保健・化学物質対策

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 第4回議事録

日時

平成26年3月26日(水)

場所

イイノカンファレンスセンター RoomB

議事次第

  1. 開会
  2. 挨拶
    井上環境副大臣
    浮島環境大臣政務官
  3. 議事
    1. (1)今後の議論のスケジュールについて
    2. (2)被ばく線量に係る評価について(その3、まとめ)
    3. (3)ヒアリングについて(その1)
    4. (4)被ばくと健康影響について(その1)
    5. (5)その他
  4. 閉会

午後5時00分 開会

  • 桐生参事官 本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまから第4回の専門家会議を開催いたしたいと思います。
    本日、荒井先生と本間先生より欠席の御連絡をいただいております。
    また、傍聴の方にお知らせします。御質問や御意見等のある場合には、お渡ししました別紙により記載の上、お帰りまでに受付にお渡しください。前回の会議でフロアからの意見として、傍聴の方々の不規則発言で議論が妨げられたことに対し、事務局はしっかり対応してほしいとの御意見が寄せられましたので、お静かに願いたいと思います。不規則発言等ございましたら退席していただく場合や、また、次回から参加をお断りすることもございますので、御了解いただきたいと思います。何とぞ会議の円滑な運営に御協力をお願いいたしたいと思います。また、いただいた御意見に対して個別の回答はいたしませんけれども、今後の議事運営の参考とさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
    それでは、冒頭、まず井上副大臣より開会の御挨拶をいたします。
  • 井上環境副大臣 環境副大臣の井上信治でございます。
    本日、この平日の夕方のお時間、お忙しいところにもかかわらず、長瀧座長を初めとして委員の先生方、また、今日、ヒアリングでお越しをいただきました有識者の先生方にも感謝を申し上げたいというふうに思っております。
    さて、先般、東日本大震災から3年が経過をいたしました。原発事故に関する健康管理につきましては、福島県の県民健康管理調査の甲状腺検査も一巡目の検査が終了するなど、着実に進めているところであります。また、国際的にも大きな動きが出てきており、UNSCEARからは今回の事故による放射線影響評価に関する報告書が来月には取りまとめられると聞いております。今後、これらの知見を総動員し、健康管理のあり方についての議論を深めていくことが非常に重要と考えております。
    さて、本日は、これまで御議論を重ねていただいた被ばく線量の評価について、まとめの議論をしていただきたいと思います。本専門家会議として、今回の原発事故による住民の被ばく線量がどのくらいあったのか、客観的に評価をし、そして、次回には、ぜひ取りまとめもしていただきたいと考えております。この評価結果は、今後、今回の事故による健康影響を科学的に評価していくため、また、効果的な健康管理施策を検討していくため、基礎となる極めて重要なものとなります。
    また、本日は、前回と同様に、有識者の先生方からのヒアリングを予定しており、国会事故調の委員であった崎山比早子先生、また、長期低線量被ばくの健康影響について精通をされておられる秋葉澄伯先生の2名にもお越しをいただいております。健康管理の問題につきましては、とりわけ住民の方々の関心も高く、有識者から広く御意見を伺って、その上で第一線の専門家が集まるこの会議において議論を深めていただきたいと思います。
    今後もしっかりと議論を重ねていただきたいと思いますけれども、他方で、早期に住民の不安に応えるためにも、来年度のできるだけ早い時期には一定の取りまとめも示していただきたく、改めて、引き続きの御協力もお願いをいたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 桐生参事官 ありがとうございました。
    続きまして、浮島大臣政務官からの御挨拶をいただきます。
  • 浮島環境大臣政務官 担当の政務官の浮島でございます。
    本日は、遅い時間の開催にもかかわりませず、このようにお集まりいただき、心から感謝の気持ちでいっぱいでございます。本当にいつもありがとうございます。また、先ほど、井上副大臣のほうからもございましたけれども、発災から3年が経過し、事故に伴う放射線の健康管理の影響につきましても、福島県健康管理調査を着実に進めていくだけではなくて、これからはその結果を正確に住民の皆様にお伝えしていくことが必要、重大であると考えているところでございます。国内外の専門家の皆様にしっかりと御評価をいただくとともに、重要な段階に入ってきていると承知をいたしているところでもございます。その中でも、当専門家会議では、線量の把握、評価、健康管理、医療に関する施策のあり方等を国として検討することになっておりまして、まさに、住民の皆様の御関心に密接した内容でありまして、いつも傍聴者の方も多いことに見られますけれども、本当に国民の皆様の関心が高いというところがわかっているところでもございますけれども、今後とも、委員の皆様の御意見、そして、ヒアリングでお招きさせていただきました専門家の皆様の御意見、本会議で御議論いただいた御意見をしっかりと集約をさせていき、そして、なるべく速やかに中間的な方針、そして、方向性をまとめさせていただければと考えておりますので、どうか今後とも、大変お世話になりますけれども、よろしくお願いいたします。本日も議論のほうをよろしくお願い申し上げます。
  • 桐生参事官 ありがとうございました。
    なお、井上副大臣、浮島政務官におかれては、公務多忙により、途中退席させていただきますので、あらかじめ御了解いただければと思います。
    続きまして、本日、お配りいたしました資料について確認をいたします。
    お手元の資料、議事次第と委員の名簿、それから、資料1、資料2-1、2-2、資料3-1、資料3-2、資料4とございます。加えまして、石川委員からの提出資料が1点、また、参考資料として参考資料1、2、3とございますので、御確認ください。ない場合には、事務方のほうへ御連絡をお願いしたいと思います。
    それでは、これより議事に入りますので、以降の進行につきましては座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 長瀧座長 それでは、第4回の専門家会議の議事に入ります。
    本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
    議題の(1)は、今後の議論のスケジュールについてということでございます。これも前回、御要望のございました点を最初にまとめて事務局から御報告いたします。よろしくお願いいたします。
  • 前田参事官補佐 それでは、事務局のほうから資料の説明をさせていただきたいと思います。使います資料、資料1を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
    冒頭、恐縮ですが、参考資料1で、まず本専門家会議の要綱を御用意させていただいているんですけれども、この会議自体は、もともと事故直後の健康管理ということで、今は福島県を中心に御実施をいただいているところですけれども、国の窓口が当室ということもございまして、その健康管理のあり方について、国として改めて御評価をいただくという形というのが大きな目的でございまして、その中で、さらに加えさせていただきますと、「子ども被災者支援法」という形で、略で呼ばれますが、そちらの法律で健康管理について、国が責任を持って対応するということがございまして、そういったものを踏まえて、この専門家会議を開かせていただいているというものでございます。
    おめくりをいただいて、ポンチ絵で、子ども被災者支援法における基本方針についてということを記載してございますが、これの一番下でございます。被ばく量の観点から、事故による放射線の健康への影響が見込まれ、支援が必要と考えられる範囲を検討するなど、県民健康管理調査や個人線量把握の結果等を踏まえて、医療に関する施策のあり方を検討すると。これは閣議決定で、基本方針の中で記載をさせていただいたものでございますが、こういう形で、被ばくに伴う健康影響をしっかり御議論いただくという形で、この会を設けさせていただいたという経緯がございます。
    その観点の中で、資料1に戻っていただいて恐縮ですが、25年、昨年の11月11日に第1回を開催させていただきまして、1回目は全体像を御説明させていただいた上で、2回目、3回目、両方は特に被ばく線量の評価に関わるところについて、しっかりと御議論をいただいたところでございます。特に、議題(2)に関わってまいりますが、甲状腺の一番初めの調査につきまして、どれぐらいクオリティーが説明できるかという形で中心に御議論をいただいたと承知をしてございます。
    本日、第4回ということで、先ほど副大臣から御挨拶もありましたとおり、被ばく線量の評価、2回ほど、1回目も入れますと3回、御議論をいただいていることもございますので、そういったところの評価と、また、被ばくに伴って、それぞれ被ばくに応じて健康影響というものを考えなければならないというリスクを考えるということもあると思いますので、そちらのリスクの考え方について御議論いただきたいという形でございます。ここまでが現状、今日までということでございますが、今後も、1、2カ月に一度はぜひこの会議の開催をさせていただきまして、まずUNSCEARの報告書が来月早々には出るという形で伺っておりますので、次回、国際的な評価ということをしっかり御議論いただくことも重要かと思いますので、UNSCEARの報告書も、次回、御提示をさせて御議論いただきたいと思っております。これが第5回ということでございまして、次のポツでございますが、被ばく線量に係る評価、本日、資料を御用意しておりますが、これ、簡単に結論を出すというわけにもいかないと思いますので、資料を見ながら御議論いただきまして、最終的に文書の形でまとめていきたいと思いますので、キックオフはさせていただきますが、これはほかの議題と並行してしっかりやらせていただきたいというふうに思っております。
    被ばくと健康影響に関しましては、本日、資料で御提示をいたしますが、本日も含めまして、必要に応じて1、2回、大体こういう被ばくに関してリスクをこれぐらい見込むのだなという話をシェアいただければと思っております。
    さらに、その被ばくと健康影響という話が出てきた場合に、健康管理であるとか、医療の支援であるとか、そういったものをどういう形で実施していくかという形に議論が進んでいくと思いますので、例えばでございますが、県民健康管理調査の詳細調査で、今の福島の現状というものが見えてきているということがありますので、そういったものの御評価でありますとか、例えば関心の非常に高いところで言えば、甲状腺がんということがございますが、そういう甲状腺がんについて、医療上、どのように取り扱っていくのが医学的なコンセンサスがあるものなのかというような形、これは恐らく住民の方々にも非常に関心の高いところだと思いますので、形としては2、3回程度という形で、これは丁寧に御議論を賜ればという形で考えてございます。そういった議論を入れますと、おおよそ議題としてお願いをしております線量の評価、健康管理のあり方、最終的な支援のあり方というものがシェアできていくのかなというふうに考えておりまして、その後で、中間取りまとめという形で全体像について御議論を賜ればという形でございます。
    最後のポツに記載をしておりますとおり、専門家の先生方、多数の先生方に御参加をいただいているのですが、幅広に専門家の先生方から意見をいただくこと、非常に重要だと思っておりますので、この議論の節目節目で専門家の先生、別にお呼びをさせていただいて、御意見を賜って、その御意見も踏まえて、最終的な中間取りまとめに向けて御議論をいただきたいという趣旨でございます。
    おおよそ回数を示しましたが、あまりこの回数でかちっと終わるので、もう議論はやめましょう、みたいな強引に進めるものではないと思っておりますので、その辺は先生の御意見、先生方の御意見の賜り方、拝見させていただきまして、議題のほうはまた御相談をさせていただくという段取りにさせていただきたいと思います。
    今申し上げた、裏に参考という形でポンチ絵化しておりますが、基本的に口頭で、御説明をさせていただいたものと同様でございます。第4回まで御議論いただいたこと、被ばく線量の評価については、ほかと並行して議論をしていくこと、健康影響のあり方という形で議論して、最終的に中間まとめをしていくという段取りで考えておるものでございます。
    事務局からは以上でございます。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。今後の議論のスケジュールについてということで、比較的詳しくお話しいただきました。
    まず、この議論のスケジュールについて、御意見ございましたら、ぜひどうぞお願いいたします。
    線量の測定をかなり時間をかけて評価いたしましたが、これも急いですぐに結論というわけではない。途中で何かあれば、いつでも議論、議題にするというぐらいのフレキシビリティーを持っておりますし、その次には被ばく線量に関わる評価と、それから被ばく線量と健康影響、その次は、その結果を踏まえて、福島の県民健康管理調査、それから健康管理のあり方、それから、その後のことも考えながら中間取りまとめ、今のところはこういう予定でございますが、何か御質問でも、御議論ございましたら、どうぞ。
    よろしいでしょうか。決して、このスケジュールをつくったから、これでほかに動かないというわけではありませんので、一応こういう心づもりでということで御了解いただければ、次に進みたいと思いますが、よろしゅうございますか。
    それでは、ここから少し時間を長くとれると思いますので、十分に議論していただきたいと思います。課題の(2)の被ばく線量に係る評価について、ここにA3のかなりの資料がございますので、事務局から御説明いただきまして、その後、ゆっくりと議論していただきたいと思っております。どうぞお願いいたします。
  • 前田参事官補佐 では、事務局から資料2について御説明をさせていただきたいと思います。この議題(2)に関しましては、資料2-1、2-2と、また、参考資料2という三つの資料を使わせていただきたいというふうに考えてございます。
    まず、資料の構成でございますが、資料2-1、A3、傍聴の方々にはA4に縮小して申し訳ないのですが、机上の皆様にはA3という形で表を配らせていただいております。こちらでございますが、これまで1~3回目まで、線量評価を御議論いただきましたものについてまとめてございまして、1枚目が、一番議論のございました甲状腺の被ばく、2枚目が外部被ばく、これは甲状腺を除いたものでございます。三つ目は、内部被ばくという形で、県内、県外で、それぞれどういう事実関係について御披露させていただいたかということと、あと、それに対して、それぞれどういう御評価といいますか、先生方から御発言があったかという形でまとめておるものでございます。
