第20回ICRI総会
背景と概要
日本-パラオ事務局が主催する第3回目のICRI総会が、2007年4月22日に立教大学で開催された「ICRI総会開催記念公開シンポジウム」に引続き、23~24日に池袋のメトロポリタンホテルで開催されました。日本-パラオ事務局は、事務局の行動計画の中で任期中に3回の総会を開催することとしていましたので、これが最後の総会になりました。
近年のICRI総会は、ほとんどがサンゴ礁の分布する熱帯域のリゾートホテルで開催されており、サンゴ礁が分布していない(サンゴは分布しています)高緯度地域の、それも都市部で開催した事例はあまりありません。過去をさかのぼれば、1999年にフランスのパリで、2003年にスイスのグランで開催されたことがあります。なお、2004年の第10回国際サンゴ礁シンポジウム(ICRS)の直後に沖縄で開催された実績がありますので、今回は日本での2回目のICRI総会となりました。
会議では、2008年の「国際サンゴ礁年」に向けて「国際サンゴ礁年活動計画」を作成していくこととなり、また、「サンゴ礁と気候変動に関する決議 [PDF 9.2 KB]」、「海洋保護区(サンゴ礁)のネットワークに関する勧告 [PDF 10.9 KB]」、等が決議されました。また、「(海の)酸性化とサンゴ礁に関する勧告」が概ね合意され、細かい文言について2週間程度のコメントを受けつけた後に最終決定されることとなりました。「海洋保護区(サンゴ礁)のネットワークに関する勧告」に関連して、日本からは、2008年に「国際サンゴ礁保護区ネットワーク会議(International Reef Protected Area Network Conference: IRPANC)」を開催することを発表しました。
今年の7月から事務局を引き継ぐ予定のアメリカとメキシコから、次回の総会は、平成20年1月に「国際サンゴ礁年」の世界的な立ち上げを兼ねて開催する予定である旨が発表されました。
会議の様子
1.ICRI歓迎レセプション
ICRI参加者のための歓迎レセプションが立教大学立川記念館で公開シンポジウムの後に開催されました。開会にあたっては、環境省の富岡 悟自然環境局長、(財)自然環境研究センターの多紀保彦理事長、日本サンゴ礁学会の西平守孝副会長が挨拶に立たれ、海外からの参加者を歓迎する意と、続く2日間の総会において実り多い議論が展開されることを期待する旨が述べられました (写真1)

2.ICRI総会(第1日目)
総会第1日目には、開会にあたり、パラオ共和国のエルブエル・サダン財務大臣と環境省の富岡悟自然環境局長による挨拶がありました。総会は、前回のコズメル総会に引続き、名執芳博氏(国連大学高等研究所・上席研究員)とファビアン・イーヤー氏(パラオ国際サンゴ礁センター・センター長)が共同議長を務めました。 (写真2)


議長席の様子。左から、議事記録を担当したエミリー・コーコラン氏(UNEP-WCMC)、共同議長を務めたファビアン・イーヤー氏と名執芳博氏、ICRI事務局の高橋啓介氏(環境省)(右) 。
午前中は主に事務局などからの報告事項があり、午後からは、国際サンゴ礁年の特別セッションがありました。特別セッションでは、日本、アメリカ、フランスの3カ国からの事例報告の後、3つのテーマごとに分科会に分かれて討議が行われ、具体的な計画など活発な議論が展開されました。(写真3)



グループ2「協力とパートナーシップ」(中央)。グループ3「開始行事についてアイディア出し」(右) 。
総会には、15か国の代表、22の国際機関、NPO団体、大学など世界の各国から65人の参加がありました。全体会合が開かれた大会議室の後方には展示ブースが設けられ、ICRIメンバーが様々な展示や資料の配布を行っていました。(写真4)



3.ICRI総会(第2日目)
総会2日目には、午前中にマンゴローブに関する国際機関である国際熱帯木材機関(ITTO)と国際マングローブ生態系協会(ISME)の発表があり(写真5)、その後はサンゴ礁とマンゴローブの関連や、サンゴ礁と海水の酸性化など、3つの重要なテーマごとに分科会に分かれて討議が行われました(写真6)


