにならざるを得ない。そういう結果、結果的には、日本でのCO2は減ったにしても、途上国でのCO2排出はかえってふえてしまうというような悪循環を、逆効果を及ぼすようなおそれがあるわけでございます。
 したがいまして、温暖化税制につきましては、やはり少なくともアメリカや中国が入っていく、その枠組みに参加をしていくという目途も立たないところで税制に進むのだというような形の基底方針を出すということについては、非常に問題があるというふうに私は思っております。
 温暖化税制につきましては、あらゆる影響を考慮して、慎重の上にも慎重を期して検討していく必要があるというふうに思います。
 昨年11月、地球温暖化対策推進本部で決定されました「京都議定書の締結に向けての今後の取り組みについて」の中に、「地球温暖化対策の推進に当たっては、経済界の創意工夫を活かし、我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立に資するような国内制度の整備・構築を目指す」というふうに明記していただいているわけであります。今後とも経済対策の策定に当たりましては、この点を十分にご勘案をいただきますことを重ねてお願いいたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○司会 ありがとうございました。
 それでは、ただいまいただきましたご意見に対しまして、委員各位からコメントがございましたらお願いしたいと思います。
 コメントをご希望の方は挙手をお願いします。

○浅岡委員 どうもありがとうございました。
 経団連と申しますと、もう世界のその名を知られた、日本を代表する産業界の看板でございまして、その経団連が京都議定書に対してどのような対応をするのかというのは、やはり世界が見ている、特に日本の産業界を見ている姿は、経団連の発言を見ているというふうに私は感じます。国際交渉の場でも本当に感じます。
 その中で、先ほどからも、またCOP7に対するコメントからでもございましたけれども、この京都議定書を批准していくということは、決して感情的、国のメンツとか感情的なものではなくて、本来、先進国が京都会議で約束し、COP6会合よりCOP7でそれぞれの国の事情を、とりわけ日本の事情を十二分に出して、徹夜の交渉を重ねた上での合意を国際社会が推進しようとしているものである。日本はそれを国際社会の一員として守っていこうとするものであるというふうに私どもはとらえていますので、そこは経済界がまずリーダーシップを持って、その内容に前向きに、世界を牽引するつもりでやっていただきたいと思うわけです。
 特に日本の、現下の経済状況でいろいろ問題が起こっていることは私も承知をいたしておりますけれども、この日本の経済をどう活性化するのかというときに、やはり元気な声とか、前向きに進もうとか、牽引車になっていく力というものが必要なんだろうなと思います。やはり「こんな難しいことはやめよう」という声が大きくなるとすれば、それは経
済を活性化させる、元気を起こさせることに水をかけるというふうに感じられるわけです。
 もう一点、経団連の自主行動計画を尊重してほしいというご要望は、かねてお聞きをいたしておりますし、私は、その努力を評価していくべきだとも思っておりますけれども、経団連の自主行動計画、例えば、これは任意の参加でありますが、そこに製造業者だけではなくて、民生の業務部門、あるいは運輸部門の業界の方々も本来はちゃんとご参加になって、これまでもやってきておられるはずでありますけれども、実際は大変おくれておりますし、参加も一部でありますし、特に民生の業務部門あるいは運輸部門等、60%とか40%とか増加しているような業界があるということも、ご案内のとおりだと思うんです。
 せっかく努力されている方々が、これが活かされるような仕組みにしてほしいというのは、多分、個々の企業の方々の率直な声ではないだろうかというふうに思います。やはりここはみんながともに努力をすることが、努力が報われる仕組みを経団連としてつくっていこう、そのためにこういう仕組みをつくっていく方がいいのではないか、そういう方向でのご提言を、ぜひとも期待いたしたいと思います。
 海外移転等、空洞化する等の意見もよく聞かれますが、日本の製造業界の空洞化というのは決して温暖化対策で起こっているということではなくて、労務賃金の問題等が大きいことは、もう言うまでもないことであろうかと思いますが、やはりここはそうしたことをどう日本の経済として克服していくのかという問題意識からとらえていただきまして、より高い技術をより世界に広げていくためのステップとして、この議定書を活かしていくということを期待したいと思います。