    簡単に御紹介をいたしますと、甲状腺被ばくにつきましては、四角で囲みます左上が、福島県内、現状・事実という形になるのでございますが、測定値については、1,080人のデータにつきまして御説明をさせていただいたものでございます。その中で、バックグラウンド値について議論がございましたが、これは着衣のまま襟下から肩口の位置を体表面の空間線量率を測定しながら、個別にバックグラウンドとして測定をしたという形で、これも資料、データとしてお示しをさせていただいたものでございます。その他の実測データでございますとか、ホールボディカウンターによるセシウムの測定値から、ヨウ素/セシウム比を仮定しての推計、あるいは大気モニタリングデータでの推計、大気拡散シミュレーションからの推計、これをまとめて、平成24年度に放射線医学総合研究所のほうにお願いをしまして、取りまとめた推計値などを御披露させていただいたものでございまして、「参考資料1を参照」になっておるのですが、大変申し訳ございません。これは「参考資料2」でございまして、参考資料2のほうには、お話をいただきましたこと、細かく改めてまとめ直しをしておるものでございますので、データ、もしお気がかりの点がございましたら、参考資料2も引用しながら御検討いただきたいと思っております。
    それに対する評価という形で、資料2-1に戻りまして、福島県内の評価という形になるのでございますが、小児甲状腺のスクリーニングの検査については、これはまず24年度の実績として、委託事業の報告書という形で、0.01~0.02μSv/h程度の正味値は、サーベイメータの指示値の統計変動範囲に含まれる可能性がある。今後、詳細な調査を継続して進める必要があるが、本スクリーニング検査の検出下限値は甲状腺量で10mSv相当であると見積もられる。これはこういう資料に記載したデータということで記載をさせていただいて、それを踏まえて、例えばお名前を出して恐縮ですが、長瀧座長から、全体的に50mSvを超えるものではないのではないかと。あるいは、春日委員のほうから、着衣表面とバックグラウンドで正しくはかれているのかどうかという話がございまして、第3回に新山先生にお越しをいただきましたが、そのときに、どれぐらいのクオリティーで実施をしているのかという形で御説明をいただいた上で、実際の正味数として出している値がどれぐらいのばらつきを考えるものなのかという形で御披露いただいて、最終的に当時の基準である0.2を超えていないという形でお話をいただいたものでございます。何かやりとり確認みたいで申し訳ありませんが、それから春日先生のほうから、被ばくの基準値を大きく超えるものではなかったと、概ね理解、この1,080人のデータについて御意見を賜ったというふうに理解をしております。そういう形で、不確実性、当然1,080人というある程度の割合ではございますが、全体では100%ではありませんので、そういう形を考えますと、ほかに利用可能なシミュレーションのデータとか、そういう形、いろんなデータを取りまとめて、最終的な甲状腺の被ばく線量について議論をしていくべきという形で、御意見をいただいたという形で、伴委員からも御発言がございましたが、あくまで、推計値でございましたら、90パーセンタイル値をお示ししたりでございますし、1,080人のデータにつきましても悉皆調査ではございませんし、ランダムにサンプルをとったという形で、疫学的にクオリティーを高めてという形でいきますと限界があるものでございますので、当然極端な例という形は念頭に置いて御議論をしてはどうかという形で御意見を賜ったというふうに理解をしております。
    また、北西方向につきましては、これ、第2回に御意見、栗原先生にお越しをいただきましたが、ヨウ素の濃度が高いところということで北西方向、この1,080人のデータ以外に、床次先生が浪江町で御調査をされていますけれども、そういう形でされた調査の結果についても御披露いただいて、南方向につきましては、セシウムだけで見ますと北西方向だけ意識をしてしまいますが、最初のWSPEEDIの結果を見ますと南方向にも飛んでいるので、そういったところに対しての留意も必要であると。そういうときにシミュレーションなり、1,080人の中のいわきの方にも御参画をいただいておりますので、そういったデータが基調になっていくというところでございます。
    すみません、2-1の甲状腺が一番先生方で御議論いただいたので、少し説明が長くなって恐縮ですが、福島県外につきましては、実際のところ、資料として出させていただいたのは、栃木県の報告書のデータでございまして、これは1,080人のデータで調査をしたところというのは、WSPEEDIで100mSvを超えるかもしれないという形で調査を開始したというふうに伺っておりますが、そのシミュレーションの中で、栃木県全域は5mSv未満という形で推計をされているという現状、これは資料としてお示しして、あまり丁寧に御説明はしておらんのですが、資料として御提示をさせていただいたものでございます。実際、そのプルームの影響としては、県内のプルームによる被ばく値が県外にもそのまま当てはまるものではなくて、県外の土壌汚染濃度ということを考えれば、ヨウ素による被ばく量の値というのは、県内に比べて低いのではないかという形で、本間委員から御発言をいただいたものでございます。
    その他、栃木県の報告書をそのまま引用させていただいて恐縮ですが、これは栃木県全域、WSPEEDIのシミュレーションで5mSv未満であるという形で言われていて、これは仮定として、3月15日から23日まで、24時間屋外にい続けたと仮定した場合の推計値だということで、遮蔽の効果とかいうことを考えると、実際の被ばく線量はさらに低いものではないかと。これはあくまで専門家会議の意見ではなくて、こういう評価がございましたという形で資料としてお示しさせていただいたものでございます。
    あと2枚、簡単に御説明をいたしますと、外部被ばく、内部被ばくに関しましては、どちらかというと、委員の先生方から御発言があったというよりも、少し甲状腺のほうにしっかり御議論いただいたこともございまして、特に御評価の部分は、資料として提示させていただいていることに書いてあるものの中を引用しているものですので、これ、改めて御意見を賜ればと思うのですが、福島県内に関しましては、県民健康管理調査の結果であるとか、ガラスバッジの結果、あるいは、これは今中哲二先生が飯舘村で研究をされたデータなどをお示しして、御議論を御提示させていただいたものでございます。
    福島県外に関しましては、放射線等の分布マップ、これは文科省が土壌モニタリングをやっておりますので、そのデータを示させていただいたり、あるいは筆甫地区の――これは宮城県の有識者会議の報告書から引用させていただきましたが――丸森ではどれぐらいの形であるかとか、あるいは東北大学の監修のもとに調査をした年間の被ばく量の推計値であるとか、そういったものを御披露させていただいた上で、ここ、それほど、この幅では御議論いただいておりませんが、現状の評価、資料としてお示しさせていただいたものは、県民健康管理調査の検討委員会の資料の中にある放射線による影響があるとは考えにくいという形の資料を御提示させていただいたこと。栃木県の評価の中で、事故後、1年後の追加被ばく線量は、これは栃木県内の多く地域で5mSvまででおさまるであろうという推察であるという形の資料を御提示させていただいたりしたということがございます。
    最後の3枚目でございますが、これは内部被ばくでございまして、県内でお示しさせていただいたものは福島県内のホールボディカウンターの結果でございます。18万人やらせていただいて、預託実効線量の結果についてお示しをさせていただいたものがございます。それに対して、福島県の現在の評価として、「全員、健康に影響が及ぶ範囲ではない」という形をしているというのを資料でお示しをさせていただいたところと、また、陰膳調査みたいな話は県外の資料でもお示しをさせていただきましたが、栃木県における健康影響の報告書の中の学校給食や、ホールボディカウンターによる御評価の状況、あるいはマーケット・バスケット資料、これは口に入る前にどれぐらいコントロールがなされているかという形の指標になるかとは思いますが、食品の測定結果について、陰膳資料による推定でございますとか、そういったものをデータとして、一応お示しをさせていただいたものでございます。その中で、検出限界未満ということで、県外に関しましても、これは栃木県でございますが、これで極めて微量であるという形の御評価をいただいているということをお示しさせていただいたものでございます。
    今回、2-1で主に御議論賜ればと思っておるところでございますが、特に甲状腺の部分は、専門家の先生方から種々御意見をいただいて、少しまとめに入る際に、大体の御発言をシェアできているのかなということを思っておるのですが、例えば外部被ばくに関する県内、県外の評価でございますとか、内部被ばくに関する評価でございますとか、そういったところについて、どのように御意見を賜れるかというところを御評価いただければと思っております。
    また、すみません、資料2-2のほうでございますが、これは今後の線量把握、評価という形で、来年度以降、どのような形で計画をしているかという形でお示しをさせていただいたものでございますが、1に関しましては、事故直後の甲状腺の被ばくについて、さらに精緻化をするということで、やる調査自体は未来なのですけど、調べるデータは過去ということになりますが、被ばく線量と行動記録による突合によってシミュレーションの精度を上げていくでありますとか、食品、飲料水の経口摂取による被ばく線量の推計、日本人の甲状腺ヨウ素の取り込み率による調査、大気拡散シミュレーションの精度向上、あるいはヨウ素129の土壌沈着量から131の沈着量の推計、海外の実測データ等の集めた精緻化という形で、これ、来年以降、環境省でこれはお願いをして、また調査を継続して実施をしていきたいと考えておるものでございます。また、こういったデータは一元管理をいたしますので、そのデータ、長い期間、保管をして、最終的な健康影響みたいな話が出てまいりましたときに使えるような形で保管していくという形で、これ、今、福島県のほうで御議論をいただいておるというところでございます。
    個人線量測定につきましては、これ、4月1日に田村市で解除ということがございますが、これは御希望される方に個人線量計を配らせていただく、お一人お一人に使い方を丁寧に説明しながら、という形になりますが、そういうことをやる。あるいは、ほかの地域では、じゃあ、全然把握をしないのかといいますと、もともと県民健康管理基金で18歳以下の方々を中心に個人線量計の配布をしているところもございますので、そういったところも、引き続き実施をしていくということ。県外でございますが、汚染状況重点調査地域につきまして、同じような測定をしてみると、どのような値が出るかという形で、県外の外部被ばく線量について、来年のデータになりますけれども、そういったことを調べさせていただこうと思っております。
    ホールボディカウンターの測定に関しましても、福島県の今実施をしておりますもの、これは来年も継続するということで伺っておりますので、継続して実施をしていくということでございますので、こういったこの3番、4番につきましては、来年以降の被ばく線量の把握という形になろうかと思いますので、こういったはかり方につきましても、ぜひ御意見を賜ればというふうに考えておるものでございます。
    事務局からは以上でございます。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。随分、事務局が努力して、現状と事実、そして、それもかなり出典を明らかにして書きまして、それから評価も、この委員会の評価、それからほかのところにしても、それぞれのお名前を書かせていただきました。県内と県外でございます。
    今からここについて御議論いただくのですけども、現状・事実について、まだこういう調査があったほうがいいという御意見がありましたら、ぜひそれもいただきたいと思いますし、評価として、ここに自分の意見として加えたいということがありましたら、ぜひそれもいただきたいと思います。決して積み残しのないように、皆さんが了解して次の段階に行きたいという気持ちでおりますので、どうぞ、また御自由に御意見いただきますようにお願いいたします。
    まず、順番として、ずっと甲状腺のところをやり始めると長くなって、次に行かないものですから、順番を変えようかとも思ったのですが、やはり順番で、ここに書いてあるとおり、甲状腺のほうから最初に御意見をいただきたいと思います。
    先ほど言いましたように、何か加えるべき事実が足りない、ここに出ていないと、今まで出てこなかったというものがあれば、それの御指摘も結構ですし、それから、出てきた事実に対してのそれぞれ委員の方の御意見もぜひ伺わせていただきたいと思っています。
    どうぞ。
  • 丹羽委員 すみません、資料2-2で御説明いただいた線量データの管理ですが、この県民健康管理調査データベースへの取り込みについては、どういうプロセスで、どれぐらいのタイムスパンで、どういう形で行われるかをかいつまんで教えていただければありがたいです。
  • 前田参事官補佐 すみません、今、こちらで把握をしている限りで恐縮でございますが、今、県民健康管理調査で実施をしておりますものは、逐次データ等入っているというふうに伺っておりまして、まだ懸案になっているものは、特に個人線量計で市町村がとられたデータと、あとはホールボディカウンターをどうやって入れていくかというところが目先になっておって、23年度のデータに関しましては、市町村に御協力をお願いして、データを定められた様式の形でいただいて、データをいよいよ取り込みという形に進んでいらっしゃるというふうに伺っております。それで、逐次、24年も同様な形で入れていくという作業が続くというふうに聞いておりますので、そういう形で、まず被ばく線量のほうからデータベース化していくという計画と伺ってございます。
  • 桐生参事官 事務局より、今の説明を補足させていただきます。今回はちょっと資料を用意できていないのですけども、前回の資料でお示しいたしまして、県民健康管理調査の検討委員会で出された資料で、それを示させていただいておりますけれども、個人線量計については、今月からのデータ蓄積を――今、データベースのシステムを開発しているところですけれども――個人線量計については、今月からデータの蓄積を開始して、ホールボディカウンターについても、4月以降、順次蓄積していくというようなスケジュールと伺っております。
  • 長瀧座長 よろしゅうございますか、今のは。
    どうぞ。
