環境省では、福島県内のニーズに応え、環境再生の取組のみならず、脱炭素、資源循環、自然共生といった環境の視点から地域の強みを創造・再発見する「福島再生・未来志向プロジェクト」を推進しています。本プロジェクトでは、2020年8月に福島県と締結した「福島の復興に向けた未来志向の環境施策推進に関する連携協力協定」も踏まえ、福島県や関係自治体と連携しつつ施策を進めていくこととしています。
脱炭素に向けた施策としては、環境、エネルギー、リサイクル分野での新たな産業の定着を目指した実現可能性調査を2018年度から継続して実施し、2023年度は水素の多様な利活用方法や、水素以外の再エネを導入した際の最適化されたエネルギーマネジメントの検討等を含むSHOWCASE(水素×ライフスタイルに係る多様なユースケースを体験することが可能な地域施設を想定)の可能性調査等3件の調査を採択しました。また、福島での自立・分散型エネルギーシステム導入に関する重点的な財政的支援を「脱炭素×復興まちづくり」推進事業として2021年度から継続して実施しており、2023年度は、計画策定補助を1件、設備導入補助を10件採択しました。さらに、2023年3月に設立した「脱炭素×復興まちづくりプラットフォーム」では、各テーマに応じた個別ワーキンググループを設置し、復興まちづくりと脱炭素社会の同時実現に向けた検討を開始しました。
また、福島に対する風評払拭や環境先進地へのリブランディングにつなげるため、福島の未来に向けてチャレンジする姿を発信する表彰制度「FUKUSHIMA NEXT」におけるこれまでの受賞者の優れた取組を様々なメディアを通じて発信しました。また、全国から集まった学生等が復興の現状や福島県が抱える課題を見つめ直し、次世代の視点から情報を発信することを目的に、「福島、その先の環境へ。」次世代ツアーを開催するとともに、福島の復興や環境再生の取組を世界に発信することを目的に、COP28にてブース展示を実施しました。
加えて、福島・環境再生の記憶の継承・風化対策として、未来を担う若い方々と一緒になって福島の未来を考えることを目的とした表彰制度「いっしょに考える『福島、その先の環境へ。』チャレンジ・アワード」を2020年度から引き続き実施しました(写真4-3-1)。
さらに、2019年4月に福島県と共同策定した「ふくしまグリーン復興構想」を踏まえ、2021年7月に磐梯朝日国立公園満喫プロジェクト推進に向けた地域協議会を立ち上げ、2022年3月に磐梯朝日国立公園満喫プロジェクト磐梯吾妻・猪苗代地域ステップアッププログラム2025を策定するなど、国立公園等の魅力向上に関する取組を進めています。
2024年3月には「福島、その先の環境へ。」シンポジウムを実施しました(写真4-3-2)。引き続き、福島県との連携をより一層強化しながら、未来志向の環境施策を推進していきます。