保健・化学物質対策

平成27年度第2回(通算第4回)水俣条約対応技術的事項検討会 議事録

日時

平成27年9月30日(水)16時00分~18時00分

場所

TKPガーデンシティ永田町 ホール2D

出席者

出席委員

大塚直(共同座長)、東海明宏(共同座長)、蒲生昌志、崎田裕子、高岡昌輝、田村暢宏

政府出席

環境省環境保健部環境安全課、経済産業省製造産業局化学物質管理課

政府傍聴

環境省、外務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、防衛省

議題

(1)検討の進め方及びスケジュール(進捗報告)

(2)廃製品の適正分別・回収に資する水銀使用製品のリスト化について

(3)製品表示等の情報提供の方法について

(4)平成27年度 試買調査の方法について

(5)その他

議事録

(1)検討の進め方及びスケジュール(進捗報告)

(資料1について環境省から説明)

(質問等、とくに無し)

(2)廃製品の適正分別・回収に資する水銀使用製品のリスト化について

(資料2について事務局より説明)

経済産業省:本リストは中環審循環型社会部会で検討される廃棄物のガイドラインに添付する形での使用を想定している。循環型社会部会での検討結果を踏まえて、事業者の取組の現状等についてヒアリングを実施し、引き続き検討を行っていくものと認識している。

大塚座長:ガイドラインの中身は、リストのみか。文章も作成されるのか。

環境省:ガイドラインは、水銀使用製品の分別回収のために作成される。本検討会で検討したリストを参考にしつつ、ガイドラインの中身については循環型社会部会で検討される。

崎田委員:製品の分別回収に役立てるという観点では、今後製造が続いていく製品と、製造が廃止されていく製品が識別できるようなリストが望ましい。また、製造が続いていく製品に関しては、現状どのような表示がなされているか等に関して、これまでの検討過程で収集した情報も含めて追加したほうがよいのではないか。

環境省:法律に基づき製造が規制される製品もあるため、御指摘を踏まえリストのとりまとめ方について検討していきたい。表示等に関する現状の取組の情報に関しては、今後実施する予定のヒアリング結果も踏まえつつ、リストへの追加を検討していきたい。

蒲生委員:リストのタイトルに「主な水銀使用製品リスト」とあるが、「主な」とはどういう意味か。本リストはあくまで例示という位置付けなのか、それとも検討対象はリスト掲載分に限られるという意味か。

環境省:水銀が使用されている製品には多種多様なものがあり、これらを網羅的に掲載すると分かりづらくなるため、主な製品を掲載している。

蒲生委員:製品の表示或いは回収に関しては、リストに掲載されている製品に限らず全般的に検討していくという理解でよいか。それとも、検討対象は主な製品に限定するということか。

環境省:表示等の情報提供の検討対象については、本検討会にて御意見をいただきたいと考えている。本リストでは主な製品を掲載し、循環型社会部会での検討に活用していただくことを目的としている。

経済産業省:資料2の7ページ、17ページに掲載されている花火に関しては、他法令の参考資料における、一部の水銀化合物が花火に添加された事例があるという記載に基づき、入念的にリストに含めていた。他方で、花火の製造事業者団体に、現在、花火の製造において水銀を使用することがあるかどうか確認したところ、花火に水銀は一切添加していないという指摘があり、中国等からの輸入品についても同様に水銀添加は確認されていない、また、過去にも水銀を添加した事例は確認されていないという指摘があった。こうした指摘を踏まえ、花火については、リストから削除する方針で、事務局でリストを精査し、差し支えがないようであれば、削除するということで御承知おきいただきたい。

(3)製品表示等の情報提供の方法について

(事務局より資料3の説明)

経済産業省:補足だが、資料3の9ページに掲げた論点及び事務局案はあくまでも案であり、議論を方向付けることのないような記述としている。例えば論点3についてはオプションとして、選択肢として考えられる項目を掲げている。何らかの予見性をもって提示しているわけでないということに御留意いただきたい。

崎田委員:現状の表示がどのようになされているか、という情報が循環型社会部会の検討で必要となると考えられるため、本検討会で把握している情報を蓄積しておくことが重要である。リスト中に、そうした情報を含めていくことが必要。また、資料3の図1で、情報提供のフローについて①~④まで整理しているが、表示による情報提供ではカバーできない、水銀血圧計等の退蔵品に関する普及啓発についての配慮も必要ではないか。図1の普及啓発の部分で、家庭で退蔵されている製品に関する広報・普及啓発が必要という課題についても言及しておくのがよいのではないか。

