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生きものの飼育と標本の作り方

3.標本を作る

生物を標本用に採集した場合、できるだけ生きていた時の姿を再現できるように心がけなければなりません。

標本用の生物を現場で固定する時には、固定のし忘れに注意しないと、腐らせてしまうことがあります。固定済みのものには、目印を付けて区別しておくと良いでしょう。また、生きたまま持って帰る時に、色々な種類を一緒にバケツに入れておいたりすると、バラバラになったり、食べられてしまったりすることがあります。

無脊椎動物は液浸標本として保存されることが多く、貝類やカイメン類、エビ・カニ類、ヒトデ類などは乾燥標本にすることもあります。これらの標本を作った時には、採集場所や年月を記入したラベルを必ず付けておきます。

3.1 液浸標本

液浸標本には、70~80%エチルアルコール又は5~10%ホルマリンが良く使われます。

アルコールの場合は石灰質を溶かさないので、石灰海綿類・甲殻類・花虫類・棘皮(きょくひ)動物などのようの体に石灰質の部分を持つ種類に適しています。

しかし、アルコールで保存すると色が抜けたり、標本瓶の蓋をしっかり閉めておかないとアルコールが揮発してなくなったりします。

ホルマリンの場合は、値段が安く、色が抜けることもなく、揮発することもないのですが、組織を固定する力が強いので、標本がもろくなることがあります。また、ホルマリンはそのまま使うと酸性で石灰質を溶かすので、使う前に中性にしておく必要があります。

<注意>

アルコールは引火性の強い薬品ですので、火気のあるところでの使用は絶対に止めましょう。

ホルマリンは「毒物及び劇物取締法」によって医薬用外劇物に指定され、腐食性・有害性の危険性を持つ薬品です。取り扱うときにはメガネやゴム手袋を着用して、できるだけ風通しの良い場所で使用しましょう。

どちらの薬品も目に入ると非常に危険です。もしも、目に入った時は大量の水で少なくとも15分以上洗って、すぐに医師の治療を受けて下さい。

3.2 乾燥標本

<海藻の標本>
  1. 採集してきた海藻をバットあるいは洗面器にあける。
  2. 真水を満たした別のバットに標本にしようとする海藻を入れて、塩抜きをする。紅藻類で3~5分、褐藻類や緑藻類で10~30分ぐらいつけておく、紅藻類には体がもろいものもあるので、注意する。
  3. 適当な大きさの台紙(画用紙・ケント紙)を海藻の下から入れ、海藻をのせて水から引き上げる。このとき海藻の形を整えておく。
  4. 斜めにおいた水切り板に台紙をおいて、水を切る。
  5. 吸い取り紙(なければ新聞紙)の上に台紙を並べ、さらし布をかぶせる。これを積み重ねていく。
  6. 全体を厚板で押さえ、重しをのせる。湿気の少ない風通しのある場所が良い。
  7. 吸い取り紙を1日2回くらい乾いたものと交換する。小さい海藻で3日、大きいもので4~5日すれば出来上がる。
  8. さらし布を静かにはがす。台紙につきにくい海藻は、体の所々をのり付けする。
  9. 台紙のすみに、学名・和名・採集場所・採集年月日等を記入したラベルを貼っておく。標本の大きさがそろうように、スクラップブックなどにはって、保存する。
<貝類の標本>
  1. 生きた貝を沸騰した湯の中で、軽く煮る。
  2. 二枚貝の場合は、貝柱を切って貝殻を開き、中の肉を取り出す。巻貝の場合は、肉が残らないように注意して、ピンセットや針で肉を引き出す。
  3. 表面を良く掃除する。20~30倍に薄めた塩酸を沸騰させ、その中に30~60秒くらい漬けてからみがくと貝殻にツヤが出る。
<甲殻類(エビ・カニ類)の標本>
  1. 大型のものは10%ホルマリン液に4~5日間漬け、そうでないものはホルマリン液やアルコール液を注射してから、陰干しする。
  2. よく乾燥したら、表面に透明ラッカーを塗っておくと美しく保存できます。
<棘皮動物(ヒトデ類)の標本>
  1. 真水で十分洗う。
  2. 85%アルコール液か10%ホルマリン液に約1日間漬ける。
  3. 取り出して、よく乾燥させる。
<棘皮動物(ウニ類)の標本>
  1. 刺を取り去り、タワシでこすって掃除する。殻が薄く、こわれやすいものは短時間煮る。
  2. 内臓を取り出し、歯ブラシなどでこすって水洗いする。

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