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7.課題と解決策

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Spera 森里海・時代を拓く ~有明海の環境を再生して次世代につなぐ~

NPO法人 Spera森里海・時代を拓く」(福岡県柳川市)

人との出会いをきっかけに自然環境の変化を再認識し、活動を開始、有明海の再生を目指す事例。

目標(キーワード:自然環境を次世代へ)

「森は海の恋人」の田中克先生との出会いがきっかけであった。柳川市で旅館業を営み、元々築かれていた有明海沿岸の人々を集めて、平成22年、田中先生による第一回有明海再生研究会を開催。有明海の変化を再認識し、有明海の自然環境を再生する活動を開始した。

以前、有明海沿岸では当たり前のように食べていたウミタケやアゲマキの入手が難しくなり、今では食べたことがないという子供たちも多くいる。有明海の環境を再生して、次世代につなげるため、Speraは活動を続けている。

実施(キーワード:多様な活動、継続的な活動)

  • 干潟における海域実験:漁業者とともにアサリ漁場において、アサリ生息量増加を目指して、水質・底質浄化剤による海域実験を実施。
  • 環境教育:子供たちに生き物を触れさせたいと考え、子供たちと「ちりめんジャコ」に混在した生物を探す、チリメンモンスター大会を実施。
  • 活動年数は5ヵ年(平成28年度時点)

取組の効果

  • 干潟では実験区においてアサリの個体数が増加し、アカガイも増加している。
  • 活動趣旨に共感した次世代が育っている(Speraの支援を受けつつも、独自に有明塾や、やながわ有明海水族館を運営)。
  • 環境教育も評判が広まっており、参加を希望する学校が増加している。

課題と解決策(キーワード:人のつながり、活動の拡大)

  • アサリの食害や赤潮の発生によるアサリやノリの被害などが増加しており、自然環境の変化が課題である。
  • 資金の確保が課題である。
    助成金(三井物産環境基金、日本財団)で工面(工夫点参照)
  • 環境教育も評判が広まっており、参加を希望する学校が増加している。

工夫点(キーワード:人のつながり、活動の拡大)

  • 助成金の獲得のため、助成金の意図をしっかりと見極めて活動の目的と合致させることが重要である。
  • 環境教育では、活動当初は断られることもあったが、何度も足を運び説明することによって、受け入れられたことがあった。
  • 次世代を育てるため、次のことを実施している。
     ① 創立者が一線を退く
     ② 責任とやりがいを与える活動(スタッフを育てるため役割分担して、準備から一緒に実施する等)
工夫点