環境省:リストのとりまとめ方は、御指摘を踏まえ今後検討していきたい。退蔵品については、循環型社会部会でも議論がなされると考えられるところ、検討の進め方について整理したい。

経済産業省:資料2のリストは網羅的なものというよりも、廃棄物として主に排出されることが想定される製品という観点で整理しており、現在流通している製品であってリストに含まれないものも存在する。循環型社会部会の検討において、水銀が含まれる廃棄物は須らく収集するという方向性になるのであれば、リストの内容も異なるものになろうかと思うが、現状収集されている製品については、本リストでカバーされていると考える。廃棄物として排出される量、或いは市場への製品の供給量の見通しといった情報も重要であるため、可能な限りこうした情報も収集し、提供していきたい。

田村委員:崎田委員からも御指摘があったが、普及啓発・広報は重要である。例えば水銀血圧計や水銀体温計については、今後表示を施すというよりも、封入されていることを周知することが重要である。ランプも同様で、自治体等がランプの分別収集を開始しているが、ランプには水銀が封入されていて、分別回収をすることを周知することが重要である。

高岡委員:資料2について、朱や顔料は年間1トン程度が定常的に国内供給されているのではないか。表2には塗料の記載はあるものの、朱は記載されていない。また、資料3の図1に関連して、製品が最終的に廃棄物として排出される場合に、製造・出荷時の姿を留めない状態で、例えば潰れた状態で排出されることも考えられる。金属水銀が封入される製品が事業所内で潰れて、金属水銀が排出されることもあるのではないか。循環型社会部会の所掌事項かもしれないが、製品の回収について検討するにあたっては、こうした点にも留意していただきたい。

東海座長:廃棄物の排出シナリオが多様であると考えられるため、整理したほうがよいのではないか、という御指摘である。

高岡委員:顔料については、塗装後に最終的に廃棄物として排出される場合の形態もどうなるのか不明である。廃試薬として排出されることもあるかもしれず、リストに含めたほうがよいのではないか。

田村委員:ランプについても、例えば建築廃棄物の中に割れた蛍光ランプが混入していることもあり、こうした状態についても考慮しておく必要がある。廃棄物のガイドラインは現在検討が進められているものと思うが、表示等とも密接に関わってくると考えられるため、出来る限り早くガイドラインの内容を提供していただき、表示に関する検討を進めていきたい。ガイドラインでは、製品中の水銀量も重要な要素なのではないか。例えば、水銀血圧計には50g程度の水銀が含まれており、これは蛍光ランプ約1万本分に封入される水銀量に相当する。科学的知見に基づき検討を進めていくことが望ましい。

環境省:今後の分別回収の進め方について、循環型社会部会における議論とも深く関連する御指摘である。次回以降のヒアリングでも、考慮していきたい。

大塚座長:9ページ、表6の論点3の表示方法については、循環型社会部会でも検討されることと思うが、出来れば本体に表示していただきたい。難しいようであればパッケージや取扱説明書への表示ということになるかもしれないが、ウェブサイトに情報を掲載したとしても、ほとんどの消費者は製品との結びつきを認識しないのではないか。表示方法案に優先順位をつけたほうがよいのではないか。小さい部品の場合には、製品本体への表示が難しい等の事情を踏まえウェブサイトに掲載するということはあるかもしれないが、どの表示方法でも良いというわけではないのではないか。

東海座長:現状の資料はあくまでも議論の材料であって、網羅的に提示されているということである。循環型社会部会に我々の検討結果を提供し、検討に活用いただく予定である。現状の記述は、漏れがないように網羅的に示されているという理解である。

崎田委員:大塚座長の御指摘は大変重要である。情報提供方法の案として示されている6項目について、製品本体或いはその周辺物においてどのように表示するかということが重要である。上3つの項目と、下3つの項目が同じレベルで記載されていることに違和感を覚える。上3つの項目を補完するものとして、店頭での表示やウェブサイトでの情報提供があるのではないか。これらの複合型というのもありうる。こうした点を配慮していただきたい。

また10ページのヒアリングに関連して、これまでに実施した事業者ヒアリングにおいて、中小企業が多い業界では徹底が難しい面があるという話があった。大企業による先進的な取組、業界としての取組などで全体をフォローしていくことが重要である。事業者同士の協力・連携ということも含めながら、どういった対応が可能なのかという点も考慮して、今後のヒアリングを実施していただきたい。

