森里川海と地域づくりの“これから”について考えよう!
〜「つなげよう、支えよう 森里川海」全国リレーフォーラム キックオフイベント

 10月30日(金)に、ベルサール汐留(東京都港区)で「『つなげよう、支えよう 森里川海』全国リレーフォーラム キックオフイベント」が開催されました。全国約50ヶ所で開催される全国リレーフォーラムは、「つなげよう、支えよう 森里川海」プロジェクトを紹介し、森里川海をつなげる地域の取組や課題を共有しながら、参加者全員で森里川海と地域づくりの“これから”について考えるフォーラムです。このキックオフイベントとして、スペシャルメンバーの伊勢谷友介さん、これまでの議論にご参加いただいたプロジェクトメンバー、ご応募いただいた一般の参加者をお招きして、プロジェクトの趣旨や全国リレーフォーラムのねらいを紹介し、先進的な取組の報告やトークセッションを行いました。

 まずはじめに、主催者を代表して丸川珠代環境大臣による挨拶がありました。「私たちの暮らしを支える『森里川海』を、将来世代につなげるために何をするべきか?との考えから、昨年12月に『森里川海プロジェクト』はスタートしました。今年の6月には『森里川海を豊かに保ち、その恵みを支える社会づくりを目指す』と、具体的な方向性を発表しました。これを地方創生の柱にもしたいと考えています」とプロジェクト発足の経緯と方向性について説明。さらに、「国民一人ひとりが自然の恵みを実感し、その恵みを支えていくという思いをつなぎ、広げていくことが重要。このキックオフイベントはその第一歩になるものです。フォーラムなどを通じ、全国のみなさまに多くの意見をいただきながら、一緒に考え一緒に進んでいきたいと考えています。豊かな森里川海の恵みが、私たちの世代だけでなく、子どもや孫の世代までつないでいけるように、美しくにぎわいに満ちた故郷が、この国の礎となることを祈念します。」と、プロジェクトならびに全国リレーフォーラムへの期待を述べました。

 また、「地域の取組や人をつなぎ、想いをつなぐことを込めた」(丸川大臣)プロジェクトのシンボルマークも発表されました。今後、取組やイベントで活用されていく予定です。

<主催者挨拶をする丸川珠代環境大臣。取組やイベントで活用されていくシンボルマークも発表されました。>

 続いて、環境省自然環境局自然環境計画課長の鳥居敏男より、本プロジェクトの趣旨や全国リレーフォーラムの概要について説明がありました。また、広く国民のみなさまに知っていただき、参加を促すためにアンバサダーとして任命されたJFN(Japan FM Network)パーソナリティーを代表して高橋万里恵さん、パイロットインキ株式会社のキャラクター「アヒル隊長」に、丸川大臣より任命書が授与されました。

<アンバサダーに任命されたJFNパーソナリティーの代表として任命書を受け取る高橋万里恵さん(左)、
アヒル隊長とパイロットインキ(株) 吉村常務取締役(右)。>

 次に、本プロジェクトのスペシャルメンバー伊勢谷友介さんによる活動報告が行われました。伊勢谷さんは俳優活動と並行して、“人類が地球に生き残るための株式会社”「リバースプロジェクト」を立ち上げ、消費活動への提案、エコビレッジの開拓、那須塩原市での市民自治への取組など、様々な活動を行っていることを報告。また、社会的課題を発見して、その解決策を考え、行動することができる人材の輩出を目指す「松下村塾リバースプロジェクト」を立ち上げ、教育分野での活動も大切であるとの認識を示しました。

 「これまで社会課題に対しいろいろな取り組みを行ってきましたが、いくら頑張っても成功するわけがないと言われる事が多々ありました。しかし、環境省が立ち上がってくださった。これをキッカケにしない手はない。地球の環境問題は人類共通の課題で、ひとりひとりに責任があります。このプロジェクトが、最大限の努力とともに、諦めない心『挫折禁止』で進んでいってほしいと願っています。」と、熱い思いを語りました。

<「リバースプロジェクト」の活動について報告する伊勢谷友介さん。熱のこもったトークに引き込まれました!>

 続いて本プロジェクトメンバーのNPO法人海辺つくり研究会の木村尚さんによる特別講演が行われました。木村さんは、ワカメの育成による水質浄化や、アマモ場再生活動など、東京湾を豊かな海にするための活動に取り組んでおられます。

