保健・化学物質対策

水銀の供給・貿易に関すること

水銀が産出される一次鉱山への規制、そして産出された水銀や水銀製品の輸出入に関する内容について見ていきます。

鉱山からの産出

 世界での水銀の鉱出は、1970 年頃には年間1万トンを超えており、当時よりは減少したものの、 2012 年にも約 1600トンの産出があったと見積もられています。我が国では、国内での水俣病等の公害問題発生を教訓とした水銀の排出等の規制及び使用の削減により、従来自然水銀(無機水銀)等を生産していた鉱山が相次いで閉山し、昭和 49(1974)年に総ての企業が鉱山からの水銀生産を停止しました。

世界の水銀鉱石生産量

単位:トン

1970年代1980年代1990年代2000年代201020112012
1万~7,000 7,000前後 7,000~2,000 2,000~1,200 2,250 2,010 1,600

出典:USGS より環境省作成

「水俣条約」の主な内容

写真:すり鉢状に掘られた水銀鉱山の様子 ・鉱山からの水銀の産出について、新規鉱山開発は各締約国の条約発効後禁止。

・既存の鉱山からの産出は各締約国における条約発効から15年以内に禁止。

貿易

 アフリカや中南米などで、人力での小規模な金の採掘・精錬(ASGM)に水銀が使用され、大気中に排出される水銀による労働者の健康影響や環境汚染が懸念されており、輸入された水銀が不法に ASGM に流用されないようにすることが必要です。このため、条約では、輸出入される水銀の用途を限定的にするとともに、その際に書面による事前同意等の手続きを設けることになりました。

水銀そのものの貿易規制
図:水銀そのものの貿易規制の相関図、条約締約国同士の貿易と条約締約国から条約非締約国への貿易は規制される
水銀含有製品の貿易規制(禁止された製品について、2020年以降)
図:水銀含有製品の貿易規制、2020年以降、条約締約国同士の水銀含有製品の貿易は禁止され、条約締約国から条約非締約国への水銀含有製品の貿易も禁止される

「水俣条約」の主な内容

  • 水銀の締約国への輸出の際は、①条約で認められた用途、②環境上適正な保管に限定。
  • 輸入国の書面による事前同意が必要。
  • 非締約国からの水銀の輸入は、新規の一次鉱山または廃止された塩素アルカリ施設以外の供給源に限定。

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