  • 春日委員 この資料2-1の評価のところで、前回の私の発言、3カ所も引用していただいた上に、さらに厚かましくて恐縮なのですけれども、もう一つ、発言した内容でここに関係するものがございます。参考資料3に前回の議事録を出していただいていますけれども、その28ページの下のほう、私の発言の中で、あくまでも実測が行えたのは川俣と飯舘といわきの一部ということで、それ以外の自治体についての実測値がない、ということを御指摘いたしました。そのために福島県の行動記録との照合、ほか、シミュレーション結果との照合等も必要ですということを申し上げたわけですが、それはあくまでもこの甲状腺の検査が限定された対象の子どもたちにしか行えていないということを確認するための発言でもありました。また、福島県の行動記録との照合ということが、資料2-1、今、丹羽先生からも御質問のあった項目につながる意図で発言したので、できればこの評価のところに加えていただければと思います。
  • 長瀧座長 今の議事録の28ページのところのお話でございますね、下のほうの。行動記録、その他、ほかの府省で行っている環境モニタリングのシミュレーションなども照合すると。広く見てくださいということでございますね。具体的に取組のお話を。
  • 桐生参事官 事務局から、御指摘ありがとうございます。今、春日委員から御指摘いただいたところについては、資料2-1ではないのですけれども、参考資料の2のほうに加えさせていただいております。参考資料の2が甲状腺の被ばくの現状や事実について、より詳しめに抜き出したものなのですが、これの2ページでございます。2ページの3パラグラフに相当するようなところですけれども、春日委員の第3回目の発言として、ちょっとファクトに近い部分だけ抜き出して書かせていただいて、逆にシミュレーションのところについての御指摘はここからは落としているのですけど、資料2-1のほうにシミュレーションは関連したご発言があったので、そこで記載させていただきました。
    以上でございます。
  • 春日委員 ありがとうございました。私は、この資料2-1の中で、あくまでもお示しいただいた1,080人については、基準、つまり、スクリーニング基準を大きく超す方はいらっしゃらないだろうという、そういう結論には同意いたしますけれども、はかっていない子どもたちについても、それが当てはまるとは申し上げていないので、そういう意味でもちょっと確認させていただきました。
  • 長瀧座長 今の御質問、またいただいて、すぐに返事はできないと思いますが、事実として加えるところに記録させていただいて、後ほど御返事するということになると思います。よろしいですか、それで。
  • 春日委員 はい。
  • 長瀧座長 ほかに御質問ございませんでしょうか。
    もう皆さん、心から納得した格好で行きたいと思いますので、どうぞ何でも心に残っていたら御質問いただきたいと思うのですが、ちょっと指名するわけにいかないので、どうぞ御自由に、どうぞ御理解いただきたいと思います。
    それでは、甲状腺のところは、この前も議論をしたので、次に移ってよろしいですか。
    どうぞ。
  • 桐生参事官 補足というか、委員の先生方にも届いているのではないかと思うのですけれども、出版社から論文が送られてきているかと思います。それで、ちょっと今日の会議の直前に送られたということもあって、事務局でも精査する時間もなかったので、それについては、次回、また取り上げたいと思っておりますけど、甲状腺の小児スクリーニングに関するものでございますので、今日、これで終わりということでなくて、次回も引き続き、検討していきたいというふうに、それは次回に提示するつもりでございます。
    以上でございます。
  • 長瀧座長 今のお話の部分は、僕のところには直接来ていなかったので、ほかの委員の先生、いかがでしょうかね。届いていますか。
  • 前田参事官補佐 すみません。簡単に、今、参事官のほうから御案内を差し上げたところで言いますと、最初、事故直後にシミュレーションという形でスクリーニングをしたときに、いつの時点でヨウ素が放出をされて、計算をするのが一番適正かという形で議論をいただいて、そのときの値として、より高いシミュレーションもできるのではないかという形で御意見をいただいたというふうに承知をしております。我々、これも理解としてなんですが、そういった御指摘も踏まえて、平成24年に放射線医学総合研究所で改めてシミュレーションをさせていただいて、どういったモデルが実際の放出するタイミングと一致をするのかということを御議論いただいた上で、これは第1回でお示しをさせていただきましたが、大体の被ばく、これぐらいのタイミングで放出されただろうというシミュレーションを踏まえて、最終的なヨウ素の90パーセンタイル値を出していただいたというふうに理解をしてございますので、また改めて、必要であればこういう形で資料を提示させていただいて、そこに対して、これまでどういう形で対応してきたかという形で御披露させていただければというふうに思っております。
  • 長瀧座長 多分この会議でも、明石先生からお話しいただきましたよね。計算の方法で、連日の摂取があったとして求めた値であると。ただし、一日、15日なら15日にあった場合には値が変わるというふうな御説明があったような気がしますが、一日に入ったとすれば多くなる。被ばく線量が多く計算できるというふうなことが主にあったような気がしますけども、それはこの次ということでね。
  • 桐生参事官 いただいている論文については、まだ出版される直前のものということでいただいております。出版社としては岩波書店からのものというので届いているかと思います。
    さっき、事務局の前田のほうから内容について説明がありましたけど、そういった摂取シナリオの設定を変えたということと、もう1点、バックグラウンドについて、個別のバックグラウンドではなくて、空間の線量をバックグラウンドとしたほうが適切ではないかということで、空間線量率を用いた線量を再計算し直していると。そういった内容の論文でございますので、いずれにいたしましても、次回、改めて提示させていただきたいというふうに思っております。
    以上でございます。
  • 長瀧座長 ほかに、甲状腺のところに関して御意見ございませんでしょうか。
    追加もいいですか、甲状腺、もう次に行って。
  • 前田参事官補佐 できますればなんですけれども、県内1,080人をベースに種々御議論いただきましたので、可能でありましたら、県外のヨウ素の被ばくにつきまして、栃木県の例をお示しさせていただきましたし、本間先生からも御発言がございましたけれども、そういう形の御理解をシェアさせていただいて、県外全体をシェアさせていただいてよろしいかどうか、すみません、御意見を賜ればというふうに思っております。
  • 長瀧座長 第1回か2回のときに御発言いただいたのですよね、県外のことに関して。県の委員会に関係していらっしゃる、例えば鈴木先生からお話を伺ったと思いますが。
  • 鈴木委員 栃木の場合は、WSPEEDIの分布からほとんど外れていて、5mSv未満ということだったので、私たちの県に関しては、非常に内部被ばくに関しては議論があまり大きくはならなかった。外部被ばくに関しては、この次のページに書いてありますけども、うちの大学、それからもう1カ所、獨協大学のほうで、事故直後から、地上1mの空間線量率をずっとはかり続けていた連続データがありましたので、それと途中からはかり出したモニタリングデータとの突き合わせで、外部被ばく線量を推定するというような方式で、一番高いところでもこのぐらいだろうというような評価をしてきた経過があります。ただ、茨城とか宮城とかに関して、私たちの報告書は何も述べていないということも、ここでもう一度、少しつけ加えさせていただければと思います。
  • 長瀧座長 どうぞ。
  • 伴委員 今、鈴木先生から茨城というのが出ましたけれども、南側のほうが、ヨウ素/セシウム比が高い、沈着に関してそういうデータがございます。それから、食品のモニタリングでも、高いのは茨城のほうで出ていますので、既に、もしかしたらもうデータを出していただいたかもしれないのですが、茨城の特に北のほうの評価がどうなっているのか、その辺について御説明いただけますでしょうか。
  • 長瀧座長 結局、ここで議論すべきですけれども、資料があるかどうかという、今、先生の直接の......。
  • 伴委員 ええ、事務局のほうでその辺をどういうふうに、資料等を準備されているのか。既に出たものがあれば、ちょっと確認をしておきたいと思いました。
  • 桐生参事官 御質問、ありがとうございます。福島県外、特に今、御指摘があった茨城県北部についてのデータにつきましては非常に限られていて、私どもとしても、提示としてはなかなか十分でないところもございますけれども、参考資料2を御覧になっていただきたいと思います。今まで提示させていただいたものは、主なものとしてですが、参考資料2の4ページからございます。「大気拡散シミュレーションからの推計」とございますが、その項目の中の5ページにシミュレーションの地図がございますけれども、ここで拡散のシミュレーションの結果の地図を提示させていただいております。
    また、あとデータとしては、今回はなくて、前々回に示させていただきましたけれども、5ページにございます、6. 7.にございます航空機モニタリングからの土壌沈着量の推計とか、I-129からの土壌沈着量の推計、そういったものを提示させていただいてございます。
    私どもも、ほかの情報とか、こういうものがあるとかいうことを御指摘いただければ、それをまた次回なり、用意したいというふうに思っております。
  • 長瀧座長 むしろ、今、これ以外に御存知のデータがありそうなところがあれば、ぜひ御指摘いただければ、それを次回までに準備してくるというようなつもりで、今、御意見を伺っておりますが、あるいは、今、ここにあるデータについての先生の評価があれば、それも伺いたいと思います。
  • 伴委員 ちょっと私も、全て把握しているわけではないですけれども、むしろ今の参考資料2の4ページのところの4番目、JAEAとか、東海村のそういう施設のほうで、かなり細かく測ったデータがあるはずですので、そういったところから、茨城の特に北部の実態がどうであったのかというのは、少し丁寧に見る必要があるのではないかなという印象を持っています。
  • 長瀧座長 どうぞ。
  • 鈴木委員 鈴木です。
    あと母乳のデータとかがあります。水道水の汚染のデータから母乳の汚染を遡って推測したデータが、日本産婦人科学会が評価していたかと思いますので、それも参考になるかと思います。
  • 桐生参事官 また次回までに御用意したいというふうに思います。ありがとうございます。
  • 長瀧座長 中村先生、何か。どうぞ。
  • 中村委員 I-129と131、129をはかって131を出すという、そのデータは、この前、学習院大学の村松先生に会ったら、随分データがそろったと言っておられましたので、それと、それからもう一つは、原子力安全技術センターが、来年度、計画しているという話を聞きましたので、その辺のデータは入手できるのではないでしょうかと思いますが。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございます。
    ほかにございませんでしょうか。
    それでは、これはいつでも、まだほかのデータが見つかれば、あるいは御意見があれば伺うというスタンスで行くと。できるだけ早く出していただいたほうがいいのはいいのですけども。
    それじゃあ、その次の外部被ばくのほうに参りたいと思いますが、これもあまり評価のほうが、今度は比率が減りまして、現状・事実のところと、それから福島県内、県外の外部被ばく、甲状腺以外の被ばく、同じように現状と事実と評価が並んでおりますが、これについて、どちらでも結構です。評価としてでも結構ですし、要するに、県の基本調査の結果に対して、これでもう、これが一番信頼できると、今後のデータベースにすればいいというお話なのか、それ以外のものがあるかというような感じにもなるかと思いますが。
    どうぞ。
  • 中村委員 これについては前回か、前々回の委員会のときに、この県民健康管理調査の結果というのは信用できるのではないかという、結論が出たと思います。それで外部被ばくについては、一応結論が出たと議事録に残っております。
  • 長瀧座長 ここはほとんど評価のところは、検討委員会の資料から作成した評価だけですね、ここ。あまりまだ委員から御意見いただいていないものですから、今回は少し時間をとってと思っているのです。
    どうぞ、明石委員。
  • 明石委員 放医研の明石でございます。
    この外部線量については、前々回ですか、線量のどういう評価をしたか、それを第三者というか、客観性があるかどうかという議論をされたと思います。あのときに、うち、放医研から来ていた者が発言したかどうかはわかりませんけども、改めて申し上げますと、ソフトについては、我々、放射線医学総合研究所のスタッフが作成をしたソフトを使った。それについて、そのソフトの妥当性というか、その考え方については、線量評価に加わっていない第三者の先生につくっていただいた評価委員会で評価をしていただいて、これで線量評価をすることは妥当だろうという評価をいただいた上で、行動調査に基づいて線量評価をしました。それが現在出ているところでございます。1カ所、ちょっとソフトがずれたことがあって、県民の方に御迷惑をおかけしたところも事実ですが、それについては、再度、評価をし直しまして、計算をし直して、嫌疑を解消いたしております。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。そうすると、あとここに出ている飯舘村の評価に関する研究、1,080人のこれに関してはもう条件が違うということで、これはこれで、ちゃんと納得できるけれども、より県民健康管理調査のほうが細かくやっているということで、そういう感覚でよろしいですか。
  • 桐生参事官 県民健康管理調査の基本調査と、また、飯舘村で今中先生がやられている調査について、これ、今中先生が行っている調査は環境省の今年度の事業で、今月末までの事業ですので、報告書が3月末にはそろうと思いますので、今日の議論を踏まえて、次回、その報告書を提示したいと思っております。
    以上でございます。
  • 長瀧座長 それから、外部被ばくに関する福島県外の御意見の事実が、ここでは足りない、あるいは評価に関してございましたら、どうぞ、丹羽先生。
  • 丹羽委員 先ほどの今中先生の飯舘村の線量評価は7と出ています。これが放医研の評価とよく合っていると私が思っている理由は、前提が8時間、野外でというのが今中先生。放医研では行動調査に基づいてしらべると、さすがに8時間、さすがに野外にいた方はいなかったわけです。それで、そういうような意味で言えば、当然8時間の野外のと、たしか1時間何分と言う野外での平均滞在時間を使って計算すると、線量は大雑把に3割ぐらい低くなります。そうなると、今中先生の推計値の7 mSvに0.7 を掛けた5mSvがより現実的ということになり、これは放医研の線量の3 - 4 mSvとか言う数値とすごく合致していると思います。推計値がこれほど似通ったものになるのはびっくりです。
  • 明石委員 この今中先生のデータを、ちょっと今日、私、初めて見たので、まだ比べていないのですが、もしこれが公開されたデータとなったら、比べることができると思いますので、そしたら計算したいと思います。
