2026年10月にアルメニア共和国・エレバンにおいて開催が予定されている「生物多様性条約第17回締約国会議(COP17)」で実施が予定されている、「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」の世界的な実施状況に関する評価(グローバル・レビュー)に貢献するため、我が国は、生物多様性条約に基づく第7回国別報告書を2026年2月に提出しました。また、生物多様性条約事務局に設置されている「生物多様性日本基金」を通じて、東・南アジア地域における30by30目標に係るワークショップの開催支援等、GBFの実施に向けた支援を行いました。さらに、生物多様性の保全と持続可能な利用を進める「SATOYAMAイニシアティブ」について、途上国の現場における活動を支援するため、「SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム」第4フェーズを実施しています。
「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)」については、公表されたIPBES評価報告書などの成果を、一般公開シンポジウムの開催などを通じて発信しました。また、「生物多様性と生態系サービスに関する第二次地球規模生物多様性評価」等、IPBESが実施するアセスメント報告書執筆作業やIPBES運営への日本人専門家の参画を支援しました。
さらに、2024年3月に公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)に設置されたIPBESの「シナリオ・モデルタスクフォース技術支援機関」に対して、拠出金等を通じた活動支援を行いました。また、2026年2月に英国・マンチェスターにおいて開催されたIPBES総会第12回会合に参加し、国際的な議論にも貢献しました。
二次的な自然環境における自然資源の持続可能な利用と生物多様性の保全を推進する「SATOYAMAイニシアティブ」について、「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)」の活動を支援しました。また、IPSI事務局とともに、「生物多様性条約第27回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA27)」において、SATOYAMAイニシアティブの考え方や取組を紹介するサイドイベントを開催しました。さらに、IPSI事務局等とともに、2026年3月に「SATOYAMAイニシアティブ第10回定例会合」をエクアドルにおいて開催し、「実行可能な実施計画(AIP)」を採択するなど、IPSIの今後の活動に関する議論や合意形成を図りました。なお、IPSI会員団体数は、2026年3月時点で、23の政府機関を含む、80か国・地域の348団体となりました。
SATOYAMAイニシアティブの理念を国内において推進するため、2013年に発足した「SATOYAMAイニシアティブ推進ネットワーク」に環境省及び農林水産省が参加しています。本ネットワークは、SATOYAMAイニシアティブの国内への普及啓発、多様な主体の参加と協働による取組の促進に向け、ネットワークへの参加を呼び掛けたロゴマークや活動事例集の作成や、各種イベントへの参加を行いました。なお、本ネットワークの会員は2026年3月時点で54地方公共団体を含む119団体となりました。
2013年11月に宮城県仙台市で開催した第1回アジア国立公園会議を契機に我が国が主導して設立した「アジア保護地域パートナーシップ(APAP)」の参加国は2026年3月時点で、17か国となっており、その取組の一環として、毎年運営委員会等においてアジア各国の保護区に関する情報及び知見の共有等を進めています。2025年10月にアラブ首長国連邦・アブダビで開催された世界自然保護会議では、アジアの保護地域における過去10年間の取組の進展を紹介するサイドイベントが実施され、APAPの取組がアジアの保護地域の管理能力の向上に貢献してきていることが周知されるとともに、30by30目標の達成に向けた意見交換等が行われました。
世界の森林は、陸地の約32%を占め、面積は約41億4,000万haに及びます。一方で、2015年から2025年の間に、植林等による増加分を差し引いて年平均約412万ha減少しています。1990年から2000年の間に年平均約1,070万ha減少しており、森林が純減する速度は低下傾向にありますが、引き続き森林減少を止めるための積極的な取組が求められています。地球温暖化や生物多様性の損失に深刻な影響を与える森林減少を抑止するためには、持続可能な森林経営を推進する必要があります。我が国は、持続可能な森林経営及び木材利用の推進に向けた国際的な議論に参画・貢献するとともに、関係各国、各国際機関等と連携を図るなどして森林・林業分野の国際的な協力を推進しています。
「国連森林戦略計画2017-2030」は、国連森林フォーラム(UNFF)での議論を経て2017年4月に国連総会において採択され、我が国もその実施に係る議論に参画しています。
国際熱帯木材機関(ITTO)の第61回理事会が2025年10月にパナマ共和国のパナマシティにおいて開催され、ITTOの設置根拠である「2006年の国際熱帯木材協定」の再交渉に向けた議論が行われました。また、加盟国等から総額約339万米ドルのプロジェクト等に対する拠出が表明され、我が国からは、ベトナムのアカシア林業における森林バイオエコノミーの推進、トーゴ共和国サバナ地域に位置するフォス・オ・リオン保安林の持続可能な管理に対する支援等に、計約2.2億円の拠出を表明しました。
2025年11月にブラジル連邦共和国・ベレンで開催されたCOP30及びそれに先立つ首脳級会合において、森林に関する複数の国際イニシアティブに賛同・参加するとともに、議長国ブラジルが主導する「トロピカル・フォレスト・フォーエバー・ファシリティ(TFFF:Tropical Forest Forever Facility)」の立上げに賛同しました。
1996年に発効した国連の砂漠化対処条約(UNCCD)において、先進締約国は、砂漠化の影響を受ける締約国に対し、砂漠化対処のための努力を積極的に支援することとされています。我が国は先進締約国として、科学的・技術的側面から国際的な取組を推進しています。その一環として、モンゴルにおける砂漠化対処のための調査等を進め、二国間協力等の国際協力を推進しました。
南極地域は、近年、観光利用の増加による環境への影響が懸念されており、南極の平和的利用と科学的調査における国際協力の推進等を目的とする南極条約(1961年発効)及び、南極の環境や生態系の保護を目的とする環境保護に関する南極条約議定書(1998年発効)に基づき国際的な取組が進められています。