 講演では、「東京湾近辺の人口は、圧倒的に多い。この多くの人たちが豊かに暮らすためにした結果、東京湾の環境が悪くなってしまった。東京湾はほとんど埋め立てられて、干潟がほとんど残っていないのが現状です。さらに問題なのが、人と海が遠くなってしまって、海が現在どのような状況になっているのかわからなくなってしまったこと。ただし、悪くするのも人ならば、良くするのも人。最終的には東京湾を世界遺産にしてやろう、というくらいの気持ちでやっています。」と東京湾の現状について説明し、ワカメやアマモ再生の取組について紹介しました。また、「東京湾ではハマグリやアオギスなど、たくさんの生き物が絶滅してしまいましたが、川と海の両方に関連がある生き物が絶滅している。川がキレイになるだけでも、海がキレイになるだけでもダメで、両方が“つながっている”意識で互いに頑張れば、人の手で取り戻せます」と、「森」「里」「川」「海」がそれぞれにつながっていく必要性について強調しました。

<人気テレビ番組でもおなじみの木村尚さん。東京湾での活動について、笑いを交えながらわかりやくお話し下さいました。>

 「熱き想いで“つなげよう、支えよう 森里川海”」をテーマにしたトークセッションでは、司会進行役としてアンバサダーの高橋万里恵さん、環境省大臣官房の中井徳太郎審議官、そして活動報告を行った伊勢谷友介さん、特別講演を行った木村尚さんが登壇しました。

 まず中井審議官から、改めてプロジェクトへの想いや経緯についての説明があり、プロジェクトの目標として「森里川海を豊かに保ち、その恵みを引き出す」「一人ひとりが、森里川海の恵みを支える社会をつくる」の2つが掲げられました。

 続いて、2つのトークテーマ「森里川海を“つなぐ”こと」「森里川海の取組を支えて、次の世代に“つなぐ”こと」について議論が交わされました。木村さんは海をフィールドに子どもたちと一緒に活動してきた視点から、伊勢谷さんはご自身も若く、また若い世代に訴求力がある立場から、様々な意見や提案が出され、中井審議官や高橋さんも交えて“熱き想い”があふれるトークセッションとなりました。

 最後に「実現に向けた仕組み」について議論が交わされました。中井審議官から「環境省が号令をかけるのではなく、ボトムアップで一人一人から自発的に取り組んでいく仕組みづくりを考えています。森里川海をつないでいくプロジェクトは、お金が必要になりますが、お金の話からも逃げないで、互助会のような考え方で一人一人がわずかでも負担するような仕組みも考えていかなくてはなりません」とアイデアが出されると、「今、自然は人間に怒っている。天変地異が起こらないようにお祈りするときは、神社にお賽銭を収めるのと同じで、お金や労力を出す負担の議論を避けずに仕組みづくりをしていくべき」(伊勢谷さん)「お金と労力を出せば、国産うなぎも松茸も帰ってきておいしく食べられるし、昔のように川や山に取りに行く楽しみもできる。社会の要求は、その方向に向いていかなければならない」(木村さん)と、賛同の意が示されました。

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<白熱したトークショー。中井徳太郎審議官からボトムアップで取組を進めるためのアイデアも披露されました。>

 最後に、登壇者がこれから全国リレーフォーラムが行われる会場に向けたメッセージをボードに記入しました。また、来場者の方に、「えんたくん」を活用してこのプロジェクトへの想いや意気込み、森里川海への想いなどを記入していただきました。「えんたくん」への記入は、今後の全国リレーフォーラムでも各会場で実施されます。

<全国約50ヶ所のリレーフォーラム会場に向けて、登壇者がメッセージを記入しました。(左)/来場者全員で「えんたくん」体験!(右)>

<キックオフイベント来場者の方に記入していただいた「えんたくん」(クリックで拡大)>

 会場では「つなげよう、支えよう 森里川海」プロジェクトのコンセプトや生物多様性について紹介するパネルが展示されました。また、気候変動の今を伝える「IPCCリポートコミュニケーター」募集のパネル、7月から始まった地球温暖化対策のための新たな国民運動「COOL CHOICE(賢い選択)」を紹介するパネル、アヒル隊長の「ハコスコ体験」なども展示され、休憩時間やフォーラム終了後には多くの人で賑わっていました。

<「つなげよう、支えよう 森里川海」プロジェクトの概要などのパネルを展示。(左)/IPCCリポートコミュニケーターや「COOL CHOICE」のパネル展示も。(中)/「ハコスコ体験」も大人気!(右)>

 このキックオフイベントを皮切りに、全国約50ヶ所での「『つなげよう、支えよう 森里川海』全国リレーフォーラム」がスタートしますので、近隣でのフォーラムにはぜひご参加ください。一緒に森里川海と地域づくりの“これから”について考えていきましょう!