環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成25年版 図で見る環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部第2章>第5節 人間社会と地球の循環システムが調和した社会を目指して

第5節 人間社会と地球の循環システムが調和した社会を目指して

 地球では、水が川の上流から下流へ流れ、海で蒸発して再び雨となって川へ戻るように、さまざまな物質が絶えず循環しています。我々の社会は、自然界を循環する土壌中の養分や自然界では再生不可能な鉱物などの資源を取り出し、さまざまなものを大量に生産・消費して、その後、不要となったものを自然界へ排出することで成り立っています。地球本来のシステムで成り立っている健全な循環の下では、大気や水などに排出された不要物を一定程度、吸収し、分解することができましたが、人間社会における生産・消費によって、その循環システムに狂いが生じ、さまざまな問題が起きています。廃棄物処理の問題、二酸化炭素をはじめとする炭素循環と地球温暖化の問題など、循環システムと環境問題には深いつながりがあります。我々人類も、地球のシステムの中で、健全な循環を維持するよう配慮することが重要です。こうした環境問題に密接に結びついている循環システムを把握することで、社会の持続可能性を高めるために変えなければならないシステムの全体像が見えてきます。

 本節では地球における循環システムを紹介した上で、特に健全な資源循環システムに基づく循環型社会の構築に向けた取組について紹介します。

1 さまざまな循環システム

(1)資源循環

 今日の社会経済活動やライフスタイルは、多くの資源を消費するとともに、自然界では分解することが困難な物質を廃棄物として環境中に排出することによって成り立つ一方通行型のものとなっています。

 そのため、特に大都市圏においては、その圏内で処理しきれないほどの大量の廃棄物が排出され、最終処分場の確保などに大きな社会的コストを必要とし、また、その処理に伴い温室効果ガスの発生などの環境負荷が生じています。

 資源の乏しい我が国では、その多くを輸入に依存しているため、国外での資源採取に伴う環境への負荷を認識しにくいことが、大量生産型社会を形成してきた一因と言えます。資源の過剰消費や、廃棄物の排出によって生じる環境負荷は、現在の我々の経済活動や生活環境に悪影響を及ぼすだけでなく、将来世代にも負の遺産を残すことになります。

 これらの問題は、大量生産、大量消費、大量廃棄に根ざしたものであり、その根本的な解決には、これまでの社会のあり方や国民のライフスタイルを見直し、[1]資源を効率的に利用してごみを出さないこと、[2]出てしまったごみは資源として利用すること、[3]どうしても利用できないごみは適正に処分すること、といった考え方が社会経済の基本原則として定着した持続可能な社会の実現を目指していく必要があります。

 持続可能な社会では、一度自然界から取り出した枯渇性資源は、製品寿命の長期化やリユース、リサイクルにより、有用な「社会ストック」としてできるだけ長く有効活用されることになります。また、バイオマスなどの再生可能資源は、その再生スピードの範囲内で活用されます。これにより、大気、水、土壌、生物等の間の持続可能な循環が構築され、自然界における循環と経済社会における循環の間で調和が保たれることになります。

(2)水循環

 人間の体の60%以上は水で構成されており、日本人が1日に直接利用している水の量は平均322リットルと算出されるなど、水は生きていく上で欠かせない存在です。地球には約14億km3の水が存在しています。しかし、そのほとんどは海水で、人間が使用できる淡水はそのうちの約2.5%です。淡水のほとんどは南極や北極の氷や地下水として存在しており、川や湖沼など、生活に利用可能な淡水はわずか0.01%しかありません。

 水は地球上で、雨や地下水、川、海などさまざまな形態で循環しています。この水循環は、人間の生命活動や自然の営みに必要な水量の確保のみならず、熱や物質の運搬、植物や水面からの蒸発散、水の持つ大きな比熱効果による気候緩和、土壌や流水による水質の浄化、さらには多様な生態系の維持といった重要な機能を持っています。また、地下水のバランスのとれた流動により、取水量の安定化や地盤の支持という重要な機能も働いています。


水循環の模式図

 現在、人口増加に伴って水の使用量が世界的に増大しています。人がそのまま利用できる淡水が地球上に偏在していることもあり、水の需要増は水不足を引き起こします。現在、世界全体で水不足一歩手前の「水ストレス」の状況にある人は7億人いると推定されていますが、2025年(平成37年)には30億人を超える可能性があると予測されています。中東と北アフリカでは、2025年(平成37年)までに水不足の国で生活する人々の割合が90%を超える可能性があります。

 また、地球温暖化によって、世界規模で水の需給に深刻な影響が及ぶ可能性があります。IPCCの第4次報告書では、干ばつが生じる地域が増加する可能性が高く、一方で局所的な豪雨の頻度が増す可能性も非常に高いため、洪水リスクが増加すると予測されています。干ばつなどの影響により、今世紀半ばまでに、アフリカ南部、中東など現在一人当たりの利用可能水量が少ない中緯度の一部の乾燥地域と熱帯乾燥地域で、河川流量と利用可能水量がさらに10~30%減少すると予測されています。

