「Ogawa Organic Fes2018」開催レポート

 今年も、オーガニックタウン埼玉県小川町において、小川町の地域住民および都市生活者をオーガニックな空間、食、及び音楽の体感をとおしてつながることを目的としたイベント「Ogawa Organic Fes」を、平成30年9月8日に、埼玉県立小川げんきプラザで開催しました。「五感でオーガニックを感じる一日」をテーマに、音楽・食・空気・水・出会い・語らいなど、環境に配慮された自然のめぐみ=オーガニック体験を提供しました。

 本イベントのステージでは、「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトのアンバサダーである四角大輔さん、小原壮太郎さんのプロデュースで、同じくアンバサダーのMINMIさんやYaeさん、由利華さん、Bitter & Sweetさん、河口恭吾さん、GAKU-MCさんなどの豪華アーティストによるアコースティックなオーガニックライブや、竹沢地区神田祭り囃子保存会の演奏で、会場は盛り上がりました。


トークセッションの概要

 アンバサダーと地元農家、商店主などによるトークステージを実施しました。

「MOTHER EARTH トーク 『森』〜小川町から広がる環境への取り組み 〜」
 小川町下里1区集落が有機農業を核とした“村おこし”を推進し、2010 年に天皇杯を受賞、2014 年には天皇・皇后両陛下の行幸啓をお迎えするに至った歴史から、このフェスが誕生するに至った背景を踏まえながら、小川町のオーガニックや環境配慮への意識・取り組みなどについて、小川町の有機農業を支えてきた農家・商店主そしてフェス発起人たちが語り合いました。

 森里川海アンバサダーでもある金子美登さんの霜里農場で作ったお米を30年前から買い支えてこられた晴雲酒造 の中山社長から「先代の父の代から大量生産でコストを削減するために醸造アルコールを使う日本酒づくりの限界を感じ、有機の米を探して全国を飛び回っていました。するとなんと地元で、有機の米をつくっている金子さんという方がいる、と聞いて「おがわの自然酒」という有機米をつかった日本酒を造るようになりました。併せて地元の有機農産物をつかったお食事を提供するレストランも運営しています(中略)企業は地元の生産者を買い支えることがとても重要だと考え、現在も長いお付き合いを続けさせていただいています。」という話があり、みなさん真剣に聞いていらっしゃいました。

              

「MOTHER EARTH トーク「里」〜農業と都市の架け橋となるオーガニック〜」
 小川町で研修し、就農して基盤を築いてきた新たな世代の有機農家さんたちの歴史と想いを消費者が「選ぶ」という視点から、小川町の農家と森里川海アンバサダーたちが語り合いました。これからのオーガニックの都市生活者への普及啓発にむけてのヒントを探り当てる機会となりました。

 環境省 総合環境政策統括官中井徳太郎より、「地球温暖化の解決策はなにか。わたしたちの生活、あるいは生き方といったものを一度立ち止まって考えてみることが必要なのです。自然のメカニズム、生物の命が循環するシステムといったものがまずあり、そこに目を向けたライフスタイルへとシフトしていく。そういったライフスタイルのなかで行われる毎日の消費は、企業へも波及していくものだと思います。そうして社会や経済の仕組みも環境に寄り添ったものへと変化していくと良い。そこで農業と都市がつながって“地域循環共生圏“を構築していく、というのが我々が考えるこれからの日本のあり方です。」という熱のこもった話もあり、森里川海とそのつながりを大切にするライフスタイルへの転換に向けて、来場者に毎日の暮らしで活かせる気づきを提供しました。

              

「MOTHER EARTH トーク「川」〜身近なところからライフスタイルシフト〜」
 住環境・食・ファッション・ビューティーという生活に密接している事柄についての視点でオーガニックを語り合いました。

