INITIATIVE OVERVIEW

取組概要

INITIATIVE OVERVIEW

第6回グッドライフアワード

建設・運送会社が里山再生に挑戦する「100年の森づくり」

田中産業株式会社

活動拠点:新潟県上越市

WEB:http://www.tanakaind.co.jp

取組の紹介

採石場での岩石の採取は、森林の伐採、土地の改変等、自然環境に大きな影響を与えている。また、採石法での環境復元要求は緩やかで、急斜面となった採石跡地の惨状は、採石場が共通して抱える問題である。このような課題に弊社は対応を変えた。採石場跡地に100年後の森の姿を見通した地形、樹木の配置、その後の森林管理も視野に入れた林道の配置、そして子ども達が自然と共生できる豊かな生態系の里山再生に挑戦している。

弊社は、米どころ、新潟県上越市で建設・運送事業を生業とする一方、有機農業にも取組んできた。きっかけは、農家後継者の社員が田んぼを維持できず、相談されたのが発端。その後も多くの方からの申し入れを受け、引き受けた農地は140haに達した。有機農業と里山再生という新たな仕事は、従業員の働きがいにも直結し、農業後継者の創出と里山再生という社会課題の解決をしつつ、100年企業を目指す、当社のCSV事業展開として大切にしていきたい。

活動のきっかけは?

弊社は、雪と米どころの新潟上越にある。代表は、富山湾の新湊出身。山に降る雪が水となり、その水の循環により里・海の恵みが育まれる。農業に取組み、採石場の自然再生への挑戦は「地域社会に貢献していく企業であり続ける」という企業理念に基づくが、その背景には、「森の恵みの水が里地を潤し、海に至り海の恵みをもたらしている」という、代表の自然への感謝の思いと強い信念がある。

問題解決のために取り組んだ方法

今日、企業の寿命は短い傾向にある。その中で地域に立脚する企業が存続し続けるには、常に地域課題を解決し、地域に貢献していくという長期的なビジョン経営が必要となる。弊社での農業や採石場の自然再生への取組みは、短期利益には直接役立たないが、長期的な経済・社会的利益はプラスになり、いわば世間よしの三方良し精神を社員・その家族とも一緒に実践していると言えよう。関係する複数の役所との粘り強い調整の上で、いわば日本初の砕石業者としての里山再生の取組みを実現した。地域に根差した生態系再生の技法を学びつつ、地域の原植生を生かした樹種選定を行い、針葉樹9,300本、広葉樹15,000本を8年かけて植えつけ、継続的なケアを経て、ようやく活着し、森の姿が出来てきた。これからは、自然の恵みを地域資源として活用し、どう地域に還元し、この取組みを持続しつつ、100年企業をどう目指すか、次なる挑戦が控えている。

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

広大な森120ha、秋の紅葉の最中、外周や中央の管理道路を使って、「感謝の森鉄人マラソン大会」を開催、全国から若人が集い、冬は雪上に動物の足跡を追うなど、四季を通じて自然の豊かさを味わう人々が集う森を地域や子ども達に残したい。更に、当社内の別採石場への次なる里山再生構想を進めるとともに、全国に発信していくことで、新たな未来を切り拓く里山再生計画が全国各地で生まれることを期待したい。

プロフィール

新潟県南西部に位置する上越市に本社を置いています。 1961(昭和36)年に創業し、資本金8,000万円、従業員数は約400人。建設業、自動車運送事業、骨材生産販売を営むほか、農業に参入しています。 今後も、「地域社会に貢献していく企業であり続ける」ことを会社の理念に掲げ、地域社会の持続的発展に寄与できるよう、多角的な視点を持って業務に取り組んでいきます。

実行委員会からのコメント

建設・運送業界の方々が里山や美しい森をつくってくれていることを知り、とても感動しました。私たちは、ビルや道路の原料となっている石を採掘した後の山や森が、その後どうなっているかをなかなか想像することはありません。こうした取組が全国に広がることで都内の住む人々も森への思いをさらに強めることができるのではと思います。100年後の子どもたちが森で遊べるように今後も活動を継続していただくことを期待します。

(大葉ナナコ委員)

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