○佐和委員 経団連のご意見は、かねて何度も伺っているわけですが、2点か3点について、ちょっと反論といいますか、意見を申し上げたいと思います。
 1つは、基本的な今のお話の中でも、産業界は今まで大変な努力をしてきた、ところが個人といいますか、運輸部門とか民生部門では増加しっ放しではないか、ですから悪いやつ、つまり落第生に文句を言わずに及第点をとっている者に対して、もっと点数を上げろと言っているじゃないかというような趣旨のご意見があったわけですが、そのときに、まずお伺いしたいのは、「産業界」と言うときに、経団連が統括しておられるといいますか、そこに加わっている、いわゆる大企業を指していらっしゃるのか。
 私は、日本の大企業はいずれも社内に環境部あるいは地球環境部というようなものをお設けになって、そして産業問題に対して大変真剣に取り組んでいらっしゃる、それは大変よくわかりますし、それは大変いいことであると。日本の企業は決して利潤極大化の行動をしているのではなくて、やはりコミットメント、使命感とか、あるいは他人への思いやり、いわゆるシンパシーというのが行動規範になっているんだなと常日ごろ実感いたしております。
 しかし、企業といいましても、いわゆる規模の小さな無数の中小企業があるわけですね。その中小企業というのは、そういう意味では個人と同じなんですよ。つまり、個人の中には、温暖化問題を初め環境問題に対して自分の行動をちゃんとする、自分でみずから規制するといいますか--規制という言葉は余り使いたくないですけれども、そういう環境配慮型の人もおれば、他方では、そういうことに対して全く配慮しない人もいるわけですね。ですから「企業」と一言で言いましても、特に規模の小さい企業に関しましては、そういうことに全く配慮しない企業も極めて多い。それは個人に対する、あるいは家系--
ハウスホールドに対しておっしゃるのと同じような意味ではないかということなんです。
 そういう意味で、やはり産業界と家庭というような二分法でお考えになるのはいかがかなと思います。むしろ企業の中にもいろいろある。今、経団連というお立場からすれば、経団連の配下の企業というのは大変立派な企業であるというふうに私も常日ごろ思っております。
 次は、産業界の方がよくおっしゃるんですけれども、まず、ヨーロッパの国々はEUという一つのまとまりがある。ところが、日本はアジアの中にポツンと1つだけ先進国としてある。周囲の国が、中国を初め二酸化炭素を結構出している国--1人当たりで見るか全体で見るか、そういう違いはありますけれども、それはさて置き、二酸化炭素の排出量を伸ばし続けている国々に対しては何の義務づけもなされていない、日本だけが義務づけられてというふうにおっしゃいますが、そういう物理的な距離、つまりヨーロッパの国々は近い、日本にとって近い国は中国であり韓国であり、つまりコミットメントをしていない国々が近くにある。そして同じようにものづくりをやっている。そういう物理的な距離というのは、果たして関係あるんでしょうかねということです。
 それから、リーケージというんでしょうかね、つまり、例えば日本がCO2 排出削減のために鉄鋼の生産量を1割減らせば、それは必ず地球上どこかよそでつくられるんだ、そして日本の鉄鋼生産というのはエネルギー効率が大変すぐれているから、かえって地球全体としては、すぐれているところでつくっていた方がいいんだと。日本が鉄鋼の生産量を減らせば、結果的に地球全体のCO2 の排出量がふえるというふうなことをおっしゃいました。
 しかし、最近は、実は東アジアの工業化というのは1984年代以降、極めてすさまじい勢いで進んだわけですね。そして地球的な規模で、あらゆる工業製品の生産部門でオーバーキャパシティなんですね。生産能力の過剰なわけです。実際、私の手元に、これは朝日新聞の……、どこか行ってしまいましたけれども、12月何日かの切り抜きがございますが、OECD諸国の鉄鋼炉が1億トン生産能力が過剰である、だからOECD諸国全体で1億トン生産削減すると。日本は 2,800万トンの生産キャパシティの削減をする。それは、もちろんフル稼働で運転しているわけではありませんから、実質的には五、六百万トンの生産削減になるということが出ているわけですね。
 ですから、日本で生産削減をしたからといって、それで、では中国で五、六百万トンふやすかというと、そういうわけではないんですね。もはや完全にオーバープロダクション、オーバーキャパシティの状態にあるわけですから、日本の素材型産業が縮小したからといって、その生産拠点が、例えば中国を初めとする途上国に移転するというのは、かなり昔流の物の考え方ではないかというふうに私には思えます。
 それから、環境税とか炭素税に関しましては、それだけ経済にダメージを与えるというようなことを絶えずおっしゃるわけですけれども、それに対しては、もう時間がないので簡単に2点申し上げます。
 1つは、もし政府が炭素税制を導入して、その税収を財政赤字削減に充てるとすれば、経済成長率は確かに下がります。しかし、例えば炭素税収で仮に4兆円なら4兆円の税収がある、それに見合うだけの所得税減税をすれば、かえって可処分所得が増えますから消費が増える。つまり、税金をかけて物の値段が上がったことによって、所得が一定だとすれば、当然、実質的な消費は減りますね。その減った分と、今度は減税によって可処分所得が増えて消費が増える、それを差し引きすれば、果たしてプラスなんでしょうか、それでもマイナスなんでしょうかということをお伺いいたしたいと思います。

