About里海づくり

里海づくりは、「里海づくりの提言」で示された3つの基本原則に基づき
目標を達成するための柔軟な管理によって進めることが必要です。

Principles里海づくりの基本原則

  • 良好な海洋環境の保全・再生・創出
  • 地域資源の利活用と好循環の形成
  • 地域の歴史・伝統・文化などを踏まえた多様な主体の参加と連携

良好な海洋環境の保全・再生・創出

保全

良好な海域環境が現存している場合には、その環境を安全に保護すること

再生

良好な海域環境が損なわれた、または劣化した場合に、元の良い状態にもどすこと

創出

都市圏の開発などによってかつての海域環境が失われている場合に、その地域の特性に合った環境をつくること

保全・再生・創出においては「適度に人の手が加わること」によって、高い生物生産性と生物多様性の保全を目指します。
人々が里海の恵みを将来にわたって享受できるような取組を継続して行っていくことは、海域環境や生態系を操作することでもあります。
そのため、自然の復元力や生態系の微妙なバランスに配慮したうえで取り組むことが重要です。

里海における地域資源の利活用と好循環の形成

里海づくりを持続可能な活動にするためには「ヒト・モノ・資金」などを生み出し、海洋環境の保全などに還元するといった好循環の形成が不可欠です。
生物多様性や生物生産性の減少、過疎化や少子高齢化、人と自然のかかわりの減少などの問題解決にも繋がる里海づくりや、地域特有の自然や歴史、伝統、文化などを保全することで、地域住民や関係者のウェルビーイングの向上と地域活性化の実現を目指すことが重要です。

好循環の形成に役立つ活動の例

  • 地域資源の適切な利活用
  • 地域固有の種や生態系に着目した観光活動
  • 海藻などが二酸化炭素を溜めるはたらきに着目したブルーカーボンのクレジット化

地域の歴史・伝統・文化等や自主性を重んじた多様な主体の参加と連携

人材不足、資金不足、情報不足など、多くの課題を抱えている里海づくりにおいては、住民、漁業者、行政、民間企業など、さまざまなステークホルダーがが連携できる体制を構築することが必要です。
地域の歴史、伝統、文化などや、参加者の自主性を基盤とすることで、地域に根差した持続可能な活動を目指します。

Adaptive Management順応的管理

里海づくりでは、自然環境や社会情勢の不確実性に柔軟に対応しながら、
事業の目的を着実に実施する必要があります。
当初の予測や計画通りに進まないという状況に対応するために、
あらかじめ不確実性を計画に組み込み、状況に応じて柔軟に調整する「順応的管理」の手法を導入します。

モニタリングとフィードバック

  • 計画段階で設定した包括的目標(KGI)と評価指標(KPI)に基づき、達成度を定期的にモニタリングします
  • モニタリングの結果については、報告書を作成してウェブで公開したり説明会で発表したりするなど、関係者間で共有・可視化を行い、計画へフィードバックします

活動内容の柔軟な調整

  • 目標が未達成の場合、評価手法や指標が適切であったか検証し、管理方策を再設計します
  • 原則として、設定した「目標」そのものは修正せず、活動の規模や場所、技術手法、実施期間、参加体制などの「手段」を柔軟にアップデートします

Activity Area活動区域の考え方

里海づくりの活動区域の検討にあたっては、
里地・里山や河川流域など「森里川海」のつながりも含めた
ひろい視点で検討する必要があります。

包括的な区域設定の考え方

  • 里海は内陸の生活圏と隣接した沿岸域であるため、背後の里地里山を含むことがあります
  • 海岸線だけでなく、流域、地下水の供給源、さらには沿岸に影響を与える農業などの土地利用まで視野に入れて検討します
  • 森林整備や農地管理などの取組と里海づくりを連動させることで、環境改善と地域活性化の相乗効果を高めます

持続可能な地域づくりの単位

  • 活動区域は、地域が主体的に課題を捉え、継続的に解決に取り組むことで「持続可能な地域づくり」を行っていける単位として設定することが重要です
  • 沿岸域と陸のつながりのなかで好循環を生み出しながら、多様な主体による協働を通じて自律的に発展できる地域を目指す「自ら課題を解決し続けられる地域」という地域循環共生圏における活動区域の定義とも共通してた考え方です

区域設定における
配慮事項

活動区域の設定にあたっては、行政区分にとらわれず、生態系や流域単位で検討するとともに、関係者全員が参加・連携できる仕組みづくりを心がけることが求められます。さらに、以下の社会的・生態的条件を慎重に考慮する必要があります。

生態系への波及効果

  • 特定の区域での活動が他の地域に悪影響を及ぼさないよう、事前に影響範囲全体を検討します
  • 周辺の地形、水質、底質、生物多様性などの複合的な環境条件に応じた柔軟な対応が求められます

既存の権利・管理枠組みとの調整

  • 沿岸域には漁業権や海面利用権、国立公園などの保護区域、港湾区域などの法的な管理区分が存在します
  • 里海づくりでは、既存の枠組みを尊重しつつ、自治体や漁業協同組合、土地所有者などの複数の主体間で十分な調整と合意形成を行うことが重要です

スモールスタートの重要性

  • 最初から活動区域を広げすぎず、着実に実施できる範囲から始めることも、持続的な活動のためには重要です

Steps里海づくりの5ステップ

Step01

事前準備

  • 地域の現状把握と課題整理
  • 事前調査項目の選定

Step02

目標設定と計画

  • 将来像(KGI・KPI)の設定
  • 事業計画や資金計画の策定

Step03

里海づくりの実施

  • KGIやKPIを踏まえた保全・再生・創出
  • 海洋教育、普及活動、地域資源の利活用
  • コミュニケーションや情報発信

Step04

モニタリング

  • KGIやKPIに基づくモニタリングの実施
  • 進捗状況の把握、里海づくりの状況確認

Step05

評価および見直し

  • KGIやKPIに基づく評価
  • 計画の改善