環境再生・資源循環

第1回 平成30年度災害廃棄物対策推進検討会 議事録

日時

平成30年12月18日(火) 10:03~12:04

場所

AP東京八重洲通り 7階 P+Q会議室

出席委員

委員

浅利 美鈴    大熊 洋二

大迫 政浩    酒井 伸一

島岡 隆行    中林 一樹

牧  紀男    目黒 公郎

安富  信

(敬称略)

委員以外の出席者

(事務局)
 環境省

山本環境再生・資源循環局長、名倉廃棄物適正処理推進課長、

西川災害廃棄物対策室補佐、鈴木災害廃棄物対策室主査、福永災害廃棄物対策室主査

議題

1 開会

2 検討会の目的及び開催要綱等について

3 議事

(1)近年の自然災害における災害廃棄物対策について

(2)ワーキンググループにおける検討状況について

   ・技術・システム検討ワーキンググループ

   ・地域間協調ワーキンググループ

4 その他

5 閉会

配付資料

資料1
平成30年度災害廃棄物対策推進検討会 委員名簿
資料2
平成30年度災害廃棄物対策推進検討会 開催要綱(案)
資料3
近年の自然災害における災害廃棄物対策について
資料4-1
技術・システム検討ワーキンググループにおける検討状況
資料4-2
地域間協調ワーキンググループにおける検討状況
参考資料1
災害廃棄物対策に関して今後検討すべき事項とその進め方について
参考資料2
規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について
参考資料3
巨大災害発生時の災害廃棄物処理に係る対策スキームについて-制度的な側面からの論点整理を踏まえた基本的考え方(平成27年2月 巨大地震発生時における災害廃棄物検討委員会)
参考資料4
巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデザインについて(平成26年3月環境省巨大地震発生時における災害廃棄物検討委員会)
参考資料5
災害廃棄物対策指針(改定版)(平成30年3月 環境省環境再生・資源循環局 災害廃棄物対策室)
参考資料6
大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(平成27年11月 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部)
参考資料7
ごみ処理基本計画策定指針(平成28年9月 環境省廃棄物・リサイクル対策部)
災害廃棄物対策指針(平成26年3月 環境省廃棄物・リサイクル対策部)
大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(平成27年11月 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部)

廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案参考資料

議事

(福永災害廃棄物対策室主査)
 それでは、ただいまから、第1回平成30年度災害廃棄物対策推進検討会を開催いたします。委員の皆様には、ご多忙のところをお集まりいただき、ありがとうございます。
初めに、環境再生・資源循環局長の山本からご挨拶をさせていただきます。

(山本環境再生・資源循環局長)
 皆様、おはようございます。本日は暮れ押し迫った中、ご多用の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本年度の第1回の検討会ということですが、実質的には、この技術的な検討をいただいております有識者の会議、今年度で6年目ということになります。あの東日本大震災の教訓を生かして、いろんな災害に対する備えを充実させていくという意味で、これまで大変多くのご指導をいただいてまいりました。実際に法制度も変えてまいりましたし、いろんな対策支援をつくったり、あるいは各ワーキングでさまざま詰めた検討をいただいて、備えを充実させてきたということであります。
私、この局長を7月に拝命しましたが、ちょうどあの7月豪雨の真っ最中でございまして、今年は7月の豪雨を含めて、本当に災害の多い年でありました。たび重なる台風もありましたし、震度7の地震ということもありましたし、本当に災害列島なんだなということを改めて感じた次第です。
そういう中で、先生方にご指導いただいて、さまざま準備してきた、あるいは培ってきたネットワークというものを最大限活用して、特に今年の7月豪雨災害ですね。非常に規模の大きかった、これまでに経験のない豪雨災害ということで、私どもの担当部署のみならず、地方環境事務所、あるいは他部局の経験者も総動員して当たりまして、おかげさまでといいますか、随分これまでの経験を生かして、災害廃棄物対策を迅速、円滑にできた部分もあると思います。特に大都市の支援でありますとか、あるいは民間事業者、広域処理などもかなり円滑にできた部分があると思います。
ただ、実際、倉敷の真備で、映像でもごらんになったように、あっという間に物すごい膨大ながれきが積み上がるような状況で、自衛隊のお力をお借りして、初動対応するというようなこともございました。
やっぱり進んだ半面、これだけ災害が重なると、もう日々実践がありまして、その中でやっぱりやってみると、また新たな課題というものが見えてくると。こういった繰り返しです。確かに進歩はしてきているけど、まだまだ取組むべき課題がたくさんあって、備えを充実させていくべきところがたくさんあるなというのが実感でございます。
本日は、そういった対応に追われたということもありまして、本当に年末の開催になりましたが、本年度のさまざまな災害に対して、実際にどんな対応をしてきたかということをご報告するとともに、並行して、ワーキングのほうは動かしていただいておりましたので、各ワーキングでの現在までの検討状況をご報告し、今年度どういった形でそれを整理していくのかというところについて、先生方から忌憚のないご意見を賜ればと思っております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 それでは、まず資料の確認をお願いいたします。
配付資料につきましては、お手元のタブレットに保存されておりますので、ご確認をお願いいたします。タブレットを開いていただきまして、ちょっと順番は逆になっており恐縮なんですけれども、参考資料の1から7が上から順番にございまして、その後、資料0、資料1、資料2、資料3、資料4-1、資料4-2という形で保存されております。
資料の不足やタブレットの使用方法等、ご不明点等ございましたら、事務局にお申しつけください。
ここからはカメラ撮りはご遠慮いただき、退場をお願いいたします。
一般の傍聴者におかれましても、写真撮影、ビデオ撮影はご遠慮いただき、携帯電話の電源もお切り願います。
本日は平成30年度第1回目の会議ですので、委員のご紹介をさせていただきます。タブレットの資料1、委員名簿をごらんください。こちらで、50音順に紹介をさせていただきます。
 京都大学大学院地球環境学堂准教授、浅利委員。

(浅利委員)
 おはようございます。よろしくお願いいたします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 全国都市清掃会議専務理事・業務執行理事、大熊委員。

(大熊委員)
 どうぞよろしくお願いします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター、センター長、大迫委員。

(大迫委員)
 よろしくお願いいたします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 京都大学環境安全保健機構附属環境科学センター、センター長・教授、酒井委員

(酒井委員)
 おはようございます。酒井でございます。よろしくお願いいたします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 九州大学大学院工学研究院教授、島岡委員。

(島岡委員)
 島岡でございます。よろしくお願いします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 首都大学東京・東京都立大学名誉教授、中林委員。

(中林委員)
 中林です。よろしくお願いします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 京都大学防災研究所社会防災研究部門教授、牧委員。

(牧委員)
 牧です。よろしくお願いします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 神戸学院大学現代社会学部社会防災学科教授、安富委員。

(安富委員)
 安富です。よろしくお願いします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 また、本日ご欠席となっておりますけれども、早稲田大学法学部、大塚委員、そして京都大学大学院地球環境学堂、勝見委員、そして東北大学大学院環境科学研究科、吉岡委員にも委員としてご就任いただいております。
また、東京大学生産技術研究所教授、目黒委員におかれましては、ただいま若干遅れておられる状況でございます。
平成30年度は、引き続き、平成29年度と同様の委員にご就任をいただいております。改めてよろしくお願いいたします。
次に、事務局側の出席者を紹介いたします。
環境再生・資源循環局長、山本です。

(山本環境再生・資源循環局長)
 よろしくお願いいたします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 廃棄物適正処理推進課長、名倉です。

(名倉廃棄物適正処理推進課長)
 よろしくお願いいたします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 災害廃棄物対策室補佐の西川です。

(西川災害廃棄物対策室補佐)
 よろしくお願いいたします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 主査の鈴木です。

(鈴木災害廃棄物対策室主査)
 よろしくお願いいたします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 最後に、福永です。よろしくお願いいたします。
それでは、初めに本検討会の開催要綱(案)について、事務局から説明をいたします。資料2をごらんください。

(西川災害廃棄物対策室補佐)
 はい。それでは、説明させていただきます。資料2をお開きください。
まず、開催要綱(案)、目的でございます。本検討会でございますけれども、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模災害に対する備えということで、平成25年度以降開催をしているものでございます。平成28年度から現在の名称に改称いたしまして、災害廃棄物処理システムの強靭化に関する総合的な対策の検討を進めてまいりました。
平成29年度につきましては、災害廃棄物対策に関して、今後の検討すべき事項とその進め方について、災害廃棄物対策指針の改定が一番大きな成果でございましたけれども、それ以外につきましても、技術的な検討、そして課題を取りまとめたところでございます。
本年度の検討会につきましては、これらの成果に基づきまして、さらなる具体化を進めることを目的として開催をしてございます。
本年度の検討事項につきましては、次の4点を予定してございます。まず、一つにつきましては、本年度に起きました災害でございます、平成30年7月豪雨における災害廃棄物処理の実績の蓄積と検証、また、災害廃棄物処理システムや技術に関する事項、三つ目としまして、災害時の廃棄物処理を見据えた地域間協調のあり方、その他検討会が必要と認める事項ということで、書かせていただいてございます。
検討会の構成でございますが、学識経験者の中から、環境再生・資源循環局長が委嘱する者ということでお願いをしております。昨年度と同様にお願いをしてございます。検討会には座長を置くこととしておりまして、座長は会議の議事運営に当たり、座長は委員の互選により定めます。また、座長が検討会に出席できない場合は、あらかじめ指名する委員がその職務を代行するということで、後ほど座長の選任、また座長代行の選任をさせていただければと思っております。検討会には学識経験者、自治体、関連団体関係者によるワーキンググループを置くということでございまして、先ほど山本からもありましたように、先行してワーキングでの議論を進めさせていただいておるところでございます。
事務局につきましては、環境省災害廃棄物対策室が行います。
その他でございますけれども、検討会は原則公開としまして、またワーキンググループにつきましては、非公開ということで開催をさせていただいております。
最後に、別紙にありますスケジュールでございます。本日が第1回となっておりますが、ワーキンググループでの先行した検討状況の中間報告ということ、また、近年の自然災害における災害廃棄物対策の報告をさせていただきます。第2回につきましては3月ごろを予定しておりまして、改めて日程調整をさせていただきたいと思っております。
開催要綱につきましては以上です。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 開催要綱(案)について、ご質問、ご意見はございますでしょうか。
 特にないようでありましたら、この開催要綱についてご承認いただけますでしょうか。

                          (異議なし)

(福永災害廃棄物対策室主査)
 ありがとうございます。
それでは、本開催要綱に基づき、本会議を運営することとしたいと思います。
本会議は原則公開としておりますので、本日の議事録は、原案を作成しまして、委員の皆様にご確認をいただいた後、環境省ホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。
初めに、ただいまご承認いただきました開催要綱に基づきまして、本検討会の座長を決めたいと思います。委員の方からご推薦はございますでしょうか。

(大迫委員)
 引き続き、京都大学の酒井先生にお引き受けいただいてはいかがでしょうか。

                          (異議なし)

(福永災害廃棄物対策室主査)
 ありがとうございます。
それでは、酒井委員に座長をお願いしたいと思います。以降の進行は酒井座長にお願いしたいと思います。
それでは、酒井座長、よろしくお願いいたします。
早速ではありますが、一言ご挨拶をお願いいたします。