○秋元 大分広範なご指摘をいただきましたので、もし漏れた部分がありましたらお許しいただきたいんですけれども、まず最初に申し上げたいことは、やはり私ども、京都議定書が最終目的ではなくて、目的は温暖化防止なわけです。ですから、本当に私どもが温暖化を防止するために有効な手だて、一番有効な手だてを見つけて、そのために努力をしていかなければいけない。この点では我々産業界も全く同じ土俵に立っている。
 問題は、現在議論されている京都議定書の中身で、これが本当にそういう意味で温暖化を進めていく上で有効な対策となり得るかどうかという問題についての議論が、我々、詰まっていないということを申し上げているわけでありまして、産業界につきましては、やはり今までも、先ほども申し上げましたように、我々としてはできるだけの努力をしてきたという自負を持っております。ただ、経団連が産業界全体を代表していないではないかというお言葉もあるわけでありますけれども、少なくとも今、経団連の中で自主行動計画に加わっているグループが、CO2排出量から考えますと、産業部門の75%から80%に近い部分を占めておりまして、さらに今、入っていない産業についても働きかけをいたしまして、去年から今年にかけましてかなりの団体に入っていただいたわけでございますし、経団連だけではなくて、あるいは商工会議所のようにいろいろな企業と深いチャンネルを持っておられる団体もそれなりに一生懸命努力をしております。そういう意味で、なるべくこれも日本全体の産業ネットワークに及ぼすような努力をしていきたいということは、私も全く同意見でございまして、そのために大いに努力をしていこうというふうに考えているところであります。
 そういうことで、先ほど浅岡委員から、経団連は世界に冠たる経済団体なんだからというようなお話がありましたんですけれども、私から見ますと、そういうことが一つの感情論といいますか、やはり「日本は京都で環境問題について、これだけ努力をしてきたんだから」というところが議論の前提になりますと、問題がすべてそういう意味での、いわゆる本当に効率がいい温暖化対策を施行できないといいますか、そこから外れてしまうということになりかねない。
 一つ一つの対策が現在どれだけの効果を持ち、どれだけ温暖化対策に資することができるのかというようなことについて議論していかなければいけないと思っているわけでありまして、例えば原子力1つの取り上げ方にしましても、まだ日本の中で国民的なコンセンサスが得られていない。現実には、今度の温暖化対策の6%削減の中身を見ましても、原子力発電を抜きにして進めていくことはまさに不可能に近いような状況になっているにもかかわらず、そういった議論ができていないというようなこともあります。
 そういった意味での議論を進めないままで、しかもこの議定書、確かにここ2回3回、マラケシュあるいはボン、いろいろなところで日本の代表が本当に血の出るような努力をされて、京都メカニズムで決まったいろいろな意味での数値を確保していただいたということは、私も非常に感謝しているところでありますけれども、もともと石油ショックの後で懸命に省エネルギーの努力をして、いわばCO2排出量はアメリカに比べたら3分の1、4分の1、あるいはヨーロッパに比べても半分というような実績を達成した1990年というデータをベースにしまして、そこからの数値で物事を判断するという、いわば初めのボタンのかけ違いというのがあるわけです。それにもかかわらず、我々産業界はそれを克服しようとして努力しているわけでありますけれども、そういう日本に負わされた、いわば責務の重さといいますか、そういったものについての覚悟というのが、日本全体としてはまだ不十分だろうと私は思っております。
 例えば、我々は、産業対家庭というような二極対立構造をつくり上げているという気持ちは全くないわけでありまして、むしろ家庭と一緒になって、これを削減するために努力をしていく。例えば、なるべく排気ガスの少ない自動車、あるいは電気自動車を生産していくことは我々産業界の務めでありますけれども、その自動車を使って、なるべく排気ガスが出ないような自動車の乗り方をしていただくということは、やはり家庭の一人一人が心を尽くしてやっていかなければいけないことでありまして、そういったところについて、一体どういう取り組みをしていくのかというようなことについてのガイドラインが、この民生・交通部門については具体的に出てきていないというところが、かなり問題であると私は思っております。
 それから、先ほどのアジアの中での孤立の問題で、物理的距離だけが問題ではないというお話がありましたけれども、日本の貿易相手国で一番大きいのは、やはりアメリカであります。その次に、中国が今、非常な大きさで伸びてきております。こういった国との間に非常にアンバランスな前提条件といいますか、もともとの前提条件が非常に狂ってしまいますと、やはり日本の経済活動というのはどうしても停滞せざるを得なくなってしまう。日本の経済活動が停滞すれば、税制はできても実際に税金を取るための経済のもとがないわけでありますから、できなくなってしまうということがあると私は思っております。
 現実、海外に今、いろいろな新鋭工場ができていることは事実でございますし、日本もその工場をつくるために、いろいろな形で協力をいたしました。例えば、中国やベトナムにエネルギー効率の高い、CO2排出量が一番少ないセメント工場を輸出したのも日本でありますし、そういった意味で、今までも途上国でのCO2の削減に対しては、いろいろな形で協力をしているわけでありますけれども、それが、今まではCDMというようなメカニズムがないわけでありますので、そういうものでさえ認めてもらえないという状況があった。これから、やはりそういう働きについてはぜひとも認めていただけるような、そういう枠組みをつくっていただきたいというのが産業界の希望であります。
 それから、そういうことであるならば、日本の産業が全部国内の工場を閉めて、海外へ行く者は行ったらいいではないかというようなお話に対しましては、例えば今、日本国内で出てきている廃棄物、恐らく年間で2億 5,000万トンくらいの廃棄物がありますけれども、セメント産業だけでもってそのうち 3,700万トンの廃棄物を処理しております。今度の肉骨粉の問題につきましても、セメント業界でそういう処理をしていったわけでありますけれども、こういう、いわば産業の基本が日本国内に存在して活動しているからこそ、日本全体の、例えば循環型の社会をつくっていくというような命題についても解決できるわけでありまして、それがやる気をなくしてみんな海外に行ってしまうという状況ができた場合には、そういうこともできなくなってしまう。日本だけで環境型の社会をつくり上げていくことさえできなくなってしまうんだということについてのご認識を、ぜひとも委員の方々にも持っていただきたいと思っております。
 全部言い尽くせないところがございまして、まだご質問にお返事申し上げていないところがあるようでございますけれども、このあたりで終わらせていただきます。

○司会 ありがとうございました。
 今、秋元さんにご意見をいただいて、委員の方からコメントあったわけでございますが、ほかの方も同じようなやり方で進行させていただきたいと思います。
 そして最後に、もし時間がありました場合にはフロアの方々からも意見をいただきたいと思いますので、何かございましたら考えておいていただければと思います。
 それでは、秋元さん、どうもありがとうございました。
 次に、宇都宮市議会議員でいらっしゃる遠藤和信様にお願いいたしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。