田村委員:9ページの表6、論点3の情報提供の方法に関して、例えば水銀血圧計や水銀体温計のように、今後製造が廃止されていく一方で退蔵がなされている製品に関しては、今から製造されるものに表示を施すというよりも、分別回収に関して自治体から普及啓発を行うといったことのほうが有効と考えられる。こうした普及啓発の方法についても、検討していくべきではないか。

東海座長:資料3、8ページの図1に、自治体から消費者への普及啓発という情報提供フローを追加していただきたい。場合によっては、ヒアリング対象に自治体も含めてはどうか。

崎田委員:事業者自身が、店頭又は製品において普及啓発を行うという点も重要と考えられるため、「自治体等から消費者への普及啓発」という表現を用いていただきたい。

東海座長:おっしゃるとおりである。自治体等と表現していただきたい。

田村委員:御指摘のとおり、自治体に加え、メーカー等による普及啓発も重要である。一般消費者は、自治体によるゴミの排出方法に関するマニュアルを参照するため、こうした普及啓発を充実させることが大変有効である。

東海座長:特に図1、表6に関して御意見をいただいた。情報提供に関しては、今後なるべく多くの関係者が参画していけるよう、調査を行っていただくのが重要と考える。

田村委員:産業廃棄物関係では、産業廃棄物処理業者から排出者に対して、分別するよう言ってもらえるとよい。自治体等、の「等」に含まれるかもしれないが。

大塚座長:田村委員の御指摘については賛同するが、自治体の責務は法第17条で、産業廃棄物に関する情報提供はWDSの話であるため、法第18条の事業者の責務とは若干異なることに留意する必要がある。ただし、自治体の対応や、一般廃棄物・産業廃棄物に関する対応については重要なため、言及しておく必要はあるだろう。検討事項の所掌範囲については、事務局において整理をお願いしたい。

経済産業省:補足だが、循環型社会部会に提供されるのは資料2の製品リストのみで、資料3の内容は本検討会での議論の叩き台として作成している。今回いただいた御意見については、循環型社会部会に報告させていただく。

蒲生委員:現状でも表示或いは回収がなされているものが存在することを踏まえると、既存の回収体制やそれがうまく機能しているのか、といった情報を収集し、整理しておくことが必要ではないか。それを踏まえてどのような表示が望ましいかを議論する機会はあるのか。

環境省:次回の検討会において、循環型社会部会における検討結果を報告させていただく予定である。現状どのような取組が行われていて、今後どのような対応をしていくのか、といった情報が提供されると考えている。

経済産業省:資料3、10ページでヒアリングにおける主な聴取事項として、「情報提供に関する現状の取組」も挙げている。事業者による対応の現状について、情報を提供していただけると考えている。

蒲生委員:事業者による取組についてはヒアリングでも得られると思うが、そうした表示がうまく活用されているのかといった、ニーズ側の意見については、循環型社会部会で整理され、反映されていくという理解でよいか。

経済産業省:おっしゃるとおりである。

(4)平成27年度 試買調査の方法について

(事務局より資料4の説明)

大塚座長:5ページの最後で、ボタン形電池に関する留意事項については重要ではあるが、試買調査に関連する事項というよりはボタン形電池の一般的な留意事項ともとれる。ここの記載はどういう位置付けとなるのか。

事務局:ボタン形電池については、水銀フリー化した場合に破裂する可能性があるということを踏まえ、安全性試験を行うにあたり、製品に水銀が含まれるリスクと、水銀フリー化した際に生じるリスクの両面を考慮する必要があるということで、記載している。

大塚座長:これまでに検討した第二次報告書にも関係する話だと思うが、ここに書くべき内容なのかどうか、確認したい。

環境省:試買調査としては関係しない部分もあるかもしれないが、関連事項としてまとめている。安全性に関する検討を行っていくことは重要と考えている。

大塚座長:試買調査では、特に輸入品と国内製造品の競争条件を一定にするという観点も踏まえて、取り組んでいただければありがたい。

高岡委員:5ページで、水銀含有量測定の検体数について見通しはあるか。

事務局:昨年度の調査ではボタン形電池の組込製品を50個購入し、そのうち10製品に組み込まれていた電池について、1種類あたり5検体(計50検体)の水銀含有量を測定した。昨年度の結果を踏まえると1種類の試料につき5検体程度が妥当と考えられるが、測定にかかる期間や費用を踏まえて検討することとなる。

高岡委員:水銀測定を実施する際には、5検体程度を想定しているということか。2~3というわけにはいかないと思うが、製品の種類も多岐にわたると考えられる。1種類の製品に関する再現性ということも留意する必要があるが、検体数はなるべく多いほうがよい。