(酒井座長)
 はい。それでは、ご指名でございますので、この後、座長を務めさせていただきます。
先ほど山本局長のほうから、この6年間ほどの整理をご発言いただきました。長くやってきていることを、改めて実感をしておりますけれども、その一方、本年の諸災害の様子等で参りますと、まだといいますか、次に考えるべき観点というのがやはりまだ多くあるという、そういう実感でございます。加えて、何より今後の南海トラフ災害、あるいは首都圏直下地震等々、そういう巨大災害を念頭に置きますと、そのときの対応を改めて考えていかねばならないということも意識しております。
そういった中で、本年も、先ほど定めていただいたような要綱のもとで検討が進められることになりましたので、委員のご協力をいただいて、良い議論が引き続きできますよう、努力したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速、開催要綱に基づきまして、座長の代理を指名させていただきたいと思います。昨年から引き続きまして、大迫委員を指名したいと思います。ご意見はございますでしょうか。

                          (異議なし)

(酒井座長)
 ありがとうございます。
それでは、大迫委員、どうぞよろしくお願いいたします。

(酒井座長)
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
初めに近年の自然災害における災害廃棄物の対策につきまして、資料3ということかと思います。資料を開けていただきまして、事務局のほうから、まずご説明をお願いいたします。

(西川災害廃棄物対策室補佐)
 はい。それでは、資料3につきまして説明させていただきます。
まず、スライド2枚目、お開きいただきまして、今年度発生した主な自然災害ということでまとめてございます。本年度、非常に災害に多く見舞われた年でございまして、今年を表す漢字は災害の「災」ということにもなってございます。大阪北部地震を初めとしまして、一連の地震、大雨、台風とさまざまな種類の災害が起こったということをまとめてございます。
それぞれ特徴がございまして、大阪北部地震でしたら、通勤時間帯に発災したということで、職員参集や被害状況の確認に時間を要したというところでございますとか、台風21号につきましては、高潮による被害というものが廃棄物処理施設でも発生したというところがございました。
これ以降につきましては、特に大規模な災害かつ大きな被害をもたらした7月豪雨と北海道胆振東部地震につきまして、詳細をご説明させていただければと思います。
もう1枚めくっていただきまして、平成30年7月豪雨の概要でございますけれども、停滞する前線の影響によって、局所的に非常に強い勢力で雨をもたらしたというものでございました。西日本を中心に、全国的に大雨になったのでございますけれども、特に短時間での降水量というのが観測史上第1位ということで、そういった意味でも記録的な豪雨といったことになってございます。被災地域も広範囲に及びまして、1府10県に特別警報が発表されたということでございました。
次、おめくりいただきまして、スライド4枚目、災害廃棄物の発生状況を写真でお示ししてございます。先ほどもございましたように、倉敷の真備の映像などありましたが、路上に多く堆積された災害廃棄物による生活環境への影響ということがフォーカスされたところでもございます。手前に自衛隊の重機が映ってございますけれども、自衛隊の協力を得て撤去をしたということがございました。また、災害廃棄物の片付けごみの回収場所を、民家の近くにという候補があったということもございますし、また車などの交通手段が被災をしまして、仮置場まで持っていくのにも困難があったということで、住家の前に集積された災害廃棄物の状況でございますとか、あるいは仮置場の管理におきましても、無人の状態があったことによって混合状態になったり、あるいは一旦集積所に出された物を横持ちすることでの混合状態というようなことが、今回の事象としては挙げられます。
次に災害廃棄物の発生量、5枚目のスライドでございます。7月豪雨の発生量、大きな被害をもたらした3県、岡山県、広島県、愛媛県だけの発生量の推計値を合計して、220万トンという推計になってございます。こちらにつきましては、東日本大震災や阪神・淡路のような巨大災害と比較すると、一桁オーダーは小さいものの、熊本地震並みの規模だったということになってございます。
続きまして、環境省の取組でございますけれども、7月8日までの雨が引いた翌日、7月9日から、環境省の職員と災害廃棄物処理支援ネットワークの専門家を現地に派遣をしてございます。そちらで被害状況の確認及び災害廃棄物処理の技術的支援を行ってまいりました。特に主な支援としましては、仮置場の管理・運営、収集運搬の全国的な車両の派遣、派遣の調整、または広域処理に関する調整や発生量推計、処理計画の作成支援といったものになってございます。
また、今回、財政措置につきましても、かなり柔軟に対応させていただいたと考えてございます。熊本並みの支援をということで、政府全体としても動いてございまして、半壊家屋の解体撤去費用まで廃棄物処理事業の対象にしたというのは、今回、水害では初の事象となってございます。また、災害等廃棄物処理事業費補助金につきましても、地方負担の部分を極力減らすということでの補助率の嵩上げであるとか、地方財政措置の拡充といった対策をとりました。
今回、広島県を中心に大量の土砂が発生しましたので、国土交通省と連携した、まちなかでの土砂の一括撤去スキームを構築しまして、補助事業の縦割りによらず土砂を撤去できるという仕組みを立ち上げたというのも特徴でございました。
続きまして、7ページ目のスライドでございます。現地支援体制について模式的に示したものでございます。環境本省のほうで災害対策チームを7月7日から立ち上げてございますけれども、それに並行して、各地方事務所を中心としまして、9ブロックでの災害廃棄物の処理支援に当たってございます。そのうち特に被害の大きな中国地方、四国地方につきましては、他の事務所や本省職員も応援に駆けつけまして、現地支援チームを岡山県、広島県、愛媛県、さらには被害の大きかった倉敷市、呉市、坂町、宇和島市、大洲市に常駐する形で、総数で言いますと、派遣人数100名程度を実際に派遣したということでございました。
また、それに伴って、災害廃棄物処理支援ネットワークという官民連携のネットワークを組織してございますけれども、専門家やコンサルタント関係者につきましても、現地支援チームに入って技術的な指導をいただいてございます。
次の9ページ目のスライドに、災害廃棄物処理支援ネットワーク、D.Waste-Netのメンバーでありますけれども、特に初動段階におきましては、一般廃棄物関係団体の皆様に、災害廃棄物の収集運搬のところで、車両や人の応援ということで、多大なるご協力をいただきましたし、復旧・復興対応ということでは、廃棄物処理関係団体や建設業関係団体、収集運搬から処分に至るまでの広域的な支援というものをいただいたところでございます。
各県における現在の進捗につきまして、10ページ以降でご説明をさせていただきます。まず岡山県でございます。最初に、処理スケジュールとしまして、岡山県の実行計画をお示しさせていただいてございます。発災後2年間での処理完了を目指すということで、県全体での動きとなってございますが、特に被害の大きかった倉敷市の状況につきましては、本日現在につきまして、片付けごみについては吉備路クリーンセンター、家屋解体ごみについてはフラワーフィールドということで、仮置場を集約しまして、その他の仮置場につきましては、年内に撤去を完了するということで進めているところでございます。
また、一部事務委託としまして、岡山県のほうに災害廃棄物処理を事務委託してございます。そちらにつきましては、水島処分場という岡山県の環境保全事業団の所有する処分場のところでの中間処理と、それ以降の処分ということを請け負っていただいておりまして、実際には受注した業者が昨月決まりまして、来年1月から処理を開始する予定ということで動いてございます。
続いて広島県の状況でございます。広島県につきましても、実行計画のスケジュールを最初に載せさせていただいておりますが、年内には一次仮置場の撤去を完了しまして、来年末までの処理完了を目指すということで進めてございます。また、大量に宅地内あるいは街中に堆積した土砂につきましては、先ほど申し上げました国交省との土砂一括撤去スキームを活用して、県内11市町での土砂撤去を概ね完了してございます。
最後に愛媛県の状況でございます。13枚目でございますけれども、来年6月までの処理完了を目指すということで、現在、仮置場の集約と、仮置場から処理施設への搬出を進めているところでございます。公費解体につきましても、順次受け付けを行い、解体に着手しているという状況でございます。
続いてのスライドになりますが、北海道胆振東部地震における災害廃棄物の処理状況でございます。こちらにつきましても、発災翌日から、他事務所の職員を含め、現地支援チームを被災地に派遣をしておりまして、被災状況の確認、また自治体の支援に当たってございます。各庁におきまして、補助金説明会なども開催しながら、環境省としての補助事業の柔軟な運用に努めているという状況でございます。
特に被害の大きな厚真町、安平町、むかわ町の状況でございますけれども、仮置場につきまして受け付けは既に終了しておりまして、搬出につきましても、厚真とむかわにつきましては完了をしているということで、片付けごみの処理は目途がついている状況でございます。安平につきましても、一部を除き搬出は完了しているという状況でございます。現在は家屋解体の受け付けを始めているという状況になってございます。
これらの災害の対応状況を踏まえまして、まだまだ処理が続いている段階ではございますけれども、特に初動時の対応につきまして、その振り返りをしてございます。これは政府全体としてもしておりますし、環境省としても、この検討会の場も通じて行ってきたところでございます。
まず、今回機能した点、簡単におさらい、入れさせていただいておりますけれども、7月豪雨につきましては、非常に広範囲に同時多発的に発生したということで、被災3県に対して、現地支援チームを同時並行で約2カ月間派遣したということで、広域災害時の支援体制についての一つの実績ということになってございます。
また、本省や現場での関係省庁との連携体制の構築という意味でも、防衛省や自衛隊と連携したがれき撤去でございますとか、国交省との一括撤去スキームの構築など、連携をより深めるというところを試行した災害でもございました。
生活ごみ、避難所ごみ、し尿の収集運搬につきましては、経済産業省や関係団体と連携した仮設トイレの円滑な設置・運営でございますとか、また、これは自治体間のご努力で、周辺自治体で速やかに、被災した施設からのごみの受け取りをするというようなことでも、処理に大きな支障なく継続するといったところが、これは熊本地震の教訓も踏まえて今回できたところであったかと思ってございます。
補助金スキームにつきましては、先ほどご説明いたしましたので飛ばします。
今回の課題でございますけれども、まず、片付けごみの撤去のところにつきましては、その路上に大量に堆積した災害廃棄物や、集積所が閉塞するといった事態につきまして、今後の改善の方向性としまして、関係省庁との連携を標準化するということ。また、特に被災家屋からのがれきの搬出であるとか分別の実施につきましては、ボランティアとの連携が重要ということでございまして、社会福祉協議会等の関係団体との連携を定例化するということ。さらに、収集運搬車両や人員配置が遅れたり、十分でなかったという反省も踏まえまして、さらに体系的に速やかな配置ができるための事前の検討、こういったことを進めていく必要があろうと考えてございます。
次のスライドでございますが、事前の自治体における計画不足による初動対応への影響につきましては、本検討会のワーキングでも検証をいただいているところでございまして、環境省としましては、モデル事業等を通じた災害廃棄物処理計画の策定率の向上というところを、来年度以降はさらに強化をしていくということで考えてございます。
被災自治体支援につきましては、処理段階に応じた人的支援の仕組みということで、国、県、支援自治体、ボランティア、D.Waste-Netなど、さまざまな主体が現地に入って、多方面からの活動をするということになりますので、適切な役割分担をして、求められる支援を適切に行う体制づくりが必要だという認識をしているところでございます。また、災害経験自治体の知見ということも今回大いに役に立ったという評価を自治体からも聞いてございまして、こうした過去の災害経験者の知見を言語化して、そのネットワークを生かした仕組みづくりということも重要だと考えている次第です。
広報戦略につきましては、報道が、真備の堆積状況も初めとして、うまくいっていないという状況、なかなかクローズアップすることが多いものでございますから、そういった状況に対して、いかに進捗があるか、どういった対応をしているのかという、進捗状況の発信をしていくということが重要であったと考えてございます。これにつきましても、画像・映像情報を含めた情報発信ルートを確立していく必要があろうと考えてございます。
最後に、より大規模な災害に備えた現地支援体制としましては、初動対応の検証を踏まえて、より迅速かつ的確な支援をするための必須の対応事項を整理するということ、また、本省や地方事務所の体制検討や人材の育成といったところが、課題として挙げられようと思ってございます。
これらの課題に対する対応状況、現時点の状況につきまして、まとめさせていただいたのが最後のスライドでございます。
関係省庁との連携につきましては、国土交通省及び防衛省との調整を開始してございます。また、ボランティアとの連携につきましても、内閣府防災や全国の社会福祉協議会、全国で災害支援に活躍するNPO団体との調整などを開始したところでございます。D.Waste-Netにつきましても、これまで以上に広範囲にわたって支援に入っていただく必要があるということで、支援体制の強化策についての意見交換を開始してございます。
また、本検討会のワーキングにおいて、特に地域間協調のワーキングの中で、初動対応の振り返りをして、片付けごみの回収戦略について、どういった形がより適切であったのか、事前の備えとして、どういったことを検討しておく必要があるのかなということを、まとめたいと思ってございます。
さらに、並行して省内での対応につきましても幾つかご紹介をさせていただきますが、災害廃棄物処理計画の策定率の向上という観点では、先週の金曜日に閣議決定をさせていただきましたけれども、防災・減災、国土強靭化のための3年間緊急対策としまして、処理計画の策定支援の予算も計上させていただいておるところでございます。こちらによって、3年間で約120自治体でのモデル事業など、対策の強化を打っていきたいと考えてございます。初動対応の検証の結果につきましては、初動対応ガイドラインということを、今回ご出席いただいている中林委員を座長としまして、別の検討会でも議論をさせていただいておりますので、そういった中にも反映させていきたいということ。人材育成や現地支援体制の強化ということでは、現地支援チームのオペレーションマニュアルであるとか、研修、訓練プログラムの開発ということを進めていくということで、現在実施をしている状況でございます。
 以上です。

