保健・化学物質対策

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 第5回議事録

日時

平成26年4月24日(木)

場所

航空会館 501、502会議室

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    (1)原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の福島原発事故報告書について
    (2)その他
  3. 閉会

午後1時28分 開会

  • 桐生参事官 本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻よりやや前でございますけれども、出席を予定していただいている委員の先生方、皆様お集まりですので、これから第5回目の専門家会議を開催したいと思います。本日、荒井委員、大久保委員、祖父江委員より欠席のご連絡をいただいているところでございます。
    なお、冒頭、傍聴者の皆様へ協力のお願いを申し上げたいと思います。円滑に議事を進行するために、事務局の指示に従ってください。傍聴中は静粛にしていただき、発言や拍手などについては控えていただきたいと思います。また、携帯や、アラーム付の時計等は音が出ないようお願いします。その他、事前にお配りした内容についてご注意いただきたいと思います。これらをお守りいただけない場合には、退場していただくこともありますので、よろしくご理解をお願いしたいと思います。
    それでは、冒頭、浮島大臣政務官よりご挨拶を申し上げます。
  • 浮島環境大臣政務官 皆様こんにちは、政務官の浮島でございます。本日は大変お忙しい中、また、急なご案内にも関わらずご出席を賜り、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
    先般、4月2日に国連科学委員会より福島原発事故にかかわる放射線に関する健康影響に関する報告書が公表されたところでもございます。この報告書は、各国政府や組織が、放射線リスクに関する施策を検討する上での科学的な根拠となるものでございまして、我が国にとりましても、とても重要な知見のあることと承知をいたしております。また、この報告書につきまして、本専門会議において、今後のいろいろな議論をしていく上で非常に参考になるということから、長瀧座長から十分に時間をとって、皆さんでご議論していただきたいとのご提案をいただきまして、本日、同報告書に議題を絞りまして、専門家の皆様にご議論をいただくこととなりました。
    また、同報告書におきまして、被ばく線量の推計、健康リスクの評価を行った上で、住民における放射線被ばくによる健康影響が観測されることは予測されないとの見解がまとめられているということを承知いたしておりますけれども、この報告書を含めまして、全ての知見を総動員いたしまして、健康管理のあり方について議論を深めていくことが極めて重要であると思っているところでもございます。
    しかし、極めてこの内容は専門的でございまして、私も含めまして、国民の皆様方一人一人が理解するのがとても難しいということも事実でございます。国民の皆様にどうやったらわかりやすく、しっかりとお伝えできるのか、そういう問題意識を持ちまして、私もしっかりと勉強させていただきたいと考えております。
    本日はこの報告書の内容につきまして、放医研の放射線防護研究センターの酒井センター長様より解説をいただけることとなりましたので、国民の皆様に報告書への理解を深めていただけるよい機会になるものと考えておるところでございますので、どうか最後までよろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございます。
  • 桐生参事官 ありがとうございました。続きまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元の議事次第の下に資料の一覧がございますけれども、それに基づいてご確認いただければと思います。資料1-1として、UNSCEARのレポートの抜粋でございます。資料1-2で、そのときのプレスリリース。資料2として、「将来の科学的研究の必要性」への対応についてという2枚の紙でございます。また、その次に、酒井センター長からの提出資料がございます。また、参考資料として、この会議の開催要綱がございます。何か過不足等があれば、事務局へ連絡をいただければと思います。
    なお、委員の提出資料の行き違いや、また、前回、傍聴者への資料が若干メインテーブルの配付資料と違っていてわかりにくいとか、そういったご指摘がございまして、事務局としても今後注意したいと思いますので、ご了解いただければと思います。
    それでは、議事を座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  • 長瀧座長 それでは、第5回の会議を始めたいと思いますが、本日の議事は、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の福島原発事故報告書についてというタイトルでございます。本日は、先ほどお話がございましたように、放医研の放射線防護センター長の酒井一夫先生からお話をいただきますけれども、UNSCEARの報告の扱いにつきまして、後ほど事務局からもお話しいただきますが、我々としては、UNSCEARの今回のことをよく勉強して、そして、この専門家会議は専門家会議として十分に議論するという立場であることだけを最初にお話しいたしまして、事務局からご説明いただけますか。
  • 前田参事官補佐 事務局でございます。先に酒井先生からお話を賜る前に、事務局から一言でございますが、本日は、先ほど座長からございましたとおり、4月2日にUNSCEARから公開されました東日本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルとその影響について、お話しいただくわけでございますか、先生にお願いしておりますところは、報告書に記載している事項についてのご説明、ご質疑への対応という形でお願いをしているところでございます。
    報告書、本日、資料1-1でご用意させていただいたとおり、大部でございますので、記載されている内容だけでも相当ディスカッションあるかというふうに承知をしてございますが、もし、UNSCEARに直接確認しなければはっきりしない内容みたいなものが生ずるご質問をいただくようなことがございましたら、大変恐縮ではございますが、私ども事務局で一旦お預かりをさせていただきまして、環境省から国連科学委員会にご照会を差し上げて、後日、ご回答をUNSCEARからいただいて、それをご披露差し上げるという段取りで進めさせていただきたいと思いますので、あらかじめご承知おきをいただければと思います。
    また、もう1点でございますが、本日、英語での資料のご提供とさせていただいております。日本語版については現在、国連科学委員会で、まさに作成中とお伺いをしておりまして、それができ次第、UNSCEARで公開されると聞いておりますので、日本語版につきましては、そちらをお待ちいただくという形でお願いをしたいと思います。事務局からは以上でございます。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。
    それでは、酒井先生にご説明いただくわけでありますが、300ページ、ANNEX Aだけでも相当な量がある。それを30分程度でお話しいただく。大変なお仕事をお願いいたしましたけれども、随分いろいろと準備していただきまして、本当に厚くお礼申し上げます。
    お話は、イントロと原発からの放射線物質の放出量、それから一般住民への被ばく線量、被ばく評価の部分と、それから、被ばくに基づく健康影響と全体のまとめの部分、二つに分けてお話しいただきまして、両方とも15分ぐらいでお話しいただいて、また、同じぐらいの時間を質問に使う。特に最後のほうは将来のことがございますので、それについて、事務局で日本語にまとめたものも準備させていただきました。それも一緒に議論したいと思います。
    それでは、酒井先生、よろしくお願いいたします。
  • 酒井先生 ご紹介いただきました、放射線医学総合研究所、酒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    ただいま長瀧先生からお話しがございましたが、これだけ分量のある、報告書でございます。本日お話しするのは、ごくごくかいつまんだ内容になるかとは思いますが、先生方のこの会合での議論のきっかけになればと考えております。右上に、酒井提出資料と書いてございます資料に基づいてご説明申し上げます。
    UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)の設立当初は、核実験のフォールアウトが主な懸念材料であったと聞いております。それ以降、人間と放射線とのかかわりの中で、さまざまな線量と影響をキーワードとして、さまざまな科学的な知見を集約してきているところであります。
