大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年10月6日(金)11:15~11:30 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 自然共生サイトの認定の結果について御説明申し上げたいと思います。
 本日、民間企業等からの申請を受けて、社有林や里地里山など、122か所を自然共生サイトに認定することを決定いたしましたので、その旨をお知らせいたします。
環境省では、民間の自主的な取組によって、生物多様性が保全されている場所を、自然共生サイトに認定する取組を今年度から開始いたしました。2023年中に100か所以上の認定を目標としておりましたけども、最初の申請受付によって達成することとなりました。多くの民間企業等から強い関心が示されており、ネイチャーポジティブに向けた社会の変革を感じているところでございます。今年2023年が、ネイチャーポジティブ元年とも言えると思います。引き続き、2030年までに、陸と海の30%以上を保全する30 by 30の目標、ネイチャーポジティブの実現に向けて、自然共生サイトの普及を更に進めていきたいと考えております。
 なお、今月25日水曜日に認定証の授与式を東京都内で開催することを予定しております。以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、読売新聞の渡辺です。よろしくお願いいたします。水俣病に関する先日の大阪地裁判決をめぐって、原因企業のチッソが4日付で判決を不服として大阪高裁に控訴しました。控訴への受け止めと、国としての今後の対応の考えを改めてお聞かせください。
(大臣)国とともに被告になっている民間企業であるチッソの訴訟活動については、コメントする立場にはございません。国としては、水俣病の被害に苦しまれてきた方々の思いを受け止め、そしてまた現在、判決の内容について国の主張が認められなかった点など、しっかり精査して、対応を検討しているところでございます。
 
(記者)時事通信の鴨川です。冒頭で発言のありました自然共生サイトの認定結果の発表、本日ありましたが、今回122か所認定されていますが、今後も含めて最終的には何か所ぐらい認定することが適切と考えているのでしょうか。教えてください。
(大臣)御質問の自然共生サイトですけど、まず2023年中に100か所以上の認定を目標にしていたところ、これについては、今回、最初の認定によって既に達成することができたところでございます。環境省としては引き続き自然共生サイトの申請を受け付け、生物多様性の保全の取組をしっかりなされている区域を認定したいと思いますが、本年5月の自民党の提言では、2026年度までに500か所以上の認定を目指すことともされており、この目標も視野に入れながら取り組んでまいりたいと思います。
 
(記者)北海道新聞の大能と申します。先週もお尋ねしましたが、自民党の杉田水脈議員についてお伺いします。
 党の環境部会長代理に起用されたということですけども、この方は、御存じかと思いますがSNSにアイヌ民族を侮辱する発言を投稿して、人権侵犯ということが認定されたということですけれども、こうした方が、環境政策に携わることについて妥当なのかどうか、大臣の見解をお聞かせください。
(大臣)今御指摘のように、9月29日、自民党の総務会で、環境部会長に中田宏議員、部会長代理に杉田水脈議員が決定したことは承知しております。
 私は環境大臣として出ておりますので、党の人事についてコメントすることは差し控えたいと思います。党においては、気候変動をはじめ、地球環境の悪化を防ぐための諸施策についてスピード感を持って議論いただくことを期待したいと思います。
(記者)環境省も、国立公園ですとか、アイヌ文化の普及推進等をやっているかと思うんですけれども、生物多様性の保全についても、実際にアイヌ民族の方を呼んで講演してもらうということもやっておられますが、こうした政策がゆがめられるという心配はないでしょうか。
(大臣)環境大臣としてはコメントを差し控えたいと思いますけど、環境省としては従来の方針に基づき、自然保護・活用を進めてまいりたいと思います。
 