 近年、水循環に異常が起こっています。サハラ砂漠南部のチャド湖は干ばつや灌漑農業による取水のため、水量が激減しました。湖水面積は1960年代前半には約25,000km2ありましたが、現在では15分の1程度の大きさになっています。一方、2011年(平成23年)にタイのチャオプラヤ川流域では相次ぐ台風の影響で大洪水が発生し、首都バンコクをはじめとした多くの地域で、甚大な被害が生じました。日本でも平成24年7月に九州北部で発生した集中豪雨など局地的な豪雨が増加する傾向にあります。


タイの大洪水

チャド湖の縮小

 こうした水循環の異常は、地球温暖化に伴う気候変動や灌漑農業による地下水の取水など、人間の生産活動に由来するところが大きいと考えられることから、私たち人間が経済社会システムやライフスタイルを見直すことが重要です。

バーチャルウォーター

 バーチャルウォーターとは、穀物、肉、工業製品等を輸入している国において、仮にそれらの物品等を自国で生産・製造した場合に必要とされる水資源の量を推定した概念です。

 例えば、1kgのトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800リットルの水が必要です。また、牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kgを生産するには、その約20,000倍もの水が必要です。日本に投入されるバーチャルウォーターの大部分は、米国及び豪州からトウモロコシや牛肉、小麦、大豆として輸入されています。つまり、日本は海外から食料を輸入することによって、その生産に必要な分だけ他国の水を消費しています。今後、地球温暖化などによる世界的な水不足の影響は日本にも及ぶ可能性があります。


バーチャルウォーターの輸入量(2005年)
(3)炭素循環

 炭素は二酸化炭素やメタンなどの形態で大気圏に、動植物の身体を構成する物質などとして陸上・土壌表層に、そして化石燃料やダイヤモンドなどの鉱物や土壌として地中に存在しています。また、海水中にも大量の炭素が溶け込んでいます。このように、大気、海洋は炭素の巨大な貯蔵庫となっており、炭素が燃焼などにより形態を変えながら、これらの環境や生物、土壌の間を移動する循環を「炭素循環」と言います。


炭素循環の模式図(1990年代)

 地球温暖化は、大気中の炭素の大部分を占める二酸化炭素等が人間の活動により大量に排出されたことで、大気中の二酸化炭素濃度が高まっていることが主な原因である可能性が非常に高いとされています。さらに、地球温暖化によって気温や水温が上昇すると、海洋の二酸化炭素吸収量が低下することが明らかになっています。そのため、大気中の二酸化炭素が海洋に吸収される量が減ることで、大気中に二酸化炭素がより貯まりやすくなり、温暖化が一層加速する現象が起きる可能性も考えられています。IPCC第4次報告書では、不確実性があるものの、この影響により2100年には世界の平均気温がさらに1℃以上上昇する可能性があると予測されています。

地球温暖化を引き起こす黒色炭素(ブラックカーボン)

 地球温暖化に最も影響があるとされている物質は、二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスですが、その他の要因として黒色炭素(ブラックカーボン)があります。温暖化への影響力の高い物質を順に見ていくと、二酸化炭素が1位、メタンガスが2位、ブラックカーボンが3位、ハロカーボン(ハロゲンを含む炭素化合物)が4位、一酸化炭素と揮発性有機物が5位とされています。この第3位のブラックカーボンは、石炭や石油、木材など炭素を主成分とする燃料を燃焼することにより発生するススのような粒子のことで、太陽エネルギーを吸収して熱を蓄える性質があります。

 ブラックカーボンが高山の氷河や、北極・南極の雪表面に沈着することで、氷の融解が加速している可能性があります。

 そのため、温室効果ガスの削減とは別に、国際的な対策が議論されています。


チベット高原付近の「ブラックカーボン」の分布を映したシミュレーション画像(2009年9月26日)

2 物質が循環する社会の構築に向けた取組~第3次循環型社会形成推進基本計画の策定~

(1)循環型社会形成に向けた取組の現状と課題

 1の(1)でみたように、大量生産、大量消費、大量廃棄型の問題の根本的な解決を図るためには、これまでの社会のあり方や国民のライフスタイルを見直していく必要があります。

 このような認識に立ち、平成12年には、廃棄物・リサイクル対策の基本法である循環型社会形成推進基本法が立法化されました。我が国では、この循環型社会形成推進基本法に基づき策定した循環型社会形成推進基本計画に基づき、関連する施策を政府一体となって推進しています。

 資源生産性(=GDP/天然資源等投入量)は、一定量当たりの天然資源等投入量から生み出される実質国内総生産(実質GDP)を算出することによって、産業や人々の生活がいかに物を有効に使っているかを総合的に表す指標です。