    このUNSCEARが2011年の福島原発事故を受けて、2011年5月に、福島事故に関連して、やはり線量と影響をキーワードとした報告書をまとめようということになり、活動が開始されました。
    「はじめに」の資料にございますが、原発事故の時系列的な展開を踏まえた上で、放射性物質の放出と拡散、それから公衆の被ばく線量、作業者の被ばく線量、そして健康影響、さらにはヒト以外の生物の環境生物の被ばく線量とリスクという事項を含む報告書、これが冒頭のご案内のとおり4月2日に公表されたところでございます。
    ページをめくっていただきまして、目次を概観しておきたいと思います。まずはイントロダクションがありました後、事故がどのような推移をたどったかというまとめ、さらには環境中に放出されてしまった放射性核種の拡散、そして沈着の様子、それから公衆の被ばく線量の評価、さらには作業者の線量評価、それに引き続きまして健康影響、それとヒト以外の生物相における線量と影響の評価、さらに要約、結論、今後の課題という構成になっております。
    順番にお話いたしますが、この専門家会合の主な検討対象は一般の方の健康影響であると承知しておりますので、そこの部分に中心を置いてご説明いたします。
    まず、地震と津波の後に発生した事象の時系列。これも詳細に立ち入りますと幾ら時間があっても足りませんので、このような形で紹介されているというところをまとめました。この下の表をご覧ください。2011年3月11日14時46分に地震発生から始まります。その後、どのような事象が起こったかということを原子炉の中、あるいは環境に、そして一般公衆に、さらには作業者にという形で、実はこれは4ページにわたって表が取りまとめられております。絵の中では所々で割愛させていただきましたが、最後は2012年3月31日、作業者についての線量評価が完了という形で、これまでの時系列的な推移が取りまとめられているところであります。
    このような時系列も踏まえた上で、次のスライドをご覧ください。放射性核種がどれほど放出されたかということがまとめられております。最終的な結果だけ、ここにまとめました。福島第一原発から大気中へ放出された放射性物質の量、ヨウ素に関しては、100~500PBq、PBqと申しますのは、10の15乗を示す数字で、記号であります。それから、セシウムに関しては6~20PBq、このような量の放射性核種が環境中に放出されたと見積もられております。
    これとチェルノブイリの事故のときと比較が述べられており、これを見ますと、ヨウ素に関しては、およそ10分の1程度、セシウム137に関しては約5分の1であります。 また、同様に海洋中へ放出された放射性物質についてのまとめもございます。ヨウ素131については、直接海に放出されたものが10~20、間接的に60~100、セシウムが3~6、5~8という見積もりになっています。海洋中への放出というのが、チェルノブイリの場合にはございませんでした。福島の事故の特徴的な点かと考えております。
    さて、本題の公衆の被ばく線量の評価に移ります。この報告書では、まず体の大きさ等を考えまして、まずは「成人」の場合、それから「小児10歳」、さらに「乳児1歳」を想定しております。この三つのグループそれぞれについて実効線量と、甲状腺への吸収線量というもの を、提示しております。
    もちろん一般の方が受けた線量というのは、どこに住んでおられたかに大きく依存します。それに関しましては、「事故直後から避難した地域」すなわち「避難指示が出された地域」、それからその後、1カ月ぐらい後に「計画的避難地域」として指定されたところ、これがまずは一まとまり。「福島県のその他の地域」をもう一つ、さらに「福島近隣県」、さらに「そのほかの日本全体」という形で、細かく言いますと五つ、最初の二つを一まとめにしますと、避難をした方という形でまとめますと、大きく四つのグループに分けて、線量の評価をしています。
    この線量の評価に当たっては、外部被ばく、体の外にある線源から受ける被ばくと、内部被ばく、体の中に取り込んでしまった放射線源からの被ばく、この両方をあわせて評価しております。内部被ばく評価の推計をするに当たりましては、屋内退避等の効果は、この報告書の中では配慮されておりません。それぞれの状況について、個々にその程度が異なるという背景のもとに、屋内に退避をしたという効果については配慮されていない。言いかえますと、ここの部分、やや安全側にといいますか、保守的に線量の評価を行っているということになるかと思います。
    その次、外部被ばくに関しましては、これは建物の外にある場合と、それから中にいた場合とで、この線量は異なります。そのときに、家屋が木造の建物であるという仮定を置いて計算がされているところであります。ちなみに木造の住宅ですと、コンクリート造りの住宅の場合に比べて遮蔽効果は小さいということになりますので、この部分でも、やや安全側といいますか、高めの線量評価ということになるかと思います。
    今、外部被ばく、内部被ばくと申し上げましたが、それぞれの評価に当たりましては、さまざまな不確かさが伴うところであります。
    避難区域における評価に当たりましては、大気中を放射性物質がどのように移動し、拡散し、さらには沈着をするかというモデルを使って推計しておりますが、このモデルで示した値につきましては4分の1、あるいは5分の1から4倍から5倍の範囲で、その推計に変動があり得る、不確かさが含まれるということをつけ加えているところであります。
    避難区域以外の部分に関しましては、個人の線量は、平均値の3分の1から3倍の中での変動があり得るというようなことが書かれております。
    このほかにもさまざまな線量の評価がなされております。
    例えば、今後、長期にわたって、何十年もたった場合に、どのような評価になるかという表もありますが、ここでは、1年後までの線量についての値をまとめました。
    ページをめくっていただきまして、事故後1年間の実効線量及び甲状腺の吸収線量の推定値と書いてございます。先ほど申し上げましたように、グループ1としまして避難をした方たち、この中にはあらかじめ避難指示に従って避難をされた方々と、その後、計画的避難区域に指定されたところにおられた方々が含まれます。そして福島県の避難区域以外の福島県、近隣県、その他の都道府県という形で分類をした上で、線量の評価が報告されているところであります。
    今は数字の個々詳細に立ち入ることはせず、このような形での線量の評価が行われているということだけ申し上げておきたいと思います。
    さて、このような形で被ばく線量の評価をしてきましたが、次にこれについての分析が、述べられております。
    まず、食品による内部被ばくの寄与がおおきかったということが一つ。
    それから、このような評価に対して、事故の後、福島県でさまざまな形で、実際に線量の評価とそれとの比較が行われております。実際の測定結果と比べてUNSCEARの評価のほうが高いということが、実際の測定結果を引用しつつ、述べられているところであります。
     それから、ここのグループ1、避難をした方々と申し上げましたが、避難をしたということが、どれほど線量の低減に役立ったかという考察もされております。これにつきましては、そこの№8の部分に書いていますが、避難をすることによって被ばく線量を10分の1に低減することができたというのが結論であります。ただ、避難ということに関しては、避難による避難関連死や精神的あるいは社会的なマイナスの影響も生じているということもあわせて記載されております。
    次のページをめくっていただきまして、食材を介した内部被ばくについて、事故の直後に食品に関しての規制等が行われる前に地元で栽培された食材、あるいは採取された食材、これらのものを摂取された方、食べられた方がおられたとしたならば、そこまでの検討はこの報告書の中では、することができなかったことでございます。そして、このような事故直後の高かったかもしれないレベルの食材を食べていたとすれば、その方たちの評価というのは、ここでこの報告書で述べられている推定値よりも10倍近くまで高くなる可能性があるという指摘がございます。
    ただ、その後、実際にホールボディカウンター等の測定の結果を見る限り、このような高い線量を示す事例は見られなかったということをつけ加えております。
    さらに食品を介した内部被ばくについての考察でありますが、実際に食品に含まれる放射能がどれほど含まれていたのかということに基づいた計算をしているわけですが、このデータというものが、どういう状況のもとで得られたかということに関しての考察であります。当時、当局の食品の検査については、汚染レベルの高い食品を特定するということが一つの目的として実施されました。そのため、これらの値は、ランダムにサンプリングしたものとは言えません。したがって、この委員会で示した平均濃度の値、さらにはこれに基づいて計算される食品を介した内部被ばくの値というのは、過大評価があった可能性があると記述されております。 また、実際のところ、多くの食品について、測定結果を眺めて見ますと、検出限界よりも低い場合には、UNSCEARの委員会では、検出限界値、検出限度値があるという仮定で計算が進められております。これも経口摂取、食べ物を介して体の中に取り込んだ線量が高めに評価される原因となったという記載されています。