  • 長瀧座長 ただ、条件がかなり違って、8時間とか、それから遮蔽も、木造の遮蔽だけですね。だから、前提が違うような。
  • 明石委員 私どもでやっている調査、線量評価は、個々人がどういうところにいたのか、それから、どこにいたのかということは全く見えませんので、恐らくそれは、また県民健康管理調査の行動調査と合わせないと比較はできないのですが、この数字と同じ集団としての数値の比較だったらできるかなと思います。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございます。
    どうぞ。
  • 鈴木委員 このデータのほかに、近畿大学の先生方が、川俣地区でしたか、かなり早期から入って、個人線量計でずっと継続して測定しているデータがありますので、それとこの県民健康管理調査との突合を図るというようなことも、それぞれのデータの信頼性を高める上で重要なポイントだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  • 長瀧座長 近畿大学、わかりますか。
  • 桐生参事官 御指摘ありがとうございます。また次回までの宿題とさせていただきたいと思います。
  • 清水委員 ちょっと理解不足かもしれませんけど、県内の外部被ばくのところで、相双地区だけ78%と、ほかのパーセンテージと比べるとかなり低い方が、1mSv未満というふうに記されていますけども、これ、ほかの残りの相双地区の方、22%はそれ以上ということですよね。ほかの地区と比べて何か大きな差はあるのでしょうか。2ページの左の県内。
  • 前田参事官補佐 すみません、ちょっと事務局から御説明をさせていただきたいと思いますが、もし阿部先生、補足があれば、御案内をいただければと思うのですが、今の相双地域、当然原発がございますので、一番近い地域ということで、1mSv未満の方が78%、2mSv未満の方が16.7%、3mSv未満の方が2.5%という形になりますので、これで94~95%ぐらいになろうかと思います。一番高い方で言いますと25mSvという形になるのですが、平均値をとりますと0.7mSvだったという形で、2月の県民健康管理調査検討委員会で御報告をされているというふうに思います。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。
    どうぞ。
  • 春日委員 こちらには福島県の健康管理検討委員会に関わっていらっしゃる先生もたくさんいらっしゃるので同じお気持ちだと思いますけれども、まだこの基本調査の回収率が必ずしもよくなくて、それは福島県の会議でも毎回指摘されています。県のほうでは簡易調査版をつくって、さらに回収率の向上を図っていらっしゃるところですので、ここの評価のところで、現在のその集まった集計結果だけで全てがわかってしまったように印象づけた表現ではなくて、さらに、これからも基本調査、行動調査を続けていくという、そういう方向性に結びつけられるような評価を加えていただいたらというふうに思います。
  • 長瀧座長 具体的に何かさらにというときに、具体的な提案がございますか。
  • 春日委員 そうですね、この評価の......。
  • 長瀧座長 今のデータをさらに強化するための具体的な提案があれば、ぜひ。
  • 春日委員 福島県の取組として行われている、その簡易調査票の普及も含めて、回収率のさらなる向上を促進するとともに、その結果も踏まえて、さらに解析することが必要であるくらいの、そんな感じのイメージかと思います。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。
    どうぞ。
  • 石川委員 今日もこの大きな表で、いろいろ線量の評価で議論が進んでおりますし、まだまだいろんな意見が出てくるのではないかと思うのですよね。しかし、一応前回、私、今日、資料で出されているこのUNSCEARの報告書、和文になっているものですけれども、そこの32番のところです。一般人に関してのところで、私はこれをすごく支持したいのですけれども、「一般標準とは顕著に異なる習慣や行動をもつ人々」だとか、そういう方がいるということで、こうやって皆さんがもう熱心にこの被ばく線量のことの議論をして、一定、大体概括こういうことを言えると思うのですね。これは確かなものとして出していいと思うのですけれども、そうでない方たちも確かにいるということで、まだまだこの議論というのは細かくやればやるほど続くし、言ってみれば、行動調査も全部終わっていない、十分にできない状況の中では、要するに、いろいろと我々が推測していって、この被ばく線量とかそういったものについて、推測したもの以外の値を持っている方というのも存在するという可能性があるというような、この32番の指摘だと思うのです。私たちは、もう少しそういうことも含めた、この確認事項を認める以上に、またもう少し範囲を広げて、この福島県民あるいは福島県外の人たちの健康のことについて、議論を進めるべきじゃないかというふうなことで、早速そういう議論に進めてもらいたいと思うのですよね。評価をやっていますと、いろんなことはまだまだ出てきますけれども、一応ばらつきはまだまだあるのだということを認めていただいた上で、今、現状、事故が起こって、県内外の方たちの健康の支援をどうしていくのかということについて、議論していただきたいというふうに思います。
  • 長瀧座長 評価のところ、今、御意見としていただいて、入れておいていただきます。
    ほかにございませんでしょうか。随分予定より早く進む感じもしないわけではありませんが、もうよろしいでしょうか。
    そうすると、その次は、内部被ばく、甲状腺以外の内部被ばくにつきまして、同じく現状・事実と評価と、それから、県内、県外につきまして御意見がありましたら、どうぞお願いいたします。
    これは、結局、今ここに書いてあるのは、厚労省の食品からの問題と、それから、福島県のホームページのホールボディカウンターの二つの値の御意見をここの評価に取り入れてあるということですが、もし専門家会議の委員として御意見がございましたら。これは本当に皆さん、専門家としてそれぞれの立場で御意見をいただいてということが目的ですので、自由に御発言いただいて。
    どうぞ。
  • 明石委員 食品の汚染という、その影響という立場からすると、この県とか国以外に、たしか生協が大きな調査をやっていたのではないかと思うのですが、そのデータはどこかに公開、論文になっていたのではないかと思うのですが、そういう第三者的なデータがもしあれば、こういうところに提示するのがいいのではないでしょうか。丹羽先生、御存知じゃないですか、生協のデータ。
  • 丹羽委員 生協は陰膳調査で200ファミリーまでは論文になっています。この家族の数はまだ増えており、これとホールボディカウンターの値との相関をみるという解析が今なされております。
  • 長瀧座長 そうすると、その陰膳方式の話ですね。あれはどこかへ入っていますか。
  • 桐生参事官 今、御指摘いただいた生協の陰膳の調査については、資料としては提示してございませんので、また次回には、そのデータもなるべく集めて、提示したいと思います。ありがとうございます。
  • 長瀧座長 あれは、ぜひ、はっきりしたデータですので。
    ホールボディカウンターでほかの県ではかったデータというのは幾つかあるのではないですか。
    鈴木先生、茨城、栃木、そこら辺。
  • 鈴木委員 栃木は、比較的汚染の高い地区の100名ぐらいだったかと思いますが、そこの幼稚園、小学校を中心にして、そこの全校生を一応目標にはかっております。それの結果は、やはりここ、2ページのほうに書いたかと思いますが、検出限界以下という評価です。
  • 長瀧座長 すると、もう福島県以上のホールボディカウンターの結果が出たというところは、報告としては御存知ない。
  • 鈴木委員 はい。ないと思います。
  • 長瀧座長 やっぱりここは、皆さん、あまり内部被ばく、外部被ばく、そんなに御意見は分かれないことで、御意見が少ないのかもしれませんが、続けるということではありますけども、やはりいつまでもだらだらというわけにもいかないし、できれば本当に後で出ないぐらい、十分にここで出していただいて、事務局でデータは探す、そして、それに対して評価をというつもりでありますので、後でも思い出したら、またぜひお願いしたいと思います。
    そうすると、全体の流れで、ここでいいですか、もう次に進んで。
    どうぞ。
  • 春日委員 関連して、全体的な御質問なのですけれども、私も含めて、ほかの先生方は専門家の方が多いので、いろいろ資料を御存知かとは思いますけれども、この委員会の委員だけで、あるいは事務局だけで把握できる情報には限界があると思うのです。環境省として、そのほか、国民一般からの情報提供あるいは専門家、一般からの情報提供を受け付けるような窓口というのは設けていただいているのでしょうか。
  • 前田参事官補佐 事務局から簡単に御案内しますと、この会議自体は、放射線医学、放射線という形で専門家の先生方にお集まりをいただいたということがございますので、通常の医学も含めて、相当、今回の福島の現状について、データの居所も含めて御理解を賜っているのかなというふうに思いますし、国際的な評価みたいなものも、それを改めて見ていただいて、御評価をいただけるということを思っておりますので、基本的には、専門家、この先生方を中心に御議論いただきたいと思っておるのですが、当然、冒頭、副大臣からも御挨拶で申し上げたとおり、広い専門家の先生方の御意見を伺うことは非常に重要だと思っておりますので、大体皆さん、お忙しいので、日程調整は大変なような気もするのですが、もしこういう方からも意見を聞いたほうがいいという御推薦とかがございましたら、また御指示をいただければ、これ、また座長と御相談しながら、ヒアリングの段取りなんかも御相談させていただきたいと思います。
  • 長瀧座長 私自身は、これも専門家会議で、本当に専門家の方が集まっていらっしゃいますので、ここで皆さんの御意見で、専門家としての議論をしていただくというつもりでおりますけれども、ほかから、この委員以外にもお話を伺いたいという御希望がございましたら、いつでもお申し込みいただければ、それに沿って努力いたします。
  • 石川委員 すみません、先ほど、この線量の話は、もう少し途中でもするというようなお話だったのでいいと思うのですけれども、実は、埼玉の南から千葉の北に関して、大変住民たちに不安を残したままの状態になっているところがあります。これはきちんと、やはり国のほうから、ここのところの線量はどうだったかということは、きちんとしたメッセージを出すべきだと思うのですね。ただ、もちろん先ほど言いましたように、行動だとか、食べているものだとか、そういったものの、何といいますか、不完全性、いろんな行動だとか、そういうのもありますので、十分にはわかりませんけれども、ただ、その人たちについてはどうなのかということのちゃんとメッセージは出すべきだと思います。かなり飲料水が配られたとか、大変住民にとっては印象的な事態があのときにありましたので、やっぱりそこのところの心配を解くためにも必要だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
  • 長瀧座長 それは、今、答えられますか、集めるということ。
  • 前田参事官補佐 なかなか、事故後、3年を経過したこともございますので、事故直後のデータを集めることに、今、限りがあるとは思っておりますけれども、例えばこれはお口に入る前のモニタリングデータでございますとか、あるいはお食事のデータなんか、陰膳なんかはいい例だと思うのですけれども、そういったデータ、可能な限り集めたいと思っておりますので、それが一つの御回答、もしこういうデータがほかにもあるぞということがあれば、ぜひ御意見いただければと思いますが、そういったものと、あと冒頭、資料を説明する際に少しだけ御案内しましたが、空間線量で比較的高い県外の方々につきましては、これ、全員というわけにはなかなかいかないと思いますが、サンプル的にガラスバッジで、個人線量計で外部被ばくを測定してみようという形で、来年度、考えてございますので、これはあくまで4年目の数字になりますが、そういった数字も、一つ、参考になるのではないかなというふうに理解をしてございます。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。ほかにも情報があるけれどもという、事務局にここもこういう格好で調べたらという御意見がございましたら、ぜひ伺って、それに従って事務局で調べるということもできると思います。
    鈴木先生、どうぞ。
  • 鈴木委員 これは個人ベースで、それぞれ業者に頼んで、日本中のセシウムとかはかっているデータが結構あります。ただ、これはもともと調査としてやっているのではなくて、個人同士の契約で出てきているデータなので、それが使えるのかどうかというところが、個人情報との関係もあって難しいところはあると思うのですが、ある程度、福島以外のいろんな地域での内部被ばくの6月から――事故後、3月、4月ははかっていなくて――多分6月以降のサンプルが大部分になると思うのですが、そういうような空間的な分布のデータというのは見たことがあります。ただ、それは今までは公表されていないデータで、そういうものはありますので、どういう形でそういうものが使えるのかというのも、ちょっと検討していただけるとありがたいと思います。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。
    それでは、次に入って、今日、おいでいただきましたお二人の先生、議題(3)のヒアリングに移りたいと思いますが、よろしゅうございますか。
    今回、崎山先生と秋葉先生に御出席いただいておりますから、お二人からお話を伺って、御意見は最後にまとめてということでございます。
    最初に、崎山先生、お願いできますか。
  • 崎山比早子氏(高木学校) 崎山です。
    今日は、この会議で発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。与えられた時間は10分というので、資料全てを説明できませんけれども、知っていただきたいことですので、説明できない部分は後で参考にしていただきたいと思います。
    私は、国会事故調調査委員として、福島第一原発事故原因調査に参加させていただきました。ここでは、2012年7月に提出した調査報告をベースに発言させていただきます。
    資料①、事故報告の結論にありますように、福島原発事故はまだ継続しています。しかも増え続ける汚染水、労働者被ばく線量の増加など多くの問題を抱え、状況は当時よりも深刻になっており、収拾の目処は立っていません。
    調査によって明らかになったことは、電気事業者を監督すべき立場にあった規制当局がその任務を果たしておらず、事業者は、歴代の規制当局に、規制の先送り、規制を緩めるよう強く圧力をかけていたということです。これが成功して安全対策がとられず、脆弱性を抱えたまま、3.11を迎えたという面で、この事故は人災であったと言えます。関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されない、無知と慢心であり、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とするマインドセット、思い込みでした。