 循環利用率(=循環利用量/(循環利用量+天然資源等投入量))は、経済社会に投入されるものの全体量のうち循環利用量(再使用・再生利用量)の占める割合を表す指標です。

 最終処分量は、廃棄物の埋立て量であり、廃棄物の最終処分場の確保という課題に直結した指標です。

 これら3指標は、循環型社会形成推進基本計画における主要な目標指標となっています。近年、これらの指標はいずれも大きく改善しており、循環利用率と最終処分量は第2次循環型社会形成推進基本計画で定めた目標(循環利用率14~15%、最終処分量23百万トン)を達成しました。特に、国土の狭い我が国にとってその削減が長年の大きな課題であった最終処分量は、平成12年の56百万tから平成22年の19百万tへと大幅に削減されました。発生すると大きな社会問題となる不法投棄も大きく減少しました。


我が国の循環型社会形成の進展状況(最近10年間)

 しかしながら、すべての取組が順風満帆に進んでいるわけではありません。資源生産性の分母となる天然資源等投入量の内訳を見ると、平成12年から22年にかけて、公共事業の減少等によって土石資源の投入量が11億tから5億tへと半減以下となっているのに対し、金属資源は横ばいになっています。資源生産性や循環利用率の向上は、この土石資源の減少が大きな要因となっています。他方で、節約やリサイクルをより進めていくべき枯渇性資源である金属資源の3Rに関する取組はいまだ不十分な状況にあります。

 途上国の経済発展により、鉄スクラップ、古紙などの循環資源の輸出も急増しています。グローバルな観点でのリサイクルももちろん重要ですが、資源が少ない我が国にとっては、国内で循環資源を有効活用できず、貴重な資源が海外に流出してしまっているという側面も重視する必要があります。

 上記のように、最終処分量は大幅に減少し、循環利用量も増加していますが、廃棄物の発生量は微減となっています。これは、リサイクル・中間処理・減容化の取組は大きく前進したものの、廃棄物自体の発生・排出の抑制はそれ程大きくは進んでいないことをあらわしています。

 容器包装の分野では、ペットボトルのリサイクル量は増加していますが、ペットボトル自体の使用量も増加しています。他方で、一般的にワンワェイ容器よりも環境負荷が小さい繰り返し使えるリターナブルびんの使用量は大きく減少しています。

 これらに加えて、東日本大震災で発生した大量の災害廃棄物の処理が大きな社会問題となり、大規模災害発生時においても円滑に廃棄物を処理できる体制を平素から築いておくことの重要性が改めて浮き彫りとなりました。特に、焼却灰や不燃残渣の最終処分先が大きな課題となりました。最終処分量の減少に伴い自治体の最終処分場の残余年数は年々増加していますが、316もの市町村が最終処分場を有していないなど、むしろ最終処分場の確保が強く求められる状況です。また、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、安全・安心をしっかりと確保した上で循環資源の利用を行うことが今まで以上に求められるようになっています。

 世界に目を向けると、20世紀はまさに発展の世紀でした。技術進歩と人口増加、経済成長を原動力に、世界全体でGDPが23倍に増大した一方で、資源の年間採取量は建設用鉱物が34倍、鉱石・鉱物が27倍、化石燃料が12倍、バイオマスが3.6倍となり、総物質採取量は約8倍となりました(出典:UNEP)。

 このように拡大した物質消費は各国間で公平には分配されず、環境にもさまざまな影響を及ぼしてきました。今後、途上国を中心として一層の人口増加が見込まれる中で、より多くの人々の生活の豊かさを実現するためには、資源消費と比例関係にある経済成長を切り離し、人口一人当たりの環境負荷を低減させていく必要があります。

 UNEPが設立した持続可能な資源管理に関する国際パネルは、先進国が現状の1人あたり資源消費量を維持し、途上国が先進国と同水準に消費量を高めた場合、2050年(平成62年)までに世界の年間資源採取量は現状の3倍になるとしています。また、先進国が1人当たり資源消費量を半分に減らしたとしても、途上国が先進工業国と同水準に消費量を高めた場合、2050年(平成62年)までに世界の年間資源採取量は現状から40%増加するとしています。さらに、人口増加と経済開発に伴って、資源利用が急増し、それに対応する十分な量を確保できない天然資源が増えていること、近い将来に決定的に不足するおそれのある資源があること、それらの採掘される天然資源の品位低下がすでに現れていることを重視し、資源利用量や廃棄物を減らすことの重要性を指摘しています。

 政府は、これらのさまざまな情勢変化に的確に対処し、社会を構成する各主体との連携の下で、国内外における循環型社会の形成を政府全体で一体的に実行していくため、平成25年5月に第三次循環型社会形成推進基本計画を新たに定めました。