    さらに食物の流通・消費パターンでございます。今回の評価では、食材は全て福島県内のものであるとされていますが、もしも県外からの食材が供せられた場合には、そこの部分で実際の線量は低くなる可能性があります。 先ほど長瀧先生からは、公衆の被ばく線量のところで一区切りというお話がございましたが、線量の評価という意味では、作業者の線量の評価も行われております。ページをめくっていただきまして、上の段に作業者の線量評価をかいつまんでまとめましたけれども、この専門家会合で検討なさる内容という意味では、公衆の線量評価が大事かと思いますので、ここの部分につきましては、後ほどお目通し願えればと思います。
    線量の評価まではとりあえず以上でございます。
  • 長瀧座長 本当に大変な量の報告書を非常にわかりやすく、ポイントを絞ってのお話しいただきました。ここで15分間の質問の時間にしたいと思いますが、どなたでも質問がございましたら、ご発言いただきたいと思います。
  • 佐々木委員 最初に事務局への質問、きょうお配りいただいた資料1-1、私だけかもしれませんが、appendixのAが、私のものは抜けているのですが、Bから始まっているような、私のものは。
  • 前田参事官補佐 すみません。事務局でございます。資料の構成、丁寧なご説明を怠っておりまして、恐縮でございます。資料1-1、分厚い資料を4枚めくっていただきますと、目次がございます。右上にページ数が21とございますので、その時点で少しイントロとかは省かせていただいているのですが、本日印刷を差し上げましたのが、こちらの目次の部分でいきますと、1枚戻っていただいて、ANNEXのAというのがございます。こちらが全体のまとめでございまして、本日、酒井先生からはそちらを中心にお話をいただく予定でございます。大分ページが飛びまして、94ページというところがございます。そこからappendixのBとまとめの境目の部分でございまして、ここからappendixのAが総論でございますので、そこは省かせていただいた上で、appendix Aが、B以降に何が書いてあるかという資料一覧でございましたので、そこは省略をさせていただいて、印刷をさせていただいたのが、appendix Bの放出量の部分と、appendixのCがパブリックのdoseアセスメントでございますので、そちらにさせていただいたということと、appendixのEが、そのdoseに基づきまして評価をしてございます。appendixに関しましては、その三つに関しまして印刷をさせていただきました。すみません。事前に説明しておけばよかったことでございまして恐縮でございます。
    ですので、含まれていないものといたしましては、appendixのAとappendixのD、これは労働者の部分ですが、あとappendixのF以降については省略をさせていただいておるものでございます。
  • 佐々木委員 どうもありがとうございました。
    酒井先生への質問が一つございます。スライドと呼んでいいでしょうか、6番ですけれども、成人20歳、小児10歳、乳児1歳の全身の実効線量についての質問でございます。実効線量というのは、少なくとも現在のところは標準男性、女性を使った男女性平均、年齢平均の組織荷重係数を用いたものを実効線量と呼んでいると理解しておりますけれども、ここで言う20歳、10歳、1歳の実効線量というものは、どう算出され、どういう意味合いを持っているものかということを伺いたいのですが。
  • 酒井先生 まずは、線量評価体系の中で、標準人という呼び名を使っているかどうか、また先生ご指摘のもともとの定義に遡ったときに、そのような位置づけで、標準人というのが、年齢ごとの標準人という位置づけになっているかどうかということは把握しておりませんが、つまり年齢に応じた体格の違いというものをある意味標準化したモデルが提示され、それを活用した線量の評価が実効線量という形で議論されております。ここではそのような標準的な体格のモデルを設定して、それに基づいた計算によって実効線量を算出しております。
  • 佐々木委員 ありがとうございます。そうしますと、組織荷重係数は、それぞれの年齢の代表的組織荷重係数というものを出して、それを使っているのでしょうか。
  • 酒井先生 これについては同じ値を使っております。そういう意味では、今後の非常に重要な課題の一つかもしれませんが、このレポートでは、年齢によって、組織荷重係数について異なる値を使っているということはございません。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。ほかにございませんか。
  • 石川委員 詳細に説明していただきましてありがとうございました。幾つか聞きたいのですけれども、6のスライドのところで、ここに真ん中辺の括弧のところで、平均濃度の値が過大評価であった可能性がある。そして、その2行下に、経口摂取により線量が高目に評価される原因として考えられる。それから、4)の外部被ばく線量及び吸入に外部被ばく線量の不確かさ、こういった文言が、一つのスライドの中に相対する形で幾つかあるわけなのですね。8のスライドの7)のところにも、若干過大な評価となっている可能性がある、と書いてあったり、それから、人々のいろいろな行動のパターンだとか、そういったことからすると不確かなものがあると言われているということになるわけですね。そうすると、二つ評価が割れていることが書かれているわけなのですけれども、それは前回のUNSCEARの報告の31番目ぐらいの項目に一定、私たちがここの会議で線量の把握だとかをやって推計してきたわけですけれども、それとは別個に、人々の行動だとか食べたものの不確かさ、把握できていない部分があって、その辺でのばらつきはあると考えてよろしいわけですね。
  • 酒井先生 ここで述べられているのは、おっしゃるとおりだと思います。
  • 石川委員 それは要するにばかにできない程度であると、範囲であるということですね。
  • 酒井先生 はい。例えば、事故の直後に山菜を食べた方がおられるかどうか、これについては、今現在では評価することができないというのが一つの結論であり、そのときに、もしもそのようなものを食べた方がおられた場合には、線量というものは高くなるであろうというのは、これは実際の推計というより推計に伴う考察であるかと思います。
    ただ、これまでのホールボディカウンターなどから判断するに、そのような事例は見つかっていません。ですから、そのあたりの部分で、不確かさをどう評価するか。それから、今後のさまざまな課題の中で、不確かさの程度をいかに狭めていくかというところが、恐らく今後検討され、より正確な線量の評価につながるものと考えております。
  • 石川委員 わかりました。そうすると、9番目のスライドに、それが如実にあらわれていると考えてよろしいですね。
  • 酒井先生 今のご指摘の点はおっしゃるとおりです。
  • 石川委員 わかりました。どうもありがとうございます。
  • 鈴木委員 今の石川先生の質問に関連しますが、このUNSCEARの食材による評価というのは、あくまで流通していたものの汚染で、計れていたものをベースにするという立場、もしそれで計れていない場合は、土地の汚染濃度からエスティメートした、ごく初期の部分はそういうデータを使っています。ですから、その辺が実際に口にしたものと、このUNSCEARの評価の中でどのくらいの違いがあるかというのが、このUNSCEARレポートの段階ではまだ十分評価されていないと私自身は思っております。
    これから、例えば食材が100%本当に福島産であったのか、あるいは地場でとれたもの、あの3月の段階でそんなに地場の産物が多いわけではありません。そういうものがどの程度食べられていたのか。そういう幅をある程度狭めていくというのが今後必要になってくるのかと思っています。
  • 伴委員 今のご質問に関連するのですけれども、不確かさといったときに、情報が足りないことによる不確かさ、英語で言うところのuncertaintyと、ばらつきがある、variabilityと分けて考える必要があると思います。いろいろな観点から不確かさの分析は行われていますが、例えば、避難した人たちの線量評価に関しては、基本的にモデル計算を使っています。そうすると、モデル計算がどこまで正しいのかと考えたときに、そこに大きなuncertaintyが存在する。それは、もしかしたら過小評価になっているかもしれないし、過大評価になっているかもしれない。
    一方で、どんなに情報の不確かさを詰めていったとしても、個々人ごとに線量がばらついている。それは厳然とvariabilityとして存在するので、きちんと区別して考えることが重要だと思います。
  • 長瀧座長 ほかにございませんか。
