環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和7年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第3章>第2節 循環型社会形成に向けた循環経済への移行による持続可能な地域と社会づくり

第2節 循環型社会形成に向けた循環経済への移行による持続可能な地域と社会づくり

資源の投入量・消費量を抑えつつ、製品等をリユース・リペア・メンテナンスなどにより長く利用し、循環資源をリサイクルする3Rの取組を進め、再生可能な資源の利用を促進し、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて資源・製品の価値を回復、維持または付加することによる価値の最大化を目指す循環経済への移行は、資源消費を最小化し廃棄物の発生抑制や環境負荷の低減等を実現する有効な手段であり、循環型社会を形成する上での強力なドライビングフォースです。環境制約に加え、産業競争力強化、経済安全保障、地方創生、そして、質の高い暮らしの実現によるウェルビーイングの向上にも資するように循環経済への移行を進めることは、関係者が一丸となって取り組むべき重要な政策課題です。環境的な側面については、循環、脱炭素、自然共生について統合的な向上を図ることが重要であり、このうち循環と脱炭素に関しては、2022年度の廃棄物由来の温室効果ガスの排出量は2000年度の排出量と比較して約23%減少していますが、廃棄物部門での更なる排出削減に加え、廃棄物の原燃料としての活用や、廃棄物発電の発電効率の向上等により他部門での温室効果ガス排出量の削減を更に進めます。また、資源の生産・採取時における生物多様性や自然環境の保全への配慮を促進し、循環経済への移行とネイチャーポジティブの実現に向けて、施策を統合的に実施します。

2024年8月には、循環型社会の形成に向けた政府全体の施策を取りまとめた国家戦略として「第五次循環基本計画」を策定しました。また、「第五次循環基本計画」等の下、政府全体として戦略的・統合的に進めるため、2024年7月に新たに「循環経済に関する関係閣僚会議」を設置し、同月に開催された第1回会議では、総理から各府省庁に対して、取組を具体化した政策パッケージを年内に取りまとめるよう指示がありました。2024年末には第2回の関係閣僚会議が開催され、「循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行加速化パッケージ」を取りまとめました。総理からは、各府省庁に対して、政策パッケージを速やかに実行するよう指示があり、関係閣僚会議が今後とも司令塔となって、国家戦略として循環経済への移行を推し進めるとの発言がありました。

また、地域における循環経済の移行を促し、地方創生を実現するための取組として、地域の資源循環や再生可能資源を活用することで新たな付加価値や雇用の創出や地域の経済社会の活性化に資する取組を促進するため、「資源循環自治体フォーラム(連絡会議)」を2025年1月に開催しました。市民、自治体、地域の製造業・小売業や廃棄物処理・リサイクル業といった企業等の各主体が連携し、各地域に特徴的な循環資源や再生可能資源を循環させる取組を創り出し、これが自立して拡大していくことで、雇用の創出や地場産業の振興等により地域経済が活性化し、魅力ある地域づくりや地方創生につながります。「循環経済への移行加速化パッケージ」に基づき、地域の特性を活かした循環資源や再生可能資源の徹底活用により、地域や社会に様々な付加価値を生み出すことにより、新たな成長につなげていきます。

これまで進んできたリサイクルの量に着目した取組に加えて、社会的費用を減少させつつ、高度で高付加価値な水平リサイクル等を社会に定着させる必要があります。このため、まず循環資源を原材料として用いた製品の需要拡大を目指し、循環資源を供給する産業と循環資源を活用する産業との連携を促進しています。3R推進月間(毎年10月)においては、消費者向けの普及啓発を行いました。3R普及啓発、3R推進月間の取組については、第3章第5節1(3)を参照。

無許可の廃棄物回収の違法性に関する普及啓発については、第3章第5節3(1)を参照。

ウェブサイト「Re-Style」については、第3章第5節1(2)を参照。

資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(令和6年法律第41号。以下「再資源化事業等高度化法」という。)が2024年5月に第213回国会で成立し、同月に公布されました。再資源化事業等高度化法は、脱炭素化と再生資源の質と量の確保等の資源循環の取組を一体的に促進するため、基本方針の策定、廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項の策定、再資源化事業等の高度化に係る認定制度の創設等の措置を講ずるものであり、2025年2月1日に一部の規定が施行されました。

また、再資源化事業等高度化法による再資源化事業等の高度化に係る認定制度の創設等を踏まえ、財政投融資制度の拡充や再資源化事業等の高度化のための事業に係る税制上の特例措置の創設・拡充を講じました。