谷川岳エコツーリズム推進全体構想
1 全体構想の目的
群馬県みなかみ町では、上信越高原国立公園に指定されている谷川岳を、旅行者が自然の生態系に悪影響を及ぼすことなく楽しむことができるよう取組を進めており、その有効な手段としてエコツーリズムの推進を掲げています。
自然環境への配慮、観光振興・地域振興への寄与、環境教育への活用を基本理念とするエコツーリズムの導入により、地域の発展・向上につなげることを目的として、「守る・活かす・交わる」の3つの基本方針のもと「谷川岳エコツーリズム推進全体構想」を作成しました。
2 エコツーリズム推進全体構想の概要
(1)エコツーリズムを推進する地域(法第5条第3項第1号関係)
上信越高原国立公園に指定されている地域を含め、谷川岳東面と群馬県の自然環境保全地域に指定されている朝日岳と白毛門の東面などを含んだ地域を設定しています。これらの地域は観光客や登山者などの利用が集中しており環境負荷が非常に高い地域です。
(2)エコツーリズムの対象となる主たる自然観光資源の名称及び所在地(同項第2号関係)
主な自然観光資源
自然環境に係るもの
- 「カモシカ」「ムササビ」「イワヒバリ」「クロサンショウウオ」「ベニヒカゲ」などの動物
- 「谷川連峰の植生」「湯檜曽川の河畔林」「各種の高山植物」などの植物
- 日本三大岩壁の一つと言われる「谷川岳一ノ倉沢の大岩壁」「氷河地形」などの地形・地質 等
カタクリ
ヤマアカガエル
生活文化に係るもの
- 「冨士浅間神社奥の院」などの史跡
- 「清水越国道の石垣」「日本一のモグラ駅 JR土合駅」などの産業資源 等
(3)エコツーリズムの実施の方法(同項第3号関係)
ルール
エコツーリズムの推進のため、次の6点に対しルールを設定しています。
- 参加者の安全
- 自然環境(自然観光資源)
- 史跡、伝統文化など
- 地域住民の生活環境
- 環境全般
- ツアーの質
案内(ガイダンス)及びプログラム
案内(ガイダンス)については、人と人とのふれあいを大切にし、効果的に地域の魅力を伝えるために、専門のガイドによる直接解説や体験指導を主な方法とします。
プログラムとしては、山岳地形の魅力、湯桧曽川、動植物の魅力、地域の歴史を活用したエコツアーを掲載しています。
モニタリング及び評価
日々行う簡易モニタリングと、数年に1回程度実施する本格的な定期モニタリングの2つを同時に運用し効果的に活動に反映させます。
動植物や地形地質などモニタリングの対象を6つに区分し、それぞれのモニタリング方法、実施主体及び各主体の役割を設定しています。
モニタリング評価結果において対策が必要な事象については、次の3タイプに分け協議します。
- ツアーの実施方法や参加者の行動の改善により対処が可能なもの
- ツアー実施者同士の調整が必要なもの
- ツアーの実施者及び協議会では対応が困難なもの
(4)自然観光資源の保護及び育成のために講ずる措置(同項第4号関係)
- 本地域の自然観光資源のほとんどが国立公園等の様々な制度により保全が図られていることから特定自然観光資源の指定は行いません。
- ルールを関係者が守るよう、協議会や専門家などが普及啓発を実施し、必要な取組を推進します。
- モニタリング評価結果等により、さらなる保護や育成などの対策が必要であれば、専門家からの意見を踏まえて協議会において対応を協議し、ツアー実施者等の協力も得て改善に向けた調整を行います。
(5)推進協議会に参加する者の名称又は氏名及びその役割分担(同項第5号関係)
みなかみ町、事業者、地域住民、NPO法人、エコツアーガイド、土地所有者等、その他エコツーリズムに関連する活動に参加する者並びに関係行政機関及び関係地方公共団体から構成されています。
(6)その他エコツーリズムの推進に必要な事項(同項第6号関係)
- 環境教育の場としての活用と普及を図るため、エコツアー実施者の環境問題についての理解を深めるとともに、体験等を通じて参加者に自然への理解や環境問題を考える機会を提供するほか、地域住民に対する普及啓発の取組を推進します。
- 他の法令・制度や計画等との関係を配慮するとともに、その整合を図ります。
- 地場産品のエコツアーへの活用・アピールなど、農林水産業や土地の所有者等との連携及び調和を図ります。
- エコツアーの実施者及び参加者の安全を確保するために最大限の注意を払います。
- エコツアーが、地域住民の生活や伝統文化に悪影響を及ぼすことのないように配慮します。
- 全体構想については、策定後の様々な課題を整理し、1年以内に見直し作業を実施します。3年目からは見直した構想によりエコツーリズムを推進します。その後5年を目途に全体構想の見直しを行います。
>>3.お問い合わせ先、参考ページ