    我々はここでかなり、実際に測定した値に基づいてずっと議論、専門家会議をやってきまして、例えば、外部線量であると県民調査の行動記録に基づいて、個人個人の実測というか、個人個人の被ばく線量の推定であるとか、甲状腺は実際に測定したもの、そういうものを主に議論してきました。この報告書の中では、そういう実測値とモデルとの関係について、いい面、悪い面が書いてあるような印象だったのですが、先生の印象はいかがでしょうか。
  • 酒井先生 ここにもございますが、特に避難した方についてはモデルに基づいた計算がされております。それに関しましては実際の測定値とのすり合わせ、これはやはり今後、モデルの高度化というような動きの中で検討していかなければいけないと思います。
    ここでは、特にどちらがどうだという議論はございません。ここでの線量評価はモデルに基づいているということ、それから実際に測定をした測定値に比べると、今回の予想値、評価値というものが高めであるということ、その二つが書いてあると認識しております。
  • 本間委員 酒井先生の資料には、ちょっとディテールとしてはないのですけれども、報告書は四つのグループについて評価している中で、20km圏内と計画的避難の人たちの被ばく線量、評価は、基本的には、県民調査における個人の行動記録18パターンというもので分類して評価がなされているわけですけれども、そこのデータというのは、県民調査でやられた外部被ばくの、個々人の情報をどの程度までUNSCEARが使ったというのが、私が知りたいのですけれど、そこら辺はおわかりになるでしょうか。ここでも議論があったわけですけれども、どの程度オープンになっているというか、放医研は評価の中では持っていらっしゃらないと、具体的なディテールが、ですね。
    UNSCEARは、18の行動パターンの代表的な、例えば、どこの地域にいつからいつまでいて、滞在期間はこのくらいだったという大まかなデータを使用して、外部被ばくのやり方は、ベースになるバックグラウンドは、多分県民調査でやったものとは違う値を使っていると思うのですけれども、そう理解してよろしいのでしょうか。
  • 酒井先生 申しわけございませんが、私が持っております情報は、県民健康管理調査で採用される18のパターンを採用したというところで、その踏み込んだ、中身をどのように活用し、どのデータをというところまでは把握しておりません。
  • 前田参事官補佐 事務局から少し補足をさせていただきますと、資料1-1のappendixのC の190ページ、TableのC11というのがございます。その右側にC12というのが191ページにございます。そこに具体的な行動パターンと、どのフェーズ、フェーズで、どれぐらいの被ばくを見積もったのかという形で、今、公表されているレベルでいきますと、恐らくここの形が一番詳しく書いてあるパターンかなと思っておりまして、それぞれもともとどこにいらっしゃって、どこがゴールでという18パターン、これは基本調査の、一番最初のときにモデル的にお示ししたものを用いているのだと思いますが、その行動に基づきまして、それぞれ実効線量と甲状腺の吸収線量がどれぐらいであったかという形で見積もっておるのかなというふうに承知をしてございます。
  • 長瀧座長 いかがでしょうか。今の説明は、190ページ、191ページに各パターンで計算した値がそれぞれ出ているということ、これのまとめは、酒井先生がお示しになったものにまとまっていると。
  • 伴委員 結局、この18パターンは、基本調査のときに放医研が設定した18パターンそのものですので、例えば、どこどこの役場から何々センターに移動したとか、そのような形にしかなっていなくて、それぞれの目標になる役場等の緯度、経度の情報が向こうに渡されて、それで線量評価をしているだけです。そういったシナリオの代表性がどれだけあるか。当然、個々の人たちの行動はここから外れてくるわけですから、代表性がどれだけあるかということがポイントにはなると思います。
  • 長瀧座長 よろしゅうございますか。
  • 鈴木委員 このUNSCEARの評価の中では、ATDMという拡散モデルを使って、実際の地面への沈着量を使って、ある程度バリデートした、バックトランスレーションした線量で評価しているわけですが、このATDMと、日本でこの間やってきた拡散モデルと、どの程度の合致度があるのか、どの程度齟齬があるのか、その辺の調査というのは、どこかでやられているのでしょうか。これはずっと読んでいくと、少し違うモデルの比較をしたということは書いてあるかと思いましたが、具体的にどういう評価になっていたかというところまで、私は十分理解できていませんので、もしご存じでしたらお願いします。
  • 酒井先生 申しわけございません。そのような情報は今持ち合わせておりませんが、このような報告書が出て、このモデルに基づいてこういう数字というのが集約されて出てきたところです。そうしますと、さまざまな、ここで採用されなかったようなモデルをお使いになっている研究者の方々にとっては、そのような方々の協力も得て、この報告書の中で採用しているモデルの妥当性というものが、恐らく今後、検討の課題になるのだろうと思います。
  • 前田参事官補佐 また、手短に事務局から補足をさせていただきますと、ページでいきますと、147ページあたりになるのですけれども、具体的に大気拡散モデル、ANNEXのAの中で、TableのB10という部分がございます。その中で幾つかのモデルを提示いたしまして、その中で、どれぐらいのものであったかということ、147が一番後ろ側でございますので、その手前、数ページで、どういった拡散かというのはご紹介されているかと思います。
  • 酒井先生 今の鈴木先生のコメントは、ここに書かれている比較を超えて、それ以外の、ここに採用はされていないけれども、さまざまな観点からこのモデルを研究なさっている、そのような先生方の意見も踏まえた上で、検討が必要ではないかというコメントであったと理解します。
  • 本間委員 これは今、事務局がご紹介された、appendix Bに少し詳しく書いてあるのですが、私はグループBに入っていたわけではないのですけれども、割と専門に近いので、非常にテクニカルなご説明になるのですけれども、少し解説しますと、世界気象機関がワーキンググループをつくって、137ページからdispersionモデルのやり方について書いてありますけれども、私はここに書いてあることしか知りませんけれども、ここには日本のモデルは入っていません。アメリカの大気気象局とか、それからイギリスとかフランスとか、幾つかの国の専門的なモデルで、今、事務局が言ったのはIRSNのモデルと比べているのですけれど、そうではなくて、一番いいのは、138ページを見ていただくとTableのB7というのがあります。ここにBulk deposition velocityという、セシウム137のBulkの沈着速度というデータが載っています。Bulkの沈着速度というのはどういう意味合いを持つかというと、放射性核種の地表面への沈着というのは、雨が降っているときと降っていないときでは大きく違うわけですね。評価に際してUNSCEARは、大気拡散モデルを使う部分というのは、測定データがない時期に関して使っているのですけれども、どういう使い方をしているかというと、できるだけ不確実さが少なくなるようなアプローチをとっているのですね。それもこの会議の1~3回目で、こういう線量再構築のやり方のベースを議論したと思うのですけれども、できる限り測定データをベースにするというベースがあります。つまりモデルを使って、放出量があって、放出量というのも実測値はないですから、逆算して推定しているわけですね。そういう推定の放出量があります。その推定の放出量を使って、拡散モデルで拡散を計算して、沈着を計算して、線量を計算するという方法をダイレクトにとっているのではないのです。それはソースタームの不確かさというのはすごく大きいので、そういうアプローチをとっていない。どういうアプローチをとっているかというと、このBulkのdeposition velocityというのは、Bulkというのは、雨のないときの沈着と雨の降ったときの沈着を両方とも考慮して、ある意味、大ざっぱなんですが、それを場所ごとに、この場合、この評価では地域ごとの線量評価をしていますから、ここに書いてありますように大熊、あるいはいわき、福島という地域ごとの線量評価をしていますから、そこの地域におけるグロスの沈着の速度というのを計算から求めるのですね。計算とdispersionモデルの情報から。
    そのBulkのデータを使って、実際に沈着しているセシウムの計られたデータですね。土壌汚染の濃度に、逆にそれをBulkの沈着速度で割って、積算の空気中の濃度を出して、それでInhalation、吸入線量を求めると。それのほうが不確実さは小さいという。できるだけ測定データを使用しようと。
    ただ、そうは言っても、Bulkの沈着速度を出すときには、やはりモデルを使っているのです。ですから、その中ではソースタームというものをあるところで仮定して、どういうパターンで拡散が起こって、ある場所では、プルームが通過したときに雨が降っているのか、いないのか、そういう情報を全部加味して、Bulkの沈着速度というのを推定しているわけです。