    住民の被害の状況については、まだ先の見えない避難所生活が続いています。その原因は、規制当局の住民の健康と安全を守る意志の欠如と健康を守る対策の遅れ、被害を受けた住民の生活基盤回復の対応の遅れ、住民の視点を考えない情報公開にあると結論しました。この状況は、報告書提出後、1年半以上経った今日に至っても変わっていません。
    放射線による健康影響に関しましては、報告書4部にあります。これはお手元の資料②の15~30ページに説明してあります。
    低線量被ばくによる晩発障害に関しては、今の②の2~3ページにあります。一定線量以下では、リスクがないという「しきい値」はなく、リスクは線量に比例して増えるとするしきい値無し直線モデル、LNTモデルが国際的な合意事項となっています。
    放射線感受性は、年齢や個人によって異なることから、弱者を考慮した対策が必要です。放射線に安全量がないということは、放射線の持つエネルギーの大きさが生体を形成している分子の結合エネルギーの大きさの数万倍にもなるため、放射線の軌跡が1本通っても、DNAなどの分子に複雑損傷を起こす可能性があるためです。
    政府関係者が100mSv以下ではリスクがあると科学的に証明されていないという場合、引用されているのが広島・長崎の寿命調査です。しかし、その14報では、資料②の5ページに示されているように、LNTモデルが実際のデータに一番よく合うこと。次のページに示されているように、線量当たりのリスクは200mGy以下のほうが全線量域のリスクよりも高いのです。このことから、著者らは、放射線が安全なのは放射線がゼロのときのみだと結論しています。この図を見て、100mSv以下はリスクがゼロと言えるでしょうか。政府が帰還の目処にしている20mSvもリスクがないとは言えません。しかも、20mSvというのは年間の線量であり、5年住めば100mSvになるのです。
    次のページは、非がん性疾患も線量に応じて増加することを示しています。この図からわかることは、線量と疾患の関係が被ばく後15年ではまだはっきりせず、53年経ってよくわかってきたということです。これから考えますと、福島の被ばく影響、がん及び非がん性疾患に関しては、早急に結論を出さずに、長い期間調べなければならないということです。
    資料3のグローバー勧告について触れます。資料③です。
    国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏は、福島原発事故による健康被害に関する勧告を2013年5月に国連に提出しました。その中で、日本政府に対し、1mSv以上の線量域の住民に対して健康調査をするべきであること、子どもの健康調査を甲状腺検査に限定せず、全ての健康への影響の可能性を考慮して検査するなどの勧告を行いました。
    3月20日、グローバー氏を招いた院内集会が行われましたけれども、その席で環境省の桐生参事官は、「広島・長崎の寿命調査では100mSv以下では健康に影響が認められていない。なぜ1mSvを持ち出すのか、根拠を聞きたい」と発言されました。広島・長崎の寿命調査では、上に述べましたように、放射線に安全量はないと書いてあるので、これにはグローバー氏も驚いたとおっしゃっていました。参事官によれば、このような情報を提供したのは放影研の先生だということです。もし、これが事実であるとすれば、放射線専門家は、一般国民ばかりか、行政官に対してすら、正確な情報を提供していないということになります。そして、100mSv以下は健康に影響が認められないという理解に基づいて、政府はグローバー勧告に対して、1mSvというのは科学的な根拠がないと繰り返し反論したのでしょう。その上、そのような理解に立って、健康検診や帰還政策が決定されているわけですから、これは国民にとっても大変な災厄です。
    今年2月に、政府は発行した放射線リスクに関する基礎情報にも、その政府の見解が反映されています。資料②の最後のページにある確率的影響に関する上の図です。放射線による発がんは、自然発生率に上乗せされるべきもので、下の図のように示されるべきです。この冊子の作成に対し助言を与えた専門家、有識者56人の中には、現、元ICRP委員を初め、大学教授、放医研研究者などが名前を連ねています。専門家と言われる方々は、もし何らかの働きかけがあったとしても、正確な情報を提供するのが社会的責務ではないでしょうか。
    次に、事故報告書の5部に移ります。資料①、31ページ~34ページは、電気事業者連合会(電事連)が放射線管理に関し、規制当局、放射線専門家に対し働きかけを行っている文書を電事連資料から抜粋したものです。
    電事連は、規制が厳しくならないよう、緩和されるように、規制当局、放射線専門家に働きかけを行い、それが成功していました。特にICRP委員の国際会議に関わる旅費等を長年にわたって放射線影響協会を通じて渡していました。その結果かどうかはわかりませんけれども、「ICRP2007年勧告に対する電力の主張が全て反映された」という記載があります。電事連は、研究分野に対しても規制が厳しくならないような研究を奨励していたことは明らかです。
    現在の状況は、この原発事故を起こした責任を問われるべき東電が何らの責任も取らず、その東電から利益供与を受けている専門家が、事故の被害者である県民や市民の健康管理のあり方などを決める審議会のメンバーになっているという異常な状態にあります。これは正していただきたいと思います。
    次に、子ども・被災者支援法の実施方法についての意見です。資料③のA3判にあります健康診断比較表を御覧になってください。これはいろいろなケースの被ばく者が、どのような補償を受けているかを比較したものです。表からわかりますように、JCO事故では、検診の対象者は一時的に1mSv以上を被ばくした人になっています。福島では年間1mSvでも補償の対象にはなっていません。公衆の被ばく線量限度を事故以前に戻して、それを超えるところでは、福島県外であっても、グローバー勧告にあるように、甲状腺検査ばかりでなく、全ての健康への影響の可能性を検査するよう求める声は、千葉県野田市長による要望書を初め、お配りしました支援法に対する多くのパブリックコメント及び要請を提出した自治体をプロットした全国地図にも現れています。これは年間線量が1mSvを超える地域は、全て支援対象地域に指定すべきであるとし、不安を抱えた住民が納得するような施策をしてほしいと要望しています。このような広い層からの要望に応え、福島県以外でも被ばく線量年間1mSv以上の地域の住民に対し、健康に対する権利が保障されるよう強く要望するものです。
    さらに、現在の検診は福島県が主体となっているため、不具合が多発しています。日本医師会の提案のように、厚生労働省に一本化して、体系的な検診体制を整えてください。
    どうもありがとうございました。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。
    また後ほど、議論させていただきますが、議事の予定に従いまして、秋葉先生、次に御説明いただけますでしょうか。
  • 秋葉澄伯氏(鹿児島大学) このような機会を与えていただいて、大変ありがとうございました。
    それで、先ほどの議論のときには申し上げなかったのですけど、内部被ばく等のデータについては、私が言うのもなんだなと思って申しませんでしたけど、最近、早野龍五先生たちがProceedings of the Japan Academy of scienceに書かれた、ひらた中央病院の約3万人のデータなどもあると思いますし、同じく、平野先生たちの給食の測定などもデータとしてはあるのではないかなと思いますが、そういう意味で、ちょっとここの議論でもう既に乗っかっているのだろうとは思いますけれども、今日の議論にはなかったのがありましたので、御参考までに申し上げておきます。
    それで、資料22枚をお配りしてございますが、実際にはこの大半が非表示スライドでございまして、私の申し上げたい結論は最後の22ページに書いてございます。まず、それを御覧いただければと思います。
    私どものインド等でやっている高自然放射線地域に住んでおられる住民の調査結果から考えると、こういう可能性が、今、考えられるのではないかということであります。それが学問的な仮説、私どものそういう結論でございまして、これが国際的に認められている結論だとか、そういうことを主張しているものではありません。
    固形がんについては、原爆のような高線量率に比べると、インドのその高自然放射線地域のような低線量域の被ばくのほうが、線量当たりの過剰相対というものが低くなるのではないかというふうに考えております。ただし、それを個々のがんについて見ていったときには、多少例外も出てくる可能性がある。まだそこを詳しく調べられるほどの症例数がありませんが、ほかの調査などから考えても、乳がんなどの場合には例外であるかもしれない。その可能性を必ずしも否定できないというふうに考えております。
    白血病に関しては、まだ放射線と非常に強い関係があるがんといいますか、悪性疾患ではございますけれども、十分なデータがなくて、線量率効果ははっきりしていないのではないかと。あるかないかはわからない状況ではないかということであります。という結論でございますが、スライドの最初に戻りまして、その根拠を御説明申し上げたいと思います。
    最初のスライドは、最初の3枚目は要りませんで、4ページに行っていただきたいと思います。これが地図のようなスライドを出しておりますけれども、インド亜大陸の南西部になります。一番南西はタミル州でありますけれども、その南西部にありますケララ州、大体人口が2,000~3,000万人くらいという地域でありますが、それの大体南の端に州都であるトリバンドラムというところがございますけれども、この右側の絵の下に"TRIVANDRUM"と書いてありますが、それから車で3時間ほど北に上がった地域に自然の放射線が高い地域がございます。
    これは、その次のスライドにお示ししてありますけれども、この地域では、放射線レベルが高いのは、砂浜に打ち上げられた黒い砂にモナザイトと呼ばれる放射性物質が含まれるためであると。その結果として、γ線のレベルが、こういうふうに年に5~10mSvに達する地域が少なくないと。そのような地域に数万人の方たちが住んでいるという状況であります。
    それで、8ページ目に行っていただきますと、私どもの疫学調査の対象集団でございますけれども、この調査は、これは財団法人体質研究会がおやりになっている調査でありまして、それに対して、私が疫学者として助言を与えているということでございます。調査の主体は私ではなくて、ほかの財団法人であるということを申し上げておきます。同時に、私どもは文部科学省の科研費でこの地域でも調査をしておりまして、喫煙とがんに関する論文も数本書いております。そちらの調査は文科省の研究費でやらせていただいております。同時に、先ほど委員会でお話がありました環境省の研究費が、今、出ておりまして、それを使わせていただいて、線量の評価とともにリスクの評価をさせていただいております。
    この地域、カルナガパリ地域という地域に、大体12のpanchayatという小さな行政区に分かれまして、1990年のセンサスでは大体40万人の人が住んでいると。その地域で約7万人の家屋がありますけど、全ての家屋を訪れて、放射線の屋外、それから屋内の線量をはかっております。さらには、1990年~1997年にかけて、それぞれ全てのお宅で面接調査を行いまして、生活習慣等についての情報を得ております。同時に、この1990年ごろに地域がん登録というシステムを設立いたしまして、そのカルナガパリ地域におけるがんの罹患を全て把握できるというシステムをつくり上げております。その結果が、2009年のHealth Physicsというジャーナルに結果を出しておりますけども、その論文では、この12のpanchayatのうちの、データがあまりにも膨大なものですから、比較的、そのラディエーションの影響を見やすいと思われる六つのpanchayatで、大体半分の人たちを対象にして、そして、年齢を30~84歳に限定いたしまして、大体7万人の方を解析対象として論文を書いております。
    その次のページに、線量測定・推定の方法が出ておりますけれども、今申し上げましたように、屋内線量・屋外線量にそれぞれ、例えば0歳であれば、大体何時間、屋内で住む、あるいは、その下のほうは屋外で住むというような、係数を性別に調べまして、対象としたのは大体1万人くらいの方を対象にして、その屋内あるいは屋外の居住係数を調べておりますけれども、それを使って、例えば0歳の線量を計算すると。1歳も同様にして計算するということで、それを積み上げて累積線量としております。それを累積に、と関連するという解析をしておるわけでございます。
    10ページには、がん症例の同定、これは、今申し上げたとおり、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、国際がん研究機関が発行している「5大陸のがん」に収載されているというものでありまして、精度は比較的高いというふうに考えられます。
    がん罹患率の比較が11ページに出ておりますが、この地域の特徴は、やはりがんそのものが、日本に比べるとかなり少ないということであります。単に高齢化という問題が日本にはあるというだけではなくて、そもそもがんは少ないというのがこの地域の特徴の一つであろうと思います。さらに、どういうがんが主ながんかということも多少違っている。特にこの地域では噛みたばこをかなり使いますので、口腔がんが多いという特徴がございます。
    次のページ、12ページでございますけれども、このスライドに白血病のリスクの解析結果を示しております。1990年~1997年にインタビューをしまして、それから追跡をして、2005年まで、発生した白血病のリスクを検討したものであります。ただし、今、被ばくした線量がすぐ白血病のリスクになるわけではありませんので、その2年間のラグタイムをとってございます。このスライドにお示ししていますように、大体30名くらいの白血病症例が把握されておりますが、若干線量の高いところで、リスクの1.6とか、1.43ということは、リスクが60%あるいは43%高いということでありますけれども、まだこれは症例数が少ないので、統計の誤差の範囲であるというふうに考えております。最近、これをさらに5年間追跡を延長しましたが、その結果では、このリスクはもう少し1に近づいている。すなわち、excessはやはりない方向に近づいている。これはregression toward the mean ということで、当然推測される問題であろうと思います。
    13ページは飛ばしまして、14ページに固形がん、白血病を除くがんの結果をまとめてございます。男女合計で見ていただけると一番わかりやすいと思いますが、リスクは全く増加していないということでございます。
