環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部パート3第4章>第4節 PCB廃棄物処理における課題及びPCB廃棄物の期限内処理に向けた追加的方策

第4節 PCB廃棄物処理における課題及びPCB廃棄物の期限内処理に向けた追加的方策

1 PCB廃棄物処理における課題

 基本計画の変更から一年が経過したことを踏まえ、環境省では、平成27年7月に有識者、産業界等から構成されるPCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会(以下「検討委員会」という。)第14回会合を開催して、基本計画変更後の取組状況についてフォローアップを行いました。フォローアップの結果及び高濃度のPCB廃棄物の期限内処理達成に向けた取組の進捗状況を鑑みると、期限内の処理完了は決して容易ではない状況にあります。

 期限内処理達成のための主な課題としては、[1]製造中止から40年以上経った現在においても、なお使用中の高濃度PCB使用製品が相当数存在しており、計画的処理完了期限後に廃棄物として排出されるものも出てくるおそれがあること、[2]計画的処理完了期限が間近に迫っているにもかかわらず、法律に基づく届出がなされていない高濃度PCB使用製品や高濃度PCB廃棄物が今なお存在していること、[3]計画的処理完了期限が間近に迫っているにもかかわらず、JESCOへの高濃度PCB廃棄物の処分委託をいまだ実施していない事業者が相当数存在していること及び保管事業者が不明、破産等のため処理が滞っている高濃度PCB廃棄物が相当数存在していることが挙げられます。

2 PCB廃棄物処理促進のための追加的方策の検討

 PCB廃棄物の期限内処理を確実に達成するため、検討委員会の下にPCB廃棄物早期処理推進ワーキンググループ(以下「ワーキンググループ」という。)が開催され、検討委員会及びワーキンググループにおいて、処理期限内に一日でも早く安全かつ確実にPCB廃棄物の処理を完了するために必要な追加的方策について検討がなされました。その結果を案として取りまとめ、平成27年12月から平成28年1月までパブリックコメントの募集を行いました。

 パブリックコメントの結果等を踏まえ、検討委員会は平成28年2月に「PCB廃棄物の期限内処理の早期達成に向けた追加的方策について~確実な処理完了を見据えて~」(以下「PCB報告書」という。)を取りまとめました。PCB報告書は、期限内処理を確実に達成するために、高濃度PCB含有機器等及び低濃度PCB含有機器等に分けて、基本的考え方及び追加的方策について取りまとめたものです。特に、高濃度PCB廃棄物の処理については、最も早いもので平成30年度末に計画的処理完了期限が到来し、この期限を守るため、不断の点検を行うことが重要とされています。また、低濃度PCB廃棄物の処理の完了期限は、PCB特措法施行令に規定された平成38年度末が処理期限として規定されているものの、処理期限内にその処理を終えなければならないという点では重要性に変わりはなく、高濃度PCB廃棄物とは状況が異なることに留意しつつ、処理体制の充実・多様化を図るなど、現時点から着実に取組を進める必要があるとされています。

 このPCB報告書の追加的方策を踏まえ、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が、平成28年3月1日に閣議決定されました(図4-4-1)。


図4-4-1 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の概要

 以上の取組により、処理期限内に一日でも早く安全かつ確実にPCB廃棄物の処理の完了を推進していくこととしています。