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生きものの飼育と標本の作り方

2.飼育する

採集した生物を生かして持って帰ってくると、当然ですが飼ってみたくなるものです。生き物を飼育していると、現地で観察しただけでは分からなかった生態が見られることがあります。大切に面倒をみましょう。

2.1 飼育に必要なもの

ここでは、海水魚を水槽で飼育する場合の基本的なセットについて説明します。

基本的なセット
生きものを飼育するために必要な道具
名前 役割
水槽 幅40~60cmの水槽が手頃でしょう。60cm幅のものが普及品で廉く購入できる場合があります。材質はガラス製・アクリル製がありますが、最近はアクリル製の水槽が多く出回っているようです。
ろ過装置 食べ残しの餌や糞をそのままにしておくと、水質の悪化につながります。手頃なものでは、金魚鉢に入れるような簡単なものがありますが、水槽がある程度大きくなると、フィルター面積の大きなものが必要になってきます。水槽の底にフィルターを敷いて、水を循環させる底面フィルターや水槽の上部にセットする上部フィルターなどがあります。また、水槽の底にサンゴ砂を敷いてやると、サンゴ砂の表面で増殖したバクテリアにより、有機物を分解する働きがあります。
エアーポンプ 海水に溶けた酸素によって呼吸する生物にとって、水中へのエアー供給は大変重要です。パワーのあるポンプを選んでおきましょう。
ヒーター 種類によってそれぞれ好適水温があり、これより高すぎても低すぎても生きていけません。特に、冬場には低水温に注意する必要があります。装置はセンサー付きで温度がコントロールできるタイプのものが良いでしょう。
蛍光灯 絶対に必要ではないのですが、魚以外に海藻やソフトコーラル類、イソギンチャク類などを一緒に飼育する場合は脱色したり、死んだりするのを防ぐために必要です。
その他 ペットショップやホームセンターなどの鑑賞魚関連の売場に行くと、水質調整剤やバクテリアの素など色々な添加剤が売られています。実際に使っている人によく聞いてから選びましょう。

次に飼育水ですが、簡単に海水をくんでこられる場合は自然海水で良いのですが、手近に 海がない場合は人工海水を用います。また、バクテリア類のいない純粋飼育を行う場合にも人工海水が使われます。 自然海水を用いる場合には、油分や濁りなどが混じることがあるほか、河口付近では塩分が低くなっていることがあるので注意が必要です。 人工海水を作る場合には、粉末状の人工海水が市販されていますので、これをカルキ抜きした水道水に溶かして使います。最近の人工海水にはpHなどの水質を安定させる添加剤が入ったものも販売されています。水換えの間隔は、水槽の大きさや入っている生物の量にもよりますが、水の汚れ具合などを見て1~3週間に1度、水槽の半分位の水を換えるような目安で行いましょう。

2.2 飼育上の注意

その1 飼育の開始時期

採集してきた生物が水槽になじむまでは、水温・水質・酸素・餌などに注意を払って、できるだけ自然に近い状態に保ってやることが重要です。

暑さに弱い種類は冬頃から、反対に寒さに弱い種類は夏頃から飼育を始めてやると良いでしょう。

その2 水質

飼育中に水面に薄い膜がはったり(バクテリアによる)、白っぽく変色してきたり、臭いがしてきたり、逆に藻類の繁殖がとまって水が非常にきれいになったり(水質が酸性になるとこのような現象がおきる)した場合には、すみやかに別の水槽に移し変えるか水を交換する必要があります。

食べ残しの餌や排泄物をそのままにしておくと、水質の悪化につながります。ピンセットやピペット、小さな網を使って掃除します。こういった物を食べてくれる動物を水槽に入れておくのも一つの方法です。

また、微小藻類が増えてくると水が緑色になってきます。あまり増えすぎないうちは気にすることはないのですが、多くなりすぎるようだと光の当たる量を減らして、繁殖を加減してやります。

2.3 餌について

餌の種類や量、与え方は動物の種類によってまちまちですので、ここでは一般的な注意を示します。

その1 飼育の開始直後

飼育の開始直後には餌への食いつきが悪いことが多いので、環境をできるだけ自然に近い状態にしてやります。種類によっては、すこし薄暗い方が食いつきの良い場合もあります。

その2 餌の量

餌の量は、前回に与えた餌の食べ残し量から判断します。また、動物の発育状態や季節によっても異なってきますので注意します。生きた餌を与える時には、多く与えすぎると水中の酸素が欠乏しがちになります。

その3 餌の食べ残し

餌の食べ残しはできるだけ毎回取り除いて、水槽内を清潔に保ちます。特に高温時には腐りやすくなりますので、この作業は大切です。

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