    15、16、17ページは除きまして、19ページに行っていただきますと、ここに原爆被ばく者と、それから私どもの調査の結果を比較してございます。原爆被ばく者では、先ほど崎山先生の御報告でも、お話でもございましたように、大体1Gyを被ばくすると50%リスクが増加する。それが直線的に増加するというふうに言われています。その仮定のもとで、そういうような直線仮説のもとで、私どものほうのインドの調査結果を推定してみますと、-0.13/Gyという過剰相対リスクが現れます。13%減って見えるのですけど、実際に減っているということを主張しているわけではなくて、増えてはいないということを主張したいだけでございますけれども、ということで、この二つの調査では、線量値が違うだけじゃなくて、こういうふうに固形がんの線量当たりのリスクがどうも違いますので、これが統計学的な誤差の範囲ではないかどうかということを検定しておりますけれども、これは別途、論文を書いてございますが、Pが0.011で、有意に違うという結論は得られています。
    21ページに、ほかの調査との比較をしてございますけれども、過剰相対リスクというのは、先ほどから申し上げておりますけども、「相対リスク-1」という値で、どれくらい過剰に、例えば過剰相対リスクが0.5であれば、50%リスクが増加しているということになりますけれども、原爆被ばく者では大体50%、1Gy程度で増す。一番規模が大きくて有名な調査というのは、原子力作業者の15カ国のデータをプールして、国際がん研究機関がやったものでありますけれども、0.97という非常に高い値が出ております。ただし、これは喫煙の影響があるのではないか、あるいはカナダで非常に高いリスクが出ているのではないかというようなこともありまして、現在、ヨーロッパ、アメリカの研究者が中心になって、大体同じような国からデータを集めてというか、この15カ国解析の中心となった国からデータを集めて、再解析をしております。
    私が、既に各国から出てきている報告を一種の平均をとるというような、Meta-analysisという手法で解析をしてみますと、この値は0.14になります。それは既にJournal of Radiological Protectionに報告してありますが、かなり低い値になるだろうということが予測されます。ということで、やはり原子力作業者のような繰り返し被ばくでも、きちんとした解析をやると、インドの高自然放射線地域のような結果になる可能性が高いと。
    言い忘れましたけども、私どもは、中国でも同様の高自然放射線地域が広東省にありまして、がん死亡の調査をやっておりますけれども、ほぼ同様の結果が得られております。原爆被ばく者よりは、大体半分よりも小さいくらいの線量当たりの過剰相対リスクが固形がんでは得られるのではないかというふうに思っています。これの例外が、ここの上の2番目にありますTecha川の調査、住民の調査でありまして、これは付近にありますマヤークと言われる核施設から、Techa川に核の廃液が流れて、地域の住民が非常に高線量の被ばくをしたということでありますけれども、この地域では、1950年代の初め、特にたしか1952年だったと思いますけど、1カ月か2カ月の間に非常に高い被ばくを受けております。その高い被ばくは主に外部被ばくでございます。ということで、ここの線量率を計算してみますと、必ずしもその時期、1952年のころというのは低線量率とは言えない。高線量率ではないのですけど、低線量率ではないというレベルでございまして、そういうことがこのリスクを高めているのかもしれないというふうに思っています。
    ただし、ここでは1.0という値を示してありますけども、最近のこのロシア、アメリカの共同研究が行われておりますけども、それから出ているがん死亡率についての調査では、この1.0が0.6になっております。それでも原爆被ばく者並みのデータの値でありますけれども、先ほど申し上げたような線量率が、必ずしも低くないということが影響しているのではないかなというふうに私どもは推測しておるということで、最後の22番の結論になるということになります。
    以上です。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。
    お二人の御意見をいただきましたので、ここで討論に入りたいと思いますが、最初に、崎山先生のほうから、かなり幅広いお話をいただきましたけれども、時間の関係もございますので、まず、資料2のほうから御議論いただきたいと思います。高木学校の崎山先生と書いてある提出資料2の「被ばくと健康影響について」、ここで、恐らくこの委員のかなりの方が入っている放射線リスクに関する基礎的情報をかなり攻撃の対象になりました。その根拠は、ここにお示しになった小笹先生の論文でありますので、これも専門家として、皆さん、御存知のとおりでありますので、ぜひ活発な御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
    どうぞ。
  • 鈴木委員 鈴木ですけども、小笹先生のこの論文、ちょっと結論の書き方が違っているのではないかと思います。まず、この小笹先生のがん死亡のLSSのデータ、まず書かれているのは0~200mSvを超さないと直線仮説が証明できないということが一つ。ただ、もう一方で、Threshold model――しきい値モデルは排除できるということを二つ言っております。結論として、「放射線が安全なのは線量がゼロの時のみ」というのは、これは崎山先生の解釈であって、小笹先生の解釈では、主張ではないという。
  • 崎山比早子氏(高木学校) そうです。
  • 鈴木委員 それをまず指摘しておきたいと思います。
  • 崎山比早子氏(高木学校) 私じゃないです。論文にそう書いてある。
  • 鈴木委員 論文は"no-threshold"であると。
  • 崎山比早子氏(高木学校) サマリーの下のほうに書いてあるのです。
  • 鈴木委員 それは言っているのは、安全かどうかという意味じゃなくて、モデルとしてthreshold modelは排除できるということを書いています。もし、LNTモデルであるとすると、線量が低くなるに従ってリスクはどんどん小さくなって、結局、統計的に有意に証明できるのが200mSv以上、この解析ではそうだということがきっちり書かれているかと思いますので、やっぱりちょっと注意して扱ったほうがいいかと思います。
  • 崎山比早子氏(高木学校) でも、疫学的に100mSvで0.5%死亡率が上がるということは、原子力安全委員会とか、そういうところでも言っているわけですけれども、ICRPのモデルを使って、DDREFを2として、それで0.5%上がるかもしれないけれども、それは疫学的には証明できないからという書き方をしているわけですね。それは証明できないからいいのかということになるわけですけれども、理論的にそういうこと、0.5%上昇というのが、あくまでもICRPのモデルを使った場合ですね。秋葉先生がおっしゃったように、Techa川、15カ国の過剰相対リスクは、広島・長崎の倍以上ですよね、もしそれが正しければ0.5%ではなくて、2%にある可能性もあるわけです。ICRPのDDREF:2というのは、ほか、例えばBEIR報告なんかよりも大きいですし、要するに過小評価に行くわけですよね。そういう過小評価を基準にして計算したもので、リスクが証明できないだろうというふうに言うのはおかしいのではないかというふうに思っています。
  • 長瀧座長 やはりここではっきりと、それぞれ専門家としての御意見をいただいたほうがよろしいと思いますので、どうぞ御自由に御発言ください。
  • 鈴木委員 DDREFを2にしようが、1のままにしようが、いずれ線量の低いところのリスクは非常に小さいので、これは検出、要するに、バックグラウンドの揺らぎの中にどうしても隠れてしまうというのを私たちは言っているので、ゼロかどうかという議論はしていないのですよ。そこはちょっと理解してください。なくなっている、threshold modelだというようなことは全然言っていなくて、非常に小さくなるという議論だけをしています。
  • 崎山比早子氏(高木学校) 小さくなるということで、検出できないというようなことを専門家がずっと言っているのでゼロであるというような誤解を生むわけですよ、一般の人には。で、こういう図が出てくるわけですよね、この一番後にある。これ、どなたが描いたかわかりませんけれども、鈴木さんもその顧問の中に入っているのではないですか。一番後ろ、この環境省の、56人の名前が入っています。
  • 鈴木委員 どれを指しているのか、ちょっとよくわからない。
  • 前田参事官補佐 すみません、事務局から少し補足をさせていただきますと、この先生が御引用いただいたのが、私、ちょっと手元に御用意しておりますが、放射線リスクに関する基礎的情報という形で、復興庁を中心となってまとめまして、2月の中旬ぐらいに、帰還に向けてのリスクコミュニケーションという形で御披露する際に、参考、こういう資料をという形で、現状をまとめたものを出したということがございまして、自然の30%に0.5%加わるという話については、本文のほうには載っておるのですけれども、後々の後ろのほうの参考の資料を説明する際に、確率的影響と確定的影響がどういうふうに理解するかという、この基本的な理解、一番後ろのほうの用語解説みたいなところの中に入っている図を御引用いただいているということでございます。崎山先生の資料、恐らくその最終ページのほうの解説のこの右側の確率的影響の図を用いていらっしゃるというふうに思っております。
  • 桐生参事官 崎山先生の資料の何ページに。
  • 前田参事官補佐 すみません。崎山先生のいただいた資料で言いますと、崎山先生の資料の2、スライドのほうの最後から2枚目、13枚目でございますが、そこで御引用いただいている資料でございます。
  • 長瀧座長 今、さっき、僕がこれを言いましたのは、ここにいる多くの方がここに入っているので、それはよくないと言われましたので、十分御議論いただきたいという意味でお話ししました。ただ、実際にここに、今日、提出いただいたのは小笹さんの論文ですので、この小笹さんの論文から、安全なのは線量がゼロだという結論が出るのか、100mSv以下の影響があるということは言えるのか、そこら辺を専門家としてはっきりと議論をしていただきたいと思って言いました。お願いしたわけです。
    どうぞ、丹羽先生。
  • 丹羽委員 まず、少し専門的になり過ぎて長い議論になるのは避けたいのですが、議論すべきはDDREFです。ご講演ではBEIR ⅦのDDREF計算が出されました。あれは原爆被爆者の固形腫瘍についての線量効果関係にLQモデルを当てはめて計算したものです。このなかでほとんど直線である線量効果関係を無理やりまがっているとして、そこから曲率を計算し、さらにそれから1.5という数字を出したのです。その前提にはLQモデルの直線項は、線量率非依存性であるということがあります。このLQモデルは、ケララとロッシが、1980年代に、dual radiation actionモデルを提唱して、このモデルに準拠して作られたものです。dual radiation actionモデルは、放射線線量と染色体異常頻度(2動原体などの異常)の線量効果関係からみちびきだされたもので、これでは直線項は、線量率非依存性です。でも染色体異常以外の遺伝子突然変異の線量効果関係では、直線項は線量率を下げると低くなります。そのためLQモデルでDDREFの値を計算しても、それが放射線発がんに関わる突然変異が線量率依存して低減する程度を反映するかは疑問です。すなわちBEIRなどのDDREFは、数理モデル屋さんが生物学を全く知らずにやっている間違った議論なのです。そのため私はこの問題について、BEIRに注意を喚起する手紙を書いたのですが、理解されないでそのままになりました。それ以来世界中は間違ったBEIR委員会の議論に振り回されています。サイエンスとしてはBEIRを持ち出すというのは、間違っておることをまず申し上げます。
    それから、ゼロリスクの問題ですけども、我々はリスクが無いかあるかを議論しているわけではありません。がんについて言えばもともとのリスクが30%なのですね、問題は放射線を受けた場合、ある線量でこのリスク値がどれほど上昇するかということをスタートにしています。そしてどれぐらいのリスクなら我々の生活の中で容認できるかということを検討しております。そもそもゼロリスクではないうえ、生活習慣などでがんの頻度は10%ぐらいの変動があり、たとえば都道府県別にがんの死亡頻度でも県によっては罹患率や死亡率が10%ぐらい変動します。どの辺りの線量なら人間社会での普通の生活の中で放射線を使って生活できるのかという議論をしています。ゼロリスクでなければならないというのは、先の見えない議論になるので、そういった議論には対応できないと私自身は思っております。
  • 長瀧座長 どうぞ。
  • 石川委員 丹羽先生にお聞きしたいのですけれども、冒頭の崎山先生のこのパワーポイントの②の2のスライドだとか、放射線がDNAに当たると、1本でも当たると破壊的なとか、4ページ目に発がんに関する科学的共通認識だとか、こういったことについては、要するに、私たちは、そういう放射線があると、いろいろと人間の中で細胞のDNAが破壊されるという事実はあるだろうと。それがどういう形で起こる、確かに放射線がいっぱいあれば、いっぱい起こるだろうと。だから、それはリスクが高いというふうに考えますよね。ただ、もちろん自然界にもそういうリスクはあるのだと。要するに、福島の原子力事故があって、さらに増えたときに、その住民の健康を守るのはどうするのかという議論をするわけですよ。ですから、これは普通よりも高くなっている放射線のところにさらされている住民、あるいは我々もそうかもしれません。それに対してどうするかという議論だから、あまりそこのところの議論で終始しないで、もっと前に進めたらいいと思うのですよ。そうしましょうよ。もうこれはそういう事実があるわけですから、線量が多くなっているという事実が、ですね。だから、それでやっていただければいいと思うし、僕は、それはもうここにも書いてあるように、いろいろわからない。人間の体には低線量、何でもわからない事実がいっぱいあるわけですよ。私たちも、いつもがんができているかもしれないけども、それが自分の免疫で淘汰しているかもしれない。治っているかもしれない。そういうものもあるとわからないのだけれども、じゃあ、この少し増えた放射線量の中で、どうやったらもっと前と同じように健康に過ごせるのかということについて考えていけばいいというふうに議論を進めていただきたいと思います。
  • 崎山比早子氏(高木学校) まさにそうだと思うのですけれども、リスクゼロの社会はないということで、例えばたばこのリスク、あるいは肥満になった場合とか、そういうようなことと放射線、今、事故によって放出された放射線によるリスクを比べるというのはおかしいと思うのですね。
    私たちは、望んで被ばくしているわけではないですし、事故によって被ばくさせられているわけです。ですから、そういう汚染された土地にいる人、選択権がほとんどないわけですよ、避難する以外に、ですね。そういうことを考えて、通常のリスクと比較するということは間違えている。例えばたばこを吸ったほうが何mSvよりもリスクは高いというような議論はありますけれども、例えば胎児だとか、子どもはたばこを吸いません。そういうものに関しても、被ばくというのは一様にさせられるわけです。ですから、そういう議論というのは通用しないのではないかと私は思います。