○遠藤 ただいまご紹介いただきました、栃木県宇都宮市議会議員の遠藤です。
 本日は、当公聴会での意見陳述の機会を与えていただきまして、本当に感謝申し上げます。
 今回、私の意見陳述は、これから述べさせていただきます3カ所についてであります。
 まず、第1点目は答申案の10ページ、5項の「(4)我が国の国内対策の留意点」のうち、最下段の「一方、我々のライフスタイル……」から始まるところに関する意見です。
 従来の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会から、環境負荷の少ない資源循環型社会への変革が求められているものの、なかなか実現の兆しが見えない状況であります。今までと同じように、従来の個人や事業者レベルでの価値観の変換を期待したライフスタイルの変革を望んでも、実現にはほど遠い感じがいたします。これはひとえに社会の仕組みの問題であり、国レベルの問題であります。つまり、社会の制度として資源循環型社会へ必然的に向かっていくようにすることを基本に構築していくべきであります。
 具体的には、環境負荷が少なくなるような制度として、例えばデポジット制度や、環境負荷の重みによる製品の環境税等を早急に導入すべきものであると考えております。今、法制度上、環境負荷を少なくするように規制をすることが必要な時期であると判断しております。国民がインセンティブを持って対応することが効果を上げていくと考えております。
 一つの例として、デンマークの容器デポジット制度が挙げられます。
 環境負荷の低いリターナブル(再使用)容器の普及のため、リターナブルペットボトルや瓶が使用されていました。容器のデポジット料金も、環境負荷の程度を考慮してか、 500ミリリットルのリターナブルのペットボトル、これは日本円に換算して1本当たり約38円です。一方、ビール瓶は1本当たり23円のデポジット料金です。その結果、路上にはこれらの容器のポイ捨ては一切見ることができませんでした。一方、環境負荷の高いアルミや鉄などの缶ビール等の缶容器は法的に禁止とのことで、国内での流通は当然ありませんでした。
 ここで、参考までにデンマークのリターナブル容器のサンプルを持参しましたので、委員長の許可を得て回覧をお願いしたいと思います。
                 (サンプルを会場回覧)
 これらの特徴は、リターナブルを考慮してペットボトルの容器の口金のすべてが、口金部の方へついていくということです。もう一つの特徴は、肉厚で丈夫であるということ。それと、何回も使用しておりますので、結果的に表面が白色化しております。この白色化したものを国内の、例えばビールメーカーさんにいろいろな見解を聞いてみますと、結論から言いますと、「とても日本では流通できない」ということです。つまり、これらのサンプルのような外観のものでは日本の消費者が受け入れられない、メーカー側に苦情がどんどん入ってくるというご意見でした。
 この原因は何か。デンマークでは流通している、しかし日本ではとても流通できない。これは単に国民性のみでなく、もっと本質的なところの問題があるのではないでしょうか。私がここで言いたいのは、社会の仕組みや制度によって人々の価値観も変わってくるということです。今、皆さん見られたようにビール瓶の表面が白くなっている、これでは日本の流通段階で「中身まで汚いんじゃないだろうか」という感覚を持たれる方がおられるかもしれません。その辺の仕組みが、やはり価値観も変えているのではないかなという考えをとっております。
 このように、環境負荷の少ない社会を目指すための仕組みを構築することが重要であり、その仕組みがインセンティブを付与し、国民も環境負荷の少ない、質素で質の高いライフスタイルへと変革し、地球環境時代にふさわしい、ゆとりある、真に豊かな暮らしを目指すことが可能となってくるものと考えます。
 第2点目は、答申案13ページの7項「地方公共団体の対策の推進」についてであります。
 この項目は、「国及び地方公共団体の対策の推進」とすべきであります。単に地方公共団体のみでなく、国においても積極的に推進していくべきであります。
 また、1行目に「京都議定書の目標を達成し、さらに持続的に地球温暖化対策を推進していくには、国民の一人ひとりの理解と行動が必要不可欠である」と述べられておりますが、国民の行動をその方向に誘導するための施策が重要であります。国や地方公共団体の大きな役割は、地球温暖化対策の推進を誘導するような、経済的措置を活用したインセンティブを付与する施策を立案・実行することであります。その上で、国及び地方公共団体も地球温暖化対策の主役の1人である認識に立って、率先的に多様な地球温暖化防止対策を展開していくことが求められてくるのではないでしょうか。
 最後の第3点目は、19ページの「(ウ)技術対策の導入促進」のうち、「エネルギー関係では……」から始まる行についてであります。
 電力については、自然エネルギーの新たな市場拡大措置のみならず、今後、求められてくる各家庭や事業重要での燃料電池を利用した分散型発電も、今後の重要な技術開発の1つであります。この項にはぜひとも入れておくべき、優先度の高い導入促進項目であると考えます。
 一方、原子力発電については、核廃棄物の処理問題と運転の安全性の面からも、世界の趨勢として廃止の方向であり、原子力の開発利用を挙げるべきではないと考えます。
 以上が各項目に対する意見ですが、再度申し上げたいのは、環境負荷を低減するには国民や事業者の意識とモラルのみに期待するのではなく、環境負荷の少ない社会に向かっていくような社会の仕組みをつくることが重要であり、それが国及び地方行政に求められているのではないでしょうか。
 本答申に当たって、社会の仕組みを構築することが今、求められていることを強く答申していただくことを期待して、私の意見陳述を終わります。
 ありがとうございました。