    ですから、鈴木先生の今のご質問からいうと、ここにあるのはNOAAのモデルとか、UKのモデルとか、幾つか書いてあるのですが、どうも中身を読みますと、気象のモデルと拡散のモデルと、10ぐらいのコンビネーションでこれを全部やったと。そのうち、上から全体のアンサンブルアベレージを出して、平均値に近いようなものを上から五つだけ出したのがこうであると。これを見ますと、それぞれの場所で、Bulkの沈着速度というのも、このぐらいの不確実さというか、モデルの違いによる幅があると。
    ですから、答えにはなりませんけれども、日本の研究者が幾つかモデルを持ってやっていますけれども、そういうもので、こういうものを出せば、多分10のコンビネーションの中のこういう中には、多分似たようなモデルを使っていますから入ると想像できます。すみません。少し長くなりました。
  • 長瀧座長 モデルと実測値、普通はモデルを考えて、それが実測値に合ったらそのモデルは正しかったというのが、普通の実証の方法だろうと思うのですけれども、まだそこまでいっていなくて、この報告書のレベルでは、実測値にも、こういういい意味も悪い意味もあると。また、モデルを使っても、こういうのもあると。両方をただ淡々と描いている印象なのですけれども、どうでしょうか。
  • 本間委員 今の長瀧先生のご意見、もう2ページめくっていただくと、まさしくこのモデルによる推定と実測値との比較というのが載っているのが、141ページと142ページなのですね。UNSCEARは、その評価に用いたソースタームというのは、日本の研究者がやったJAEAの寺田さんがやったソースタームをベースにしているのですけれども、そのソースタームを仮定して、このNOAAの使ったATDMを使った評価を行った。NOAAのGDASというモデルで評価した結果を、左側の図は、空気中濃度と比較している結果なのです。
    ところが、福島では、空気中濃度をちゃんと経時的に調べているデータというのはほとんどなくて、東海のデータぐらいなのです。東海の我々のJAEAのところで二つ、すごく重要な情報があるのですけれども、それと比べた結果がこの左側なのですね。東海村のデータと比較していると。これは確か黒い丸のほうが測定データで、計算結果がちょっと赤というか。パターンは似ていてモデルと合っているなと、ぱっと見ると。でも、気をつけなければいけないのですが、これはスケールがログなのですね。ログですから、ちょっと違うと10倍ぐらいさっと違っていると。だからピークの値なんかはとてもとても。パターンとしてプルームが来る時間は多少ずれていてわかるけれども、絶対値の情報からいったら非常に大きい不確実さがあるということは、これをご覧になればわかると思うのです。
    右側は、このモデルでセシウムの各領域の沈着を推定したものと実測データを比べているわけですね。ですから、これは45度の線上に載れば一番評価がいいわけですけれども、これをご覧になるように、非常に低いレベルのところでは非常に大きい不確実さがある。沈着が大きかったところを見ても、これもログログですから、ログスケールで書いてありますから、オーダーよりは少しましですね。ファクター5とか、そのぐらいでは実測値と、そういうモデルの程度であるということをご理解いただければと思います。 ○長瀧座長 どうもありがとうございました。だんだん時間も。
  • 伴委員 本間先生にちょっと確認なのですけれども、先ほどの、シミュレーションをどう使ったかというのは、沈着から空気中濃度を推定するときに、言わば、ファクターの推定にシミュレーションを使ったということだと思います。ただし、それはあくまで沈着の測定データがある場合で、避難している最中のinhalationに関しては、デポジションのデータがないので、シミュレーションからそのまま空気中濃度を出していると思うのですが、そこはいかがでしょうか。
    我々が一番気にしているのは避難した方たちの線量ですけれども、避難の途中で受けた線量、特に吸入摂取による被ばくというのは、そのときのそれぞれの放射性核種の空気中濃度が必要になるわけですよね。ところが沈着のデータがないので、沈着から戻すということができなくて、シミュレーションによる空気中濃度を直接使っているということでいいのですよね、それは。
  • 本間委員 いや、僕、そこまで書いていないから、どういうふうにやっているかわからないのですが、さっきのBulkのdeposition velocityを出すということは、Bulkのdeposition velocityを沈着の測定データから、Bulkの沈着速度で割って、空気中濃度を出すというのは、積算の濃度しか出ないんですよ。つまり経時的な濃度が出ないわけですね。
    ところが、今回、その地域・地域というのは、ほとんどあるときに通過していますから、そのパターンが、そこの人がいたときに、既に12日以降、多分パターンとしては、そこを通過したというのは、Bulkの積算の濃度をその期間いたと推定するしかないから、そういうアプローチをとっているのだろうと。これは私の推定ですから、これだけ見たのではわからないのですけれども。
    ですから、伴先生が言うように、モデルで経時的にある場所の濃度を推定したもの、それをダイレクトに使っているということは多分ないと思います。
  • 伴委員 私はそう書いてあるように読んだので、だから、そこのところははっきりしておくべきかと。もしそうだとすれば非常に不確かさは大きいので、注意が必要だと思います。
  • 本間委員 どっちが、不確かさが大きいかというのは...。
  • 伴委員 いや、そうなのですけれど、シミュレーションの値を直に用いたとすれば、それもまた相当不確実さは大きいですよね。
  • 本間委員 UNSCEARに確認する必要があると思います。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。いろいろと時間もありますので、ここで線量の件は終わりたいと思いますけれども、どうも非常に感覚的に、今の議論で問題点のありそうなところは随分わかってきたような気がしますので、やはり今後健康に対する影響を考えるときに、ある部分だけとって強調するということではなくて、全体を見て、我々この会議では判断していくということが大事かなということで、次に進めさせていただきます。
    では、次は後半の部分でありますけれども、一般住民への被ばく評価について、それから被ばく線量に基づく健康影響と全体のまとめですね。そこについて、酒井先生、お願いいたします。
  • 酒井先生 そうしましたら、スライドの12枚目、6章、健康影響と書いてあるところから再開したいと思います。まず、一般公衆の健康影響について、評価をしております。これにつきまして、前の段階までで評価された線量をもとに、しきい値なし直線モデルを適用して、リスク係数をあわせて用いて、推計をしているところであります。その結果についてかいつまんで申し上げます。
    さまざまながんのリスクが、計算上は若干上昇することが示唆される。しかしながら、この上昇というのは、日本人の自然発生によるがんの罹患リスクに比べて小さく、検出できないと考えられる。これが結論の一つであります。
    次に、甲状腺がんについてであります。推計値の上限の被ばくを受けたような方が相当数いたとすると、がんの発生率の増加が認められる可能性はある。しかしながら、チェルノブイリ事故の住民の甲状腺被ばく線量と比べて、福島での被ばく線量はかなり低いので、チェルノブイリ事故のように甲状腺がんが増加するとは予想されないというのが、もう一つの結論であります。
    次に移っていただきまして、子供の甲状腺検査において、比較的多くの甲状腺異常が見つかっているところであります。これについては、この程度というのは、ほかの事故の被害を受けていない地域と同等であると評価をしています。それを受けて、このような集中的な健診がなければ検出されなかったであろう甲状腺異常、がんを含みますけれども、これは今後比較的多数見つかると予想されると述べているところであります。
    それから、不妊や胎児への影響、確定的な影響は認められない。それから、白血病、乳がん、固形がんについて増加が観察されるとは予想されない。遺伝性の影響の増加が観察されるとは予想されないと述べております。
    その次のスライド、これは健康影響のうち、作業員の健康影響についてまとめております。先ほどと同じ理由で、ここの部分は今日のご紹介からは割愛させていただきます。
    また、その次のページ、ヒト以外の生物相、環境への影響ですが、これも同じ理由で、ここでは割愛させていただきます。3行にまとめましたので、後ほどごらんいただければと思います。
    さて、この報告書の最後の章、8章ですが、ここに要約と結論、それから今後の課題というのが述べられております。ここの部分は、既にご紹介したものがほとんどでありますので、後ほどご覧いただければと思います。この8章の中で重要だと思いますのが、今後、何をどう継続すべきか、というところであります。
