国民、国、地方公共団体、NPO・NGO、事業者等が連携し、循環、脱炭素、自然共生等の環境的側面、資源、工業、農林水産業等の経済的側面、福祉、教育等の社会的側面を統合的に向上させることを目指しています。
環境的な側面の中でも、循環、脱炭素、自然共生について統合的な向上を図ることも重要です。循環と脱炭素に関しては、これまで以上に廃棄物部門で温室効果ガス排出量を更に削減するとともに、他部門で廃棄物を原燃料として更に活用すること、廃棄物発電の発電効率を向上させることなどにより他部門での温室効果ガス排出量の削減を更に進めることを目指しています。このうち、「第四次循環基本計画」の項目別物質フロー指標である「廃棄物の原燃料・廃棄物発電等への活用による他部門での温室効果ガスの排出削減量」について、現状では原燃料、廃棄物発電等以外のリデュース、リユース、シェアリング、マテリアルリサイクル等による温室効果ガスの排出削減について考慮されていないため、2018年度からこれらの推計方法について検討を行いました。
循環型社会の形成推進に当たり、消費の抑制を図る「天然資源」には化石燃料も当然含まれています。循環型社会の形成は、脱炭素社会の実現にもつながります。
直近のデータによれば、2021年度の廃棄物由来の温室効果ガスの排出量は、約3,700万トンCO2(2000年度約4,750万トンCO2)であり、2000年度の排出量と比較すると、約22%減少しています。その一方で、2020年度の廃棄物として排出されたものを原燃料への再資源化や廃棄物発電等に活用したことにより廃棄物部門以外で削減された温室効果ガス排出量は、約2,082万トンCO2となっており、2000年度の排出量と比較すると、約2.6倍と着実に増加したと推計され、廃棄物の再資源化や廃棄物発電等への活用が進んでいることが分かりました。2050年カーボンニュートラルの実現や2021年10月に閣議決定した「地球温暖化対策計画」を踏まえ、廃棄物処理分野からの排出削減を着実に実行するため、各地域のバイオマス系循環資源のエネルギー利用等により自立・分散型エネルギーによる地域づくりを進めるとともに、廃棄物処理施設等が熱や電気等のエネルギー供給センターとしての役割を果たすようになることで、化石燃料など枯渇性資源の使用量を最小化する循環型社会の形成を目指すこととしています。その観点から3R+Renewableの取組を進めながら、なお残る廃棄物等について廃棄物発電の導入等による熱回収を徹底し、廃棄物部門由来の温室効果ガスの一層の削減とエネルギー供給の拡充を図る必要があります。
環境保全を前提とした循環型社会の形成を推進すべく、リサイクルより優先順位の高い、2R(リデュース、リユース)の取組がより進む社会経済システムの構築を目指し、国民・事業者が行うべき具体的な2Rの取組を制度的に位置付けるため、2023年度はデジタル技術を活用した脱炭素型2Rビジネス構築等促進に関する実証検証事業において、先進2事例の2Rと温室効果ガス削減の効果算定を行うとともに、資源循環及び脱炭素の観点での取組ポテンシャルが高いと考えられる対象分野の調査・分析及びヒアリングを通じての事例調査を行いました。さらに、これらの結果を踏まえて、脱炭素型資源循環システムの効果算定手法及びガイドラインの整備を行いました。
これまで進んできたリサイクルの量に着目した取組に加えて、社会的費用を減少させつつ、高度で高付加価値な水平リサイクル等を社会に定着させる必要があります。このため、まず循環資源を原材料として用いた製品の需要拡大を目指し、循環資源を供給する産業と循環資源を活用する産業との連携を促進しています。3R推進月間(毎年10月)においては、消費者向けの普及啓発を行いました。
3R普及啓発、3R推進月間の取組については、第3章第8節1を参照。
無許可の廃棄物回収の違法性に関する普及啓発については、第3章第5節1(1)を参照。
ウェブサイト「Re-Style」については、第3章第8節1を参照。
2023年7月から中央環境審議会循環型社会部会静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会において、脱炭素化と資源循環の高度化に向けた取組を一体的に促進するための制度的対応について議論し、2024年2月に中央環境審議会から「脱炭素型資源循環システム構築に向けた具体的な施策のあり方について」が意見具申されました。
この意見具申も踏まえ、脱炭素化と再生材の質と量の確保等の資源循環の取組の一体的な促進を目指し、再資源化の取組の高度化を促進する「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」を2024年3月に閣議決定し、第213回国会に提出しました。