(酒井座長)
 はい。どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に対しまして、ご質問、あるいはご意見等はございましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。
大迫委員からお願いいたします。

(大迫委員)
  ありがとうございます。今回の7月豪雨災害に対する対処というのは、過去の災害のさまざまな教訓、経験も踏まえた体制づくりが大変機能して、いろいろな形で適正に行われたという取り組みに関しては、本当に評価させていただきたいと思っております。そういう中で、幾つか反省点もありましたので、そういったところは、今後また次に活かす形で検討していただきたいと思っております。
今ご説明の中で、まさに環境省の対応に関して、少しコメントをさせていただきたいんですが、やはり今回、7月豪雨災害はかなり広域だったということで、西日本ブロック協議会がいかに機能するかというところは、一つのポイントだったかと思います。その中で、地方環境事務所の専門官の方々のポテンシャルがかなり高くなってきて、中核的な役割を担ったというようなご評価も16ページでされているというところで、その専門官の方々の専門性について、他のブロックの方も支援に行かれて、全国的、日本全体で、各地方事務所の方々の専門家のレベルも上がっていっているという認識をしておりますので、これをいかに継続的に継承していくかというところに関しても、ぜひ戦略的にやっていただきたいと思っております。
それから、職員経験について、これは本省の方々を含めて、災害対応経験職員の拡大等を実現したということも書いてありまして、ここはちょっと質問ではあるんですが、やはり平時の業務とのバランスということも大変重要かと思うんですが、環境省の本省として、現場で経験するということに関する意義をどのように考えておられるのかというようなところで、もしコメントがあればお聞かせいただいて、私は現場を経験して、やはり現場を持った形で、それを平時のいろんな行政にも役立てていくということは大変重要なことかと思いますけども、そういったところの何かご見解があればという風に思っております。
それから、もう一つはコメントですけども、D.Waste-Netを拡大していくべきだというところは、半分は賛成なんですが、半分はその、何というんでしょうか、この全国レベルのD.Waste-Netに対する、各地域地域の依存みたいなものになっていかないかという少し懸念もありまして、むしろブロック毎とか、あるいは都道府県レベルでも、まあ、レベルの差はあっても、D.Waste-Net的なものがつくられていって、それが全国のネットワークともつながっていくというようなあり方でないと、今後の広域災害というものには、なかなか対処していけないんじゃないかというような認識を持っておりますので、これは最後、コメントでございます。
以上です。

(酒井座長)
 一通りご質問、ご意見を承りたいと思います。
はい、浅利委員、どうぞ。

(浅利委員)
 すみません。大きく4点あります。まず、16ページ目のスライドの一番下の部分で、今回特にやはり報道的にも大きな課題になっていたのが、路上に置かれていたとか、そういう部分であったかと思います。改善の方向性の一番下のところに、災害時でも無理のない範囲でという話で、分別していただくというようなことが書かれておりますけれども、やはり住民の方であったりボランティア、それから自治体の役割が、もう少しクローズアップされてもいいのかなと。地域間協調WGでも議論は始めておりますが、まだ十分になされていないのかなという風に感じております。
分別もそうなんですけれども、そもそもその災害廃棄物が普段の廃棄物とどう違うのかとか、そこから多分、知っていただくという、災害廃棄物そのものの認知度を、改めて向上できる機会かなという風にも思っております。
あと、今回スプレー缶の事故がくしくもありました。無理のない範囲という視点もあると思うんですが、例えばアメリカでしたら、住民の役割として、有害危険物は分別しなければいけないという風に位置付けられています。どうしてもやっていただかないといけないという、住民の役割もしっかり打ち出していってもいいのかなという風に感じておりますので、今後の議論につなげていければなと思います。
あと、次の17スライド目ですが、事前計画ということが、2.2のところで書いていただいております。今までの多くの指針とかに関して、ほとんどが比較的一定の規模のある自治体を念頭に置いたものになっているのかなと感じておりまして、特に中小規模の自治体にもう少し特化した議論というのも、あわせてやっていく必要があるのかなと、これも地域間協調WGでの議論も含めて感じておりますので、少しそれも意識した書きぶりにしていってもいいのかなと思いました。
あと、同じページの2.4の広報戦略ですが、これは余力があればということになるかもしれませんし、また安富委員からいろいろご意見もあるかもしれませんけれども、新聞報道を見ていますと、その時々によって、クローズアップされている側面が違うなと感じていまして、その報道そのものも分析し、逆にこちらからしっかり打ち出していくという余地があるのかなと思っております。分別の話に加えて、高齢者とか弱者の対応とか、あと、情報伝達のあり方とか、幾つかの側面で、結構、報道の特性があるなと感じております。そういうところから逆に学んで対応していくということも必要なのかなと思いました。  あと、最後に18スライド目のところで、課題をまとめていただいて、対応状況ということで書いていただいています。今回、この検討委員会としては第1回ということで、例年、これまでの検討会の中では、全体として、この委員会と、それに紐付くワーキング以外での検討事項も、整理して紹介いただいたりしていたように記憶しております。各ブロックでの検討であったり、環境省のほうで中心にされていることとか。この18ページ目にかなり集約されているようには思うんですけれども、もし、ここ以外のところで大きな取り組みの内容があれば、ご紹介いただけたら、今年度の全体の取り組みがわかるのかなと感じましたので、可能な限り情報を提供いただければと思います。

(酒井座長)
 ありがとうございます。他にございますでしょうか。
大熊委員、どうぞ。

(大熊委員)
 ありがとうございます。3点ほど指摘させていただきます。まず一つは、今回の7月の豪雨、私も現場行って見ましたけれども、局長がご指摘のとおり、道路に、あっという間にがれきが積み重なってしまったということで、やはりこの辺はすごく反省すべき点ではありますけれども、まず、現場の状況の情報の把握というところが本当に大事だったんだろうと思います。すぐに国の本庁の職員の方が現場に行くというのは厳しい状況でありますので、当然、現地の市あるいは県の職員が現場に行って状況を把握して、迅速にその状況を関係者に伝えるという、そういう作業になると思いますが、なかなかやはり難しい状況にあったということです。
そのときに、環境省の職員だけではなかなか厳しいと思いますので、やはり自治体、先ほどお話も出ました自治体の、過去に経験した人間ですとか、そういった人たちが非常に、現場はどういうところに行けばどういう情報が集まるということも熟知している人たちもおりますので、そういった人たちの活用をしていただいて発災された直後に、どういうところにそういう人材がいて派遣できるのかということも、事前に人材情報として把握していると、環境省としても、自分のところだけでは足りない、そういう人材をすぐに派遣できるような気がしますので、そういったところの体制の構築を考えていただくと、よりその発災直後の情報が、より早く集まるのかなと思っています。
それと、計画の策定ということで、ここにも書いてございますけれども、やはり仮置場の想定が絶対的に必要で、処理計画の中に当然のごとく、指針にもつくるようになっておりますが、なかなかそれが、まだ大都市においては結構整備されておりますが、中小の市町村では、まだまだ実際に起きたとき、どこに置くかと。地元の了解だとか、決定するまでいかなくても、事前に想定をしておけば、幾つかのもののどこが使えるというのを分かりますので、やはりこの仮置場の想定ということに力を入れていただいて、これからの研修等々をお願いしたいと思います。
それと3点目は、職員の育成というところで、先ほどもお話もありました。局内、あるいは環境省内で100人強の今回派遣されたというのは、非常に大切なことだと思います。それは長い目で見て、当然、環境省内でも人事異動されるでしょうし、いざというときに、やはり他の部局からも現場に行って見ているのと見ていないのでは、全然違うと思います。どういうことで現場で困るということを体験していれば、自分自身が職員で、発災したときに、それを指揮をとるなり調整するのに、絶対的な経験としてこれは重要だと思いますので、ぜひ環境省を挙げての派遣というところですが、それは将来の人材育成ということにもつながってきますので、お願いしたいと思います。逆に自治体もその派遣することが、受援、支援、両方に、自治体自身の職員の研修にもなっているということもありますので、そういう視点でも、派遣は広く自治体としても呼びかけていきたいと思っております。
 以上でございます。

