環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第3章>第5節 東日本大震災により生じた災害廃棄物及び放射性物質に汚染された廃棄物の処理

第5節 東日本大震災により生じた災害廃棄物及び放射性物質に汚染された廃棄物の処理

1 災害廃棄物の処理

 東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法(平成23年法律第99号。以下「災害廃棄物処理特別措置法」という。)に基づき、災害廃棄物の処理に関する基本的な方針、工程表を定め、被災した自治体の災害廃棄物処理について、きめ細やかな進捗管理を実施し、目標としていた平成26年3月末までに、福島県の一部地域を除いて災害廃棄物等の処理を完了しました。平成26年度は、処理の完了していない福島県の一部地域において、引き続き、きめ細かな進捗管理を継続して行いました。

 また、災害廃棄物処理特別措置法に基づき災害廃棄物(可燃物)の代行処理の要請を受けている福島県の4市町のうち、処理が完了してない3市町について、国がその処理を引き続き実施しました。相馬市は平成26年11月に処理を完了し、広野町は仮設処理施設の建設工事中です。また、南相馬市は仮設処理施設の建設に向けて準備中です。

 東日本大震災により発生したコンクリート殻・津波堆積土砂を、被災した海岸堤防の復旧工事の盛土材に活用する取組では、平成26年度に災害廃棄物由来の再生資材として仙台市で発生した津波堆積土等約5.0万m3を活用しました。

2 放射性物質に汚染された廃棄物の処理

 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質によって汚染された廃棄物については、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号。以下「放射性物質汚染対処特別措置法」という。)等に基づき、適正かつ安全に処理を進めることとなっています。福島県内の国直轄で処理を進める汚染廃棄物対策地域では、平成25年12月の対策地域内廃棄物処理計画の見直しにおいて、帰還の妨げとなる廃棄物の仮置場への搬入完了目標を市町村ごとに設定しました。

 平成26年度には各市町村で仮置場の整備を進め、南相馬市、双葉町、飯舘村、川俣町及び葛尾村においては、帰還困難区域を除いて、帰還の妨げとなる廃棄物の仮置場への搬入について、一部の家の片づけごみを除き完了しました。仮設焼却施設については、7市町村において設置を予定しており、飯舘村小宮地区、川内村、富岡町及び南相馬市において稼働を開始し、葛尾村、浪江町及び飯舘村蕨平地区でも建設工事を進めました。

 さらに、福島県内の放射性物質汚染対処特別措置法に基づく指定廃棄物のうち、放射能濃度10万ベクレル/kg以下のものについては、既存の管理型処分場であるフクシマエコテックを活用して埋立処分する計画であり、地元の富岡町及び楢葉町の当局や議会への説明を経て、平成26年4月に楢葉町、6月に富岡町に対し住民説明会を開催しました。

 また、放射能濃度10万ベクレル/kg超の指定廃棄物を搬入する予定の中間貯蔵施設の整備については、平成26年5月から6月にかけて、福島県、候補地の大熊町・双葉町に、住民説明会の意見等を踏まえた財政措置を含む、国の考え方の全体像を提示しました。同年9月に知事より中間貯蔵施設の建設受入れを容認する旨、両町長より地権者への説明を了承する旨が伝達され、同年9月末から10月中旬にかけて地権者を対象にした説明会を開催しました。

 保管が長期化すると、腐敗や臭気等のおそれがある下水汚泥や農林業系副産物等の指定廃棄物については、焼却等の減容化事業を行うことになっています。減容化事業のうち、福島市堀河町終末処理場については、平成26年10月末をもって運転を終了しました。また、鮫川村内で発生し処理が滞っている農林業系副産物等の処理実証事業については、平成26年度も継続して行いました。

 福島県外の放射性物質汚染対処特別措置法に基づく指定廃棄物については、一時保管がひっ迫している宮城県、栃木県、千葉県、茨城県、群馬県の5県において、国が各県内で早期に処理するための調整を行っています。このうち、宮城県については、平成26年1月に3か所の詳細調査候補地(栗原市深山嶽、大和町下原、加美町田代岳)を公表し、同年8月に詳細調査を開始しました。また、栃木県については、平成26年7月に1か所(塩谷町寺島入)を、千葉県については、平成27年4月に1か所(千葉市中央区蘇我)を、それぞれ詳細調査候補地として公表しました。

 再生利用可能な廃棄物については、放射線量の測定を行い、処理業者が受入れ可能と確認した物について引渡しを行いました。また、飼料中の放射性セシウムについては、その暫定許容値を定め、引き続き都道府県等に周知徹底等を図っています。肥料については、汚泥肥料を含めた全ての肥料の放射性セシウム暫定許容値を400ベクレル/kgと定め、引き続き都道府県等に周知徹底を図るとともに、16都県で生産される汚泥肥料の放射性セシウム濃度の測定を実施しました。なお、平成26年4月から平成26年9月までの測定実績は47点でした。