環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和8年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第2章>第5節 持続可能な利用

第5節 持続可能な利用

1 環境と調和のとれた食料システムの確立

農林水産業は、人間の生存に必要な食料や生活資材等を供給する必要不可欠な活動である一方、我が国では、昔から農林水産業の営みが、身近な自然環境を形成し、多様な生物種の生育・生息に重要な役割を果たしてきました。今後、安全な食料や木材等の安定供給への期待に応えつつ、環境と調和のとれた持続可能な食料システムの構築とそれを支える農山漁村の活性化が必要です。そのため、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるために、2021年5月に策定された「みどりの食料システム戦略」やその実現に向けて2022年7月に施行された環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(令和4年法律第37号)に基づき温室効果ガス削減や化学肥料・化学農薬の使用低減等の環境負荷低減の取組を促進します。

さらに、農林水産省の全ての補助事業等において、環境負荷低減の取組の要件化を、2027年度から本格実施することとしています(愛称「みどりチェック」)。このため、本格実施を見据え、補助事業等の申請時及び報告時における取組の実施状況に関するチェックシートの提出を、試行的に実施しているところです。また、みどりチェックの取組よりも、更に進んだ環境負荷低減を図る持続的な生産体系の取組に対し、みどりの食料システム法の認定を受けた農業者を対象として、収量の不安定化等の導入リスク等に応じた支援を行う新たな環境直接支払交付金を2027年度を目標に創設することを検討しています。

また、食料・農業・農村基本計画に基づき、2030年までをめどに集中的に推進すべき取組として、食料・農林水産業のGXへの投資の呼び込みや食料生産を脅かす気候変動への適応等を盛り込む「みどり加速化GXプラン」の策定に向けて検討を進めます。加えて、持続可能な森林経営等を積極的に進めるとともに、生態系に配慮した再生可能エネルギー等の利用を促進します。さらに、農業生産現場において、環境保全に配慮した農業生産工程管理(GAP)の普及・推進を図るとともに、農業者が有機農業に積極的に取り組むことができるよう環境整備を図ります。

食料・農林水産業における持続可能な生産・消費を後押しするため、消費者庁、農林水産省、環境省の3省庁連携の下、官民協働のプラットフォームである「あふの環(わ)2030プロジェクト~食と農林水産業のサステナビリティを考える~」において、参加メンバーが一斉に情報発信を実施するサステナウィークやメンバー間で情報交換を行う交流会等を実施します。

「みどりの食料システム戦略」に基づき、農産物の生産段階における温室効果ガス削減や生物多様性保全に貢献する取組を評価し、星の数で分かりやすくラベル表示する「見える化」を推進します。また、温室効果ガスの削減・吸収量をクレジットとして国が認証し、民間資金を呼びこむ、J-クレジット制度の農林水産分野での活用を促進します。

こうした取組を通じて、「みどりの食料システム戦略」を強力に推進します。

我が国における「みどりの食料システム戦略」に基づく取組は、気象条件や農業生産構造の類似するアジアモンスーン地域の持続的な食料システムのモデルとなり得るものであり、2023年10月の日ASEAN農林大臣会合において採択され、2025年10月に改定された「日ASEANみどり協力プラン」に基づき、ASEAN各国のニーズに応じながら、我が国のイノベーションを活かした協力プロジェクトを推進します。また、ミドリ・インフィニティに基づき、二国間クレジット制度(JCM)を始め、具体的な脱炭素プロジェクト案件形成に向け、「みどり脱炭素海外展開コンソーシアム」等の場で、我が国企業と国内外のパートナーとのマッチングや農業JCMの拡大を推進します。

2 エコツーリズムの推進

エコツーリズム推進法(平成19年法律第105号)及び2025年度に見直しを行ったエコツーリズム推進基本方針に基づき、自然資源の保全活用により持続的な地域振興に取り組む地域への支援、国内外への戦略的な情報発信、科学的評価方法に関する調査、他の施策との連携等を推進します。

3 遺伝資源へのアクセスと利益配分

2017年8月に我が国が締結した名古屋議定書の国内措置である「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針」の適正な運用により、同議定書の適切な実施に努めます。