(酒井座長)
 ありがとうございました。
中林委員、どうぞ。

(中林委員)
 いろいろ情報をいただきまして、ありがとうございます。今年は「災」が、災害が年の字だということですが、経験もすごく積んだ年だということで、今までお話があったように、これをどう活かしていくかというのは、すごく大事な課題かなと思っているところです。
それに関連して、一つは緊急3カ年計画で、120自治体の処理計画策定を支援すると。これは、先ほどちょっとご紹介いただきました、現在、初動対応マニュアルの検討を別途させていただいているんですけれども、この初動マニュアルをいろいろ検討していくと、やはり処理計画があった上での初動対応になるのが素直かと思うのですが、一方では初動対応の検討に着手することによって、やっぱり処理計画がないとうまくいかないんだというところにつながって処理計画の策定を促すのか、そういうことも議論しているところなんです。これはぜひ、120自治体は予算の範囲かもしれませんが、それ以上に支援を展開していただけると、今年の経験等もつないでいけるのではないかなと思いながら伺いました。これは意見として、コメントとしての1点です。  あと二つは、ちょっと質問として言わせていただいたほうがいいかなと思うんですが、もし分かったら教えてくださいということなんです。一つは、今年度発生した自然災害ということで、2ページに一覧表をしていただいているんですけれども、大阪北部地震、これは一部損壊が大量に発生したということで、屋根がずれたというのがすごく多かったと思うんですね。瓦が。その結果、7月の豪雨で相当雨漏りを起こして、雨が降らなければ出さなくていいごみが、雨の後にかなり出てくるとか。あるいは、さらに9月の台風21号でビニールシートがかなり飛ばされたりして、大量の雨漏りがあって。また、聞くところによると、台風前は一部損壊4万棟ということだったのが、台風一過後、5万6,000棟まで、4割増えたというようなことを聞いていまして、同時に多分捨てる片付けゴミも大量に発生しているんじゃないかなと。
これらを見ますと、まさに災害が複合化しているということが見えてくるわけでして、その災害後に、災害廃棄物の処理の計画に関連するのですが、災害廃棄物の範囲をどう定義するのかということです。台風は台風で別途の災害と仕切ってやるのか。あるいは、一連の災害として組み込みながら対応すると、想定外に処理期間が延びていくということになるんですけれども、多分、地元の自治体としては、費用を含めてかなり業務負担が増えていくのは間違いないので、そうした点をどう対応されてきたのか。そういう経験も今後に活かせるのかと思います。
熊本地震も4月の地震で、その後5月中旬から8月ぐらいまでずっと結構雨が降り続いて、裏山が崩れて、それによって土砂が堆積したり、あるいは5人の方が犠牲になったり、災害廃棄物が増えていると思います。こういうような災害の複合化という事態が今後続くのではないかなと考えると、この災害期間という時間を災害廃棄物の処理の中でどのように捉えておくといいのか。
つまり、特に自治体というか現場目線で見たときに、その辺のお金のことも含めて、少し検討しておくべき課題があるのかなと思いながら、実態はどうだったかなということで質問です。
それからもう一つ、この風水害も影響してか降雨が多かったのですが北海道胆振東部地震は、もう大量の土石が流れたということです。結果として廃棄物混じりの土砂の一括処理の制度ができて、かなり合理的に動くようになったのではないかと思うんですが、国交省のほうのホームページ等でちょっと調べてみると、まずは市街化区域内と、都市計画区域内というのも街中でして、都市計画区域以外についても10戸ぐらいがまとまった集落というのが前提になっていまして、北海道の安平とか厚真の被災地で見ると牧場も多くて、点々と住宅が点在して被災している。そうすると、そのまま見てしまうと、この国交省の土砂排出事業の対象にならないところがいっぱいある。その結果、道路も回復されないとすると、重機も入れない。だから、この先ほどのデータだけを見ると、割と片付けごみは淡々と処理が進んでいるように見えるんですが、実態的には何か、土砂の中にまだたくさん片付けごみもあり、あるいは解体できない家屋もありというようなことが起きているのではないか。もう冬になって凍ってきちゃったので、多分もう来春までそのままフリーズ状態になってしまうんだと思うんです。こういうことも含めると、つまり自治体からみると、もう少し幅広い、何とか土砂排除対策というのができないものか。これは環境省だけではなくて、国交省あるいは農水省、林野庁その他含めて、中山間地域では農水省との連携なんかも必要になるのかなというようなことをちょっと感じていました。そうした環境省以外の省庁間の連携等も含めての何か示唆がありましたら、教えていただきたいなと。
 2点は質問です。以上です。

(酒井座長)
 はい。どうもありがとうございました。
それでは、島岡委員どうぞ。

(島岡委員)
 はい。今と同じような内容になるかと思いますが、土砂、がれきの一括処理、一括処理スキームは、非常に新たな取り組みかと思っております。例えば、九州北部豪雨を思い出しますと、大量の流木が発生しましたけども、道路上の流木は国土交通省、田畑に流れ込んだ流木は農林水産省、また生活環境上支障がある場合は環境省という形で撤去、処理されていったかと思います。省庁横断的に一括撤去処理スキームというのは、非常に有効かと思います。そのときに一括処理されたがれき等々というのは、災害廃棄物になってしまうのかどうかが気になるところであり、教えていただければなと思います。
それから、もう1点は、平成30年7月豪雨は、二つの地方ブロック協議会、中国地方と四国の地方ブロックにまたがる災害でしたが、ブロック協議会として何か有効な動きや機能があったのかどうかについ教えていただければと思います。
私は、九州ブロック協議会の座長を仰せつかっていますけども、協議会が設置された後、九州を見ていますと、例えば九州地方の県知事会で協定も結ばれました。その後、3政令都市、福岡市、北九州市、熊本市の政令市でも協定が結ばれています。多くの協定が混沌としているわけで、九州地方ブロックを見ましても、それがうまく機能するのかが座長として非常に気になるところです。今回、中国と四国のブロック協議会が設置されているかと思いますが、そのあたりはうまく機能したかどうかを教えていただければと思います。
 以上です。

(酒井座長)
 はい。どうもありがとうございます。
それでは、質問的事項もございましたので、まずは事務局のほうから、ただいまの委員からのご発言に対してご回答等をお願いいたします。

(西川災害廃棄物対策室補佐)
 はい。ありがとうございます。多数のご意見をいただきました。私のほうから答えられるもの、答えさせていただきまして、後ほど別の者からも補足をしたいと思います。
まず、大迫委員のご指摘の現場経験の意義につきましては、後ほど少しコメントを別の者からしたいと思います。
浅利先生がおっしゃっていただきました分別の重要性、特に住民の役割、ボランティアの役割というところにつきましては、我々としても、今回の7月豪雨での対応は必ずしも十分ではなかったと。そこの連携は、事前の準備としても実際の対応でも十分ではなかったという認識がございます。こちらについて、さらなる改善を図っていく必要があるということで、ぜひご意見をいただきながら改善をしていきたいと思ってございます。
また、中小規模の自治体に対する処理計画の策定という意味では、おっしゃるとおりでございまして、同じようなモデル事業をやるということではなくて、そこについてはもう少しきめ細かい対応が必要だと。まさに地方環境事務所との間でのモデル事業のやり方についても議論をしているところでございまして、中小規模は少し考え方を異なるモデル事業の実施のやり方、あるいは支援の仕方というものを考えていかないといけないということで、来年度、少し幾つか試行をしたいと思ってございます。
報道の分析につきましても、おっしゃるとおりでございます。今回は7月豪雨の報道、少し調べたところでも、倉敷市の報道にかなり集中したという状況が、災害廃棄物に関係する報道としては集中したというものがございます。半分以上が倉敷市の報道でしたので、そういった意味での偏り、それによる政府全体の動きみたいなところでの、他の自治体との対応の差異みたいなことも気をつけなければいけない。また、地方のマスコミのほうでの報道記事が全国紙に載ることによる対応の拡大みたいなこともありましたので、その報道戦略、広報戦略として、どういったところでのパイプをつなげていくのかというところでの示唆もあったかと思ってございます。
D.Waste-Net、ブロックレベルでも組織化していくということにつきまして、これは大迫委員のご指摘ですが、大変重要なご指摘だと思ってございます。本検討会外の検討状況のご報告につきまして、主要なものにつきましては、最終回でのご報告をさせていただければと思います。
また、大熊委員から、自治体経験者の活用の重要性をご指摘いただきまして、今回、自治体経験者、かなりご活躍をいただきました。そういった方々の人材のデータベース化、ネットワーク化ということを我々としても図っていきたいと思ってございます。こちらにつきましては、少しD.Waste-Netの中でも議論をしたいと思っておりますけれども、事前にあらかじめ登録をしていただいて、発災時に派遣ができる体制のルール化といったものを図っていければと思ってございます。
中林委員からご指摘をいただきました、モデル事業をぜひ積極的にということをご意見として承ってございます。また、災害の複合化につきまして、時間の区切り方、あるいはその災害廃棄物処理計画上の範囲の設定の仕方、これは非常に難しい課題だと思ってございます。現状、処理計画が、特に中国、四国地方につきましては、南海トラフ巨大地震を想定したものがほとんどでございましたので、今回の水害の対応という意味で、必ずしもうまくマッチしなかった部分もあろうかと思ってございます。そういった意味で、さまざまな災害の種類に対する対応能力の強化、あるいはそのシミュレーションの強化というものが必要でしょうし、複合化という意味では、これはまさにまだ試行錯誤の段階ではございますが、我々としても今回新たなフェーズに入っているという認識のもとで、何ができるかを考えていきたいと思ってございます。
ただ、北海道の土砂撤去につきましては、ご指摘のとおり、今回につきましては農水、林野との連携も極めて重要ということでございまして、なかなか土砂の撤去が進んでいないというところが実情でございます。北海道庁を中心に、林野部局、農水部局、国交部局も含めた連携チームというか、連携した検討体制を環境事務所の支援もあって立ち上げてございます。なかなかまだ方向性について見出せるまでに至ってございませんけれども、地方環境事務所の専門家を中心に支援をしていきたいと思ってございます。
最後、島岡先生からのご指摘でございます。土砂撤去一括スキームで撤去した物は全て災害廃棄物になるのかということでございますけれども、こちらにつきましては、土砂分と災害廃棄物分と、最後に処理した実績に伴って重量按分をしまして、それぞれ土砂は国交省の補助事業の申請、廃棄物は環境省の補助事業の申請ということで、撤去は一括で行って、後ほど書類上で振り分けるということでやりたいと考えております。
ブロック協議会としての機能につきましては、今回、中国ブロック、四国ブロックにつきまして、行動計画を策定した後でございましたので、その行動計画を発動しまして、より被害の少なかった自治体からの応援支援をいただきました。人的派遣ですね。けれども、なかなかどういった役割でどういった機能を果たすのかというところを、十分に理解が共有されていなかったというところもございまして、必ずしも思ったとおりの活動ではなかったかと思っております。こちらにつきましては、今後、協議会の活動の中で振り返った上で、行動計画の見直し、あるいはその実効性の担保ということにつなげていきたいと思っております。
また、ご指摘のとおり、県知事会や政令市など、さまざまな人的支援の枠組みがございまして、今回の災害対応でも、どのスキームで応援要請をするのか、どういったパターンであればどういったスキームがより有効なのかというところでの混乱もあったと、現地支援チームからの報告は聞いてございます。こちらにつきましても、今後より精査をしていく必要があろうと思ってございます。

(酒井座長)
 名倉課長、どうぞ。

(名倉廃棄物適正処理推進課長)
 すみません。先ほど、土砂とがれき部分の重量按分については、そういうこともできるということでございまして、災害廃棄物は一般廃棄物の一種でございますので、市町村が処理をする責任を持っているものということで、そういう意味では、複合災害とかでも出てきた物が、別にどの災害によって出てきた物かというのは、特に、後で補助金の問題としては関係するんですけれども、別にその処理をするのは市町村の責任で処理をするということでございますので、土砂がまじった物であっても、生活環境上、支障があるというようなことで、市町村がごみ処理として処理をするということであれば、がれきと混じった土砂とかも市町村が処理をすれば、それは例えば災害廃棄物の補助金の対象にはなりますというようなことでございますので、一方で、例えば道路の物とか農地の物とかというようなことになりますと、それは市町村が処理すべき物なのかどうなのかと、普通は排出事業者の責任というのがございますので、そういう者の責任でやるというような場合が多いというようなことでございます。 