 以下では、第三次循環型社会形成推進基本計画の中で大きな政策課題とされている5つの分野([1]2Rの推進、[2]循環資源の高度利用と資源確保、[3]低炭素社会、自然共生社会づくりとの統合的取組と地域循環圏の高度化、[4]循環資源・バイオマス資源のエネルギー源への利用、[5]国際的取組の推進)に焦点を当て、それらの現況と取組の方向性について概観していきます。

(2)リサイクルだけではなく、2Rの取組がより進む社会経済システムの構築

 循環型社会形成推進基本法では、廃棄物等について、[1]リデュース(発生抑制)、[2]リユース(再使用)、[3]リサイクル(再生利用)、[4]熱回収、[5]適正処分の順にしたがって、対策を進めることを原則としています。


大量生産・大量リサイクル社会

 廃棄物等は、いったん発生してしまえば、資源として循環的な利用を行う場合であっても少なからず環境への負荷を生じさせます。このため、優先順位の第一として、廃棄物等を発生させない(削減する)リデュースを定めています。

 リユースは、いったん使用された製品、部品、容器等を再び使用することです。形状を維持したまま使用することから、一般的に資源の滅失が少なく、また、その過程から発生する廃棄物等の量も少なくなることから、リサイクルよりも対策の優先順位が高く位置付けられています。

 しかし、リデュース・リユース(2R)は、リサイクルよりも優先順位が高いにもかかわらず、レジ袋の辞退率の向上や詰替製品の出荷率の向上などを除き、その取組が十分に進んでいるとは言えません。

 廃棄物等の発生量のうちリサイクルされたものの割合(リサイクル率)は、平成2年から平成22年の20年間で約30%から約40%へと大きく上昇しましたが、廃棄物等の発生量は同じ期間で5億8,684万トンから5億6,709万トンへと3%しか削減できていません。

 我が国では、年間約1,700万トン(平成22年度推計)の食品廃棄物が排出されていますが、このうち、食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は年間約500~800万トンにものぼると推計されています(平成23年度食品循環資源の再生利用等実態調査報告(平成22年度実績)等を基に農水省において試算)。これは、我が国における米の年間収穫量約800万トンにも匹敵する量です。食品ロスは事業所のほか家庭でも多く発生しており、国民一人当たりの家庭における食品ロス量は一年間で約15キログラムになると試算されています。

 環境省・農林水産省では、平成24年4月から食品廃棄物の発生抑制の重要性が高い業種について、食品リサイクル法に基づく「発生抑制の目標値」を設定し、返品などの商習慣をフードチェーン全体で話し合うよう働きかけるなど食品ロスの削減の推進を図っています。そもそも食品ロスを発生させる要因の一つとして、消費者の過度な鮮度志向があるのではないかといわれており、消費者の意識改革もあわせて実施していく必要があることから、関係府省庁が連携して食品ロス削減に向けた取組を推進していくこととしています。

 リユースの取組では、繰り返し使えるリターナブルびんの使用の減少傾向が続いています。昭和時代、毎朝飲む牛乳は牛乳びんで各家庭に配達され、飲み終わったびんは配達員によって回収され再び使用されていました。家で飲むお酒は一升瓶やビール瓶で、酒屋さんに空瓶を持って行くと5円をもらえメーカーが引き取った空瓶は再使用されていました。

 今では、手軽に使える利便性から、牛乳は紙パックが、ビールはアルミ缶が、清酒はリターナブルびんではなく一度使ったら廃棄するワンワェイびんが、それぞれ主流になってきています。

 環境省では、びんリユースシステムを構築するための地域の取組を実証事業として支援しています。平成24年度の実証事業は4地域で実施しましたが、そのうち奈良県では、県内で栽培されている日本茶銘柄「大和茶」の飲料容器としてリターナブルびんを用いる取組を行いました。この取組では、リユースの環境的意義を発信するため、びんのデザインのコンペティションを実施したり、市役所、県庁、旅館・ホテルと連携して販売・回収する仕組みを構築したりするという工夫が行われています。

 このように、2Rの取組について新たな動きが広がっていることも踏まえ、第3次循環型社会形成推進基本計画では、[1]国民・事業者が行うべき具体的な2Rの取組を制度的に位置付ける検討、[2]リユース品の性能保証など消費者が安心してリユース品を利用できるような環境整備、[3]長期優良住宅認定制度の運用、認定長期優良住宅に対する税制上の特例措置の活用促進などの施策が盛り込まれています。

レジ袋がない食品小売店

 日常生活で多量に消費され、わずかな使用時間でごみとして廃棄されてしまうことの多いものとして、レジ袋があります。例えば、家から徒歩10分の位置にあるスーパーで食品を購入する際にレジ袋をもらった場合、レジ袋としての利用時間は10分間に過ぎません。さらに、オフィスビルにコンビニやお弁当屋さんが入っている場合には、建物の中の移動に要する数分間の利用で捨てられてしまうレジ袋もたくさんあります。