    次のスライドへ移っていただきまして、今後継続すべき課題について、まず方針を述べております。過去の事例と同様に、今後数年あるいは数十年にわたって、さまざまなデータが蓄積される。また今の時点で不確かであったものが、より確かになるという状況が想定されるわけであります。
    このようなことについて、この記載の裏には、このように新たに生じてくるであろう情報をきちんと集約しておくことが重要であるということが述べられているかと思います。
    その次の項目として、原発サイト内の作業者については、実効線量が上昇しているということ、それから汚染水の漏えいが認められているということ。そのような汚染水に含まれる放射性核種が水域に拡散しているということ。このあたりをきちんとフォローする必要があるということ。そして、今回の報告書の評価の信頼性を高めて、場合によっては予測されていることを確証するという意味で、次の項目を提案するということが述べられて、この報告書の締めくくりになっております。その課題について、具体的にピックアップをしましたが、ここでも作業者や環境という部分については割愛し、この専門家会合の主要な関心であります、住民の健康管理に関したものをピックアップしてまいりました。
    先ほど来ご議論があるところですが、一つは事故の進展、いわゆるソースターム、これをより確かなものとするということ。それから、利用可能なデータと、それと適切なモデルを活用して、公衆の方の線量の評価を高度化する、精度を高めることが必要であるということ。
    その次に実際に体内での放射性核種の測定を継続することによって、これまた、内部被ばくの精度を高める努力が必要であるということ。
    さらに健康調査に関しましては、UNSCEARの報告書では、健康調査を継続すること、それから、現在のプロトコルに従った小児超音波検査を継続すること。継続する中で、今回のような徹底的な検査によって、甲状腺がんの発生率、(ここでは「見かけの」apparentという言葉を使っております)について、解析をし、定量化すること。このことに関しては、事故の被害を受けていない地域での甲状腺がん調査が有用であり、福島県での調査を、他地域での調査と引き比べながら分析し、検討をする必要があろうということであります。
    それから、今後の影響というものをきちんと取りまとめるために、個人線量が適切に評価できている集団からなる疫学研究のためのコホートの確立を検討することというのが、UNSCEARが提案していることであります。
    やや駆け足になりましたけれども、後半の部分の要約は以上であります。
  • 長瀧座長 どうも、酒井先生ありがとうございます。事務局から追加して、将来の課題について、幾つかまとめましたので、それを先にお話しいただいてから討論したいと思います。
  • 前田参事官補佐 続きまして、1枚横紙でございますが、資料2をごらんいただきたいと思います。そちらにつきましては、先ほど酒井先生から最終のスライドのところで、今後継続すべき課題ということでおまとめをいただいたもの、Future scientific research needsのところでございますが、そこの四つの部分に関して、今どういう形でやって、我々が認識しております未実施事項でございますとか課題はどういうことがあるか、今後の施策のあり方ということで、26年、もう予算措置を行っているものもございますが、現状に引っ張られてというよりも、むしろ専門的に、この課題に対して今後どういう形で進めていくかというところをご議論いただく場でございますので、かえって空白という形で置かせていただいておりますが、そういう形の資料の構成としてございます。
    簡単に申し上げますと、ご提言いただいた大気拡散モデルの精緻化ところについては、平成24年のヨウ素による内部被ばく線量の把握ということで、これは昨年度、一昨年度という形で実施をしておるものがございます。
    さらに次のパラでございます。個人間のばらつきということですと、そういったシミュレーションに加えまして、個々の方に対する個人線量計の配付でございますとか、あるいは県民健康管理調査で206万人を対象にお一人お一人の行動調査に基づく外部被ばく線量を出していることであるとか、あるいは生体内の放射性核種の測定ということでございますので、これは一番、マスでいきますとホールボディカウンターの結果が大きゅうございますので、そちらの結果、18万人出て、結果はこれまでご披露していたものであるということ。あるいは、今後の議論にもかかわってくるかと思いますが、甲状腺検査を継続するということであれば、これはまさに36万人実施をしておるものでございますし、おめくりをいただいて、後ろページでございますが、そういう方に対して定量的な評価ということで、今回の報告書でも取り上げていただきましたが、県外3県で調査をして、同じような形でやってみたら、どういう割合が出るかみたいな形の調査をやらせていただいたり、あるいは継続的な疫学的なコホートを確立するという、線量が明らかな方々を見てということですと、当然、今、県立医大でデータベースという形で被ばく線量と結果を長期に保管をするということでございますので、これは個々の方々の大切なデータでございますし、そういった議論の際には貴重なデータにもなり得るものでございますので、そういった形で維持しておるわけでございますが、それぞれに対して課題、簡単に書いてございますが、ほかにこの場でご指摘いただく点、将来に対してどういう形をしていくかというところ、お気がかりの点がございましたら、ご指摘をいただければと思います。
    事務局から以上でございます。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。最初に、将来を除いて、最初に線量から見た健康影響の推定の部分について、まずご質問をいただきます。
  • 清水委員 日本医大の清水と申しますけれども、スライドの12になりますか、健康影響のところで、チェルノブイリ事故後の被ばく時の年齢によるがんの発生率というデータがあるのですね。乳幼児、つまり1歳から3歳までで被ばくしたときの発生率が一番高いと、それから、4歳から6歳、それ以降はだんだん低くなっていくというデータがあるのですけれども、今日のお話にもありましたように、被ばく量の差があります。それから、もちろんヨード環境の差もありますけれども、2)の最後から3行目の下線のところ、「チェルノブイリ事故後の住民の甲状腺被ばく線量と比べ、福島県での被ばく線量はかなり低く、チェルノブイリ事故後のように甲状腺がんが大幅に増加するとは予想されない」と言い切っていいものでしょうか。つまり、これからそれを検証して、15歳以下でも、子供の中でも年齢差があって、予想されないじゃなくて、否定できないとか、そのような表現ができないものか、いかがでしょうか。
  • 酒井先生 ここにご紹介いたしましたのは、レポートに書いてあるところです。このような記載があると同時に、今後の課題のところでも時間を追ってフォローすることが重要であると書いてあるところで、そのあたりを含めて考える必要があるのかなという気がいたします。
    もちろん今の段階で言えることは、予想されないという、これがUNSCEARの判断であるということで、ですから、これについて、今後どう検討していくことが必要なのか。今、先生ご指摘のように年齢の分布、それから潜伏期の問題、それらもあわせて検討していく必要はあるのだろうと思います。
    申しわけございません。ここの記載ぶりについては報告書の記載でありますので、これ以上、私からはコメント差し上げられません。
  • 長瀧座長 酒井先生は、代弁者としてお答えすることは非常に難しい立場だし、報告書以上のことを言うと、おかしいということになりますので。報告書は、少なくとも有意な増加が起こる可能性は少ないということ、文章はあれですけれど、書いてあったら、それはそのまま酒井先生がお話しになるということで、それに対して非常に抗議があれば、外務省を通じて、UNSCEARに伺うことはできるかと思いますけれども。
  • 清水委員 この辺のところは、これからきちっと評価していかなくてはならないことだと思います。
  • 長瀧座長 いかがでしょうか。ほかに、線量から推定される健康影響についてということで、UNSCEARがある程度の見解を出した。我々もこの次から入っていくところでありますし、それから、最初の線量評価は先ほど忘れましたけれども、次の委員会で、線量に関して、この委員会で今まで3回にわたって議論してきたことのまとめも提出させていただく予定であります。
    ここでは線量に基づいた健康影響の推定と。それはあくまで過去の我々の経験に基づいた推定ということになりまして、わからないということではなくて、過去の影響に基づいて、ある確率を持って推定したらこうなったということで受け取っていきたいと思いますけれども。決してないということをおっしゃっているわけではなくて、この報告書に対してそれ以上は。ほかにございませんでしょうか。
