阿蘇の生きものと水のめぐみ
阿蘇のノスリとネズミ
ノスリは、草原生態系の頂点に位置する猛禽類です。阿蘇の草原では、 昆虫や小鳥、ネズミ類などの小動物をねらって停空飛翔(ホバリング)をする姿を見ることがあります。 アカネズミやハタネズミなどのネズミ類は個体数が多いため、阿蘇の 草原はノスリがエサをとって生きていくための重要な環境になっています。

日本で一番小さいネズミ。
草原のイネ科植物の茎や葉の上で生活し子育て期には球形の巣をつくります。
阿蘇の昆虫
阿蘇では1,300種以上の昆虫が確認されています。自然林や低木林に 生息する昆虫もいますが、その多くは草原に生息する昆虫です。 特にチョウの仲間は豊富といわれ、熊本県では128種が確認されてい ますが、そのうち109種が阿蘇で確認されています。牛馬の放牧が盛んな ことから、俗に糞虫といわれるコガネムシの仲間が多いのも阿蘇の 昆虫相の特徴です。

阿蘇の哺乳類と野鳥
阿蘇とその周辺には約33種の哺乳類が生息しています。草原性のネズミ 類のほかにも国指定天然記念物のニホンカモシカや、個体数の非常に 少ないカワネズミなども生息しています。 野鳥は、熊本県内で確認されている約350種の半数近くが阿蘇および その周辺で確認されており、ホオアカやカッコウなど草原性の鳥類が 多いのが特徴です。

阿蘇の水のめぐみ 湧水と湧泉
阿蘇では1,500ヵ所以上の湧水が確認されており、農産物の栽培や生活 用水として利用されています。阿蘇カルデラに広がる田んぼは豊富な 地下水と湧水がもたらす水のめぐみを象徴しています。 湧き水の中でも、特別な成分が含まれており、地下のマグマなどに温め られた水を温泉といいます。阿蘇には36ヵ所もの温泉地があり、これも 火山のめぐみです。

阿蘇の水のめぐみ 九州の水がめ
阿蘇山上の年間降水量は平均3,250mmで、全国平均(約1,700mm)の ほぼ2倍となっています。この水は阿蘇山上から、地下水や河川の表流 水となって海をめざして下流に流れます。 阿蘇を水源とする6河川の流域人口は約230万人。九州の人口の6分の 1にあたるこれらの人々が、飲み水や生活用水、農業用水として利用して いるため、阿蘇は「九州の水がめ」と呼ばれています。