 レジ袋は枯渇性資源である石油製品を原料としており、ごみとして出された場合にはそれを処理する際にもエネルギーやコストがかかります。レジ袋を使わずに買い物をすれば、無駄なごみの削減、資源の節約、二酸化炭素の削減につながり、環境に貢献できるのです。

 現在、レジ袋を削減するため、マイバッグ持参運動や、レジ袋の有料化などの取組が各地で行われていますが、さらに進んだ取組として、レジ袋をお店に置かず(有料での販売も行わない)マイバッグ持参率100%を維持し続けている生協があります。

 甲府市にある市民生協やまなしちづか店では、店舗でのお知らせチラシ配布と声がけ、組合員から寄付されたレンタルバッグの無料レンタル、生協新規加入者へのオリジナルマイバッグプレゼントなどさまざまな普及啓発活動を行い、2008年から、レジ袋を原則お店に置かず、利用者にマイバッグの持参を呼びかける取組を継続して実施しています。

 同店では、取組を始めた当初は、「お金を出すからどうかレジ袋を売って欲しい」という来店客も居たそうですが、取組の趣旨を説明することで納得したそうで、レジ袋を置かないことによる大きなトラブルや来店客の減少は確認されていません。

 山梨県は自動車に乗って買い物をする人の割合が高いという事情もありますが、お店側と利用者が環境のことを考え、本気で取り組んだことにより実現した、素晴らしい成功事例と言えます。

(3)循環資源の高度利用と資源確保

 現在、我が国の国内では、金属資源はほとんど採掘されておらず、ほぼ全量海外の鉱山に頼っています。金属資源は海外でも採掘することのできる場所は限られており、採掘できる生産量にも限りがあります。米国地質調査所は、現在確認されている全世界の鉱山の2010年(平成22年)時点での年間生産量で埋蔵量を割った可採年数は、鉄鉱66年、銅鉱40年、鉛鉱21年、亜鉛鉱21年になると試算しています。

 また、これまでの間に採掘した資源の量(地上資源)と現時点で確認されている今後採掘可能な鉱山の埋蔵量(地下資源)を比較すると、すでに金や銀については、地下資源よりも地上資源の方が多くなっています。


主な金属の地上資源と地下資源の推計量(%値は地上資源比率)

 鉱物資源の品位低下も進んでいます。品位とは、採掘される鉱石に含まれる金属資源の量であり、一般に採掘される鉱物資源の品位は、地表部分で採掘されるものよりも、深層部で採掘されるものの方が低い傾向にあります。既存鉱山の採掘が進んだ結果、近年は、深層部で採掘するケースが増加しており、我が国に輸入される銅鉱石の品位は、平成13年の32.5%から、平成20年の29.0%に低下しています。鉱物資源の品位の低下は、生産コストの上昇を招くほか、精製に必要となるエネルギーや不純物の増加に伴う環境への影響も懸念されています。


世界の銅(地金)消費量と銅価格(ドル)の推移

 金属資源の需要構造も近年、大きく変容しています。これまでそれほど多くの資源を消費してこなかった中国など途上国の経済発展により、世界的に需要量が増加しているのです。

 こうした需給要因を背景に、近年、金属資源の価格は上昇しています。

 UNEPが設立した持続可能な資源管理に関する国際パネルは、これまでの世界の経済成長は安価な資源に支えられてきたものの、近年の資源価格は逆に上昇しており、今後はより効率的に資源を利用するため、持続可能性を持ったシステム・技術の革新を速やかに成し遂げる必要があるとのレポートを出しています。

 途上国の経済発展や人口増加が予想される中で、50年後、100年後といった長期的な視点で考えた場合、将来にわたって、現在のように大量の天然資源を使い続けることができる保障はないのです。

 金属資源を採掘するための鉱山開発は、適切な環境配慮がなされない場合には、樹木の伐採による生態系の破壊や、掘削により発生した土石や重金属の不適切な処理による水質汚濁など、生活環境や生物多様性、自然環境にさまざまな影響を及ぼすおそれがあります。我々は、資源採掘国において、このように多くの環境負荷を与えているおそれがあることをしっかりと認識していく必要があります。

 資源の採取・採掘に当たっては、最終的に使用される金属だけではなく、大量の鉱石・土砂等が掘り起こされています。そういった付随して発生する鉱石・土砂等の「隠れたフロー」を含めた、当該物質の採取・採掘に関与した物質の総量を表すのが、関与物質総量(TMR)です。プラチナや金などの希少金属は、例え製品中にはわずかしか使われていないとしても、採掘現場ではその何十万倍もの採掘資源を掘り起こしています。独立行政法人物質・材料研究機構の試算によると、1gの金属資源を採取するのに必要な関与物質総量は、鉄が約8gなのに対し、銅は約360g、銀は約4.8kg、プラチナは約520kg、金は約1.1tにもなります。