(記者)エネルギーと環境の清水です。冒頭の自然共生サイト関連でございます。2030年で国際的な目標の30 by 30の達成の見通しというのは、大臣はどう見ておられるか。特に、これから再生エネでは、洋上風力とか、沿岸活用が必須で、相当大きなウェイトを占めることになると思うのですが、こういうものとの競合とか、あるいは、御存じのCCS事業の沿岸部の候補地、6か所か7か所ございますけど、そういうものと競合もあるんですけども、その点なんかは、どういう具合に政策的に運営されていきますか。ざくっとで結構です。
(大臣)ざくっととおっしゃっていましたが、複合的・戦略的な課題について御質問いただいたと思います。数字的なものを申し上げますと、今回の122か所の合計面積は約7.7万ヘクタールでございまして、国土の0.2%、ちょうど東京23区や琵琶湖を超える大きさでございます。
 こういう自然共生サイトの認定を通じて、多様な主体による地域に根ざした生物多様性保全の取組をさらに促進し、ネイチャーポジティブの実現に向けた社会の変革を推進してまいりたいと思います。
 そして、複合的なご質問でありますので、やはり環境としては、環境省もできる範囲において最大限、地球環境を守るために省エネ化、あるいはリニューアブルエナジーの推進、そしてまた、デコ活等による国民の皆様の行動変容、そして、国、自治体、個人、企業、NPO、そういったものが一体となって日本の環境を守り、ひいては、地球の環境を守るための動きを全力で進めてまいりたいと、そのように思います。
(記者)30 by 30の達成のためには、あとどのくらいの、国土面積で見た場合に、大きさが必要だということなのですか。その辺の試算というのはあるんですか。
(大臣)海と陸とで違うわけですけども、陸のほうはカウントしやすいんですね。でも、それでも、まだまだだと思います。ただ、海のほうはカウントしづらいんです。なぜかというと、水は流れているんです。海流がありますからね。ですから、この地域に生物多様性があると言っても、そこの魚が他に移動する可能性がある。ですから、そういうことも含めて、どうやったら30 by 30を目標年度に達成できるか、環境省も知恵を絞り進めているところでございます。詳細については、事務方からご説明に上がらせていただきます。
 
(記者)日刊工業新聞の松木です。今の自然共生サイトに関連してなんですけども、企業のほうでインセンティブを求めている声があります。30 by 30の目標達成に組み込まれたことで、今後、緑地内の生物多様性をずっと保全していくわけですけども、それについて何かインセンティブがあればという声を聞きますし、企業以外で、NPOとかも資金とか不足しているかと思いますので、何かインセンティブをお考えのことがありましたら教えてください。
(大臣)前回の記者会見でも多少申し上げましたけど、そういうインセンティブができるように、実は法制化の検討をしております。
 まだ、法案の具体的な骨子は固まっておりませんけれども、やはりそういうインセンティブが法律上もできるように、環境省としても努力してまいりたいと思います。
 それから、この前の情報開示ということによって、そういった取組をする企業に対して資金が流れるようなことを後押しするという取組を、この前ご説明したように、していると思います。
 できれば、次期通常国会に法案を提出すべく努力しておりますが、今回の臨時国会には間に合わないと思います。
 
(記者)環境新聞、小峰です。自然共生サイトについて質問です。確か、去年に土地利用規制法が成立しましたけれども、中国資本や朝鮮資本から、日本の貴重な自然のところを、場所を買い、いろんな企業をダミーに使って買っているという話があります。そういう中で、今回の自然共生サイトの認定にあたって、土地利用規制法との関係をどういうふうに捉えたのでしょうか。
(大臣)ご質問の趣旨は、外国資本、あるいは外国によって、自然共生サイトというものが別の形で利用されないか、あるいは、これは農地法との関係もありますけども、農地法の、今度、環境省とは所管が違うんですけれども、農地所有適格法人に対する法律、これが通ったんですけど、そういう既にある法律ともよく整合性を持ちながら、自然共生サイトが真の意味で自然を守る動きになるように、そしてまた、共生サイトの認定要件の中には、管理体制がしっかりしているかという部分もございますので、そこも含めて、自然共生サイトが真の意味で自然共生に資するように、環境省としても努力してまいりたい、そのように思います。
(記者)それに関連して、国境離島、それから、南西諸島、中国を念頭に、非常に国防上、日本で大変な課題になっております。特に、南西諸島や小笠原諸島、南鳥島、沖ノ鳥島等々の国境離島の防衛と国防と、それから、今回の自然共生サイトの考えは、大臣は、父上が防衛庁長官のときから政務秘書官をやられたので見識があると思いますので、ぜひお聞かせください。
(大臣)環境省の所管として、直接防衛に言及することは避けたいと思いますけれども、自然共生サイトは企業とか民間が持っている土地、要は、向こうが申請して届けるものですね。ですから、そうでないところについては、また別の枠組みになりますけれども、あくまで環境大臣として申し上げれば、そういう場所を含め、自然共生サイトに適切なところは認定しているし、その管理体制については、自然共生サイトがちゃんと保持されているかという観点から、調査、監視していくということになると思います。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=VPt6OFYrQrI
 
(以上)