 株式会社OKUTA 代表取締役社長である森田隆之さんから「弊社は住宅関係の会社で、農業ではないのですが、オーガニックな家づくりという考え方でずっとやってきた会社です。木材や珪藻土などの自然素材を多用した、健康で快適な住環境ということに取り組んでいます。仕事の職と食べる食、ふたつの“しょく”を守ることが経営者の役割であるというミッションを明確にし、次第にプロジェクト化していったのが、先ほど小原さんにもお話しいただいた、社員の給料の一部をお米で払うというシステムです。今では小川町とはすごく深い関係で、田植えや稲刈りといった農作業が、社員教育の必須科目にもなっています。まさに社員たちのライフスタイルシフトを継続的に起こし続けているわけです。そういう形で、社員の第二の故郷として小川町にご縁をいただきました。今後も末永くこの関係を継続し、『霜里モデル』が全国に広がっていくことを願って、高橋さんと広報活動などをしています。」というお話をいただきました。

               

「MOTHER EARTH トーク「海」〜海外に見るオーガニック事情〜」
 海外と日本のオーガニック事情や環境に対する意識・考え方・取り組みなどを比較しながら、これからの日本でどのような展開が広まるのか、広めていくべきなのかについて語り合いました。

 森里川海アンバサダーの岸紅子さんからは「日本の発酵食文化は本当に宝だと思います。味噌・醤油・漬物など、発酵食の文化には先人の智慧が凝縮されているんです。和食が世界遺産を取ったのと同時に、日本の発酵を中心とした文化にも海外から注目が集まってまいますし、それをライフスタイルに取り入れていただくために「味噌づくりワークショップ」などをしています。私は娘が生まれて間もなく重度のアレルギー体質で、食事やライフスタイルを考え、工夫して克服してきました。でも日本では食を提供する側の意識や知識が低く、娘が食べてはいけないものを食べてしまって救急車で運ばれる経験を何度もしています。欧米に行くと、この食品には何と何が入っている、などの情報がわかりやすく表示されていますし、お店の人も聞けばすぐにアドバイスをくれる、日本もそれくらいにしたいですね」と話があり、子育て世代が自分事のように、集中して聞いていました。

              

「MOTHER EARTH トーク「次」〜みんなでつながり支え合う、次世代に繋ぐMOTHER EARTH〜」
 環境省『つなげよう、支えよう森里川海』プロジェクトがどのようにして生まれ、どの様に展開していくのか。これからのMOTHER EARTHの展開を踏まえながら、プロジェクトメンバーとアンバサダーたちが語り合いました。

 株式会社ルミネ取締役代表の新井良亮さんは日本のお土産には防腐剤がたくさん入っていることを指摘。オーガニック先進国では、日本のお土産は喜ばれないという話に会場の人も驚いていました。また、ルミネの社員たちにもっと産地のこと、あるいは自然を感じてほしいなと思ったことがきっかけで、社員向けの田植え体験を始めたという話、小川町は有機の里という、大変すばらしい場所なので、この地域が持つポテンシャルをもっと多くの人たちに知っていただきたいという熱い思いを話していただきました。そのほか、本プロジェクトアンバサダーでありアクティビストチームMOTHER EARTHの発起メンバーでもある大葉ナナコさん、小原壮太郎さん四角大輔さんからもそれぞれの取組と熱い想いが語られました。


ライフスタイルシフトを促す「地球とわたしにやさしい暮らしのヒント」について

 また、本年度では新しい取り組みとして、ライフスタイルシフトを促す『地球とわたしにやさしい暮らしのヒント』をパネルで掲出し、体験型のオリエンテ―リングを実施しました。#わたしになるごはん が人気でした。

              

環境省ブースにおいて

 MY行動宣言を説明し、来場者に皆さんにMY行動宣言をしていただきました。


基本情報

イベント名:Ogawa Organic Fes 2018
開 催 日:平成30年9月8日(土)10:00-16:00
会   場:埼玉県立小川げんきプラザ (埼玉県比企郡小川町木呂子561)
参 加 人 数:約2,100人
主   催:Ogawa Organic Fes実行委員会
共   催:環境省
協   力:MOTHER EARTH/NPO生活工房つばさ・游/一般社団法人the Organic/埼玉県立川の博物館
後   援:埼玉県/小川町/小川町教育委員会/NPO全国有機農業推進協議会