プラチナとダイヤモンドでできた結婚指輪の後ろにはたくさんの採掘資源が…。

 これまでは、こういったTMR係数の高い金属資源の用途は装飾用など限定的なものでしたが、近年、燃料電池や高性能モーターなどに使われるTMR係数の高いレアメタル(パラジウム、ネオジウム、ジスプロジウム等)の量が増えてきています。

 鉄や銅といったベースメタルのリサイクルももちろん重要ですが、海外における環境負荷にも目を向け、TMR係数の高い金属資源のリサイクルも積極的に進めていく必要があります。

 このように、世界的に資源確保の重要性が高まる中、我が国の国内に存在する使用済製品からの有用金属回収に注目が集まっています。

 独立行政法人物質・材料研究機構では、地上資源として、我が国にどれだけの金属資源が存在するのか、推計する研究が行われています。その推計結果によれば、我が国に蓄積されている金属資源(地上資源)の量は、鉄12億トン、銅3,800万トン、金6,800トン、レアメタルであるタンタル4,400トン、リチウム15万トンとなっています。これを、世界全体の現埋蔵量に占める割合で考えると、鉄1.62%、銅8.06%、銀22.42%、金16.36%、タンタル10.41%、リチウム3.83%となります。この数値には、現在まだ使用中の製品などただちに資源を回収することができないものも多く含まれていますが、総量として、我が国に眠っている地上資源は、海外の大鉱山に匹敵する大きなポテンシャルを有していると言えます。


我が国の都市鉱山の蓄積量と世界の埋蔵量に対する我が国の都市鉱山の比率

 我々は、これらの大量の埋蔵資源について、どの程度有効活用できているのでしょうか。

 平成21年に再生利用されずに処分場に埋め立てられた金属系廃棄物の量は、一般廃棄物で約53万トン(発生量の約34%)、産業廃棄物で約23万トン(発生量の約3%)となっています。

 このほか、使われないまま家庭で保管(退蔵)されている製品も相当数あり、使用済みとなった製品のうち退蔵されている製品の率(退蔵率)をみると、携帯電話(約5割)、ビデオ・DVDプレイヤー(約3割)、携帯音楽プレイヤー(約4割)といった小型電子機器が高いとの調査結果も出ています(環境省調べ)。

 資源別に見ると、鉄、アルミニウムのように量が多く単一素材に区分しやすい金属資源は比較的リサイクルが進んでいますが、選別や精錬により分離することが必要となる、それ以外の金属資源の多くは埋立処分されてしまっています。

 これらを踏まえ、政府は、いまだ不十分な状況にある使用済製品からの有用金属の回収を加速化させるため、小型家電を対象とした新たなリサイクル制度(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)を平成25年4月からスタートさせました。

 この制度に基づく使用済小型電子機器等の回収方法は、ボックス回収、ステーション回収、ピックアップ回収等の中から地域の実情に応じて市町村が任意に選択します。市町村が回収した使用済小型電子機器等は、環境大臣及び経済産業大臣の認定を受けた事業者(認定事業者)等に引き渡され、有用金属の回収・リサイクルが行われます。安定的なリサイクルを行う観点から、認定事業者は、市町村から引取りを行うことを求められた際には、正当な理由がない限り、これに応じる義務があります。認定事業者が使用済小型電子機器等の収集・運搬を行おうとするときは、廃棄物処理法に基づく許可が不要となる特例も設けています。

 環境省では、1年間で使用済みとなり廃棄等が行われる小型家電は65.1万トンであり、そのうち有用金属は、27.9万トン(金額換算すると844億円)になると推計しています。例えば、一般的に、携帯電話の本体(140g)には金が48mg(200円相当)程度含まれていますが、これは、鉱山で土砂52.8kgを採掘して得られる資源の量に匹敵します。現段階では、基板からの資源回収についてはさまざまな技術上の課題がありますが、仮に平成23年に我が国で排出された使用済携帯電話約4,000万台のすべてから金の回収ができたと仮定すると、重量にして約2t、金額換算にして約80億円分の金を資源として再利用できることになります。

 上記の状況を踏まえ、第3次循環型社会形成推進基本計画には、使用済製品に含まれる有用金属のさらなる利用促進を図り、資源確保と天然資源の消費の抑制に資するため、[1]小型家電リサイクル制度の参加、回収率の向上に向けた地方公共団体への支援、[2]原材料の表示、部品のユニット化等の製品設計段階の取組促進、[3]新技術の研究・開発支援などの施策が盛り込まれています。

(4)低炭素社会、自然共生社会づくりとの統合的取組と地域循環圏の高度化

 循環型社会づくり、低炭素社会づくり、自然共生社会づくりの取組は、いずれも社会経済システムやライフスタイルの見直しを必要とするものであり、地域レベル、全国レベルでこれら3つの社会づくりの取組を統合的に推進していくことが求められます。