(山本環境再生・資源循環局長)
  大迫先生からいただいた現場経験の話です。こちらは特に東日本大震災以降、福島の対応も含めて、やっぱり現場でいろんな経験をする。実際に実務に当たるというところは大変重要だというところは、業務としても重要ですし、環境省としての存在意義、あるいは職員としての経験という意味でも重要だという認識は、かなり省内は強く根づいているかなと。ただ、災害廃棄物の対応ということになりますと、やっぱりある程度規模が大きくならないと、やはり基本はうちの局でしっかり対応するということになるんですが、今回、非常に7月豪雨、その前の熊本地震もかなりでしたけども、やっぱり大きな災害になればなるほど局では回せなくなるので、そうなってくると、今回も最初の段階から、省全体でバックアップするということを言っていただきまして、相当積極的に人も派遣をさせていただいた。そのことによって、これまで経験していない方がまた現地の経験をすると。いい意味で大変でしたけども、経験者が増えるということになりましたので、そこはすごく意識としてはあるというところです。
実際にどういうことが起きるかというと、やはり今、災害対応というのが、今の与党政権ですね、東日本大震災のときに野党だったということもあって、災害対応にものすごく力を入れていますので、官邸の、何といいますか、イニシアティブがすごい大きいので、そこで、ただ、一方で功罪はあって、やっぱり官邸は中央ですから、やっぱり現地の状況というのが、本当にここ、うまく伝わっているといいんですけども、そこが、先ほどのご指摘あったマスコミの報道にもよるんですけど、現地の空気感と、結構やっぱりマスコミ、NHKのニュースで何が出るのかとか、何がトップニュースで出るのかというので、かなり官邸とかこちらの中央の雰囲気が左右されて、本当に力を入れていくべきところにフォーカスが当たっていればいいんですけども、いや、今こちらよりもこっちが優先、現地では優先なんだけども、やっぱり大きく取り上げられると、もうそっちを潰しにいかなきゃいけないというようなジレンマがあったりとか、そこら辺をうまく役所側からの情報発信とか、そういうようなところで、うまく現地のニーズと合った対応に力を注げるようにうまくできればいいなというのが、特に現地にも行った経験と、こっちで官邸対応でやった経験、両方やってみると、そこら辺がうまくやれれば力が発揮できるんですが、そこが分散してしまうと、すごく被災地にとっても余りよろしくないことになるので、それをどうやれば、どういう知恵があるのかというところも、またいろいろとご指摘いただければありがたいと思います。

(酒井座長)
 はい。どうもありがとうございます。委員からの指摘に、局長以下、丁寧にお答えをいただきました。ほぼ結構かと思いますけれども、委員の方、よろしいでしょうか。

(中林委員)
  これも教えてくださいなんですけど、土砂の場合には、もう分別じゃなくて、私のイメージだと、もう直、その最終処分になってしまうということですが、土砂混じりのがれきになると、分別をして、土砂部分と処理するがれき部分を分けなきゃいけないので、どこかに仮置き的な場所が要るのかと思うんですが、あれだけ大量の土砂が、水害にしても出てしまうと、要するに自治体が最終処分場を新たに設定しないと、持っていき場がなくなってしまっているんじゃないかなと思っています。それを今後どのように準備するかも、難しいんですが、最終処分場の問題というのが課題になっている。特に土砂の場合には、処理現場となる自治体にとっては、非常に大きな課題としてあるんじゃないかなという気がしています。そうした点もちょっと検討しておかないといけないのかなと、自治体ベースとしては思います。

(酒井座長)
 今のご指摘はテイクノートということでよろしいですか。お答えになられるのであれば、お答えいただければ結構ですけども。
では、後からまた。
安富委員から手が挙がりましたので、どうぞ。

(安富委員)
 すみません。マスコミの話が出たので。広報戦略のことなんですけども、局長がおっしゃるとおりだと僕は思います。僕は逆に、今の国の発信の仕方が余り現場に届いてないなという見方をしているんですけども、その一つが夏の臨時のときにちょっと話したんですけど、私の古巣の新聞社が大きく、7月20日ごろだったかな。三つの支援パッケージという大きな記事が出て、それを読んだときに、ほとんどの災害対応をやっている人間は、えっ、何が新しいん、というようなことがありまして、その三つの柱というのが、一つが全壊世帯に300万円を出す。当たり前のことなんですよね。二つ目に、実は一括処理というのがあって、余り専門じゃないので、これは新しいのかな、どうかなと思っていました。三つ目は中小企業に対する融資の問題、これも当然新しくないんですよね。
支援パッケージという言葉で某新聞社が、どうも官邸で発表されたもので、それがよく出ているんですけども、見出しが例えば「被災者に300万円支給」とか、そういう当たり前の記事で5段記事が出たときに、非常に驚いた記憶が。ちょっとその地域間協調ワーキングの中で、西川補佐にいろいろお伺いしたら、どうもその三つの中で一番新しいのは、二つ目の環境省のこの件だという風に聞いて、それだったら、これをもっと、しっかりと大きくアピールしたらいいじゃないと、言ったんですけども、なかなかそうもいかないんですけども。
何が言いたいかというと、一つは広報戦略というのはね、多分、国、今回の場合は、環境省がどういう風に、例えば7月豪雨でごみの問題についてアピールできるかということと、もう一つは各自治体、市町村段階で、ローカルに対して、地元の住民たちに対して、いかに効率的に発信ができるかという二つの側面があると思うんですね。最初のほうは環境省が頑張ってもっとアピールしたらいいということになっちゃうんですけど、難しいのは、ローカルがマスコミを使って、例えば新聞だったら地域版とかを使ってしっかりと伝えていくことが大事になる。ローカル放送が全国放送の後に、きちっとローカルの中でごみの問題とか出してくれたら、すごく大きな効果があると思うんですよね。
ただ、それがあまり上手くいってないのはなぜかというのを、ずっと前から地域間協調の中でも、自治体の方が来ているんで、いろいろ聞いてみると、災害対策本部の中の位置づけが、このごみ処理という位置づけが非常に低いと皆さんおっしゃっている。場合によっては、別の問題だと言っているようなところもあるみたいなんで、朝倉市もそうだったかな。熊本もそうだったんですけど、被害を受けると、いや、そうじゃないんだよということが分かって、今、大分、例えば地域防災計画の中にもきちっと入れるようになっているとか、そういうようになってきているんですけど、まだまだその自治体の中で災対本部の位置づけが、ごみの位置づけが非常に低いんじゃないかなと。それはひいては、もう日本が最もワークネス、特に地方自治体はそうなんですけど、下手な、苦手な広報につながっているんかなと思う。
ちょっと前の、今年、去年の災害、ハリケーンイルマのことで、アメリカ行かせてもらったら、国全体が広報というのをすごく重く位置付けていて、マイアミとかああいうところでは、非常に広報に対する考え方はすごくしっかりしているなというのをすごく感じました。だからその辺、災対本部の中でうまく位置付けしながら、特に首長にしっかりと、ごみの問題、直後はなかなか難しいですけども、ある程度時間が経ったときに、アピールできるような形をつくるのが、広報戦略的には非常に大事かなと思います。

(酒井座長)
 はい。どうもありがとうございます。
今のご意見も聞き置いていただくことでよろしいでしょうか。
それでは、一つ目の議題、近年の対策報告としてご報告いただき、そしてご意見をいただきました。ぜひ、次回の検討会に向けてお願いしたいことがございます。中林先生から、大阪北部と、それとその後の複合的な影響についてのご指摘がございました。今回の資料は、専ら7月豪雨と、北海道胆振に集中しています。これら以外に大阪北部地震や台風21号等、ほかの事案も本年ございましたので、このあたりのしっかりタイムラインを整理いただいて、記録に残していただくということは、ぜひ次回に向けてお願いをいたします。
それから、今回の整理が、人的支援という意味では相当丁寧に整理をされ、そしてまたここでも議論になりましたので、ほぼ頭に入っていると思いますが、他には例えば自治体からの収集に対する支援、これは今回、相当幅広い自治体が収集車を出されておられるはずです。こういった面の、収集の側面の支援に関するアーカイブといいますか記録整理、これも重要で何より広域処理の支援ということで、今回も相当広域で処理は進んでいるわけです。そのあたりの記録という意味でも、若干、今回の資料、不足かなと思いますので、次回に向けてしっかり準備をしてくださいということを申し上げておきます。
それでは次の話題に行きたいと思います。ワーキンググループの検討状況、それぞれいただきます。技術・システム検討ワーキンググループの検討状況につきまして、まず事務局のほうから説明を、資料4-1ですか、お願いいたします。