ISMEの活動について発表を行う馬場繁幸氏(右)。


2日間に渡って多くの議論が行われ、いくつかの決議文書が採択されましたが、その中の一つとして、国際サンゴ礁年のロゴの最終審査と決定がありました。世界中から27のデザイン案がICRIに寄せられ、ICRIメンバーによる事前投票によって選ばれた5つのロゴ案に対して決戦投票が総会中に行なわれ、環境省が提出したロゴに決定しました(写真7)。

総会最後には、次回総会から担当事務局が交代するため(日本-パラオは実質的には平成19年6月末まで事務局を担当)、次期事務局であるアメリカ合衆国とメキシコに事務局が引き継がれました(写真8)。


写真8.総会最後に行われた事務局引継ぎ行事の一環として、日本-パラオ事務局からアメリカ-メキシコ事務局に手渡されたICRIの旗(左)
およびセイシェル総会時にセイシェル環境大臣から寄贈された双子やしの置き物(右)。
右写真の左から: ロバート・カドニー氏(コズメル海中公園局)、渡辺綱男環境省自然環境計画課長、クリスティン・ドーソン氏(米国務省)、ファビアン・イーヤー氏(パラオ国際サンゴ礁センター)。
議題及び結果概要
総会の議題とそれぞれの結果概要を以下に記しました。各議題に対して事前に提出された文書や発表に使われたパワーポイントスライドなどは、第20回ICRI総会(ICRI公式サイト)(外部リンク)を参照してください。
23日 (1日目)
議題 | 結果概要 |
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1. 開会 |
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2. 議題採択、会議目的設定 | |
3. 新規メンバー、オブザーバーの歓迎 |
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4. 前回総会で採択された決議等の状況報告 |
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5. 事務局からの報告 |
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6. 特別委員会の報告 | 法の執行に関する特別委員会:
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7. ICRIオペレーショナルネットワークの報告 ・ICRANからの活動報告 |
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8. USカウンターパート・ファンドの使途に関する報告 |
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9. 第11回国際サンゴ礁シンポジウム(ICRS) |
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10. 国際サンゴ礁年特別セッション(1) | 国際サンゴ礁年の準備状況について、フランス、日本、アメリカから報告が行われた後、次の3つのグループに分かれて議論が行われました。 グループ1:「情報のとりまとめ」
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11. メンバーからの報告とディスカッション |
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10. 国際サンゴ礁年特別セッション(2) |
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24日 (2日目)
議題 | 結果概要 |
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12. 東アジアとミクロネシアの海洋保護区データベースの発表; |
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13. サンゴ礁関連生態系: マングローブについて |
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14. ICRIの主要な課題(1) | 次の3つのグループに分かれて討議が行われました。 グループ1:「ITMEMS3」
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14. ICRIの主要な課題(2) |
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15. 総会決定事項の再審議と最終合意 |
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16. その他の議題 | TNC(The Nature Conservancy)から、世界島嶼パートナーシップ(Global Island Partnership)についての報告がありました。 |
17. 事務局の引継ぎ及び次期総会 |
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18. 議長によるICRI総会決定事項のまとめ | 共同議長が総会の結果を総括しました(議長総括 [PDF 17.2 KB])。 |
閉会 |
総会総括及び決議・決定事項
東京総会議事概要
- 議長総括(英 [PDF 92.6 KB]、和 [PDF 17.2 KB])
- 議事概要(英 [PDF 333 KB])
東京総会で採択された決定事項
- ICRIのレビュー(英 [PDF 45.4 KB]、和 [PDF 221 KB])
- 海洋保護区のネットワークに関する勧告(英 [PDF 38.4 KB]、和 [PDF 10.9 KB])
- サンゴ礁と気候変動に関する決議(英 [PDF 42.2 KB]、和 [PDF 9.2 KB])
- 海水の酸性化とサンゴ礁に関する勧告(英 [PDF 36.0 KB]、和 [PDF 78.4 KB])
(総会終了後ICRIForum上において2週間以上議論・調整を行った後採択された) - ICRI国際サンゴ礁年行動計画(英 [PDF 111 KB])
(総会終了後ICRIForum上において2週間以上議論・調整を行った後採択された)