 例えば、3Rの取組が進めば、廃棄物の焼却量や埋立量が減少し、廃棄物部門由来の温室効果ガスの排出量も減りますし、バイオマス系循環資源等の原燃料への再資源化や廃棄物発電等への活用が進めば、化石燃料由来の温室効果ガスの排出が抑制されます。

 また、化石系資源や鉱物資源の投入量の抑制は、資源採取に伴う生物の生息・生育環境の損失の防止につながりますし、自然界での再生可能なバイオマス系循環資源を活用することで、農地・森林の保全や里地里山の生態系の保全が図られます。

 循環型社会の実現のためには、地域の特性・活力を活かし、それぞれの地域において循環型社会を形成していくことも欠かせません。

 このため、循環型社会形成推進基本計画では、地域の特性や循環資源の性質に応じて、最適な規模の循環を形成する「地域循環圏」の形成を進めることを大きな課題としています。

 地域循環圏の形成を進めていくためには、それぞれの地域の文化等の特性や地域に住む人と人とのつながりに着目し、その構築事例を積み重ねていく必要があります。


地域循環圏の類型パターンと重層的な構成イメージ

 例えば、[1]農山漁村地域で、生ごみの肥飼料化、バイオガス化や木材の有効利用を推進する、[2]都市・近郊地域で、都市・近郊で排出される食品廃棄物等を農村地域で肥料として利用する都市農村連携やエコタウン、工業地域等との連携を進める、[3]動脈産業地域で、セメント、鉄鋼等の基幹動脈産業の基盤やインフラをこれまで以上に活用し、循環資源を大量に抱え持つ大都市エリアと連携する、[4]循環型産業地域で、リサイクル事業者の保有する技術等をより一層高度化させ、動脈産業地域との連動を図ること等により、それぞれの地域にあった循環システムを形成することが考えられます。

 東日本大震災でも見直された地域のきずなと物質循環を連携させて、新しい地域のあり方を組み立てていくことも大きな課題です。環境省では、東北地方で日常的に発生する循環資源を最大限活用しつつ、循環型社会ビジネスによる復興を目指す取組を支援しています。

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町は、平成23年11月に「南三陸震災復興計画」を策定し、再生可能エネルギーの導入、廃棄物の減量とリサイクル、産業廃棄物などの適正処理などを推進しています。


南三陸町の取組

 環境省では、その一環として同町で行われている、生ごみ・し尿及び浄化槽汚泥を対象としたバイオガス化やその他可燃ごみを対象とした資源化の実証実験への支援を実施しています。

 この事業は、今までは燃やすごみだったものを、[1]生ごみ、[2]容器包装プラスチック、[3]その他可燃物の3つに分別、回収し、生ごみはバイオガス化し容器包装プラスチックとその他可燃物は再生製品や燃料等として再資源化を目指すものです。また、バイオガス施設で発生した液肥は農業振興のために使用したり、電気や熱は産業振興や緊急時の防災拠点へのエネルギーとして利用したりすることにより、新たな産業や雇用を生み出すこともあわせて検討しています。

(5)循環資源・バイオマス資源のエネルギー源への利用

 東日本大震災以降、各地の電力不足や原発に大きく依存してきたエネルギー・環境戦略の見直しを踏まえ、分散型電源であり、かつ、安定供給が見込める循環資源やバイオマス資源の熱回収や燃料化等によるエネルギー供給が果たす役割は、一層大きくなっています。

 廃棄物発電は、ごみを焼却する時に発生する高温の排出ガスの持つ熱エネルギーをボイラーで回収し、蒸気を発生させてタービンを回して発電するものです。

 原子力発電所は、遠隔地で発電して東京などの都市部に電力を送ります。これに対し、廃棄物発電やバイオマス発電の場合、基本的に廃棄物やバイオマスがあるその地域内で発電することになりますので、地産地消のエネルギー源となります。廃棄物発電の促進は、建設の際に周辺住民の理解を得るのに多大な努力を要するなど、これまで負のイメージで捉えられることの多かった廃棄物処理施設について、地域との共生や地域内でのエネルギー自給という新たな息吹をもたらす可能性も秘めています。

 また、木材、生ごみ、バイオエタノールなどのバイオマス資源は、自然界で再生可能な資源であり、石油や石炭などの化石資源と比べて持続可能性が高いという大きな利点があります。

 しかしながら、我が国では、コストや技術上の課題などからバイオマス資源のエネルギー供給源に占める割合は極めて低く、廃棄物の燃焼によって発生する熱量の4分の3程度が無駄に失われてしまっています。

 右図は我が国における電源構成を示したものですが、バイオマス資源が占める割合は、全体のわずか0.3%に過ぎません。さらに、バイオマス発電のうち、廃棄物が90%以上を占めており、木材などその他のバイオマス資源が占める割合は数%となっているとの民間の調査結果も出ています(自然エネルギー政策プラットフォーム)。