○司会 遠藤さん、どうもありがとうございました。
 ただいまの御発言に対しまして、コメントがございましたらお願いします。

○桝本委員 大変貴重なご意見、ありがとうございます。
 私、基本的な考え方は多々賛成なところがございますが、今、求められているのは具体的な規制、制度、こういうように私には伺えました。その点については、ぜひその前に市民、国民への訴えかけ、理解の促進、そういう手続を丁寧に踏む必要があると私は存じます。押しつけ、これはできるだけ避けたいと私は考えておりますので、先生にもぜひ、基本的な考えを実現する前に国民を信頼した情報の提供、情報の公開、訴えかけ、討論、そうした過程も十分お考えいただきたいというふうに存じます。
 第2は、具体的に原子力のお話がございました。
 実は原子力は、ドイツの動き、そのほかヨーロッパの動きを拝見しますと、今おっしゃったように窺えます。しかし、足元で実際に起こっていることを、ぜひ正確にごらんいただきたい。
 例えば、アメリカには 103ユニットの原子力発電所があり、ここ20年1基も増えておりません。しかし、アメリカはこの10年間に原子力発電の発電量を実に4割弱も増やしております。ドイツでも、原子力はフェーズアウトすると今の政権は言っているようでございますが、実際に足元で起こっているのは、この10年間で実は11%も発電量が増えております。
 原子力の安全の問題、廃棄物の問題、これはおっしゃるとおりで、我々も十分注意して、かつすべての知恵を集めて扱っていく必要がございますが、実効的に、原子力は発電段階で炭酸ガスを出さない、あるいはライフサイクル全体としても炭酸ガスの排出が大変少ない、この点は、安全を第1に、かつ廃棄物をちゃんと処理するということを十分心しながらですね、私は、反対、賛成という以上に、その実効性に大いに注目していただきたいと存じます。

○飯田(哲)委員 私は、今の遠藤さんのご意見に非常に賛同しておりまして、私も北欧に何年か住んでおりましたので、こういうデポジットの瓶とペットボトルを愛用しておりました。
 なぜ日本でそれができないか。思い起こすと日本では、ペットボトル以前に、かつて缶がみんな切れる蓋だったのが、あれをそれに乗せる、残ったものをあれにするときも、缶の業界の人がおよそ信じられない理由で反発をしたことがあった。しかし、導入されると全く問題がなかったわけですね。バイ菌が入るとか何か、わけのわからない反論でしたけれども、結局は導入されました。
 本来、やはりきちんと市民の行動が促されるようなルールをつくることが必要なんですが、それに反発するのが--もう帰られましたけれども、冒頭の経団連のような、いわゆる既存の経済構造を維持しようとする典型的な規則権益のような主張が、日本でそういうルールをつくることを防いできたのではないか。
 そういう意味で、遠藤さんのような意見がどんどん出てくることは、私は非常に重要だと思います。
 先ほどの原子力は、私は桝本さんとはやはり逆で、これも私は週刊誌の中で「削除すべきだ」と申し上げたんですが、やはりそれは、国民的合意をずっと無視して進めてきたものを、単に国の政策にあるからといってここに入れるというのは、非常に大きな問題だと私も思っております。
 世界の動向については、私は桝本さんと全く違った見方をしておりますが、これはここではやめておきます。
 それからもう一点、非常に重要なのは、これは桝本さんと、それから先ほどの秋元さんがおっしゃったことですが、こういった提案をすると、必ず規制を反発されるわけですが、私は規制には2種類あると思うんですね。従来型の、いわゆる裁量型の、役人がその場の裁量で行う規制。これは当然、排していくべきだと思うんですが、こういうものというのは、規制ではなくて新たなルールだと思うんですね。新たなルールというのは、当然、経済活動をするためには普遍的に必要ですから、それは規制ではなくてルールとして、積極的につくっていかなければいけないと私も考えています。

○飯田(浩)委員 私もデポジットについて実際に体験しましたので、それをちょっとお話ししてご意見を伺おうと思います。
 デポジットの場合、かなり高額のデポジット料でないと余り効果がないと思います。昔は 100円だった自動販売機の飲料が、今はほとんど 120円です。私は恐らくうんと減るだろうと思ったら、調べてみますとその当時の倍に販売機が増えているんです。また、売れている量も増えているんです。ですから、デポジットにするなら相当高いデポジット料をつけないと、余り意味がないと思うんです。
 それから、これは体験なんですが、まだゴルバチョフ時代のソ連に行ったとき、ウォッカのボトルはすべて同じ瓶なんです。高いウォッカも安いウォッカもすべて、それこそおっしゃるように気泡がいっぱい入った、非常にみっともない瓶です。だけれども、それを回収する人、これは非常な権利料を払って回収させてもらうんですが、この人たちは、月収が 200ルーブルの中で瓶1本回収しますと2コペイカ。 100コペイカが1ルーブルですから、非常に高いんですね。それが商売になる。
 そのときに「ソ連というのはすごく合理的だな」と思ったんですが、今、行ってみますと、高いウォッカは高いなりのすばらしい瓶になっています。やはり人間というのは、それによって価値を見るんですね。
 ですから、先ほどの瓶の擦り傷のことですが、これは大分前ですが、コカコーラは全部瓶だったんですね。そのときに冷蔵庫の中で爆発したんですよ。その原因は傷だったんです。それで工学的な検査のほかに目視もやって、そのうちに全部ペットボトルになってしまった。ですから、きれいとか汚いとかの問題ではなくて、ビール瓶でも傷がついていたら、あれも中身には圧力がかかっていますから、やはりきれいなものなければならんということがあると思います。
 これも個人的な話で、大分前ですが、キリンの役員に私の友人がおりました。その人に「缶ビールだけはやめろ、あんなまずいものはない」と言ったら、「そうは言っても、缶がないと絶対にアサヒに負けるよ」と。アサヒは最初から缶に力を入れていた。そして現に今、アサヒが1位になっている。やはり瓶はいいとわかっていても、缶は捨てられるけれども、瓶はまさか道路上になんか捨てられません。ですから私「悪いこと言っちゃったな」と後で言ったら「いや、いいんだ。うちは瓶に少し固執し過ぎた」と言っていましたが、単にきれい、汚いだけの問題ではないような気がします。