我が国は、環境保護に関する南極条約議定書を担保するため、南極地域の環境の保護に関する法律(平成9年法律第61号)を制定し、南極地域における観測、観光、取材等の活動に対する確認制度等を運用するとともに、環境省のウェブサイト等を通じて南極地域の環境保護に関する普及啓発、指導等を行っています。さらに、2005年に採択された環境保護に関する南極条約議定書附属書VI(環境上の緊急事態から生ずる責任)の締結に向けた国内担保措置について、中央環境審議会自然環境部会において審議を重ね、2026年3月に答申がなされました。
また、南極条約の実施のため、拠出金等により南極条約事務局の活動を支援しているほか、2025年にイタリアのミラノで開催された第47回南極条約協議国会議(ATCM47)に参画し、南極地域における環境保護の方策に関する議論に貢献しました。さらに、2026年5月に、第48回南極条約協議国会議(ATCM48)を広島市で開催するにあたり、関係省庁及び自治体を始めとする関係者間で連携し、準備を行いました。
国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)の枠組みの中で、我が国が主導して2017年から開始した地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(GCRMN)の東アジア地域におけるサンゴ礁生態系モニタリングデータの地域解析について、モニタリングデータの管理利用方針やデータベースの構築方法を検討するためのワークショップを2025年7月に開催しました。
2025年11月には、東アジア・オーストラリア地域における渡り性水鳥保全のための国際的枠組みである「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)」の総会である第12回パートナー会議(MOP12)がフィリピンのセブで開催されました。各国における渡り性水鳥及びその生息地の保全に関する進捗状況や課題等について議論されたほか、今後の活動等に関する決定書が採択されました。活動を推進するため、国内に34か所ある渡り性水鳥重要生息地ネットワーク参加地の関係者を対象とし、2026年2月に、日本有数のツル類の越冬地である鹿児島県出水市において、「渡り性水鳥フライウェイ全国大会」を開催しました。
2025年10月にパナマ共和国・パナマシティで開催された、生物多様性条約第27回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA27)及び生物多様性保全等に関する先住民等の知識の維持等を規定する条約第8条(j)等に関する補助機関の第1回会合(SB8(j)1)に出席し、議論に貢献しました。また、SBSTTA27においては、GBF実施の進捗をモニタリングするための仕組みに関する議論に貢献するとともに、我が国における条約に基づく第7回国別報告書のとりまとめの取組や経験等を共有するサイドイベントの開催等を通じて、「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」の着実な実施に貢献しました。さらに、2026年2月にイタリア共和国・ローマで開催された、生物多様性条約第6回実施補助機関会合(SBI6)に出席し、GBFの実施に向けた能力開発などの議論に貢献しました。
生物多様性条約COP10において採択された「生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書」(以下「名古屋議定書」という。)の国内措置である「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針」を施行し、名古屋議定書の適切な実施に努めています。
我が国はCOP10の際に、名古屋議定書の早期発効や効果的な実施に貢献するため、地球環境ファシリティ(GEF)によって管理・運営される名古屋議定書実施基金の構想への支援を表明し、10億円を拠出しました。この基金を活用し、国内制度の発展、遺伝資源の保全及び持続可能な利用に係る技術移転、民間セクターの参加促進等の活動を行う13件のプロジェクトが承認され、ブータン、コロンビア、コスタリカ等の8件は既に完了しています。
バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書(以下「補足議定書」という。)の国内担保を目的とした遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第18号。以下「改正カルタヘナ法」という。)が、2017年4月に成立し、同月に公布されました。補足議定書については、2018年3月に発効し、これに合わせて改正カルタヘナ法が施行されました。また、2024年10月にコロンビア・カリで開催されたカルタヘナ議定書第11回締約国会議(COP-MOP11)において、議定書及び補足議定書の適切な実施のための議論がなされ、我が国としても積極的に議論に貢献しました。
ワシントン条約に基づく絶滅のおそれのある野生動植物の輸出入の規制に加え、同条約附属書Iに掲げる種を中心に、種の保存法に基づき国内での譲渡し等の規制を行っています。関係省庁、関連機関が連携・協力し、象牙の適正な取引の徹底や規制対象種の適切な取扱いに向けて、国内法執行や周知強化等の取組を進めました。また、2025年11月から同12月までウズベキスタン共和国のサマルカンドで開催されたワシントン条約第20回締約国会議(COP20)において、条約の適切な執行のための議論とともに、国際取引が規制される種を定めている附属書の改正等の審議に貢献しました。
2025年7月にラムサール条約第15回締約国会議(COP15)がジンバブエ共和国のヴィクトリアフォールズにおいて開催されました。ラムサール条約湿地都市認証制度に基づく新規認証都市への認証式が開催され、我が国からは新たに認証を受けた愛知県名古屋市が参加しました。また、国内54番目のラムサール条約湿地として登録された猪苗代湖の関係自治体である福島県、会津若松市、郡山市、猪苗代町に対して、ラムサール条約事務局長から登録証が授与されました。
2025年10月に中華人民共和国の東営において日豪中韓渡り鳥等保護協定等会議が開催されました。各国における渡り鳥等の保全施策及び調査研究に関する情報共有のほか、日豪、日中、日韓での今後の協力の在り方に関する意見交換を行いました。加えて、2027年に開催予定の次回会議までに取り組む事項を確認しました。
2023年に採択された「海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定」(略称「国連公海等生物多様性協定」又は「BBNJ協定」)について、我が国は2025年12月に締結し、同協定は2026年1月に発効しました。