(福永災害廃棄物対策室主査)
 それでは、資料4-1に基づきまして、技術・システムワーキンググループの検討状況について報告をさせていただきます。
まず1ページ目でございますけれども、ワーキング設置の目的としましては、南海トラフ巨大地震等の東日本大震災以上の規模の自然災害に備えて、①、②に示す事項について検討するということで、これまで2回開催しておりまして、第3回を年明け、2月に開催予定ということで、牧先生に委員の座長を務めていただいております。
続きまして2ページ目でございますけれども、今年度検討しているところが、昨年度からどうつながっているかというところを示しております。昨年度は災害廃棄物の発生量、処理可能量の点検を行いまして、南海トラフ巨大地震を対象とした処理方針の検討を行ってまいりました。この中では全国の都道府県を対象にして、一律の条件下でシミュレーションを実施しているんですけれども、施設等への被害を見込んでいないということと、あと、各都道府県のその処理計画上で、どのような処理フローや対応方針が想定されているかというところは未整理でした。このため、今年度の検討事項としましては、引き続き南海トラフ巨大地震を対象としまして、被害が想定される府県の処理計画上の処理フローを整理するということと、処理施設の被災リスクというものを考慮しまして、災害廃棄物の処理可能量を精査しています。今この途中段階ということでございますけれども、ここから災害廃棄物処理の課題を抽出・整理しまして、府県の災害廃棄物処理計画の見直しや処理方針の検討につなげてまいりたいと考えております。
3ページ目でございますけれども、主な検討事項というところで、先ほど二つあると申し上げました2点目について説明をさせていただきます。検討事項1としましては、南海トラフ巨大地震の被災府県における処理計画の記載内容の整理ということで、災害廃棄物の発生量、組成割合だったり災害廃棄物の処理可能量であったりといったところを、各府県の処理計画上から整理をしまして比較をしております。検討事項2としましては、南海トラフ巨大地震の被害想定がございますので、それに基づきまして、災害廃棄物処理に関する基礎情報の整理ということで、廃棄物処理施設、交通インフラ、ライフラインへの被害がどう出るかというところを評価しております。
それらに基づきまして、両方の結果を踏まえてデータベースとして整理をしまして、実際の災害廃棄物処理シナリオの検討に向けた課題を抽出しまして、処理計画の見直し等につなげていきたいという風に考えております。
 続きまして、4ページ目でございますけれども、こちらがまず検討事項1としまして、処理計画記載内容の整理という形で記載をしております。こちらにつきましては、下の表にあります、今回南海トラフの被害がある府県を対象にしまして、そちらの処理計画上に記載されている事項について整理をしまして、課題であったり、良い例ということで、グッドプラクティスを抽出していって、整理をしたいと思っております。
5ページ目以降に、処理計画の記載内容を整理したものの例としまして、四国ブロックの例を記載しております。例えば真ん中に処理可能量とありますけれども、こちらは公称能力を最大限活用するシナリオにより算出されているところが多いというところで、各県において処理可能量がどう出されているかを整理しております。
また、対応方針としましては仮設焼却炉を設置するということを想定されているところもありますし、産廃処理施設も必要だというところはあるんですけれども、具体的な方策は示せていないというところで、それぞれの課題等を抽出しているところでございます。
続いて、6ページ目でございますけれども、こちらは初動体制や協定内容で、どういった記載があるかというところを整理しております。初動体制につきましては、受援体制の整備についての記載がない自治体が多いだとか、自衛隊・警察・消防との連携、ボランティアとの連携が、具体的な記載が少ないかなと思っておりますので、グッドプラクティスを整理した上で、自治体にフィードバックしていきたいと考えております。
続きまして、7ページでございますけれども、こちらは処理計画上の記載内容の整理例として、災害廃棄物発生量と、要処理検討量を表にまとめております。下の表に記載させていただいているのが昨年度のワーキングでの検討結果で、それぞれの災害廃棄物の発生量、そして処理可能量を整理しております。こちらを左上の昨年度の検討結果との比較という表で比較をしておりまして、昨年度検討結果は上の欄に来ておりまして、下が府県の計画から単純に合算した量となっております。こちら見ていただきますと、災害廃棄物発生量そして要処理検討量が、若干違ってきているところがあるということで、我々の検討結果としましては、そのブロックレベルで全体を見て処理可能量等を検討しておりますので、ずれが出てきているのかなと思いますけれども、今後、検討事項2の結果も踏まえて、細かく詰めていきたいという風に思っております。
続きまして、8ページでございますけれども、処理計画に記載されている内容の整理というところで、項目毎にそれぞれの課題を記載させていただいております。先ほど申し上げました処理可能量につきましては、実際の稼働状況の反映だとか被災リスクの評価等、そちらのほう精査が必要であるということで、こちら検討事項2で、より細かい評価を行っております。また、協定内容ですとか、要処理検討量というところを記載内容について整理をしておりまして、特に要処理検討量というところが、今後の実際災害が起きたときの処理において重要になってくるというところでございまして、今のところの記載内容を見ておりますと、今後の受入先の確保に当たりましては、活用可能な産業廃棄物処理施設のリストアップですとか、協定の締結等が必要であるというところが課題として見えてきている状況でございます。
続きまして、9ページ目はグッドプラクティスとしまして、愛知県の処理計画を引っ張ってきておりますけれども、こちらは協定内容としてこういった記載例があるということで挙げさせていただいております。
また、10ページ目は岐阜県の処理計画の記載例ですけれども、自衛隊・警察・消防との連携というところで、こういった整理をするのがよいのではないかということで、例を挙げさせていただいております。こちらに基づきまして、まず各府県の処理計画上の記載を整理して、課題、そしてグッドプラクティスというものを整理してまいりたいと考えております。
続きまして、11ページ目以降が検討事項2としまして、被害想定を踏まえて、実際、処理施設にどういう影響があるかというところを検討しております。まず、その被害想定の基礎情報としましては、廃棄物処理施設だけではなくて、道路、港湾等の交通インフラであったり、電力等のライフラインの被害想定、こういったものも整理をしまして、実際の廃棄物処理施設が発災後に動くかどうかという被災リスクを評価しております。
下のほうに表がございまして、昨年度までに検討している結果と、今年度で検討している内容がどう違うかというところを記載しておりまして、今年度は処理施設については全施設を対象にしまして、また稼働年数というところで区切るのではなくて、昭和56年の耐震基準が変わった前後でそれぞれ別で評価をしております。
続きまして、12ページ目でございますけれども、この被害想定をどういう風に整理したかというところで、整理事項に記載をさせていただいております。今回整理した内容としましては、上の実施済となっているところでございますけれども、一般廃棄物の焼却施設・最終処分場の位置情報から、南海トラフ巨大地震の震度であったり浸水深を照らし合わせまして、被害想定を評価しております。また、先ほど申し上げました昭和56年の耐震基準への対応状況ということで、その前後でどういう影響が出るかを評価しております。こちらのデータに基づきまして、一般廃棄物の焼却施設・最終処分場の災害廃棄物の処理可能量、そして被災リスクを把握しまして、今後、災害が起きたときに、どれだけその施設が利用できるかというところの課題と今後の対応方針を整理しております。
続きまして、13ページ目以降が実際にシミュレーションを行った結果となっておりまして、まず13ページ目は施設の状況ということで、こちらは処理可能量を示しておりまして、左側は昭和56年以降で新しいもの、右側が昭和56年以前ということで整理をしております。こちらをごらんいただくと、関東ブロックの処理可能量が多いということと、全体として100トン/日以上の処理可能量の施設が多いということがわかるかと思います。
14ページ目につきましては、こちらは最終処分場の整備状況ということで記載させていただいておりまして、こちらも関東ブロックで処理可能量が多くて、あと5万立米以上の施設が多いということになっております。
これらの施設につきまして、実際に被災リスクについて評価した結果が15ページになります。まず、こちらが焼却施設の被災リスクというところで、グラフで示しておりまして、左側が昭和56年以降稼働、右側が昭和56年以前稼働というところで、昭和56年以降のところでは、震度6強以上のエリアであると被災のリスクがあるということで、施設が稼働しなくなる可能性があるということで記載をさせていただいております。また、昭和56年以前ですと、震度5強以上では被災するおそれがあるというところで、近畿、中国、四国は大半の施設が被害を受ける可能性があると。古いものに関してはですね。新しい施設でも、中部であったり四国ブロックであると、被災リスクがかなり大きいというところが見てとれるかと思います。
25ページ目が交通インフラの課題と対応策というところでございまして、まず課題としましては、その輸送量の調整ですとか、被災状況に合わせて効率的な輸送手段を確保することが必要ですということ。対応案としては、下に記載させていただいておりますけれども、まず被災府県においては仮置場、すぐに持っていけない可能性がありますので、仮置場候補地を確保するということが必要であるのと、個別の交通インフラの被災リスクの確認ですとか、輸送ルートの複数確保といったところですとか、広域処理の集積の確保を含む発災後の事業継続ということで、一般廃棄物処理に係るBCPの検討というものも必要かと思っております。また、支援都道府県におきましても、災害時に活用が想定できる施設については、速やかに支援できる体制を整えることが重要だと考えております。
26ページ目に、この廃棄物処理施設と交通インフラ含めての課題の整理ということで記載させていただいておりまして、処理施設については、中国・四国ブロックが被災リスク高いということと、民間施設は処理可能量がまだ把握できていないと。交通インフラにつきましては、長期の被災をしますと施設が利用できないおそれがあるということで整理をしております。
最後、27ページ目ですけれども、今後の検討予定としましては、検討事項1につきましては、引き続き処理計画の課題の整理と抽出をして、グッドプラクティスの抽出をしていきたいと思っております。検討事項2としましては、この処理計画上の処理可能量と、今回、被災リスクを考慮した処理可能量について比較検討を実施しまして、さらに精査をしていきたいという風に思っております。
下の対応方針(案)でございますけれども、その処理計画上から出てきた課題やグッドプラクティスにつきましては、被災府県にフィードバックをするということで、処理計画の実効性向上に向けた改定等の際の基礎情報としていただきたいと思っております。また、今回の被害想定を踏まえて、被災リスクが高い施設を除いた確度の高い処理可能量というものを算定しまして、被災府県にフィードバックした上で、必要な処理施設の確保に向けた検討を進めていただきたいという風に思っております。
最後に、防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策ということで、今後、対策実施していきたいと思っておりまして、災害廃棄物処理計画の策定率の向上、そして一般廃棄物処理施設の強靭化というものを図ってまいりたいと思っております。
説明は以上になります。

(酒井座長)
 どうもありがとうございました。
それでは、このワーキンググループの座長、牧先生のほうから、追加、コメント等、まずはお願いしたいと思います。

(牧委員)
 11月6日と12月5日に委員会を開催いたしまして、この検討会では、一つは先ほどご説明いただいた、各県の廃棄物処理計画というのをチェックしているわけですが、私が見ていても結構クオリティーに差があるということで、そのグッドプラクティスをお勉強して、いいものにしていただくというのもいいんですが、一度全部どういう項目があって、抜けているところはないのかというのを、その一覧表にして、バッドプラクティスと言ったら悪いですけど、直すべきところをちゃんと自覚をいただくような、そういった整理をちゃんとしましょうと。それからあと、量の推計方法みたいなのも、実はいろいろそのクオリティーがございましたり、仮設置場の量についてもということで、そういった修正すべき点がよく分かるような整理を、各都道府県の廃棄物処理計画についてやっていただこうというのが1点目の項目についてです。
二つ目は、実際にどれだけ処理をできるのかということを、廃棄物処理場それから最終処分場の被災を反映した上で、さらに詳細に検討するということなんですが、これ、見ていただいて、津波、実は案外、津波浸水域にある施設というのが少ないというのに驚きましたというか、良かったということでございます。それで、今回の被害というのは、建物に着目しておりますので、1981年、昭和56年ということですが、その中の議論でも、じゃあ、中のプラントはという議論がございまして、プラントは大丈夫やろうと。ただ、配管は少し外れるかもということでしたが、ちょっとそこら辺、要するに建物についてはこういう整理でいいんですが、中のプラントのことについて、もう少し過去の事例のデータを、被害とそれから復旧ということで調べてくださいということと、もう1点は、じゃあ、そこに実際アクセスできるのかということで、液状化しますと、道ぼこぼこになりますので、アクセスはできないということですが、当然、津波についても、まあ、少ないんですけども、アクセスができませんので、そういったアクセスについては、津波も含めて検討して、最終的な案にしようという風なことの議論を行っております。
以上です。  

(酒井座長)
 どうもありがとうございました。極めて幅広い観点で、また的確な早いご検討を進めていただいている状況をご紹介いただきました。
それでは、ただいまのご説明にご質問、ご意見、承りたいと思います。委員の方から、いかがでしょうか。

(中林委員)
 興味深い報告ありがとうございました。今、先ほども出ましたが、緊急3か年対策で、ハードを含めて事業をやる、ある意味では非常に重要な時期かなということも含めてですけれども、特に南海トラフを前提にすると、津波というのはどうしても抜け切れないのですが、西日本の沿岸だけではなく、もう一つは、東京も実は津波で島がやられる。四国・中国ブロックでは非常にいろいろ課題がありますが、瀬戸内海の島は実は全部その四国・中国ブロックに所属しているという意味では、海路しかない島の港湾の耐震、耐津波化、強靭化だとか、あるいは島の中に今持っているゴミ処理施設を生かしておくという意味でその耐震化、耐津波化というのを、ぜひこの緊急の時期にハード対策としてやっておくことが非常に重要かなと思います。陸続きのところは広域に搬出するという話が可能になるんですが、島だけは港湾が使えなければ孤立してしまって、処理ができないとなると、状況によっては極めて生活が厳しくなってしまう。そこが少し配慮すべき点としてあるかなと思いました。

(酒井座長)
 はい。ありがとうございます。極めて重要なご指摘をいただいております。
 ちょっと私のほうからも。こういうことが可能なのかどうかなんですが、最後で3か年緊急対策、そして強靭化、まさに今、力を入れていただいているところですが、その強靭化対策の効果が、この処理可能量等に反映されるのかどうか。反映されるとすれば、どの程度の量が確保できるのかといったようなシミュレーションの可能性ということについては、事務局なり、あるいは牧先生、どのように考えておられるかというのが、もし分かれば教えていただければというのは私からの希望でございます。
今の中林先生からのご指摘と、今の質問といいますか、その辺のところで、まず事務局のほうからいただきましょうか。いかがでしょう。

福永災害廃棄物対策室主査
はい。ご指摘いただきありがとうございます。3か年対策の強靭化ということで、緊急対策を実施していきますけれども、先ほど説明をきちんとしておらず申し訳なかったんですけども、12ページ目ですね。緊急対策を実施する前に緊急点検というものを実施しておりまして、施設の浸水対策であったりとか、非常用自家発電設備の整備状況というものを調査しております。今はまだ反映できていないんですけれども、対応が不足している部分について今後対策を行っていきますので、処理可能量の評価には反映をさせていきたいなという風に考えております。