我が国の発電量に占めるバイオマス・廃棄物発電の量(2010年度)

 我が国において、バイオマス資源のエネルギー利用が進んでいない大きな理由は、価格競争力が弱く、供給が不安定なことにあります。このため、関係者が連携して、コスト低減と安定供給等を実現するための技術開発、需要の創出、効率的な収集運搬体制の整備を行っていくことが、事業化の鍵となります。

 廃棄物発電は、スケールメリットが重要であり、規模が大きいほど高効率となります。我が国は、欧米と比べて施設規模が小さく発電効率は低い状況にありますが、近年、廃棄物処理施設の更新時の施設の集約化や最新設備の導入等により発電効率は少しずつ上昇しています。


一般廃棄物処理施設の総発電電力量と発電効率の推移

 燃料となるごみの組成も重要です。プラスチックなどの石油製品は熱量を上げますが、生ごみなどに含まれる水分はごみの熱量を下げてしまいます。家庭でできる、生ごみの分別リサイクルや、水切りの徹底も廃棄物発電の効率化につながります。

 ごみ焼却に伴う熱の有効利用策としては、発電以外に熱(蒸気)そのものを利用する方法があります。我が国では、主に温水プールや温浴施設として活用されていますが、施設外の地域冷暖房などより効果的・効率的な利用を推進していく必要があります。

 循環資源・バイオマス資源のエネルギー源への利用は上記のように克服すべき課題が多いのが実情ですが、平成24年7月からは、電気事業者による再生エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づく再生可能エネルギー固定価格買取制度が始まっており、その対象となった廃棄物発電やバイオマス発電のより一層の導入促進が期待されています。

 これらを踏まえ、第3次循環型社会形成推進基本計画には、地域の自主性と創意工夫を活かしながら循環資源・バイオマス資源のエネルギー源への利用を進めるため、[1]地方公共団体による高効率廃棄物発電施設の早期整備、[2]焼却施設や産業工程から発生する中低温熱の地域冷暖房などへの有効利用の促進、[3]生ごみ等からのメタン回収を高効率に行うバイオガス化などの施策が盛り込まれています。

(6)国際的取組の推進

 現在、世界的な経済成長と人口増加に伴い、地球規模で廃棄物の発生量が増大しており、特にアジア地域は世界の廃棄物発生量全体の約4割を占めています。廃棄物の発生量は今後も増加することが見込まれ、2050年(平成62年)の世界全体の廃棄物発生量は、2010年(平成22年)の2倍以上となる見通しとなっています。


世界の廃棄物発生量の推移予測

 すでに、中国やインドなど、近年急速に工業化が進んでいる国々においては、日本が高度経済成長期に経験したような公害の問題や、廃棄物処理に関する問題が発生しています。国内経済の工業化がそれほど進んでいない発展途上国でも、河川や湖などへの生ごみの投棄が、環境汚染の要因となっています。

 急速な経済成長が見込まれる発展途上国が深刻な公害問題や廃棄物問題を回避して循環型社会を達成するためには、一人当たりGDPが上昇しても廃棄物量は少ない持続可能な経済成長を促していくことが重要です。

 このため、我が国はアジア各国を対象に、国家として3Rを推進するための戦略づくりの支援や政策対話などを実施しています。例えば、マレーシアでは、食品廃棄物管理の国家戦略計画の策定を支援しています。現在、マレーシアにおいて廃棄物の約5割を占めている食品廃棄物は、ほぼすべてがそのまま埋立処分されており、その有効活用が長年の課題となっています。我が国では、マレーシアからの要請を受け、食品廃棄物のコンポスト(堆肥)利用に向けて、[1]排出事業者と堆肥利用者のループをつなぐ役割を果たしている食品リサイクル法や、廃棄物の分別・収集体制など我が国の優れた法制度・知見を活かした政策策定、[2]マレーシアの自治体等でのパイロットプロジェクト(実証事業)の実施等の支援を行っています。

 多国間にまたがる取組としては、我が国の提唱により2009年(平成21年)に設立されたアジア3R推進フォーラムにおいて、3Rに関するハイレベルの政策対話の促進、情報共有、関係者のネットワーク化等を行い、アジアにおける循環型社会づくりに取り組んでいます。


3R・廃棄物対策における関係各国との密接な連携

 上記のさまざまな状況を踏まえ、第3次循環型社会形成推進基本計画には、[1]二国間協力やアジア3R推進フォーラムなどを通じた、3R推進に関する情報共有や合意形成の推進、[2]我が国循環産業の海外展開の推進、[3]有害廃棄物等の国際的な移動による環境汚染を防止するための水際対策の強化、[4]途上国では適正な処理が困難であるものの我が国では処理可能な国外廃棄物等の受け入れ、[5]環境汚染が生じないことを前提とした、石炭灰、高炉水砕スラグなどの輸出円滑化等の施策が盛り込まれています。