  • 丹羽委員 そういう議論をしているのと違います。たばこと比較して議論しているわけではありません。誰が一番被ばくして困っているかと、福島に居られる方、住み続けておられたり、帰ってこられたり、帰ってきたいといった方がおられ、そういった方々が困っておられるのです。我々が困るわけじゃないのですよ。県外に出ていきたい方は出ていっていただけるような状況を作るべきだというのは、原子力規制委員会でその必要を論じました。福島に住んでいる、あるいは帰ってこられる方々は、放射線を受けます。私も今福島に住んでおり、放射線を受けています。そして受けている線量が果たしてどの程度で、その健康影響はどうであり、何を気にせねばならないか、これが問題なのです。私は今福島に住んでいます。私の家の前が0.5μSv/hで、すぐ横の溝は2μSv/hです。それの中で生活して、それで仕事もして、私が1年間にうける線量は、1mSvです。そういうような中で、どんなに低くても原発由来の放射線は嫌だと思う方はいっぱいおられます。その一方で、健康のリスクの他に生活のリスクについても考えねばなりません。たとえば財産や、家庭、コミュニティーについても考えねばなりません。お母さんとお父さんが別居してでも避けなければならない線量なのだろうかということを我々は議論しています。だから、ゼロリスクということを議論しているわけではありません。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。
    この会議としての御議論もですけど、時間が問題ですので、少し現実にデータに戻りますけども、崎山先生、この図表の7番ですか、7番で小笹さんの論文をお出しになって、そして、全領域のERRが0.42であると。そして、この20mSvのほうがそれより高いからというような御説明でございましたか。赤い線で、その20のところ。
  • 崎山比早子氏(高木学校) そうです。これは小笹先生の論文そのままですから。
  • 長瀧座長 ただ、これは、平均値はここかもしれませんが、誤差の範囲がここに。
  • 崎山比早子氏(高木学校) ですから、これでゼロではないというふうに、リスクがないとは言えないということを言っているのです。
  • 長瀧座長 ですから、これは標準誤差。
  • 崎山比早子氏(高木学校) すみません。こういう論文を私はそのまま言っているわけですけれども、こういう信頼範囲とか、この点がどういう意味を持つかとか、そういうことに関しては、疫学の専門の方、例えば津田先生のような方をお招きになって御意見を伺ったほうがいいのではないかと。
  • 長瀧座長 いや、もっと単純に、平均値とスタンダードエラーがあって、そして、それが非常に大きいときでも、そして、それがゼロと有意差がないときでも、平均値が高いからということを強調なさるのかどうかということは、ここの誰でも議論できる範囲の問題ではないかあと思います。専門家ならそういうことをしないと思います。
  • 崎山比早子氏(高木学校) これは信頼範囲がゼロよりも下回っているということで、統計的有意差がないということを言っているわけですよね。それが、P値が0.05以下でないと有意差がないというふうに言っているわけですけれども、P値0.05というのは、そこから外れる確率が5%ということですね。ですから、この中に95%の確率で、実際の真実の値は入るという意味だと思うのです、信頼範囲というのは。そういう意味で、この点はリスクがないとは言えないだろうというふうに言っているわけです。
  • 長瀧座長 先生の御解釈はそういうことだということ。
    どうぞ。
  • 丹羽委員 被ばく者データの解析で、線量が低いところでリスク係数があたかも高いかのごとく見えるのは、70年代にチャールス・ランドなどが議論しています。彼は、この低線量でのリスク係数について、対照となる線量ゼロの集団をどのように設定するかによって幾らでも変わることを示しました。しかも解析にどのモデルを使うかで、これまた幾らでも変わります。たとえば放射線影響研究所の古川さんが最近になって計算をしていますが、ノンパラメトリックとか言うモデルを使った解析では、低線量でのリスク係数は高くなりません。
    しかもコンフィデンス・インターバルも変わります、だから、いろいろな前提の上に立っているこの図にのみ準拠して議論するのは、そもそもサイエンスではありません。こう言った議論は、やめてください。
  • 長瀧座長 ほかに御意見ございませんでしょうか。
  • 石川委員 次の発表のほうでいいですか。
  • 長瀧座長 秋葉先生の。これ、今のなければ、次、秋葉先生に移ろうと思います。
  • 石川委員 じゃあ、まだですか。
  • 長瀧座長 秋葉先生のお話に対して、どうぞ。
  • 伴委員 今、丹羽先生から話がありましたけれども、本当にバックグラウンド、つまり被爆者の範囲を何kmまでとるかによって、この結果は相当不安定になってしまって、逆に線量が低いところで、リスクがもっと低いほうにシフトしてしまう場合もあります。それは先生、御存知だと思いますけれども。それから、結局、近距離被ばく者に関しては、相当きめ細かく被ばく線量の再構築はやっていますけれども、2kmより遠いところになってくると、かなりラフな推定、距離と遮蔽状況しか考えていなかったはずです。その意味で、線量推定の誤差も相当大きいので、ここの点推定値だけをとって、どういう形になるかというのは、あまりいいやり方ではないと思います。
    それと、あと、恐らくここのメンバーは、皆さん、しきい値があるというふうには思っていなくて、しきい値があるかどうかはわからないけれども、しきい値がないという前提で考えよう。少なくとも、放射線扱いについては、そういうふうに考えるという前提は受け入れていると思います。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。
    今、ちょっと秋葉先生のほうへ移ったところだったのですが、ほかに御意見ございませんでしょうか。
    秋葉先生、結局、一番、先生のお話しになりたいのは22ページの、と思って......。
  • 秋葉澄伯氏(鹿児島大学) おっしゃるとおりですが、ちょっと言葉、私はスライドを使って発表すると言っていましたので、この文章としては言葉足らずのところがありますけれども、固形がんの例えばこれは線量当たりの過剰相対リスクという言葉がちょっと除かれておりますけれども、そういうふうに御理解いただければ。
  • 長瀧座長 どうぞ。
  • 石川委員 秋葉先生の御発表について、質問したいのですけれども、インドのこういうところでの調査ということなのですけれども、例えば被ばく者とのいろいろ比較もちょっと出てきますけれども、放射線による過剰リスクが観察されないのはどういうことかという、幾つかの原因を推測したのがありますけれども、私たちは、少なくともがんを発見しようと思って、いろいろな検診もやっています。それから、特に被ばく者の方は何か起こるのではないかと思って、年2回とか、そのぐらいやっている、検診をやっている方もいますし、そういう中で見つかるものと、それから、この非常に恐らく自然豊かなところで、あまり医療もなく、亡くなっていく方の死因、がんの死因といいますか、それの確実性、それから認知の仕方、そういったものも全然違うと思うので、なかなか、これ、比較は難しいと思うのですよね。まず真っ先に、高いレベル、放射線のレベルを考えて、その過剰リスクが観察されないのは何かといったときに、私は、その医療の違いというのを感じたのですけど、どうでしょうか。
  • 秋葉澄伯氏(鹿児島大学) 御指摘のとおりでありまして、死亡率について、もしもインドでがんの死亡率を使って解析をすれば、やはり御指摘のとおり、信頼できないものになると思います。ですから、言葉足らずで申し訳ありませんでしたが、10ページにお示ししてありますように、私どもはがんの死亡率を使っているわけではなくて、地域がん登録というものを1990年に設立して、そこで得られたものを使っております。
    この医療のレベルが低くて、がん登録のレベルとしても低いのではないかというふうな御指摘かもしれませんが、実際に、我が国では都道府県、都はないですけれども、ほとんどの府県で地域がん登録をやっておりますが、その中で、この「5大陸のがん」という、IARCがパブリッシュしているものに収載されているのは、私、正確な数は覚えていませんけど、十指に満たないと思います。ですから、どちらがきちんとしたがん登録かといえば、少なくとも、日本ではわずか十指に満たないレベルのがん登録に伍しているがん登録であるということで、それは、はっきり言えば、インドに対して大変失礼な言い方であろうと。特にこのケララという地域は、公衆衛生のレベルが非常に高い地域でございまして、インド全体では乳児死亡率はかなり高い。正確な数字をちょっと覚えていなくて申し訳ないですけれども、大体50とか60、要するに、1,000の出生があれば、最初の誕生日を迎えるまでに死んでしまう子どもたちが50人とか60人とかいるという数字だと思いますけれども、ケララでは、大体15人くらいの数字だったと思います。そういう意味でも、いわゆる途上国というレベルの公衆衛生ではないということで、そういう疫学的な調査をやる基盤ができていると。識字率についても9割を超えているというふうに言われております。ですから、先生の御認識のようなインドとは、ちょっとこの地域は違うかなというふうに私は思っておりますし、例えば乳がんの診断を一つとっても、このがんセンターは、トリバンドラムにあるがんセンターは、失礼ながら、放射線の専門家がおられるから、大変失礼ですけれども、必ずしも乳がんのがん診断については、日本と引けをとらないのではないかなと思っております。ここでは乳がんの写真を撮った、その晩にもうロンドンに送ってやって、そこで診断を受けているのですね。そういうレベルというのは、日本では多分ないだろうと思いますので、そういう若干先入観をお持ちのコメントではないかというふうに私は思います。
  • 長瀧座長 どうぞ。
  • 崎山比早子氏(高木学校) すみません。今、放射線に大体安全量はないというようなことを、この委員会の皆さんは認識されているということをおっしゃられましたけど、であるならば、その認識に基づいて、1mSv以上、今までの決まりであった1mSv以上の場所に住んでいる方々に対する、その健康診断とか、あるいは保障とか、そういうことをされるのでしょうか。そういう結論を引き出してほしいと私は思うのですが、いかがですか。
  • 長瀧座長 まだ、今は線量の議論が主でして、線量を見て、それから、その線量に基づいて何をするかという議論に入っていきますので、今はまだどういう方向に進むかということは、ここで御質問に答えられないですね。皆さんがどうお考えになって、どういうふうに御発言されるかということで、委員会の方向が決まっていくと思いますので、初めから1mSvをどうするという、そういう観念的な議論ではなくて、具体的に何をするかということのお話になっていくと思います。
    秋葉先生のお話に、あと何かございませんか。
    先生、これはケララ以外も中国もかなり行って、さっき御質問のあった、どれぐらい関心があるかとか、どれぐらい真剣に病気を見つけるかということで違いがあるかというお話は、例えば中国とインドと比べたときに何かそういう。
  • 秋葉澄伯氏(鹿児島大学) 中国は、御承知のように、中国の広東省の海南島の近くの地域に高自然放射線の地域がございまして、そこでもやはり同様の調査をやっておりますが、その地域では、やはり死亡診断書は使えないということもありまして、北京にある研究所の先生たちが3年か4年に一度、その地域に訪れて、その地域の主な病院を全て訪れて情報収集をしている。実際には、ですから、がん登録と同じようなことをやっているということがあります。
    インドと中国と比べて、どちらが診断のレベルが高いかは、ちょっとここではあまり申し上げたくないところでありますが、印象としては、私はインドのほうがやはりいいのではないかなというふうに思っております。
  • 長瀧座長 ほかに何か御質問はございませんでしょうか。
    それじゃあ、まだ議論の時間がとれるようですので、崎山先生のことに関して、何かまだ答弁がございましたら、どうぞ。
  • 春日委員 崎山先生の御発表は大変広範囲だったので、必ずしもこの委員会での議論のミッションに含まれないものもあって、それで、ちょっと議論が少し横にそれてしまったかなというところは残念だったようにお聞きしました。そうではなくて、この委員会の議論のミッションの中で使わせていただける資料の中で、この③の表があるかと思うのですが、これはいろいろな事項も、あるいはいろいろな法律に基づく検診の比較表ということで、大変網羅的にまとめていただいていると思います。ここから注目すべき点、先ほどおっしゃったように、いきなり何らかの結論に結びつけることではなくて、そうではなくて、このせっかく表に整理していただいた中で、こことここをよく比較してほしいという、そういう点がございましたら、この表について、あまり御説明いただいていないので、加えていただければと思います。
  • 崎山比早子氏(高木学校) 先ほど申し上げましたのは、JCO事故の周辺地住民は、1mSv以上になった人が健康診断とかいろいろな検診を受けるということができます。それで、それに比べますと福島県民では、そういう1mSvということはなくて、20mSv以下なら安全というようなことで、帰還政策がとられているわけですけれども、そういうことではなくて、やはり同じ国民なのですから、1mSvということをきっちり守ってもらいたいということと、原爆被ばく者は、ずっと被ばく手帳というのを持っていらっしゃって、いろいろな健康障害が起こったときに無料で検診を受けられるという便宜があると思うのですけれども、福島県民だけではなくて、今度の事故で被災した人たちは、被ばく手帳というと何となく差別というようなことになりますので、健康手帳というようなものを持って、ずっと生涯、検診が受けられるような、健康に不安があるときというか、体の具合が悪いときには無料で診療が受けられるというような、そういう制度をつくっていただきたいというふうに思います。
  • 長瀧座長 どうぞ。
  • 祖父江委員 病気になったとか、具合が悪くなったときに医療を受けるということと、健康な状態で検査を受けるということはちょっと違うことだと思うのですけどね。
  • 崎山比早子氏(高木学校) それはそうなのですね。日本は検診が多過ぎるということがあって、祖父江先生も御存知だと思いますけれども、肺がん検診は日本とハンガリーだけしかやっていませんよね。そういうのは健康な人が受けているわけです。そうですよね、検診は。
    私が言っているのは、何か障害があったときに、自主的に診療が受けられるような制度をつくってほしいと、そういうことを申し上げているわけです。
  • 祖父江委員 症状があるときに受けるということですか。ということは、医療の話ですね。医療をできるだけ無料でカバーするとか、そういう意味ですか。ということは、健康な状態でいわゆる検診を受けるということを制度化するわけではないという意味ですね。