牧委員
 ぜひ、すべきだと。要するに、これだけお金を入れたら、これだけ処理可能量が増えたということで、道路系というか搬入みたいなのは、なかなか直接的には難しいのかもしれませんが、運び込めなければしようがないですので、そこは別の部局との連携。それから、処理施設についてはこちらのほうの予算で可能だという風に思いますので、ぜひということと、それから、やっぱり処理計画、120できるというのはすばらしいことだと思いますので、その計画の内容については、今回の検討を踏まえて、いいやつをぜひつくっていただいて、そういう基準にも使えるのかなと。今回の検討結果で、こうあるべきという姿が出てまいりますので、こういう市町村のやつですよね、120って。もう都道府県はできているので。ただ、今回、私どもの検討でこうあるべきという姿が出ますので、それに従ってちゃんとつくってもらえるということが、もう一つ重要かなという風に思います。

酒井座長
 はい。どうもありがとうございます。中林先生からのご指摘は、更にその強靭化すべき対象の持っている条件といいますかね、そこもちょっと念頭に置くべきではないかというそういうご指摘でございますので、一案とすると難しい判断かと思いますけれども、こういった点も視野に入れてご検討を進めていただければと思います。
 では、よろしいでしょうか。

島岡委員) 
 すみません。施設の被害についてすけれども、先ほどの清掃工場、焼却施設については、被害の状況によって復旧に要する時間も変わってくる。また、全く使用できないような状況にもなろうかと思います。
 最終処分場については、最終処分場のどこが被害を受けるのかの検討について、少し不明な点がございます。廃棄物を処分する埋立地そのものが、過去に使えないような状況になったことは、阪神・淡路大震災、東北大震災を含めてございません。貯留構造物が決壊し、廃棄物が流出したという事例は過去にないわけです。というのは、恐らく、廃棄物は自立しますから、貯留構造物へのごみ圧は小さく、安全側、つまり過大に設計されていて、強固な貯留構造物になっていると思います。最終処分場では、熊本地震のときも含めて、浸出水処理施設が被害を受けたことがございます。
 ということで、最終処分場についても、どのあたりが被害を受け、また復旧させる時間はどの程度を要するのか。それとも壊滅的被害を受けて、埋立地にごみが処分できなくなるのか。また、最終処分場では、浸出水を内部貯留することもございますし、浸出水の調整池も設けられていますので、今後、被害の程度について、詳細に、ご検討いただけると、ありがたいと思います。
 以上です。

酒井座長
 ただいまのご意見、今後の作業の中でよろしくお願いいたします。
 では、次に進ませていただきます。地域間協調ワーキンググループの検討状況、事務局のほうから説明をまたお願いいたします。 

鈴木災害廃棄物対策室主査
 はい。それでは、地域間協調ワーキンググループにおける検討状況ということで、資料4-2をご説明させていただきます。
 ページをおめくりいただき、地域間協調ワーキンググループの目的ですが、先ほどご説明しましたとおり、7月豪雨におきまして、処理計画を作成されている自治体でも初動対応の遅れが指摘されまして、路上に片付けごみが堆積してしまうという事態も発生しています。7月豪雨の初動対応の検証を行いまして、今後の処理計画の策定・見直しや、南海トラフ巨大地震等の大規模災害に備えた課題を整理することを目的としています。
 それから、広域的・同時多発的に災害が発生した場合、現地支援チーム、環境省それからD.Waste-Netで構成されていますが、こちらを派遣する人員の不足といったところも懸念されます。災害対応経験者の知見を継承し、より体系的・効果的な支援を行うことができるよう、これまでの経験を踏まえた現地支援チームのオペレーションマニュアルの作成を目指していきたいということで議論しています。
 ワーキンググループの開催状況につきましては、第1回、第2回を11月開催いたしまして、第3回を年明け開催しています。
 委員構成ですが、浅利先生を筆頭に、以下のメンバーの方々にご議論をいただいています。
 おめくりいただき、昨年度からの検討の流れということで、地域間協調ワーキングのこれまでの流れについて説明いたします。
 昨年度の検討事項ということで、検討事項の1、2、3ですが、一つ目が過去の災害事例における支援の検証ということで、平成28年に起こりました熊本地震のときの事例を参考に、プッシュ型支援、プル型支援の効果の検証を進めてきました。それから、検討事項の2として、各主体の役割、それから支援のマネジメントのあり方の検討ということで、関係省庁、それから地方自治体、民間事業者等との支援の協働のあり方についての検討を進めてきました。検討事項3として、効果的な支援のタイミングや調整のあり方の検討ということで、南海トラフ巨大地震が発生した場合を想定すると、全国39都府県が被災をするため、環境省、それからD.Waste-Netにおける現地支援の体制については、かなり困難が生じる可能性があります。そういったことを想定しながら、自治体の支援のあり方といったところを検討していく必要があるということで、それに向けた支援方法について、オレンジ枠になりますが、行政機能の状態がどうなっているのか、それから災害廃棄物の処理計画がどんな形でつくられているのか、そういったところから支援のあり方を考える必要があります。
 それから、右隣の青色で囲んだ部分ですが、円滑・効果的な支援体制を構築するための課題として、大規模災害が同時多発的に発生した際にも、できる限り支援ができるようなD.Waste-Netの支援体制等についても、ルール化等を決めておくことが必要ではないかといったところは、昨年度までの議論になっています。
 これまでの課題認識では、広域的・同時多発的な災害発生時に限られた人員で効率的・効果的に支援を行うためには、受援側の底上げも必要となります。それから、7月豪雨災害が発生しましたので、検証進め、必須の対応事項等について整理を進めていこうというものです。
 今年度は3つの検討事項があります。検討事項の1が、7月豪雨の被災自治体の災害廃棄物処理計画の記載内容の検証。検討事項の2として、片づけごみを回収する際の戦略に関する検討。検討事項の3として、現地支援チームのオペレーションマニュアルの策定に向けた検討というところで、ワーキングを進めています。
 1枚おめくりいただき、中間報告ということで、詳細について説明をいたします。
 おめくりいただき、5ページになります。まず、検討事項の1ということで、7月豪雨の被災自治体の災害廃棄物処理計画の記載内容の検証です。未策定の被災自治体も含め、初動対応、発災後1カ月程度になりますが、課題や機能した点を抽出し、災害廃棄物処理計画に記載をすべき事項等を整理しています。
整理事項としては、初動対応項目として、庁内体制の構築、それから施設の被害状況の把握、生活ごみ・避難所ごみ・し尿の収集運搬、片付けごみの収集運搬、仮置場の設置・運営・管理、住民や事業者、ボランティア等への広報といったところを整理しています。
 1枚おめくりいただき、6ページになります。情報の収集方法ですが、既存の資料、それからヒアリングにより、情報を収集しています。ヒアリングにつきましては、被災自治体の職員のヒアリングを今後進めていきます。現時点では支援した環境省職員、D.Waste-Netメンバーについてヒアリングを行い、情報収集を行っています。
 調査対象とする被災自治体というところでは、今回、被災県ということで、岡山、広島、愛媛、京都、兵庫、佐賀とし、被害の大きかった自治体のうち、災害廃棄物処理計画が策定されている自治体と未策定の自治体を対象にしています。
 検証結果の活用方法につきましては、抽出された教訓、それから災害廃棄物処理計画に記載すべき事項等を自治体にフィードバックし、自治体における災害廃棄物処理計画の策定・改定の基礎情報としていきたいと考えています。それから災害廃棄物処理計画の策定推進、実効性の向上に向け、現在作成を進めております初動対応の手引きや、地域ブロック協議会を通じた活動等に反映していきたいと考えています。
 1枚おめくりいただき、7ページが今現在整理をしている状況のフォーマットになります。もう1枚おめくりいただき、8ページになります。現在、記載内容の検証をしている検討結果の中間報告ということで報告します。発災時点における岡山、広島、愛媛県の策定状況ですが、県については災害廃棄物処理計画を策定しています。それから被害が大きかった市町では、策定済みが3市、策定中が1市という状況になっています。その他につきましては、災害廃棄物処理計画が策定されていないという状況になっていました。
 災害廃棄物処理計画で機能した点を整理しますと、廃棄物処理施設の被害状況の把握につきましては、災害廃棄物処理計画を策定している自治体では、初動対応の中で被害状況の把握がきっちりできていました。仮置場の設置といったところについても、災害廃棄物処理計画を策定している被災自治体につきましては、設置時期が早い自治体が多かったといった傾向が出ています。仮置場の管理・運営といったところでは、処理計画のほうに仮置場候補地といったものを記載している自治体もあり、仮置場の確保が早く、災害廃棄物のほうの分別も進められているという状況ができています。
 一方、災害廃棄物処理計画で機能しなかった点として、庁内体制の構築といったところでは、計画どおり組織体制で対応している被災自治体がほぼなかったところになります。実際のところは、平時における廃棄物部局の体制の延長で対応していたところが実態として浮かび上がってきました。それから片付けごみの収集運搬といったところについては、片付けごみを含めて整理をしている被災自治体は非常に多いものの、実際のところ排出圧の高い片付けごみに特化をして、意識をしながら収集運搬方法を記載している自治体はなく、ここについては深掘りをして検討をしていく必要があります。仮置場の運営・管理については、災害廃棄物対策指針の技術資料の内容がそのまま掲載されていたり、環境対策・モニタリングに関する記載が充実していますが、必要な人員、機材、それからレイアウト等についてしっかり考えている災害廃棄物処理計画はなかったといった実態が出ています。
 一方、災害廃棄物処理計画が未策定ゆえに初動対応で生じた課題では、処理主体が別のところに移っているなどにより、なかなか被害状況の把握ができていない部分や、県への支援要請等も行われていなかったという実態がありました。仮置場の設置についても、集積所、いわゆる住民が設置をする排出場所といったところになりますが、そういったところに出されてしまって、混合状態になっているといったところも見受けられております。それから住民や事業者、ボランティア等への広報についても、実際ホームページで出しているところはありますが、その中身が曖昧になっており、きちっと住民、ボランティアに周知をされている内容になっていないといったところが見受けられます。
 以降、9ページ以降が、今ご説明しました総論の個別の内容になっています。庁内体制の構築、それから10ページに行きまして、被害状況の把握の機能した点、課題だった点といったところをまとめています。それから11ページが生活ごみ・避難所ごみ・し尿の収集運搬の状況、それから12ページは片づけごみの収集運搬の状況、13ページは仮置場の設置、14ページが仮置場の運営・管理に関すること、15ページが住民や事業者、ボランティアへの広報というところで、こういった形で整理したものを、先ほど総評としてまとめました。
 続きまして、16ページになりますが、検討事項の2ということで、片付けごみの回収戦略に関する検討ということでご説明いたします。
 目的につきましては、7月豪雨において、片付けごみの路上堆積、集積所の閉塞が発生しまして、こういった事態を未然に防ぎ、被災自治体が適正かつ迅速、円滑に回収ができるよう、また支援が必要になった場合に、きちっと支援の要請ができるよう、片付けごみの回収戦略を検討することになります。
 検討内容については、過去の事例を参考に、片付けごみへの対応としてどういった体制を構築しておくべきかを想定した戦略毎に検討しています。戦略は3つあり、戦略1が、自治体が設置・管理する仮置場へ住民の方々にできるだけ搬入してもらう戦略をとるというやり方。それから戦略2は、公園や空き地などの集積所や自宅の敷地内外に排出してもらい、それを個別に回収する戦略というもの。それから戦略3が、戦略1と戦略2を併用する戦略ということで、こういった3つの戦略を考えてはどうかといったところで検討しています。
 この検討結果の活用方法については、自治体のほうにフィードバックをいたしまして、災害廃棄物処理計画の策定や改定の際の基礎情報としていただくこと。それから、計画の策定推進、実効性の向上に向けまして、こちらのほうも初動対応ガイドラインや地域ブロック協議会の活動に反映させていきたいと考えています。
 1枚おめくりいただき、17ページになりますが、この片付けごみの回収戦略を検討するにあたり、片付けごみのステーション回収は避けるといったところが前提条件として考えています。通常出される生活ごみが片付けごみと混在してしまいますと、害虫、悪臭の発生など、住民の生活環境に支障が生じることが懸念されます。混合化してしまうと、収集自体が極めて困難となるということもありますので、ステーション回収を避けるといった前提条件が必要と考えています。
 1枚おめくりいただき、18ページ、回収戦略を検討するにあたっての留意事項として、回収戦略をきちっと意思決定者を含めて検討できる庁内体制があること。それから、発災後の最初の週末や祝日までに回収戦略が検討できるといった時間軸で動けるといったところを、留意事項としてまとめています。
 19ページから、戦略のそれぞれの中身をまとめています。戦略1が、自治体が設置する仮置場へできるだけ搬入してもらう戦略といったところで、事前に自治体が検討すべき事項として、7項目、仮置場の確保・管理、それから体制の構築ですとか、実際に逼迫した場合の対応等について事前に考えておくといったところをまとめています。
 20ページがメリット、デメリットのまとめです。特にメリットは、住民の方々にとっては、自治体の回収を待たずとも、片付けごみを出しに行くことができますが、デメリットとしては、仮置場の数が増えることにより、管理が非効率になるといったところもあり、この兼ね合いをしっかり考えていく必要があります。
 21ページが戦略2として、集積所や自宅の敷地内外に排出してもらったものを回収する戦略を考えるにあたっての検討事項といったところを、下のオレンジ枠に掲げています。こちらのほうは、特に個別で回収する戦略となりますので、集積所から仮置場のほうへ収集運搬する体制の構築をしっかり考えていく必要があります。
 22ページ、戦略2のメリット、デメリットになりますが、仮置場の管理に配置する職員を少なくできるといったメリットはありますが、収集するための物理的な車両数の確保、それから実際に重機等も必要になり、そういったところをきっちり考えていく必要があります。
 それから戦略3は、戦略1と戦略2を併用する戦略という風になりますが、実際は、人員ですとか物量、物的なものにつきましても、相当数負担が増えますので、しっかり考えていく必要があります。
 23ページから、検討事項の3として、マニュアル策定に向けた検討を進めています。こちらのほうは、主に環境省が現地に入って支援するオペレーションマニュアルということで、7月豪雨の支援の経験を踏まえた知見・教訓等をしっかり引き継いでいくために取組んでいるものになります。
 24ページになりますが、現地支援チームの行動のフェーズを示しており、災害が発生してから、さまざまな情報把握、それから1週間から4週間程度の中で仮置場、それから災害廃棄物の発生量推計、それから公費解体といった物理的な作業に入っていく。それから実際の契約作業といったところに移っていきます。自治体の動きに合わせて、我々現地支援チームがしっかり機能していくため、それぞれのフェーズの中で何ができるのかをしっかりまとめていきたいと考えています。
 25ページ以降が、それぞれのフェーズにおきまして必要な体制や、環境省、D.Waste-Netの役割といったところでまとめています。これらをマニュアルとしてまとめる作業を現在進めている状況です。
 説明は以上になります。

