都井岬の野生馬
串間市は面積約295平方km、日向灘を回流する黒潮の影響を受けて亜熱帯植物が自生する温暖な気候で、完熟マンゴー『太陽のタマゴ』や完熟キンカン『たまたま』、全国和牛能力共進会で日本一に輝いた『宮崎牛』など、豊かな農産品があります。
また自然観光資源に目を向ければ、国指定天然記念物の『岬馬およびその繁殖地』や『幸嶋サル生息地』、日本の渚百選に選ばれた石波海岸、全国有数のサーフスポットでアカウミガメの産卵地でもある『恋ヶ浦』など、豊富な資源が市街地から車で30~40分圏内の身近な場所にあります。
串間エコツーリズム推進全体構想は、自然資源や生活文化を保護活用し、その恩恵を次世代にも送り届けることを基本理念として、エコツーリズムで『自然感幸(観光)地域づくり』を推進することで、持続可能な地域を目指すことを目的として作成しました。
串間市の自然観光資源は、人間の生活空間の身近に存在し、気軽に楽しめることが魅力ですが、野生動物への餌やり行為や過剰な接近により、動物に悪影響を与えたり、観光客が威嚇攻撃を受けたり、希少植物の盗掘やゴミの不法投棄等もあって、保全の面では多くの課題があります。
また、都井岬や笠祇・古竹草原のように、里山で人の生活と共に守られてきた自然観光資源は、地域の高齢化と過疎化の影響から、これを守り伝える後継者の不足も問題となっています。これは基幹産業である農林漁業や、文化財の保存継承など様々な分野でも共通の課題です。
加えて串間市の観光客数については、新婚旅行ブームで昭和50年代には年間100万人を超える観光客がありましたが、串間市が初回に全体構想を策定した平成29年には25万人と大きく減少していました。これは近年の観光嗜好が、『風景を見るだけの観光』から『参加体験型の観光』へと変化したことで、素材があるだけでは短時間で通過され、地域の魅力を十分に伝えることが難しくなったのだと考えます。さらに、令和の時代に入ると新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けて、令和2年の観光客数は16万人までに減少しましたが、令和4年には徐々に正常化の兆しもみられ、直近の観光客数は45万人まで回復するなど明るい展望も見えつつあります。
串間エコツーリズムは、こうした地域の問題解決をテーマとしたエコツアー商品(自然との共生と魅力を伝えるツアーや、地域の生活文化や伝統芸能等の価値啓発と保存継承を両立するツアー、農林漁業体験や地場産品の販売促進により所得の向上や雇用創出など持続可能な基幹産業の仕組み作りにつながるツアー等)の提供を目指します。また、人と人との親密な交流が生じるエコツアーの推進により、コアな『串間ファン』を獲得することで、郷土愛が培われ、誰もが住みたいと思えるようなコミュニティを醸成し、エコツーリズムによる地域の元気化を目標としています。
串間エコツーリズムは、次の3つの基本方針を設定し、推進していきます。
串間の豊かな地域資源を活かした感動体験メニューを実施して、地域も利用者も自然に(nature & naturally)幸せを感じる感幸(観光)地域づくりを目指します。
郷土の豊かな自然資源や生活文化の恩恵は、私たちの先祖が代々これを守り伝えて、私たちに送り届けてくれたものです。私たちはこの恩恵を、先祖には恩返しの気持ちをもって大切に守り、浪費させることなく、次世代にも恩送りすることを目指します。
串間エコツーリズムに参加する地域も利用者も含め、『この土地が好きだ!』という串間ファンを育てることで、郷土愛を醸成し、地域の元気化を目指します。
国指定天然記念物の野生化馬を中心に、都井岬の自然環境や歴史を探訪するツアー。
漁師体験から魚食人口を育て、魚の消費拡大、漁師の所得向上、後継者の育成により魚食文化の継承を目指すツアー。
農村を地区住民のガイドで散策し、郷土料理など農村文化の魅力を発信するツアー。
お寺での読経や座禅、茶道や華道、地元食材を使った精進料理などの体験ツアー。
1978年から串間市で生産される南国フルーツ「グァバ」の収穫体験ツアー。
江戸時代から続く『都井岬馬追い』を体験することで、馬を守る地域の歴史に参加するツアー。
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