  • 石川委員 先ほどの前半の部分と後半の部分で、感想なのですけれども、前半の部分では、人間の行動パターンだとか、いろいろ食べているもの、今の避難場所までどうやって到達したかということについてはわからないので、不確定な要素が結構あると述べたわけですよね。それに比べまして、12ページのパワーポイント以降、例えば12ページの1)では、要するに「検出できないと考えられる」、2)の一番、最後のところでは、「甲状腺がんが大幅に増加するとは予想されない」と断言的に言っている部分が多いような印象があります。13ページについても、一番心配されている、4)の「遺伝性の影響の増加は観察されるとは予想されない」ということで、断定的に言われているという印象があるのですよね。4)で見てみますと、「不妊や胎児への障害などの確定的影響は認められず」と書いてありますけれども、このときの、女性の避難までの状況だとか、個人の確定的なものだけではない、不確定な要素というのも存在するわけですから、こういう予想されないと、果たして断言できるかどうかというと、ちょっと乖離があるような印象があります。
  • 鈴木委員 石川先生、勘違いなされているかもしれないと思いますので、コメントさせてください。最初の線量評価というのは、あくまでその地域に住んでいた人の平均値で、その幅がもちろんあると思います。ただ、リスクを考えていくとき、その地域にいた、例えば、1歳、5歳以下のお子さんの総体の人数と、その人たちの平均被ばく線量というのがベースになります。リスクを評価していくと。
    例えば、チェルノブイリ原発事故で、どのくらいの過剰リスク係数が甲状腺がんに関して評価されているかというと、2.2名/10の4乗、person・year・Gyです。どのくらいの甲状腺の吸収線量があると、例えば、1Gyの吸収線量あった人が1万人いたら、その人たちをずっと追跡していったとき、2.2名/年の過剰の甲状腺がんが出てくるというのが、チェルノブイリの評価なのです。そういう評価値を使って、例えば、飯舘とか川俣にいた5歳以下のお子さんたちのトータルの人数とその線量の平均を見ていったときに、計算上、もしかすると増えるかもしれないけれども、実数としては1名に満たないかもしれないという言い方をここではしていると理解してください。
    これは個々人がどのくらい被ばくしていたかということではなくて、その集団のリスクをあくまで推計しているのであって、その集団の中で高い人も低い人もいるけれども、その平均値としてはこのくらいだから、この集団の持っているリスク、将来のリスクはこのぐらいの幅であると、あくまでそういう評価だと思ってください。
  • 石川委員 今のご発言ですけれども、健康の問題というのは、最終的には個人に帰結するわけですから、その方が、例えば13ページ目のパワーポイントのところで、遺伝性の影響の増加が観察されることは予想されないと言った場合に、私は前半の部分と後半の部分のところで、吸入だとか、そういったものの線量に不確かさがあると前半で言っているところで、ここにつながってくると思うのですね、一人一人の健康の問題については。
    私の印象としては、乖離があるじゃないかというのは、個人の段階でいってみれば、福島にいた方、あるいはホットスポットのところでも同じですけれども、遺伝子的な影響の増加が観察されることは予想されないと言い切れるかどうかということで、それは個人の問題、一人一人の問題だと思うのです。全体の集団のところでといっても、僕は遺伝的な影響の増加が観察されることは予想されないと言い切れるかどうかというところに疑問を持っているわけです。
  • 鈴木委員 放射線によって、どのくらいのリスクが増えるかというのは、あくまで疫学データでしか出せません。その疫学データで、この一人一人が、例えば遺伝性影響があったと。遺伝性影響というと今、1%ぐらいのバックグラウンドの確率で、赤ちゃんの中に遺伝性影響が出てくるかと思うのですね。そういう頻度のときに、放射線、例えば10mSvはどのくらいの寄与を、リスクの増加をふやすかという考え方で、私たちは普通判断していくわけです。それが非常に小さかったら小さいという、あるいはほとんど個人として見た場合に、それは検出できないという言い方になるのだろうと思うのですね。
    個人はみんな何らかの形で病気になりますよね。日本人50%はがんに罹患するわけです、大ざっぱに言うと、30%はがんで死亡するわけですよ。その中で、この方のがんは、放射線のこの被ばくが原因になったかという議論をし始めると、これは科学としては決着がつかない話なのだと思う。今あくまで言っているのは、そういうプロバビリティとか、アトリビュータビリティとか、そういう概念で、ここは語っているということだと思います。
  • 石川委員 ほかの方も発言すると思うので。我々がこの場に集まって議論していることの一番大事な部分、健康影響ということについて、例えば、遺伝性の影響の増加が観察することは予想されないという言い切り方が、私はできるのかということを言っているわけです。幾らいろいろなデータがあって、ここで予想されないということを各所で言われると、これは今までの不確実性があるデータの中で...。
  • 鈴木委員 幅が違う。
  • 石川委員 幅が違う。
  • 鈴木委員 はい。例えば、原爆被爆者の遺伝的影響というのは、あの集団の平均線量が、200から300mGyぐらいあった人たちの中で、遺伝的影響が見つけることができないくらい小さい。
    ネズミの実験なんかから想定されている遺伝的影響が倍に増えていく線量というのは大体1Gyですよ。そういうものと比較したときに、今回の福島原発事故のお母さんの被ばく線量、あるいはお父さんの被ばく線量というのは、遺伝的影響を起こすには被ばく線量が小さ過ぎますということを言っているのだと思います。
  • 春日委員 今の議論は大変重要なのですけれども、本日は時間が限られている中で、UNSCEARの報告書に書いてあることをお聞きできればと思いまして、今の議論は本当に大事なのですが、次に延ばしていただければと思います。
    三つお伺いしたいことがあるのですけれども、WHOの推定と今回の報告書の健康影響に関する部分ですけれども、違いについて教えていただければと思います。
    2番目ですけれども、甲状腺がんの発生について、ほかの県との比較をするようにというまとめをいただきましたが、ほかの県で、特に原発事故の影響を受けていないと思われる地域で、同じような甲状腺がんの検査をすることは、これは倫理的問題も含むものだと思います。それは清水先生を座長とする福島県の甲状腺の評価部会でも先日議論したところです。そのような点について、この報告書の中では触れてあったでしょうかというのが2点目。
    3点目ですけれども、健康調査を福島県において継続することというふうにまとめていただきましたが、福島県に限定する、あるいは地域を限定する議論は、この報告書の中では書かれていたでしょうか。
    以上、3点について教えていただければと思います。
  • 酒井先生 WHOとの報告書の違い、詳細に数字を突き合わせてはございません。ただ、今回は、先ほどちょっと言いましたけれども、固形がんについては直線モデルを使い、WHOとの違いとして特に書いてありますのは、UNSCEARの線量評価に基づいて計算をしたということ。
    それからもう一つは、最新のリスク係数を採用した。この2点が書いてございます。
    線量評価に関しましては、WHOの評価よりも若干低い評価が今回与えられていると思います。いずれにしましても、今の段階でリスクというのは、あくまでも計算で出しているところですので、そのことを考えますと、WHOの健康影響のリスクよりは低い数字が出ているのではないかと思います。ただ、詳細に数字を突き合わせておりませんので、最初のご指摘に関しては、この程度にさせていただければと思います。
    2番目の甲状腺がん、ほかの地域ということですが、今現在、青森、山梨、長崎で同様の検討結果が報告されていると承知しております。その結果は、福島で認められるのと同様のレベルであると聞いておりますが、先ほど先生からご指摘の、今回の事故の影響を受けていない地域で、このような検査をすることの問題点には触れておりません。
    それから、ほかの地域での健康調査ということですが、ここでは、先ほど申し上げましたように、線量を評価するときに、福島県以外という部分も取り上げております。それに基づいたリスク評価もしておりますが、健康影響調査については、福島県以外の部分についての言及はございません。
  • 長瀧座長 よろしゅうございますか。
  • 伴委員 補足ですけれども、今回のUNSCEARでは、前回のWHOのように、独自の定量的なリスク評価はしていないです。それはappendix Eの251ページにTable E1というのがございまして、これはWHOレポートから、定量的な値を引用してあります。さらにパラグラフのE23、同じページの下にありますけれども、そこにもWHOレポートに基づいてという表現をしておりますので、独自に何か新たなリスクモデルを使って計算しているわけではないということです。