酒井座長)
 はい。どうも。どうもありがとうございました。
 それじゃ、ワーキング座長の浅利先生から、追加のコメントがありましたらお願いいたします。

浅利委員
 基本的には説明していただいた内容で検討状況の報告としたいと思いますが、特に今後、もう一度議論を予定しておりますので、ぜひ皆様から意見を頂戴したいと思います。
 それに当たって、少し補足ということでは、今、3つの柱で検討させていただいております。特に、まず1点目の今回の7月の豪雨の検証という点につきまして、今回発表していただいた内容は、どちらかというと個別自治体の検証ということになっておりますけれども、そもそもは同時多発的に起こった災害への対応という視点も重要であったという風に認識しておりますので、最終の議論に向けては、同時多発、もしくは大規模で、全体としてどう考えるかというところの議論も進めたいと思っております。また、地域ブロック協議会での過去の検討と今回の対応とのギャップといったあたりも、対象になるかなと思っております。
 あと、整理の視点として、特に地域間協調というところでいきますと、支援、受援という視点での整理も重要かなと思います。今はちょっとプロセスでの整理に偏ってしまっているかと思いますが、そういう視点も含めてまとめていきたいと思っておりますので、ご意見をいただければ幸いです。
 次の2点目の片付けごみの回収戦略ということですが、この議論の中でも、基本的にはやはり自治体がきっちり主導してやる。今、戦略1という風に言っていますけれども、最初に紹介させていただいたほうが当然主流であろうと。ただ、一方で、戦略2といいますか、ケース2ということも生じてしまう。これを100%避けるのはなかなか難しいので、そういうときにどう対応するかという視点も、しっかり整理しておく必要があるんじゃないかという、そういう流れで議論をしてきたと考えておりますので、そのような視点からもご意見をいただければと思います。
 それから、冒頭のほうでもちょっと意見させていただきましたが、住民ですとか住民組織、ボランティア、この視点ももう少しここではしっかり盛り込んで、その役割をしっかり位置づけていければと考えております。
 最後の3点目、これは主に環境省のほうで検討していただいている部分ですけれども、恐らく冒頭ご紹介いただきました、中林先生中心に取りまとめておられる初動対応マニュアル等との連携といいますか、連動も重要かと思いますので、そのあたりの内容もまたお伺いして、うまく連携できるようにしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
私のほうからは以上です。

酒井座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対して、委員の方から、ご意見がございましたら。
 大迫委員、お願いいたします。

大迫委員
 はい。多くの有意義な検討作業をしていただいて、ありがとうございます。
 それで、まず、3つあったわけですが、最初の2つについて、ちょっとコメントです。1つ目の処理計画、西日本豪雨災害に関する検証の中での、処理計画と、機能したかどうかというところの関係性についてなんですけども、やはり記載されている内容は、ちょっと言い方は悪いかもしれませんが、作文でもいろんな細かいことは書けるわけでありまして、それがどう実効性につながるかというところがやはり重要だと思います。そういう意識の中で整理していただければいいと思いますが、この計画をつくった後に、どういうふうにフォローアップをしているか。計画で書いたことを備えとして協定を結んだりとか、あるいは訓練を実施したりとか、あるいは関係者でそういう訓練を共有して、いろいろと災害が起こったときのシミュレーションをしていくとか。そういう備えがあってこそ、その計画の記載が活きていくと思います。今まさに東日本大震災以降、いろんな処理計画の策定がどんどん進んでいるところなので、比較的まだその計画を策定された人がまだ担当だとか、そういったところもあるかもしれませんが、フォローアップがしっかりしていないと、そこでいろいろ勉強したことが継続されていかないというところもあります。このフォローアップという視点と効果というところへも、今後意識をしていただくといいのかなというのが1点目です。
 それから2つ目は、これもコメントですが、片付けごみの回収に関しては、私も、基本的には戦略1ということをできるだけ進められればいいかなと思っていますが、今日資料にもあったとおり、弱者とか車両を持たない人、高齢者とかも含めて、その地域地域、1つの市町村の中でも、いろんな地域のコミュニティの様態というのはあると思いますので、その地域の状況と、この回収ということのマッチングといいますか、そういったことも意識して検討していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

酒井座長
 はい。ありがとうございました。
 他にご意見はございますでしょうか。

                          (な し)

酒井座長)
 それでは、今いただいた意見につきまして、どうぞ、鈴木さん、どうぞ。

鈴木災害廃棄物対策室主査
 はい。ありがとうございます。やはり処理計画のフォローアップといった視点につきましては、非常に重要な視点かと思いますので、今後着目をして進めていきたいと考えています。
 片付けごみの回収ですが、おっしゃられるとおり、戦略1が非常に望ましいと思います。自治体の実際に携わった方々からの意見では、どうしても、勝手仮置場と言われる状態が発生してしまいます。それはどうしても避けられない部分があるというところで、そういったところを日頃からどうシミュレーションしてやっていくのか。日頃からの検討があってこそ、実際起きたときの発生の規模ですとか状況を勘案しながら回収戦略を早期に決めていくといったプロセスに入るかと思いますので、そういったところがきちっと立てられる検討の材料が出せるといったところを目指して、また検討を進めていきたいという風に考えてございます。
 以上です。

酒井座長 
 はい。大迫委員、よろしいでしょうか。
 それでは、地域間協調ワーキングのほうでございますが、既に先ほど浅利先生のほうから、同時多発災害としての検証については触れられました。今回の7月豪雨ということになりますと、岡山県以下3県の話が中心になろうと思いますが、ぜひその他の地域含めて、どう整理をし、どう教訓を残すかというところに関しては、ちょっと工夫をしてみてください。大分難しい作業になると思いますけれども、期待をしております。
 それからあわせて、今年度はどうしても本年起こった災害への対応ということを中心に、ご検討、ワーキングを進められているという理解でいますが、地域間協調のやはり本質というのは、やはり今後を含めて、支援の方法論をどう一般化させていくかということも大事だという風に思います。
 そういった意味で、今回はこのマニュアルで、支援チームの役割、特にこれは人的な支援のある種の方法論、ここは非常に今回如実に現れていますので、ぜひ整理することで、その人的支援の方法論というところに資するものになると思います。災害廃棄物処理としてのその収集であるとか広域処理とかいう、この一番の本丸の部分についても、やはり今回の経験も相当重要でしょうし、今後そこを深めていかないと、より大規模な、より広域なというところに対応できないと思います。その視点だけは、今年度、相当特出し的にやっておられるという理解でおりますので、次年度に続く、つながる形で、今後の議論をしていただければという風に思います。ここはちょっと私からの希望ということで、発言させていただきます。
 それでは、今日用意いただいたところ、主たる議事、以上かと思います。その他ということで、事務局から説明をお願いいたします。

福永災害廃棄物対策室主査
 ありがとうございます。次回の検討会につきましては、来年の3月を予定しております。後日改めて詳細な日時や場所等はご連絡をさせていただきます。また、本日の議事録につきましては、原案を作成し、委員の皆様のご確認をいただいた後、環境省ホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。

酒井座長)
 はい。ということでございます。
 それでは、全体を通じて何かご意見はございますでしょうか。
 はい、どうぞ。

中林委員) 
 浅利先生からお話がありました、初動対応マニュアルも同時並行でやっているんですけども、非常に重要な知見というか、整理、あるいは考え方等、このワーキングのほうからいただいています。だから、同時並行なんですけれども、可能な限り、まあ、今日の資料も少し活用して活かしていきたいと思っています。ただ、地震と水害と、私たちは両方対応してやれるように初動対応をつくろうと言っていますので、そういう意味では、地震のほうも含めて、ちょっとこれは西川補佐というか環境省の話だけど、とりあえず対応マニュアルをつくるけれども、それをいかにスキルアップしていくかというか、そういうようなスパイラルアップのこともちょっと考えていただかないと、うまくいかないかなと思いますので、いずれにしても情報交換させていただいて、よろしくお願いしたいと思います。

酒井座長
 では、ほかにご注意、よろしいでしょうか。

                          (な し)

酒井座長
 はい。それでは、若干予定の時間を超過いたしましたけれども、これで本日の検討会、終了ということにさせていただきたいと思います。どうも長時間ありがとうございました。

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