保健・化学物質対策

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 第6回議事概要

日時

平成26年5月20日(火)15:00~17:30

場所

東京都内(日本消防会館(ニッショ-ホール)5階 大会議室)

出席者

(専門家)
明石委員(座長代理)、阿部委員、荒井委員、遠藤委員、大久保委員、春日委員、佐々木委員、清水委員、鈴木委員、長瀧委員(座長)、祖父江委員、中村委員、伴委員、本間委員、小笹氏(放射線影響研究所)、甲斐氏(大分県立看護科学大学)
(環境省)
井上副大臣、塚原部長、桐生参事官 他

被ばく線量に係る評価について

事務局より、資料1-1、1-2、1-3について説明。委員の主なコメントは以下のとおり。

  • 資料1-1で"Best Dose Data"等の表現があるが、まとめとしては、実測値データ、モニタリングデータ、シミュレーションデータと表記するのが科学的である。実測データがベストなのはそのとおりであるが、その数は限られ、また、シミュレーションは時系列で状況がわかるなど、どちらがベターとは簡単には判断できない。
  • 線量再構成における考え方では、ベストデータは実測に基づくものであり、実測に勝るものは無い。
  • 参考資料2-13に、日本人のヨウ素の取り込み率は4%から27% までとあるがシミュレーションではこれを一律にしており、やはり、実測値を用いるのが最適である。
  • (小児甲状腺スクリーニング検査の対象となった方に関しては、スクリーニングレベルを超える者はいなかったという資料1-1のまとめ方の可否についての議論にて)1,080人の検査については、不確かさと、それによる評価値の変動を考えるべきであり、また、なぜ高くならなかったのかという裏づけが必要である。牛乳の流通がストップしていてそういう経口経路はなかったとか細かく見ていき、それぞれの摂取経路の寄与を丁寧に調べることで裏づけがとれ、より一般化して、カバーされなかった人についてどうであったか、定性的な考察ができるのではないか。
  • 1回吸入については、現実的に環境中に放出されたものをその日にしか食べない、吸入しないというのは特別な例であり、その土地にいた場合、複数回摂取していると考えるのが現実的である。母乳からの線量評価でも、3月15日に140kBqの放射性ヨウ素を摂取するというのは、現実的に不可能である。
  • 吸入摂取のみを考えれば、放射性ヨウ素が空気中に舞い上がるリサスペンションの寄与は極めて少ないため、1回摂取という仮定は悪い仮定ではない。
  • 甲状腺被ばくの推計における摂取シナリオの設定については、少なくとも北西方向は、大気拡散シミュレーションの傾向や空間線量の変動からも、プルームの通過は1日以内のものであったと言え、1回摂取という仮定には合理性がある。
  • 資料1-1では、小児甲状腺スクリーニング検査について、調査対象地域の居住小児に対して調査人数は十分であるかのような表現になっているが、川俣、飯館の場合と、いわきの場合は異なるはずであり、市町村毎に記述を行うべき。

ヒアリングについて

(1)小笹氏より提出資料について説明。委員の主な問いと発表者の回答は以下のとおり。

  • (しきい値がないならゼロでなくては安全と言えないとの主張に対していかに考えるかの問いに対し)安全かどうかは結果を踏まえた上での評価で、現実のリスクがこの様に推定されている結果を報告するのみで、その先の判断には踏み込まない。
  • (低線量領域での被ばくの精度についての問いに対して)原爆被爆者の調査当時は低線量被ばくのリスクをさほど想定しておらず、また、爆心地からの距離、家屋の遮へい状況などが詳細に分かっていたわけではないため、その精度は高くない。
  • (吸収線量あたりの有意差の判断は、不確実さを考慮しているかの問いに対し)40%の不確実性は考慮に入っているが、それは物理線量の評価における不確実性であり、その人の被ばく地点は本当にそこなのかとは別である。ただし、空間線量は20mGy程度であり、低線量であることは間違いなく、1Gy程度の誤差があることもない。

(2)甲斐氏より提出資料について説明。委員の主な問いと発表者の回答は以下のとおり。

  • (従来、公衆の被ばく限度として1mSv/yとされていたものが、事故を機に、20mSv/yを用いるのはおかしいのではないかとの意見にどう答えるかの問いに対し)従来、事故を想定したルールは無かったこともあり、事故後の対応についてしっかり説明すべき。20mSv/yはあくまで中間的な目標値であることのメッセージが必要。
  • (ICRPは特に一般人にとって分かりにくく、簡易版などはないのかの問いに対して)ICRP(国際放射線防護委員会)は、もともと規制当局や原子力事業者向けの勧告を出してきたが、一般公衆の安全に関わる問題はやはり一般に分かりやすい言葉で伝えることが重要であり、そのような動きはある。そもそもICRPは社会にリスクを伝える立場ではなく、世界共通の考えをつくる立場であることによる。リスクメッセージは国により異なるため、日本独自のリスクメッセージをつくって社会に打ち出しても良いのではないか。
  • (ICRPの日本語がわかりにくいのは誤解をされないようにするためだろうかの問いに対し)日本語訳は意訳を避けながら行われるが、例示するなどの配慮は必要かもしれない。

被ばくと健康影響について

資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料3について説明がなされ、最後に、資料3に関し、鼻血、強い疲労感等と福島の被ばくとの科学的因果関係について、以下の意見が出された。

  • 急性被ばくに関するWHOのデータでは、血小板減少による出血は3~4Gyかそれ以上でなければ発生しない。また、原発敷地内に入った直後の出血はどんなに線量が高くてもまず起こり得ない。
  • 福島県で避難指示区域の患者さんを診ている医師に話を伺ったが、鼻血が多発しているという印象はないとのことである。
  • 放射能の高い粒子(ホットパーティクル)が鼻の粘膜に付着し出血することを懸念する声もあるが、数10Gy以上の高い線量での場合に限られ、環境モニタリングの状況からは現実的に起きているとは考えにくい。事故後3年経ってこのような話題が出るということは、心配されている方がおられるということであり、そのことを真摯に受け止めながら、我々がどの様に判断しているかについて伝えていくべき。

以上

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