○佐和委員 さっき桝本さんと遠藤さんの意見がずれたのは、この意見書の3つ目のパラグラフで「規制をすることが必要な時期であり」とお書きになっているんですが、これは前後の文脈からしておかしいんですね。むしろデポジット制なんていうのは、我々が言うところの経済的措置ですので、これは「措置を講じることが必要な時期であり、」そして、その後にインセンティブということを書いていらっしゃるわけですから、桝本さんがおっしゃったように別に強制するということをおっしゃっているわけではないんですね。それが1点。
 もう一つは、価値観のことを問題にされましたけれども、価値観は本来、多様なものなんですよ。自由主義国家において、価値観を強制したりするというのは全体主義国家のことであって、私は、日本をそういう国にはしたくないと思います。
 したがって、私が言いたいのは、むしろ経済的措置を導入することの意味はそこにあるんだと。つまり、ちゃんと環境保全に対して努力すれば、それが報われるような措置を講じようということですね。デポジットでもそうですね。ちゃんと持っていけばお金が戻ってくる。
 それもさることながら、もう一点追加したいのは、やはりライフスタイルの美意識みたいなことが重要なんですよ。何が格好いいか、どういうライフスタイルが格好いいかというのは、ヨーロッパなどでは明らかに過去10年、20年の間に変わってきているわけですね。つまり、やはり質素倹約、質実剛健に生きるのが格好いい、そういうふうな文化をつくっていくことが必要だと思います。

○司会 今いろいろご発言がありましたら、遠藤さん、何かご発言がありましたらどうぞ。

○遠藤 特に私が言いたいのは、あるべき日本の姿というものに対して、やはり法制度とかいろいろなルールとか、あと社会の仕組みですね、そういうものをそちらの方向に向けていくことが重要と考えます。
 今まではどちらかというとその社会のルール、私は「規制」という言葉を使いましたが、そういうことがどうもはっきりせず、あるときあるときの場当たり的な方向でやっていたので、方向づけがどうも不十分である、それをはっきり国が主導権を持ってやるべきではないでしょうか。そこの第1の基本は、環境負荷を低減するような方向で、持続的社会を構築することを前提に進めるべきではないでしょうか。余りに個人の意識、モラルに頼っても、今までのような、簡単な例で言いますとポイ捨て条例があります。どこの市町村でもあります。でも、相変わらず捨てられる。ところが、ちょっとした工夫で、ルールを変えれば、こういうデポジットをやればすぐそれはなくなる。そういう知恵を出して、いろいろなルールをつくっていくことが必要なのではないでしょうかということが、特に私の意見として言いたいところです。

○司会 遠藤さん、どうもありがとうございました。
 次は、鮎川ゆりかさんにお願いしたいと思います。
 鮎川さんはWWFジャパン自然保護室の気候変動日本担当シニア・オフィサーでいらっしゃいます。どうぞよろしくお願いします。