    もとにした線量はUNSCEAR独自の評価ですが、それについても、WHOは、事故後半年ぐらいのデータだけを使って、ラフにやったけれども、UNSCEARはもう少し長い期間のデータをとって、よりきめ細かくやったという違いがあるだけです。UNSCEAR自身、そういった違いはあるけれども、WHOの線量評価と本質的に矛盾するものではないと述べています。したがって、リスク評価に関する見解は、WHOと大きく変わるものではないということになると思います。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。健康の評価に関して終わりまして、今後の問題について、時間がなくなりましたけれども、いいですか。先ほど酒井先生と事務局からお話しになりました、UNSCEARで提唱している今後の研究についてご議論をいただければと思います。
  • 遠藤委員 これからの研究として、対象群、コントロールとして福島県で新しく生まれる子供の甲状腺検査がよいのではないでしょうか。例えば、福島県で震災後に生まれた子供の甲状腺がんの頻度がどうかというのが、一番役立つのではないかと思います。これを実行するかどうかは、いろいろ政策の面もあるでしょうけれども、チェルノブイリ原発事故の場合も、原発事故前に生まれた子供からは甲状腺がんはふえた。しかし、事故後に生まれた子供からは甲状腺がんがふえていないから、これは原発事故の影響に間違いないだろうということになったわけですね。福島の場合にも、いろいろ議論があるのですけれども、ファイナルなのは、やはり原発事故後に生まれた子供から甲状腺がんがどうだったかというのが一番役立つのではないかと思うので、急ぐわけじゃございませんので、いろいろ政策的にどうかというのは、また検討されてやられたらいかがかと思います。
  • 長瀧座長 コントロールの取り方について。
  • 遠藤委員 そうですね。
  • 清水委員 そのコントロール、非常に大事だと思うのですね。先ほど山梨と弘前、長崎ですよね。これは4,000人程度なのですね、検査したのが。福島の36万人、あるいは38万人、これと比較するのはなかなか難しいところがあって。
    私も、コントロールはたくさん検査するべきだと最初は思っていたのですけれども、先ほど春日先生がおっしゃったように、前回の委員会で倫理的に問題があるだろうということで、つまり、いわゆるエコーの検査でA2ですね、悪性所見がないけれども、ちょっとした嚢胞の変化があると。それをご両親などに伝えると、非常に精神的にダメージを受ける方が多くて、これは大きな問題であるので、コントロールの検査をどうするかというところで今、立ちどまっているところなのです。
    ただ、大規模な検査は将来、比較の意味で必要だと私は思いますけれども、その辺のところが、これからの大きな課題の一つだと思います。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。酒井先生のお話にもありましたけれども、将来、検査は続けると。だけど、その場合、コントロールをどうとるかということと、線量評価の関係、相関をどう考えるか。その二つ、酒井先生お話しになりましたけれども、その二つを十分に今から検討しないといけないと、これは今日ここではあれですから、続けて、我々のこの次からの議題になりますので、そこで議論させていただきたいと。
    線量評価についても、我々はここでかなり議論してUNSCEARが推薦している方法は、現実にやっているのだということをご理解いただきたいということも、一つこの表をつくったところの意味があると思います。
    ほかに何かございませんでしょうか、今後の影響ということに関して。
    先ほど石川先生のお話で言いましたけれども、線量評価自体は非常にばらつきがあっても、限界はあるわけですね、幾ら多く見ても。それから、数があるのか。それと今まで我々がやったようなチェルノブイリの例えば甲状腺の線量との相関を見た場合、片方は5,000ぐらいまでの線量で相関を見ていると。そうすると、その相関図の中に福島を入れると、それが100であろうが、200であろうが、ほとんどゼロ線に近いところの線量になってしまう。そんなことも、一つの科学的な進め方の中で、考え方になるのではないかと思います。
    また、原爆にしても、ここに出てきました10mSv以下の被ばく線量と、我々の知っている放射線の影響として元になっている原爆の被ばくと、福島の被ばくとを比べた場合に、この程度だろうという推定をするのだと、そういう立場で、UNSCEARは報告いただいているのではないかと思いますので、そこだけUNSCEARの報告として理解するということにしたいと思います。
    時間がオーバーしましたが、何か全体を通じて。
  • 石川委員 今後の継続すべき課題についての17のところで教えていただきたいのですけれども、二つ目のポツのところで、今も放射能汚染水が原発サイト中で漏洩していることで、放射性核種を水域環境に運んでいると書いてありますけれども、これに関して、原文にもあまり書いていないのですけれども、今後、福島の方を含めて、影響がどの程度あるのかということについて、あんまり話していないと思うのですよ。ですから、これがもしおわかりになれば教えていただきたいということと。
    私は、18のスライドの一番下、6行ぐらいに結論が集約されているのかなという感想がありますので、ただ、17ページ目の二つ目の丸のところだけ、今後どう考えたらいいのかわからないので、わかる方がいたら教えていただきたいと思います。
  • 酒井先生 UNSCEARのこの報告書の中では、タイミングの問題もあり、汚染水に関する問題を取り上げることはできなかったので、今後の検討課題として挙げてある。そういう位置づけだと理解しております。この点に関しましては、7月のUNSCEARの総会にて検討がなされると聞いております。私が持っている情報は以上であります。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。今日は膨大なUNSCEARの報告書を1時間半で議論しましたので、もちろん全部網羅することはできませんが、今後、我々が報告書をずっと読んで詳細に検討するとき、あるいは今後UNSCEARのことを問題にするときの、糸口になるような、そういう意味で十分にお役に立ったと思います。各先生にそれぞれ必要なもの、コピーもお渡ししましたし、それから、いつでもネットでダウンロードできますので、これから後もUNSCEARの一つ立場を持った報告書であるということで利用していきたいと思います。
    事務局から何かありませんか。
  • 前田参事官補佐 議事としては、本日は以上でございます。
    次回でございますが、日程調整にご協力いただきまして、まことにありがとうございます。5月20日の15時から予定をしてございまして、その場で前回ご宿題をいただきました、線量評価に関するまとめでございますとか、ご指摘をいただいたデータについて、可能な限りご披露をさせていただきたいと思います。
    また、第7回以降につきましても、後日、委員の皆様のご都合を伺わせていただきますので、明日中にはスケジュール表の形で、候補日のご相談を差し上げたいと思いますので、ご都合のご確認のほど、よろしくお願いをいたします。また、座長とご相談をして、日程のご連絡をさせていただきたいと思います。
    本日の議事概要及び議事録につきましても、後日公開とさせていただきますので、事務局からお送りをいたしますので、後日、ご確認をお願いいたします。
    事務局から以上でございます。
  • 長瀧座長 それからもう一つ、本間先生からお話がございましたので、最後に。
  • 本間委員 時間がないところ恐縮です。前回、私欠席しまして、資料を後から送っていただいたのですけれど、資料2に、第1回目から3回目の専門家会議の確認事項のまとめ(案)のという中に、福島県外のヨウ素プルームの影響について、県内のプルームによる被ばくの値が県外にも当てはまるものではなくて、というような記載が私の発言としてありますけれども、私の発言の趣旨はそういうことではなくて、これは春日委員が、プルームが通過したところは県外でも同じくらいの被ばくがあったということの評価につながるのでしょうかというご意見に対して申し上げた点で、私の趣旨は、県内とか県外という区別ではなくて、沈着の程度によると。それは土壌の沈着の精度が、セシウムについては比較的あると、ヨウ素については不確実さが大きいけれども、そういうデータがあると、それの量にディペンドするのだと、量に依存するのだという趣旨の発言ですので、ここはそういう趣旨に直していただくか、削除していただきたいと思います。
  • 前田参事官補佐 事務局でございます。大変失礼いたしました。先生がいらっしゃらないときに資料を用いさせていただきましたので、次回、資料をご披露する際に、前回の資料の、さらに修正した形でご披露させていただいて、ご発言としてこれでよろしいかということをご確認させていただきたいと思います。大変失礼いたしました。
  • 長瀧座長 それでは、特になければ、これで今回、第5回は終わらせていただきます。どうもご協力ありがとうございました。

午後3時16分 閉会

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