環境省:1試料あたりの検体数を多くするよりも、水銀測定をする試料数を出来る限り多くしたほうがよいということか。

高岡委員:輸入品については、メーカーごとに製品の特性が多岐にわたる可能性があるため、試料数を増やすことを重視したほうがよいのではないか。

蒲生委員:製品の安全性試験も、今年度調査で実施するという理解でよいか。安全性について確認しておくのは重要だと思うが、今年度の試買調査で実施する理由がよく分からない。

環境省:例えばボタン形電池について破裂の危険性について聞かれることもあるため、確認・検討のために調査内容に含めている。ただし、安全性試験の実施については、知見を有する方に意見をいただきつつ、引き続き検討していきたい。

蒲生委員:安全性を確認しておく重要性は理解するが、本調査で実施する意義が分からない。破裂の危険性が高いとなった場合の対応はどうするのか、ということも含めて、十分に検討していただき、文脈に合うかどうか確認していただきたい。

また、試買調査の趣旨は、水銀の流通量や廃棄量を把握することだと思う。各製品に含まれる水銀量、流通する製品に含まれる総水銀量を試算し、優先順位をつけたほうがよいのではないか。水銀量が多い製品であって、依拠するデータが不足する製品に関しては、重点的に調査が必要であり、水銀量が少ない製品の場合には、検体数を減らすといった対応も可能である。水銀量の見積もりを試算した上で、調査を設計していただきたい。

環境省:今年度は予算やスケジュールの関係もあり、どこまで考慮できるかどうか不明な点もあるが、ご意見を踏まえ検討したい。

崎田委員:中長期的な試買調査で把握される数値等のデータは、法律の施行状況の確認という点に密接に関わってくる。全体の数量等について、毎年一定の調査を実施し、差を評価できるように取り組んでいく必要がある。こうした点も考慮し、調査を設計していただきたい。

田村委員:製品の性能と水銀量の関係性についても考慮する必要があるだろう。ランプでは製品寿命によって水銀封入量が異なる場合がある。例えば寿命が5,000時間の場合は3mg、15,000時間の場合は4mgというように。この場合、同じ使用期間で考えれば、4mg封入の長寿命製品のほうが、排出される水銀量が少ないということになる。RoHS指令では、長寿命ランプに関しては異なる基準が策定されているということもある。ボタン形電池についても、例えば補聴器に使用される空気亜鉛電池がユーザーの耳元で破裂するといった危険性も考えられる。水銀フリー化しても安全なのかも考えていく必要があるだろう。ボタン形電池の安全性試験の方法に関して、現在電池工業会において検討がなされており、そちらの検討結果を踏まえ、本調査でも同様の手法を採用するのが望ましいのではないか。例えば蛍光ランプで、水銀含有量が1mgしかないが、3日しかもたないというのでは、意味がないため、網羅的な調査方法について検討する必要があるだろう。

崎田委員:一般消費者側としては、身近に購入する、例えば子供用の輸入品玩具に組み込まれているボタン形電池が水銀フリー品か否かを判別したいという思いもある。試買調査では、そうした点についてのチェックという観点も考慮していただきたい。

田村委員:以前に乾電池の液漏れが一時的に増えたことがあったが、安全性が担保されていない状態で強引に水銀量を減らした結果だと考えられる。こうした事例は、とくに子供用の玩具で起こると非常に危険であり、水銀以外に、アルカリ性の液漏れといった危険性も考慮する必要がある。製品中の水銀を減らすことが安全性の担保に繋がらない場合があるという点にも留意する必要がある。

東海座長:本日の議題では、現在流通している製品からの水銀排出を抑えるという早いフローと、退蔵されている製品からの水銀排出を抑えるという遅いフローという2種類の観点がある。試買調査では比較的早いフローに着目しており、循環型社会部会の議論では、退蔵品も含めて、回収システムの設計が検討されることとなる。試買調査は、早いフローの部分を対象とすることを明確にした上で実施すると良い。カバーされていない部分は将来の課題として整理していただければよいのではないか。

(5)その他

東海座長:全体に関してコメントはあるか。また、事務局から補足があればお願いしたい。

環境省:平成27年度の試買調査については時間的制約があるため、本日いただいた御意見を踏まえ事務局で実施方法を整理の上、実施に着手したいと考えている。実施方法に関して追加のコメントがあれば、1週間後をめどに事務局までお送りいただきたい。

事務局:本日の全ての議題に関して、追加のコメントがあれば1週間後の10月7日をめどに事務局までお送りいただきたい。次回検討会は11月27日(金)13時~15時、本日と同じ会場で開催する。

以上