○鮎川 今日はご招待いただきましてありがとうございました。
 私が、まず一番最初に言いたいことは、やはりこの京都議定書は、世界で合意され、日本も署名した唯一の温暖化防止のための国際的取り決めであるために、日本としてもこれを批准する責任があると思っておりますので、もっとはっきりと京都議定書をヨハネスブルグサミットまでに発効するよう、日本では6月7日までにこれを批准することを明記すべきだと思っております。
 報告書の最後のところに「期待する」と書いてありますけれども、これではちょっと弱過ぎるのではないかと思います。
 議定書批准についてですけれども、これは日本でも、いろいろなことをやれば可能なんだということを、これからお話ししたいと思います。
 つまり、一番最初に、まず今までの対策では不十分だったということをはっきり認めるべきです。つまり、地球温暖化防止行動計画であり地球温暖化対策推進大綱や地球温暖化対策推進法、そして省エネ法など、京都会議以降いろいろやってきましたけれども、やはり依然として排出量はふえているということがあるので、これらの対策では不十分だったということを、まずここで認識すること。そして、それを踏まえて、それでもまだやっていないことがたくさんあるので、これをやるべきだというふうに考えます。
 つまり、そういった不十分だったことを踏まえて、例えば環境税とか国内排出量取引など、今までとは異なる発送の新たな取り組みや対策を導入して、各界各層が連携・協働して目標達成に挑戦できるようにする必要があると思います。
 その新たな対策、取り組みは、直ちに着手するべきです。というのも、現在もう既にCO2 で言えば90年レベルから9%も増大しているわけです。ですから今、報告にあるようにステップ・バイ・ステップで、第1ステップで様子見をしているような余裕はないはずです。ですから、日本総体としては90年以降、経済が停滞していて生産量が落ちているにもかかわらずCO2 が増えているという状況を考えると、削減対策がまだ不十分だったということと、エネルギーがむだに消費されてきたということを意味するので、削減余地はまだ十分にあると考えます。
 この報告の中には、ライフスタイル転換にかかわる国民運動が提起されていますけれども、これらに提起されていることは、「京都議定書目標達成計画」という形の新たな法律として実施できる内容だと思います。というのも、ライフスタイル転換というのは奨励策や優遇策がないと、そういった政策的支援、基準や規定などがないと、国民運動では実現できないと思います。
 例えば、断熱性の高い住宅は建築基準を新たにするとか、燃費のよい車はそれを優遇するような税制にするとか、効率のよい電気商品、電気製品などはラベリングなどの表示で消費者の勾配意欲を高めるとか、または買いかえの補助金を出すとか、または先端的で高価な技術については普及を図ることを意識して、そういった奨励策または補助金などをやるとか、そういうようなことをしなくてはならない。そしてまた、冷暖房温度の適正設定などが「家庭における10の取り組み」とかで書かれておりますけれども、こういうものは、例えば機器の方で工夫して、余り強い冷房や暖房ができないようにするとか、アイドリングストップに関しても、そのような装置を導入するために補助金など奨励策を用いる、そういうようなことが必要ではないかと思います。
 そういうようなことをして初めていろいろな削減が実現するのであって、単なる国民運動では、かけ声だけでは、これは実現できないと思います。
 WWFは昨年、システム技術研究所の槌屋治紀先生にお願いしまして「温暖化問題解決のためのWWFシナリオ」を出しました。ここでは、例えばハイブリッド車とか燃料電池、発光ダイオード照明などエネルギー効率の高い技術や、ESCOやエンタル、レンタル、リース産業などのサービス産業への転換、そして太陽光、風力、パッシブソーラーなどの自然エネルギーの導入により12%まで削減が可能であることを示しました。
 つまり、削減という政策的意思があって、こうした技術や構造変化を「削減には欠かせないものだ」というふうに指定して、そして普及実施を図れば、環境対策だけでなくて国内需要も増やし、新しい産業を興し、ひいては低迷している現在の日本の経済不況の打開の道ではないかと考えます。
 さらに私たちは、「京都議定書批准は経済的損失をもたらすか」という研究を室田泰弘先生にお願いして行いました。その中では、日本は炭素削減という規制の中では、これを受け身ではなくて積極的にとらえ、そして技術開発に投資を行い、その結果、付加価値率が上がり、GDPを95年をベースとして 473億ドルも上げるというコンピュータ・シミュレーションの結果が出ています。つまり、日本はそういったエネルギー高価格化に反応して新製品の開発や省エネルギーなどの革新に積極的に取り組み、その結果、温暖化対策の世界市場をリードするような新しい産業構造ができてくる、そういう報告になっています。
 さらに、私たちは、京都議定書発効を支持する署名を企業から集めるEmission55という運動にもかかわっております。これはヨーロッパ発の運動なんですけれども、京都議定書発効を求める中身になっておりまして、現在、世界の企業 156社が署名を行いました。そのうち9社は日本の企業であり、リコー、キャノン、富士ゼロックスといったイメージ産業とか、京セラ、日本自然エネルギー株式会社などの自然エネルギー系の企業とか、それに排出権取引を目指すナットソース・ジャパンなどが署名しております。こうした企業は、温暖化防止、京都議定書を新しいビジネスチャンスととらえており、時代を先取りしている企業群であります。
 京都議定書は、前向きにとらえれば、そういった新しい産業を興したりビジネスチャンスを引き起こすことができるので、京都議定書を前向きにとらえるかどうかは、これからの企業の存続の試金石になりつつあると思っております。

○司会 ありがとうございました。
 鮎川さんの発言に対しまして、コメントをいただきたいと思います。

○三橋委員 今、鮎川さんの発表を聞いていまして、幾つか印象的なところがあるわけです。これは問題提起が、やはり役所からはなかなか出てこないような、非常に自由な立場からの具体的な提案がなされているわけですね。例えば、槌屋さんとか室田さんにシミュレーションをしてもらって、こうすればこうなるというようなことをおっしゃっているわけですね。
 そこで、私は、この温暖化問題の全般的な取り組みに対して、鮎川さんたちがやっているような、むしろNGO、NPOの人たちに、実はかなり具体的に政策の場に参加してもらったらいいのではないかという感じを持ちます。
 同時に、いろいろな公共投資等々があるわけですけれども、国の支援によって。そういったものも、例えばNGOの皆さんに国のお金を直接使ってもらって一つの実験をしてもらうとか、そういうような新しい視点で取り組めるような具体的な提案というものが、このWWFジャパンから出てきているということを、非常に心強く思います。
 従来の企業サイド、産業サイドから出てくるアイデアではなくて、国際的な連携を持ちながらやっているWWFのようなところが、具体的な提案を出して「こうすればこれだけ削減できるじゃないか」という問題提起をしているわけですから、そういうものを行政の
側も積極的に受けとめていくことが必要ではないかなというのが私の感想でございます。

○桝本委員 実は鮎川さんの今のご報告、特に室田さんや槌屋さんの試算、提言、私はある意味で全く賛成です。ただ、1つだけ大きなところで違うところがあります。それは、京都議定書の批准というところにつながっていることです。
 これは何も京都議定書の批准云々にかかわりなく、企業はこの地球温暖化問題が重要であり、この重要さを企業の持つ技術力をブラッシュアップして技術革新を図り、それがひいては地球温暖化対策となり、企業の社会的評価と繁栄にもつながる、これはもうおっしゃるとおりです。特に幾つかの事例を挙げられました。パッシブソーラーハウス、住宅、家電機器、これは全くおっしゃるとおりです。既にご存じのとおり、幾つかの試みが始まっております。既にこれを仕事としている人たちもおります。そういう意味で、大きなご提言の方向は私もそのとおりだと思います。ただ、それが新しい京都議定書とつながるところに、我々は若干の懸念を持っております。
 それから、まだ不十分である、これも全くそう思います。私は、最も不十分なことは国民へのメッセージの出し方、国民は情報を出し、判断する素材、考える素材、材料を出せば考えます。それをしないというのは、私は、鮎川さんがおっしゃる意味で最も不十分な代表ではないかと思います。

