INITIATIVE OVERVIEW

取組概要

INITIATIVE OVERVIEW

第5回グッドライフアワード

〝目を使わずに生きる人〟と作った、いのちが巡るように長く旅する漆器「めぐる」。

漆とロック株式会社/ダイアログ・イン・ザ・ダーク

活動拠点:福島県会津若松市

WEB: http://meguru-urushi.com/

Facebook: https://www.facebook.com/meguru.urushi/

取組の紹介

「めぐる」は、これからの時代のモデルとなることを目指す新しい漆器ブランド。デザインは“触覚”に注目し、漆器本来の心地よい持ち心地や口当たりを追求しました。商品開発には、暗闇の中で対等な対話の場を作る体験型プログラム「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」で活躍する、視覚障害者たちが参加。目を使わずに生きる女性たちの特別で繊細な感性と、高い技術を持つ会津漆器の職人たちの技が融合し、抱きあげたくなる優しい器が生まれました。
もう一つの特徴は「みんなで日本の漆文化を守り育てる“循環”を作る」仕組み。器の上塗りには国産漆を使用し、その良さを伝えると共に、商品の売上の一部は、会津での漆の植栽活動に活用されます。将来、そこで育てられた漆で、この器の塗り直しをすることを目指しています。その塗り直しの仕事は産地の若手職人たちの将来の仕事に繋がっていきます。作り手も、使い手も、素材も、世代を超えて巡りゆく器です。

活動のきっかけは?

漆器は日本の基層文化。「木の国」の民である日本人は、木に漆を塗り耐久性と美観を高める智恵を縄文時代から育み、1万年以上に渡り漆の木を植え育ててきました。しかし現在、国産の漆は全流通量のうち僅か2%、漆器産業は最盛期の1/7の規模と危機に瀕しています。これは誰かのせいではなく、みんなの課題。大量消費社会の中で消えつつある日本文化を取り戻すために、新しい経済と暮らしの好循環を作り直す挑戦です。

問題解決のために取り組んだ方法

漆器は使うことで色艶が増していきます。そして10年くらい使い込むと塗膜が弱くなってきますが、そうなった時には塗り直して、また長く使っていけるのが良いところ。私たちのビジョンは、そのような自然と共生した人の営みが未来に続いていよう、新しい循環の仕組みを作ること。
「めぐる」の素地には東北産の栃の木、 漆は岩手県で採れた国産漆を漆掻き職人から直接指定買いしています。そして器は透明度と硬化性に優れた国産漆の良さが伝わる製法で仕上げています。さらに「めぐる」1組につき漆の苗1本分の金額(600円)が、「NPO法人はるなか漆部会」が会津で行う漆の木の植栽活動に寄付される仕組みとなっています。この活動自体も共に行い、現在約1,000本の木を育てています。
また「めぐる」を作る工房には適正な価格(平均的な産地価格の2倍以上)で製作をお願いしています。将来の塗り直しの仕事は、そこで修行を積んだ若手職人の仕事となっていきます。

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

「めぐる」は今後、新展開がスタート。それは「十月十日(とつきとおか)」をかけて物の裏側にあるストーリーと共にお届けするというもの。お客様は注文してから器が届くまでの十ヶ月間、ただ待つのではなく、我が子の成長を見守るように器ができるまでの工程や素材の話などが届く仕組みです。これは、日本のいいものをもう一度「丁寧に作り、丁寧にお伝えする」、その原点に立ち返るための挑戦。そして、作り手と使い手の縁を結び直します。

プロフィール

漆とロック:福島県会津地域で2005年より活動しているソーシャル・ベンチャー。「山と、人と、食卓を繋ぐ」をテーマに、日本の漆器文化を未来に繋ぐサイクルを作ることに取り組んでいる。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク:1988年にドイツで生まれたソーシャル・エンターテイメント。世界41か国以上で開催。日本でも20万人以上が体験。2009年から外苑前で常設、現在は浅草橋に移転。企業研修としても500社以上が導入。

第5回グッドライフアワード 受賞者一覧