  • 崎山比早子氏(高木学校) 日本はいろいろ無駄な検診というのが多いと思うのですよ。それは私たち、医療被ばくのことをずっとやっていまして、それを感じているのですけれども、例えば胃がん検診とか、そういうのはあまり、何というか、効果がはっきりしないのにやっていると。そういうところはありますよね。ですから、被ばくというか、こういう汚染したところに住むことを余儀なくされている方が、また制度的に1年に1回ずつ検診を受けるというような、そういうような制度というと、また無用な被ばくを起こす可能性はあると思うのです。ですから、任意というか、その人が自主的に診療を受けたいと思うときにそういうことをしたほうがいいというふうに、要するに、医療を保障してほしいということです。
  • 清水委員 私も同じ考えで、つまり、健康手帳を持って、これから検査を受けるということは、僕は、以前にこの委員会でちょっと提案したというか、意見を申し上げたことがあるのですけども、なぜ必要かというと、被災した人たちが、これから先、生涯にわたって、これからフォローしていくわけですよね。そんなときに、証明といいますか、しっかりとしたデータという言い方はおかしいのですが、検査の結果を把握すると。それから、御本人も、自分はこれからも検査を受けたほうがいいのだということを自覚するという意味で、検査のためのそれを国なり行政がバックアップすると。そういう姿勢ですよね。つまり、いつまでも福島にいるわけではなくて、全国に散らばります。海外に行く人もいるかもしれない。そういう人たちがしっかりとこれからも検査を受けられる、それをフォローしていく制度が必要だと思うので。具合が悪くなったから、その手帳なりをもって検査を受ける、これは全く別な話だと。それは被ばくを受けたからじゃなくて、実際に本当に病気になるかもしれないし、そのたびに具合が悪くなったからといって、医療機関に行って検査を受ける、ちょっとまた別な話じゃないかというふうに私も思います。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。
    もう大分時間もオーバーしてきましたので、今いただいた御意見、全部、後の議事に出てまいりますので、それぞれの御意見を十分にいただいて、主に今日の後半のほうのお話は、今からこの専門家会議で議論になってくる部分でございますので、今すぐにそれに対してお答えというのはできませんけれども、十分に御意見を記録させていただいて、次の議論に使わせていただきたいと思います。
    それでは、最後にちょっと、次の議題のところをできますか。短過ぎたら次に延ばすか......。
  • 前田参事官補佐 続いて、では、議題(4)のほうでございますが、被ばくと健康影響の1回目ということで、特に御用意しましたものは資料4でございます。中身を説明する前に、これ、何かと申しますと、今、健康リスク評価として知られておるものというのは、WHOの報告書が既に出ているということがございます。これから、冒頭申し上げたとおり、4月にはUNSCEARの報告書も出るという形で伺っておりまして、実際、被ばくに対して、その健康リスクをどう計算するかというところ、当然被ばく量だけだと健康リスクは見えないわけですので、ただ計算式を当てはめて、一定のリスクを類推をするということ、WHOのほうでも計算をしてございますので、その計算方法、ごくごく簡単に御案内を差し上げて、必要でしたら、今後の被ばくと健康影響の話の中で、どういう計算をするかみたいな形で御示唆をいただければと思うものでございます。
    簡単に御紹介をいたしますと、リスク評価の概要ということで、もともとのこのWHOの目的としては、将来の健康影響そのものを予測するわけではなくて、リスクがどれぐらいあるかという形で評価をして、そのリスクを踏まえて、どういう形で健康政策を打っていくかという形のレコメンデーションをするために、この評価を実施しているということで、過小評価を最大限避けるということを第一の目的にしてつくられたということに承知をしております。
    リスク評価の科学的なベースといたしましては、広島・長崎のデータでございますとか、チェルノブイリのデータをベースに御議論、リスクについて御計算をいただいたというふうに承知をしております。
    おめくりいただいて、3ページ目でございますが、WHOの計算方法といたしましては、今回、がん及び白血病につきましては、これ、詳細に生涯リスク、後ほど御説明をいたしますが、評価をしていると。
    放射線による遺伝性影響につきましては、これは人の疫学では認めていない。他方、人って100年ぐらい生きますので、恐らく疫学的に見えづらいというところもあると思いますので、動物実験も参考にしておりますが、2桁程度、被ばくのリスクを考えると、さらに小さいということで、遺伝性影響については、この報告書ではリスク計算をしていないというふうに理解をしております。
    その他、確定的影響につきましても、これも急性の話で、数週間で出てくるものですから、そこについても長期予測の中では入れていないということと、精神影響につきましても、WHOで健康全体を見ておりますので、深刻な話の一つではあるのですけれども、放射線との関係という話の中では、評価の中に入れていないというものでございます。
    計算方法でございますが、これはベースラインを国立がんセンターの罹患データ等に基づきまして、どれぐらいのお年で、どれぐらいの疾患リスク、どれぐらい罹患するかということをグラフ、カラーでいきますとこの灰色の部分でございまして、それに対して被ばくに対するリスクを過去の知見から計算をいたしまして、上乗せをして、どれぐらいの割合になったかという形で計算をしておるものでございます。  計算方法の概略ですけれども、被ばく線量のほうは、今日、御案内をいたしませんので、少し飛ばしまして、被ばく線量のほかに、計算方法としてはリスクモデルを計算をいたしまして、ここがDDREFは考慮をせずに、DDREFはそれぞれの先生方で御評価が違うところもあるので、これを1とした、これをベースにDDREF、例えば2と考える方は2で入れると。10考える方は10という形で評価をしてほしいというスタンスで、1と同様の計算式になっているという形で計算をしておるものでございます。
    また、しきい値仮説でございますが、仮説に基づいて、1mSvでも浴びれば必ず健康影響が出るという形で計算をしておるものでございまして、かつ、健康リスクについては、罹患に対して割合で行くか、絶対的にプラスをするかというハイブリッドモデルで計算をしているものでございます。
    次、7ページ目でございますが、簡単にリスクモデルを出しますと、被ばくと健康影響のリスクの考え方としては、相対リスクということで、もともとの罹患率に掛ける1.何倍みたいな形で計算をする方法、過剰絶対リスクとかで足し上げる方法と、二通りございますが、あまり片方に寄せてしまうと、非常に罹患率が小さいがんである場合は、非常に小さくなったりとか、大きくなったりとか、そういう問題が出てまいりますので、白血病、甲状腺がん、全固形がんについては、それぞれのリスクを半分ずつ見込んでいると。乳がんに関しては絶対リスクで計算をしているという形で計算をしている。この計算方法は、UNSCEARとか、ICRPであるとか、過去のモデルを参考に、WHOの専門家会合の中でお決めになられたと伺っております。
    本来、WHOの報告書を全部御報告するのであれば、線量とか、線量に伴ってリスクを説明しなきゃいけないのですけれども、今回は計算方法にだけ集約させて御説明をさせていただきます。
    9ページ目でございますが、これ、100mSvを浴びたときに、どのようなリスクが89歳まで、あるいは15年のうちに認められるかというのを100で計算した場合を、お示ししております。ベースラインの例えば1歳でございますと、9ページ目の左側でございますが、一生涯で過去のエコーとかの介入はせずに、罹患で知られている割合が0.21、100人当たり0.21というのが知られていて、女性の場合は100人当たり0.77という形が知られていて、仮に100mSvを浴びた場合、生涯に浴びた場合には、それぞれリスクが0.096上がると。女性の場合は0.428上がるという計算をしておるものでございます。
    10ページ目は、同じく15年間のリスクを見ておりますけれども、15年間、エコーも何もせずに、普通に自然に発見される割合が、1歳の場合は0.0014、20歳でしたら0.03という形になりますが、それに対して100mSvだったらこれぐらいのリスクが出てくるだろうという形で計算をしているというふうに伺っております。これ、今、甲状腺がんでお話をいたしましたが、おめくりをいただいて、11ページ目、12ページ目が白血病のリスクで、これは直線モデルではなくて、2次曲線モデルで計算をされたというふうに伺っておりますが、考え方は基本的に同じでございます。
    ちょっと潜伏期の話は飛ばしましたけれども、甲状腺の場合は3年を超えてから出てくると。白血病の場合は2年を超えてからという形で出てくるというふうな上で計算をして、このような値になっているというものでございます。
    次の13ページ目、14ページ目が、これ、乳がん、女性だけ計算をしてございまして、15ページ目、16ページ目が、全固形がんで、100mSvを生涯で受けた場合に、これ、DDREFを勘定しない場合に、これぐらいのリスクが出るという形で計算をしておりまして、これ、あくまで罹患という形で計算をしておりますので、一般的に広島・長崎の例で、我々が知見として用いさせていただくのは死亡のほうでございますので、それは100mSv当たり30%に0.5という形になりますが、WHOのほう場合は罹患という形で評価をされましたので、その数字と異なるという形でございます。
    最終ページに、こういう罹患でリスク評価をすることによる不確かさの原因について、簡単に述べていますので、御紹介をさせていただきますと、まず、線量評価、これは綿密にやらないと、リスクがどれぐらいかということがわかりませんので、WHOの場合は、先に線量評価報告書という形でまとめて、最大限、例えば4カ月間、外にいるとか、全く避難しなかった場合ということで、最大限を見込んで線量評価しておりますが、いずれにせよ、線量評価をしっかりした上で健康リスクを計算するということが大事なのかなということと、さらに、その受けた被ばくについて、臓器別に因数分解した場合に、そこに計算をするということで、一定のバイアスが生じると。あるいは、生涯線量につきましては、土壌、降水量に基づいて、半減期等を考えて、おおよそ1年目の2倍という形で計算をしているというふうに承知をしておりますが、その辺も、当然除染とか、あるいは自然によるもの、移住によるもの等で生涯被ばくは変動していくだろうという形でまとめております。
    また、健康に関する統計データも、先ほど申し上げたとおり、罹患という形で用いておりますので、統計の限界もございますし、診療技術によって大きく異なるということがありますので、それに基づいてベースラインも大きく変わってくるというリスクもございます。そういったことが、あと、先ほどのDDREFを考えずに計算をしているというポイントもあるというところがございます。
    18ページ目でございますが、リスクモデルとしての問題点、これはWHOが挙げているところでございますが、そういった意味で、罹患データというのが、単純に人の罹患だけではなくて、医療技術とか、年次の推移とか、そういったもので変動するという要素もあると思いますので、罹患については、将来予測については、大きな不確実性があるということと、子どもの場合のがんの罹患というのは、もともと非常に少のうございますので、それをこういう形でモデル化することによって、当然なもとの数字が低いだけに、不確実性が生じるということはございますし、今、もともと自然に見つかっているものと、検診で見つかっているものという形で、不確実性が当然のように考えられるという形で、これはお断りを入れているものでございます。
    今回は、こういう形で計算をしたという形で御紹介を申し上げましたが、次回以降、UNSCEARがどういう形で計算をしているか、あるいはWHOがもともとどういう形で計算をしているかということと、この線量評価、この会議の中でいただきますので、その線量評価の程度というものを御比較をいただいて、どれぐらいのリスクを見込むか。そのリスクに関して、積極的にディテクトして見つかるものなのか、スクリーニングという形で長い目でモニタリングをしていくという形でチョイスをするのかという話が、最終的な御意見につながろうかと思いますので、今回、計算式だけ御披露させていただいたものでございます。
    以上でございます。
  • 長瀧座長 どうもありがとうございました。確かに、まだ今後続きますし、UNSCEARのデータも出てくる、まだいろいろと議論がありますので、今日はWHOの計算の方法を説明いただいたということで、終わりたいと思います。
    次、UNSCEARに関しまして、石川委員から御説明いただいたのですが、時間がなくて、この次が多分UNSCEARの議論になる可能性がありますね。
  • 前田参事官補佐 すみません、次回、議題(1)でお示しをしましたとおり、4月の早々には出すという形で伺っておりますので、それを踏まえて、可能な限り、わかりやすい形で御提供をさせていただきたいと思います。
  • 長瀧座長 本当に今日は、ちょっと司会の不手際でオーバーいたしまして、申し訳ありません。
    予定としまして、今日、大分、線量評価について、事実と評価と御意見をいただきましたが、この次の次ぐらい、あるいはこの次も含めて、やはりはっきりとしたまとめも書かなきゃいけないので、その間に、もし、メールでも結構ですし、この次でも結構ですし、ぜひ委員個人の御意見をできるだけいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
    それじゃあ、あと、事務局のほうで。
  • 前田参事官補佐 ありがとうございます。
    今日、宿題としていただきましたデータ、可能な限り、次回、御用意させていただきたいと思います。また、先ほど座長から御指示もございましたとおり、これまでの議論を踏まえて、皆さんで専門家会合として、シェアできる線量評価という形でまとめの作業、冒頭、副大臣からも御指示もございましたので、そういう形でまとめさせていただいて、そのたたき台をベースに、また先生方に御議論を頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
    次回に関しましては、今、まさに先生方に日程の御都合を御照会している最中でございますので、可能な限り、早い時期と、たくさん先生方に集まっていただける日に設定させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    以上でございます。
  • 長瀧座長 それでは、10分ほど超過して、本当に申し訳ありません。また、御協力いただいて、本当にありがとうございます。またよろしくお願いいたします。
    本日は、どうもありがとうございます。

午後7時41分 閉会