○佐和委員 今、桝本委員もお触れになったんですが、これで言いますと6ページの中ほどに出ております室田さんが計算なさった数字、私はちょっと、GDPが95年基準で 473億ドル増えるというのは、これ所得倍増ですよね。これはやや、どうやって所得倍増……、かつて池田内閣の所得倍増というのがございましたが、あのときには平均年率 8.2%で日本経済を成長させて、10年間で2倍にすると言ったわけですが、これはどのぐらいの時間の幅で見ているかどうか知らないけれども、これはちょっと過大だと思います。
 いずれにせよ、温暖化対策の推進ということが、技術革新の一つのモチベーションなりインセンティブを提供して、社会に対して新しい経済のダイナミズムを装填することになることは確実だと思うんですね。そして、このおっしゃるようなものに、この数字はとにかくとして日本を、もちろん企業の皆様方がそういう技術開発のインセンティブを受け入れられて、そして技術開発競争に勝てば、これに近いような状況にはなると思います。
 桝本委員は、しかしそれは京都議定書の批准とは関係ないではないかとおっしゃいましたけれども、やはり二酸化炭素の排出というものに対してある種のペナルティ、何らかの形のペナルティがかかる、あるいは排出権が、ある程度の価格で取引される、そういう環境が整って初めて技術開発のインセンティブが芽生えるのではないかと私は思います。

○波多野委員 WWFのような有力な国際機関にお願いしたいのは、各国の世論に働きかけていただくことです。アメリカの世論、中国の世論、インドの世論、ブラジルの世論。我々政府はそういうことができないんです。政府は相手国政府に話をして、政府に京都議定書に参画しろよということは言えるけれども、それ以上のことはできないんですね。そうすると、相手の国は結局、世論に動かされていますから、効果的な措置をとれない。WWFのような有力な国際機関ならば、相手国の世論に働きかけることができる、それをやっていただきたいと思います。

○浅岡委員 先ほどの秋元さんからも、また桝本さんからも、国民世論に働きかけるのが先ではないか、国民の議論が先ではないかということが出されているんですけれども、例えば昨年の経団連の自主行動計画の中で、デパートが40%も増加しておりましたが、京都議定書を批准し、守っていく中で、これまでデパートの中に入ると暑い、汗をかくような温度にしていたものを「温度を適正にするためにこのようにいたします、皆さんどうぞご協力ください」というふうな働きかけをするというふうなことも、企業として十分できていき、目標も達成できるし国民の意識も鍛えられる、こういうふうな契機にもなっていくのではないかと思うんですね。
 国民と議論をする場というのも、もっといろいろ企業もかかわってあるのではないかと思いますが、ご意見があればお聞かせいただきたいと思います。

○桝本委員 それはおっしゃるとおりだと思います。企業も消費者あるいは社会とこういう案件で大いに対話し、メッセージを出していく必要があると思います。特に鮎川さんがおっしゃったラベリングの話などは、製品をつくる人と製品を使う人の間のコミュニケーションの問題でありますので、私は、企業もこういう場でコミュニケーションすることは大いに役に立つし、積極的にかかわる必要はあると思います。これは大いに余地があることだと存じます。
 それから、鮎川さんのペーパーについてですが、私、全面的に賛成というふうにちょっと強く申し上げ過ぎたかもわかりません。詳細にこのページを拝見すると、法律、規制云々と、ここに非常に力が置かれているわけで、この点は「私は京都議定書に関係なく」と申し上げたところと同意というふうに、私の発言を改めさせていただきたいと存じます。

○司会 今のいろいろなコメントに対しまして、鮎川さんからご発言がございましたらどうぞ。

○鮎川 いろいろコメントありがとうございます。
 桝本委員の、京都議定書との関連なんですけれども、京都議定書というのはメッセージなんです。これから世界を脱炭素の世界へ変えていくという、新しい世界を構築していくんだというメッセージなんです。ですからこのメッセージを与えることが、企業の新たな取り組みとか、いろいろなことを実施する一つの弾みになるわけで、このメッセージがあるか否かによってすごく大きな違いがあるわけです。
 そういう意味で考えると、この京都議定書を発効させないと何の意味もないわけです。10年以上かけてやっと世界と合意するところまで来ているわけなので、今これを発効させることが最大の温暖化防止行動につながると考えます。
 それから、各国の世論に働きかけてほしいという話なんですけれども、私たちはやっております。例えば、アメリカのWWFはアメリカの国内でCO2 規制の法案を作成したり、京都議定書を支持する議員と一緒に省エネの基準をつくったり、そういう国内政策を今やっております。そして、今の政権ではもしかしたら京都議定書に戻ることは難しいかもしれないけれども、いずれアメリカは戻ってくる、そういう観点から、アメリカ国内の準備をしておくことが必要だと考えておりまして、国内政策を変えていくということで、今、アメリカのNGO、特にWWFUSAはやっております。インド、ブラジルに関しても途上国対応の担当者がおりまして、各国、今アジアの方でも温暖化チームをつくろうということで動いておりますし、そういう意味では、いろいろ働きかけております。
 そのほかの件については他の方も答えていただいたので、それだけにしたいと思います。

○佐和委員 すみません、訂正します。
  473億ドルというのを私ちょっと計算間違いしまして、これは47兆円ですからGADPの9%ぐらいです。ですから所得倍増というのは大間違いでした。失礼いたしました。

○司会 鮎川さん、どうもありがとうございました。
 ちょうど1時間半が経過いたしましたので、ここで10分間休憩を入れまして、3時40分に再開したいと思います。

午後3時30分 休憩


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